山城○○○!幼馴染と化した野獣   作:アサルトゲーマー

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24歳、息抜きです


真夏の夜の幼馴染
第一章 艦これ完ッ!帰還兵と化した山城


 

 

 

 20XX年!世界は深海棲艦の脅威にさらされた!

 シーレーンは破壊され、地は燃え、全ての文化的生活が壊滅したかのように見えた。だが、文化は壊滅していなかった!

 

 で。

 

 艦娘の発見や自衛隊の作戦やらによって深海棲艦は殲滅され人の世は再び回り始めた。民間人にとっては遠い海の出来事であり、少し物資に困ったくらいでそう影響がなかったというのが正直なところだ。

 自衛隊は作戦を秘匿しマスコミに少々叩かれたが、そのお蔭もあって艦娘の個人情報は完全に保護された。それこそネズミ一匹すら通さない万全なセキュリティだ。同時に艦娘という存在が外に漏れる訳もない。

 そんな訳で民間人に顔を知られている訳でもなく、戦争の終わった後の艦娘は慎ましやかに生きるだけなら一生を暮らせるくらいの莫大な報奨金を手にしてそれぞれの帰路についた。

 英雄の名は誰にも知られることは無く、彼女たちは戻った先で適当な言い訳をして、そしてやがて日常に溶け込んでいった。

 

 

 

 

 ─艦これ・完─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二人の女が「藤田」と表札の掛かった一軒家に並んで立っていた。

 彼女らの名前は扶桑と山城。二人は姉妹でよく似た顔だちをしていて、体も出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいるグラマラスな体型をしている。そしてややバランスが悪そうにフラフラしている長身もお揃いだ。

 

「帰って来ましたね、姉さま!」

「ええ、そうね」

 

 妹の山城は嬉しそうに、姉の扶桑はそんな可愛い妹を見て微笑んで。

 山城は大好きな扶桑がいればどこに行っても平気な()の付くシスコンだが、やっぱり我が家が一番安心するのだ。そんな訳で家の鍵を早速開けようとボストンバッグの中を漁るが、鍵は出てこない。

 

「えっ…あれ?」

 

 山城は慌ててボストンバッグをひっくり返すが、無いものは出てこない。青い顔をして扶桑の顔を見上げるが、目を瞑って首を横に振られた。

 

「ふ、不幸だわ……」

 

 落ち込む山城。だが扶桑はそんな山城を責めたりはせず肩に手を置いて、山城にとっては爆弾発言をした。

 

「浩二さんに鍵を一つ預けてあるの。今から会いに行きましょう」

「マ゚ッ!?」

 

 浩二。田所浩二。山城にとって不倶戴天の天敵であるソレの名前が出てきたことが信じられなかった。おまけに鍵を預けるなど、それこそ敵に塩を送るどころか米とおかずと献立まで送るような暴挙である。

 

「こうちゃ、ゲッホゲホ!浩二の所に預けるなんて何を考えてるんですか!取り返しに行きましょう今すぐ!」

「ふふっ。山城、今こうちゃんって…」

「あーあー!聞こえません!行きますよホラホラ!」

 

 失言をした山城は照れ隠しのように扶桑の手を掴んで引っ張っていく。と言っても田所邸は向かいにある、まさに目と鼻の先だ。

 山城は扶桑に何か言われる前に呼び鈴のスイッチを押す。ぴぃぃ~~~~んぽぉぉぉ~~~~んというネットリしたチャイム音が鳴った。ほどなくしてドタバタ走る音が聞こえて、そしてガチャッコンという特徴的な扉が開く音と共に男が飛び出す。

 

「あらいらっしゃい!…ファッ!?お前らいつ帰って来たんだYO!」

「うるさい」

 

 飛び出してきた浩二の横っ腹にフックをぶち込む山城。浩二は「ヌッ?!」と変な声を出してその場に転がった。

 

 

 

 

 その後、浩二の「上がって、どうぞ」という誘いにホイホイつられて上がってしまう扶桑を追いかけて山城も田所邸に上がった。

 今背中を見せて前を歩く男は山城にとって大きな因縁のある男だ。家が向かいで歳も近いとあって幼少の頃から面識があった。いつからか知らないがお互いを「こうちゃん」「やまちゃん(宏一)」と呼び合うような仲のいい関係だったのだ。

 だがそれは歳をとるたびに捻じれていった。それは浩二が妙に扶桑と仲が良かったからだ。扶桑を独占したい山城は度々浩二に突っかかり、何だかんだと言い合いをして腹パンをかますまでが高校生の頃の一連の流れとなってしまっていた。

 この男をぶっ飛ばして扶桑姉さまを守りたい、だが親しい友人を失えば扶桑姉さまは悲しんでしまう…。このくっそ汚なそうな男を扶桑の親しい友人という枠組みに入れるのには抵抗があるが、実際そうであるから山城は頭を抱えながらうんうん唸った。

 ふと前を見れば二人が振り返って山城を見ていた。

 

「…なによ」

「あのさぁ……心の声ダダ漏れで恥ずかしくないの?」

「……声に出てた?」

「ん、そうですね」

 

 それマジ?といった顔で扶桑を見る山城。そしてその顔は縦に振られた。

 

「ちっちちち違うの!これは浩二を葬ろうとかそんな事考えてるんじゃなくて言葉のあやというかなんというか……!」

「ふふっ、そうね。山城はこうちゃんの事が大好きですものね」

「だれがこんな汚物を!」

「ファッ!?頭にきますよー!」

「うっさい話を拗れさすな!」

 

 再び山城のフックが浩二の腹に突き刺さった。本日二度目の腹パンによって浩二も「ンアッーーーー!」とさらに変な声を出して床に転がるも山城は追撃を忘れない。親しい筈の人物が腹パンされて床に転がるも扶桑は笑顔だ。それには深い理由があった。

 これは扶桑たちが突然居なくなった「あの日」まで毎日続いていた日常の一部だったのだ。艦娘として深海棲艦を打ち倒していた間は日常とは違った高揚感があったが、やはり何かが欠けていた。それこそがこの浩二という男である。

 

「ンアッー!(≧Д≦)ンアアアアッー!(≧Д≦)」

「うるさいバカ兄ー!」

 

 そんな時に闖入者が現れた。野獣妹とプリントされたシャツを着たちみっこい女の子だ。そして何より目を引くのがパプワニューギニアでお土産として買ってきた謎の付け角を頭に付けている。

 彼女は萃香。シャツに掛かれている通り浩二の妹で、呑兵衛。小学生あたりから身長は変わってないが怪力で、あんな兄の何がいいのかブラコン。

 

「あれ?二人とも帰ってきてた…ん…」

 

 そして萃香の動きが止まった。なにせ、鬼のような形相で自身の兄をしばき回し、兄は兄で悶絶顔で転がって、それを見ていた扶桑はニコニコしていたからだ。

 萃香は時間を巻き戻すように扉を閉め、「ごゆるりと…」と言い残して去って行った。それを見ていたのは扶桑一人で、困った顔で笑った。彼女は萃香を追わない。それはこの後面白くなりそうだし、それこそ「あの日」までやっていた日常だったからだ。

 

「そもそもなんでアンタ姉さまと仲が良いのよ!!私はアンタみたいなねぇ!姉さまにねぇ!付く虫が大嫌いなのよ!!」

「ンアアアアアッッーーーーー!(≧Д≦)」

 

 …これが日常の筈である。そして山城は勘違いしているが、扶桑は別に浩二と特別親しい訳では無い。ただ、山城と浩二がバカをしている姿を眺めるのが好きだから近くに居るだけなのだ。

 そう、扶桑も大概なシスコンであった。

 

 これは扶桑の策なのか、偶然なのか…。暑い真夏の昼、過熱した山城の暴力は、遂に危険な領域へと突入する。

 

「ンアアアアアァァッッーーーーー!!(≧Д≦)」

「いい加減くたばれ汚物!!!」

「ヌッ(心停止)」

「あっ」

 

 

 

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