緋弾のアリア the RED likes blood. 作:ジョーの一階
チュンチュン、チュンチュン
雀の喉を通る音が俺の鼓膜を刺激する。
今はいったい何時なのだろうか、何時もならば雀が鳴いたくらいで夢にヒビが入ることなどあり得ない。・・・眠りが浅かったのだろうか?それとも体に異常が生じたとかか?
そこまで考えたところで俺は左腕の感覚がないことに気がつく。
「何で左腕が痺れてるn・・ほえ?」
疑問を口にしながら横を向いた俺は、余りにもあり得ないことに直面して狼狽し顔をそらしてしまう。
そして左手の感覚が無いのがとっても悔しい。
自分が見た光景が余りにも信じられないのでつい、右手の親指と人差し指でほっぺたをつねる、ほっぺたをつねる。
痛い。 これは現実だ。
その時になってようやく俺は昨日の出来事のすべてを思い出す。そうだ、そうだった。
高揚していたんだ。彼女との闘いに。
この左手を枕にして寝ている少女との戦いに。
あぁ、そうか、だから起きたのか。ヒステリアモードに成っているから聴力が強化され、雀の鳴き声を捉え朝だと体が判断したのだろう。厄介だな。せっかくの休日だから昼まで寝ようとしていた俺の計画が台無しになってしまった。ヒステリアモード恐るべし。
ヒスってる俺はそっと彼女を左腕から降ろして布団から抜け出す。一切の音を立てずにしたおかげか俺の布団を今占拠している少女−澪は起きなかった。スヤスヤといった感じで寝ている。
「俺は昨日、こいつと引き分けたんだよなぁ。」そう言って俺、遠山キンジは昨日の闘った時を思い出す。
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放物線を描いたコインが床に落ち、特有の金属音がなる。
その音が鼓膜を震わせる前に俺とミオは互いに走り出していた。
互いにナイフを手にした俺たちの狙いは敵の武装を解除すること。つまりは相手のナイフをいかにして無力化すること。
俺のナイフとミオのナイフが接触して火花を散らす。互いにナイフを狙っているため当然の帰結だ。
素人ならこの一撃で痺れた手からナイフを落とす者もいるだろう。だが、ミオは落とさなかった。まあ、ナイフを合わせることができる時点で素人では無いことに気が付いてはいたが。
拮抗するかに思える一瞬の小競り合いも俺が押し切る。
単純な話だ。体重も俺の方が多い、それで無くとも今の俺はヒステリアモードなので身体能力が向上している。
押し負けたミオは若干顔を歪ませて後退する。押し返されたとも言え無くも無い。そして俺はその隙を見逃すことなどしなかった。
腰にあるベレッタを引き抜いて右肩、土手っ腹、ナイフの3つを狙って早撃する。
正直なところ勝負はいつも通りにこれで決まったかと思ったが、ミオは唸りを上げる弾丸を
普通ならここでさらに追撃を掛けるべきだったのだろう。しかし、初めてこの状況に置いて躱された俺は呆気に取られていた。
ミオが立ち上がるの見て俺は迷っていた選択肢を一つに絞る。
それはただ、「本気を出さないと負ける」っていう本能が察したものとただ単に「負けたく無い」という思いだった。
キンジは遠山の体術を使うことにした。つまりは
「おいで?本気で相手をしよう。」
「ああ」
それを恐らくは挑発として捉えたであろうミオが単純な攻撃を放って来る。
血がのぼっているのだろうでなければミオがこんな攻撃をするはずが無い・・・と思う。
頭に血がのぼっていたにも関わらず丁寧に防刃ネクタイを狙ってくる。しかし、そのナイフの使い方に違和感を覚える。
まあいいか、そう思った俺は胸に迫るナイフを音速で蹴飛ばした。
蹴飛ばされると思っていなかったであろうミオは、真っ直ぐ後ろへと無理な姿勢で離脱しようとする。
俺は確かめたくて一発の銃弾をミオのあまり無い胸に早撃ちする。
俺は単純にミオがどうするか見たかった。俺は防弾制服の肘で叩き落とすだろうと予想していた。
ベレッタの銃口から出た銃弾は真っ直ぐミオの元へと向かい、
ミオの掌の中に収まった。
そのときの俺の顔はさぞかし芸人だっただろう。見開いた目から流れてくる情報の信憑性を疑った。
その思考の空白はミオに愛銃のベレッタを蹴り飛ばされたことで色が戻る。
そして、この状況をチャンスと脳が捉えた。
誰しも、蹴りや手刀などの技を使った直後は絶対に隙ができる。
俺は愛銃を囮にして(そうなった)作った隙にミオの懐に飛び込み、掌底を繰り出す。
銃弾を見てから避けれるミオだ。冷静に手刀で叩き落された。だが、
掌底は本命では無い。
掌底の時の腰の回転をそのまま乗せた右脚がミオの腹に迫っていた。
掌底に隠れて見にくかったのだろう。掌底を叩き落としてから迫る右脚を視認してもミオは回避できなかった。
ガンッ・・・いいっっっったい。人の腹を蹴った感じじゃなかった。まるで鉄を蹴ったみたいだ。
俺が予想外の痛みに疑問を抱えている間にミオは俺から距離を取っていた。正直まだミオとこうしていたい。が
「やるね」
「光栄だ。そしてすまないが時間のようだ。」
ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ
握手をした。
再戦しよう。という意味も込めて、
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そのあとはミオが家に転がり込んできた。というか居座ってきた。
本人曰く「滞納したら大家さんに追い出された〜、」らしい。
いつの間にか俺の祖父母と仲良くなっているし、どうしてあれ程話が合うのやら、俺にはさっぱりな話ばかりだ。
俺の兄の遠山金一は今日は帰ってこない。出張しているために。
そうして俺はミオと違う部屋で寝た筈だったんだが、
今ミオが俺の布団にいる。
「・・・成るように成るだろ」
部屋を出るためミオに背を向けた。
ヒステリアモードの俺には分かってしまった。
俺が背を向けた途端に顔を苦しそうに歪めた事に。
俺は部屋の扉をそっと閉めた。
待とう、澪が話してくれるまで
早朝の朝日が俺にかげを落とした。今はただ弱い自分が嫌だった。
理想の遠さを噛み締めた朝。
テスト期間中に何してんだろう