季節は夏。今夜は人里での祭りの日。
幻想郷の天狗のブン屋、射命丸 文に祭りに誘われたのだが、肝心の文はまだ着いてない様だった。俺自信も今来た所なのだが……
「文は……まだ来てないか……」
既に祭りは始まっており、太鼓を叩くを音も聞こえる。小さい頃から祭りには興味を示した事がないから、こういう人が多い所は初めてだ。
「おーい!〇〇さーん!」
背後から声が聞こえるので、振り返ると文が浴衣姿で手を振っていた。
「はぁ……はぁ……すみません、遅れてしまって」
「いや、俺も今来たばかりだから」
「そ、そうですか、良かった……本当は来てくれないんじゃないかって思ってて……」
「まさか、せっかく文が誘ってくれたんだ。行くに決まってる」
それを聞くと、文は嬉しそうに笑う。それが俺にとっては一番嬉しい事だ。
「それでは、本題に入りますが、〇〇さん。今日はお祭りに来てくれてありがとうございます!今日はよろしくお願いします!」
「こちらこそ、誘ってくれてありがとな。俺、こういう所来るの初めてだからさ」
「あやや!?そうなんですか!?なら、私がちゃんと引っ張っていってあげますから、覚悟してくださいよ?」
「ああ、楽しみにしてるよ」
「ところで〇〇さん、その……何か物足りなくありませんか?」
「んー……そうだなぁ……」
まあ、考える間もなく文が喋りかけてくるのだろう。
「ほら!た……例えば、手を繋いだり……とか?」
「ふむ……」
文がそう言うのなら、いきなり手を繋いでやろうと、俺は悪戯な表情を浮かべる。
「え……ちょっと、〇〇さん?」
「手……繋ぎたいんだろ?だからこれで行かないか?」
「ありがとうございます」
これは自分でやっておきながらかなり恥ずかしい。それでも、文と手を繋げるなら本望だ。
「あの、〇〇さん」
「どうした?」
「その……私達って、周りから見たらやっぱり、こ……恋人同士に見えるんですかね?」
「な、なんだよいきなり……」
「もし……そうだとしたら、良かったのになって思ったんです」
確かに、俺と文が恋人同士だったら、俺はどれほど喜ぶだろうか。
「な、なーんて!変な事言ってすみませんね?さあ、まだまだ祭りの時間はありますよ!」
「……はぁ、そうだな。残りの時間も楽しむとするか!」
「だから……祭りが終わっても、家に帰るまでも、ずっと手を繋いでくれますか?」
俺はその言葉に、勿論頷く。
祭りが終わっても、俺は繋いだ文の手を帰るまで話す事は無い。
「〇〇さん……この手をずっと……離さないでくださいね?」
文は笑顔で、俺の手を強く握った。