山城○○○!幼馴染と化した野獣   作:アサルトゲーマー

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(今回語録少)ないです。
麻雀わかんない人は途中読み飛ばしても問題ないゾ。


あ、そうだ(唐突)
今回で最終回ゾ!ここまで読んでくれた諸兄姉の皆さんありがとナス!


最終章 山城×野獣!魔術師と化した扶桑

 

 

「どうしてこうなった…」

 

 山城はガンガンと痛む頭を抱えて呟いた。今居るのは野獣邸の一回の食堂で、先ほど目覚めた場所もここ食堂である。なぜこんな所で眠っていたのかがサッパリ思い出せず、しかも額を真っ赤に腫らした浩二も一緒になって倒れていたのも気になる。

 

「服は…まあ乱れてるけど着てる。変な痕は…無い。下着も…うん」

 

 とりあえず間違いが起こっていないことに安堵した山城。しかし不可解な謎は解明されずただ頭が痛むばかり。とりあえず山城は近くにあった椅子に座って昨日の出来事を思い出すことにした。

 そして思い出せば思い出す程顔が熱くなってくる。そして記憶の最後は浩二を組み敷いた所で終っていた。

 

「思い出したら駄目なやつだわこれ…」

 

 山城は絶望した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 前日。罰ゲーム三日目の朝。扶桑と山城と萃香は雀卓を囲んでいた。当然、今回もハコに罰ゲームありのルールだ。

 しかし今回は事情が違う。なんと今回の罰ゲームは『上限なし』…。つまり、なんでも命令していいのだ。たとえ『窓際行って…××れ』と命令してもいいし『ぼくを私刑にしてください!!』とマゾに目覚めてもいい(世界樹)

 そのため山城は半ば必死だった。獲物を狙う野獣のごとく卓の河を見て相手の手を模索し、当たらぬように、しかしこちらの一撃は入るようにと狡猾に手牌を育てていく。

 

 そう!あわよくば扶桑とイチャコラするために!!

 

 煩悩の塊と化した山城は止まらない。扶桑の甘い捨て牌を食っていき、親場で安手をアガり続ける。流れが来ている、そう確信した山城だったが。

 

「ロン。脇が甘いわね」

 

 扶桑の清一色のロンを食らってその流れは止まった。ちなみにアガることもなくロンをくらう事も無かった萃香は終始空気である。 

 ドロドロとした空気が流れ始める…。それは扶桑が途轍もない大物手を手牌に収めている前兆だ。殺気にも似たそれを感じることが出来る山城はそれを最大限警戒して打とうと思うがどうにも浮いた字牌が多い。

 字牌を処理しつつも河を眺める山城。しかしどういう訳か扶桑の河に統一性が感じられなかった。そう、まるでいくつも暗刻を抱えているような…。

 

「カン」

 

 扶桑の声が響いた。山城が河から視線を上げると暗槓した白が端に寄せられていた。扶桑が嶺上牌を取り、自らの牌をツモと共に三枚晒す。

 

「カン」

 

 次は中の副露だ。牌が端に寄せられる。扶桑が嶺上牌を取り、また牌を晒した。

 

「カン」

 

 今度は發の副露だった。鳴かなくても大三元の役満手だったのになぜ手を晒すのか…。山城はその扶桑の考えが読めず、ぞっとする。

 

「カン」

「嘘ッ!?」

 

 今度こそ山城は声を出して驚いた。四暗刻単騎と四槓子でまたも役満手が付いた。役満二つとダブル役満合わせてクアドラプル役満手となる。ロンはもちろん、ツモでもハコは確定だ。

 扶桑は嶺上牌を手牌に移して一枚の牌を河に捨てた。それは東だった。

 扶桑の前には先ほどの嶺上牌が一枚だけ寝かされている。つまりそれと同じ牌を当ててしまえば確実に飛ぶ。

 

(こんなの、分かるわけないじゃない!!)

 

 山城はツモ牌を覗きながら心の中で理不尽だと叫んだ。安牌は五順目の為ひとつしかない。とにかく回すべきだと山城が手にある最後の字牌である東を捨てた。

 

「ポン」

「~~~~ッッッ!?」

 

 しかしその牌を萃香が拾った。まるで私も仲間に入れてくれよと言いたげな瞳で二人を見つめている。萃香は一萬を捨てツモは再び扶桑に移り、扶桑はツモ牌をそのまま切った。それも一萬だ。

 山城は自分のツモ牌を見る。それはよりにもよってフリテン牌の西。あいにく山城は筒子の染め手。安牌は増えず、しかも字牌を抱えてしまった。

 字牌は危ないから切りたくない…。しかし相手は既に四倍役満が確定しているから何で待っているかなんてわかりっこない。オリるにしても何を切ればいいのかがサッパリだ。差し込むにしても萃香にテンパイの気配は見えない。

 

(こんなの…当たっても事故よ!)

 

 意を決して山城は一枚の筒子の牌を一枚、勢いよく捨てた。そして山城の手が離れた瞬間、扶桑がニコリと笑う。

 

「ロンよ」

「え………」

 

 捨てた牌は七筒。扶桑がクルリと返した牌も七筒。どうして、と思うものの声は出ず。しかし答え合わせは扶桑の方からしてくれた。

 

「チーピンって、何だか大和さんの主砲の形に似ているのよね。ほら、ここの斜めになった三つ…」

 

 そんな気まぐれによって直撃を食らってしまった山城は、そのまま雀卓に倒れ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 扶桑から命令されたことは『今日一日私の言う事に従う事』。意気消沈している山城は扶桑に勧められるがまま酒を飲まされ、徐々に酔いが回ってくる。

 そしてジワジワと酔わされた山城は徐々に上機嫌になって行き、しまいには扶桑とチチクリ合いながら酒をカパカパと開けていく。そう、山城は酒癖がとっても悪かった。

 完全空気と化した萃香は部屋の隅で指を咥えて酒を見ているが、山城はそんな事もお構いなしに管を巻く。

 

「大体れすねぇ…わらしは浩二が気に入らないんれひゅよ!なんれすか姉さまにベタベタしれぇ…うらひゃましい!」

「うんうん、そうね」

「しかも姉さまはほいほい浩二の誘いに、ひっく、乗ってぇ…心配なんれすよぉ!いつまひがいが起きるかわかったもんひゃない!」

「あらあら…間違いが起こったらどうして困るの?」

「らっへ…わらひにはお姉ひゃまよりたいへつにゃものにゃんてないんれす!!」

「本当にそうなの?萃香さんは大事じゃないの?」

「ひょれは…」

 

 山城は萃香の方をチラと見やる。確かに大事な幼馴染ではあるために一瞬だけ発言をためらい、そして静かに「ごめん」と頭を下げて謝罪した。

 目を丸くした萃香を視界の端に追いやりながら山城が再び扶桑の方をみると、そこには竹串に刺さった紙皿があった。紙皿にはマジックのようなもので蚊取り線香のようなグルグル線が引かれている。

 

「山城、よく聞いて…」

 

 普段聞くことの無い甘い囁きのような扶桑の声に山城はときめきながら耳を傾けた。それと同時に紙皿がくるくると回り始める。

 

「貴女は浩二に嫉妬しているのではないわ…きっとそれは勘違い…」

 

 甘い囁きは酩酊感と合わさって体に染み入ってくるようだと山城は感じる。くるくる回る紙皿と相まって夢を見ているようなふわふわした感覚だ。

 

「山城は浩二が好き…だから私に嫉妬した…山城は浩二が好き…それはずっと昔から…」

 

 ささやき、惑わせ、導き、念じる。ぴたりと紙皿を止めた扶桑はそれをテーブルに置いて山城を立てらせ背中をそっと押した。

 

「さあ…浩二さんは今食堂に居るわ。あとは思いの丈を吐き出すだけ。これは『お願い』よ、山城」

 

 そしてフラフラと食堂に向かう山城。扶桑はそっとビデオカメラを取り出した。

 突然パチパチと手を打ち鳴らす音が響く。それは萃香の拍手だった。

 

「流石扶桑。カント寺院もビックリの詐欺っぷりは脱角ものだよ」

「なんの事かしら?」

「すっとぼけないでよ。私にわざと見えるようにサマしてたくせに」

「うふふ」

 

 扶桑は笑いながら服の中から雀牌をいくつか取り出した。それは握り込みと言われるイカサマの一種だ。他にもキャタピラ、すり替え、積み込みなどの余罪もある。しかしイカサマには一つのルールがあった。

 

「サマは見破られなければ…指摘されなければしてないのと同じ。山城の一番の敗因は私を神聖視しすぎて目が曇っていた所ね」

「そういえばさあ…最近やたら扶桑強かったけど、サマとかやってたの?」

「うふふ」

 

 萃香の問いに扶桑は曖昧に笑うだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして時は戻り。扶桑と萃香はビデオカメラを居間のDVD/BDデッキにつなげて鑑賞会へと移っていた。

 

「さあ、始まったわよ」

「ごくり…」

 

 扶桑はこの先の展開を知っているためか余裕気味に、対して萃香はそわそわとしながら生唾を飲み込んだ。

 やや室内が暗いせいか画質は悪いが見れないほどでは無い。なんというか絶妙なピンボケ具合が裏ビデオクオリティだった。

 画面の中の山城は何を思ったか食卓の上にあった白い布巾で浩二の口を押えて組み敷く。

 

「おおっ!いいぞやっちまえ!」

「うふふ」

 

「ちょ!もう始まってる!」

 

 しかし鑑賞会を邪魔するものが現れた。当然山城である。山城はテレビの前に飛び出して扶桑と萃香から隠してしまう。しかしそれこそが運の尽きだった。

 

 山城は不幸にも、不幸にも偶然リモコンを踏んでしまった。しかも踏んだ位置が音量調節ボタンであったせいで徐々にテレビからの音量が大きくなっていく。

 そして画面の真ん中がほとんど見えない為か、画面の中で顔を寄せ合う二人をみて萃香は完全に勘違いをした。コレぜったいキスしたよね、と。

 不幸はまだ終わらない。音量がくっそデカくなってしまったために山城は取り返しのつかない勘違いをご近所中にされてしまう事になる。

 

『私はねぇ!!!浩二のことが大好きだったのよ!!!!!』

 

 テレビくん迫真の高音質の後、画面の中の二人はさらに顔を寄せ合った。映像と山城の記憶はそこで途切れている。

 




二人は幸せな頭突きをして終了
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