緋弾のアリア the RED likes blood. 作:ジョーの一階
ああああ書く時間がぁあ嗚呼
降り積もる雪の中、真っ白い水の中
私たちは水に浮かんでいる。
朧な月を羨んで
イタイ
鋭い鈍痛が頭部を襲う。
イタイ
昔、私が小さい時から
ズズッーーーーーーーズズッ、
イタイ。あの日からずっと。
お父さんは六ツ裂き
試験管なら良かったのに
プールのような所で唯
唯、窓の外の月に嫉妬している。
アナタハダアレ?
ワ
タ
シ
は
だ
あ
れ
?
********************
「ミオ、もう9時だぞ。起きろ。おいミオ。」
とってもハスキーに聞こえる声で意識が浮上してくる。
あぁよかった、ワタシは私だ。
それを脳が確認すると同時に耳が正常になる。私を呼ぶ声はだんだんとだんだんと低くなり、その人本来の声になる。私はそのイントネーションと合成波の種類を計測。
該当者は、遠山キンジ 同い年
「おはよーっ、キンジ!」
そうだ。起こしてくれたキンジに御礼代わりにハグしよう。って考えた私は音源からして私を起こす為に膝立ちになっているであろうキンジの首に向けて跳ねるように上体を起こしながら絡まりついて離さないようにする。後は重力に任せればキンジを布団に引き込める筈、だった。
「!」
キンジは思っていたよりも力が強かった。
宙ぶらりんになった私の背中に手を回して、受け止めた。
私は少し意外だったのだが、初めからそうなることをわかってるように演技して笑顔でキンジに感謝の言葉をかける。
いやぁホント受け止められるなんて思わなかったな。
「わざわざ客間にまで起こしに来てくれてありがとう」
御礼することは意外と大事だ。
勝ち誇ったかのように胸を張っている所、薄眼を開けてキンジの表情を盗み見る。するとキンジの顔には少しの驚愕とヒクついた唇が貼り付けられていた。…え、どうして?普通なら頬でも赤くする場面じゃ無いのかな?少なくともお父さんが遺していった『ラノベ』のヒロインたちは主人公を見ただけでも赤くなっているのに。
寝起きの私は街を歩いている主人公よりも魅力が無いのだろうか?
私が変な思考に走っていると、キンジが唇をひくつかせながら質問してくる。
「ここがどこだかわかるか?ミオ?」
「えぇ、わかるわよ。客間でし……」
キンジに言われて周りを見渡してみると、中学の教科書の積まれた勉強机に箪笥など必要最低限の家具……
あ、これらの私物(主に教科書)から推測するにここは恐らくキンジの部屋だ。
そこまで見てから私は目線を下にして、自分の格好を確かめる。
すると下着しかしてない自分。恐らく寝ている時に脱いだのだろう。実際、勉強机の近くに私の寝間着がある。
キンジの部屋+下着の私+ヒクついたキンジ
この式から導き出される解は一つしか無い。
「会ったその日になんて、キンジって肉食?草食にしか見えないのに⁈」
「違うわっ‼︎」
…否定された。まぁそうだと思ってた。だってその次の朝には男の人はコーヒー淹れて起こしに来るらしいしね。
そんな的はずれな思考する私を遮るように、キンジの質問が私に来る。
「昨日の夜には何もなかった。それと単刀直入に聞くが朝から魘されてるのは悪夢か?」
「!」
ギョッ、とした私はキンジの目を写真のように見つめる。それはもう穴が開くくらいに。キンジは私の視線に耐えきれなくなったのかそっぽを向く。キンジの可愛いとこ見つけたかも、
「その、なんだ、心配になっただけだ。他意は無い。」
なんて私を気遣った発言までバツが悪そうにして言ってくる。正直、これは出会って1日しか経ってない奴にできる態度では無い。
その、あの、なんだ。あれだ。あれ。
「ありがとう」
困ったらこの一言に限る。
でも気遣ってくれるキンジの姿勢はとても嬉しかった。まあ、私の事には気付いてないみたいだし。
「あぁ、下にご飯出来てるから、服着て下に来いよ。」
他意上がったキンジは扉を閉めながら。ご飯の所在を伝える。まあ、私は『知って』たけどね。
「うん、わかった。」
因みにこの後ネグリジェを着て行ってキンジに顔にお茶吹きかけられたのは余り良い記憶では無い。
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ぴんポーン
チャイムが鳴った音を聞いた私は一旦食事の手を止める。
「キンジ〜、チャイムが鳴ったよ?」
そして食事を既に済ませて本を読んでいるキンジにに一応の声をかける。キンジは私の声を聞いて、読んでいる本に栞を挟んで立ち上がる。
「俺が出よう、ミオは食事中だからな」
そういってキンジは読書の手を止め、立ち上がって玄関に行こうとする。
「いや、私が行く!」
しかし、直感的に出たくなった私は残りの食事を掻き込み、玄関の方にタッタッタッって足取りで行く。キンジが後ろの方で「その格好は………」って言ってる気がするが無視して玄関へ。お父さんの遺書に『新聞配達なら断れ』って書いてあったし対応に関しては多分大丈夫だろう。(←謎の自信)
そうして扉の前に立った私は遺書にあった文句を並べる。
「どちらさまでしょうか?」
開けると白雪がいた。
開け放った扉の前には昨日出会って友達になった白雪がいた。私はことばを出さず呆然と立っている白雪にまた会えたことが嬉しくて、声をかけた。
「昨日ぶりだね〜白雪!」
しかし、白雪には反応が無い。どうしたのかな?、と私が戸惑っていると1秒ほどして白雪の拘束が解けた。………はずなんだけど、固まった次は口が小刻みに震えだしている。
私がキンジを呼ぼうかなと思考がまとまり出した時、白雪の今日の第一声(私にとって)がキンジの家に響いた。
「この、この、泥棒猫ーーーーーーー‼︎」
と言って腰にあった刀を鞘から抜いて私に大上段で斬りかかってきた。
これに私はさも当然のの如くに白雪の持っていた刀を
避けようともしなかった私に対して目を閉じていた白雪は確認できず刀を止められなかったのだ。
カツンッという予想外の音を聞いた白雪が目を開けると蒼ざめた顔で刀を戻す。
そして傷一つ無い私を見て驚きの目と疑問を投げかける。
「貴方、いやミオさんは超偵なんですね。」
「超能力は使えるね。後で説明するのも面倒だから見せたの。」
これなら嘘は言っていない。まぁ、意図的に白雪に見せたものだし。
「そんな事よりもなんでキンちゃんの家にいるの?」
そんな事ってどういう事?白雪が言い出したんだよね?
「うん、居候してるんだ。実は住んでたアパートの大家さんに追い出されちゃって。路頭に迷う筈だった私はキンジによって保護されたってわけ。」
そこまで言ったところで後ろから微力の怒気を含んだキンジの声が掛かる。恐らく私がすぐに帰ってこないから来たんだろう。
「賭けをしてまで来たよな?ミオ?あぁそれと白雪、昨日ぶりだけどどうしたんだ?」
まぁそこで白雪に気づいたキンジが私に返答させない間隔で問いを放つ。
「うん、私は今日の午後で帰っちゃうからキンちゃんにお別れの挨拶をしようと思って来たの」
「そうか?じゃあ立ち話も何だし上って行けよ。」
私が(脳内で)ふざけている間に話は進んでいっちゃう。おーい私も入れてよー。
「そうだね。ここだと私が寒いし」
「お前は服を着ろ」
…まぁネグリジェで玄関先はきついんだよ。寒くて。しかも白雪も苦笑いだしね、
そうして私は玄関に2人を残して居間へと行く。
「でも上がっていいのキンちゃん?」
「あぁそっちの方が話しやすいだろ?ここだと寒いし」
2人の話し声がまだ続いてる。
「おーい、まだー?」
先に居間へと着いた私は首だけ扉から出して2人に声を掛けた。
するとキンジが返事を返してくる。
「もう直ぐだから飯の残り食っておけ。さ、白雪も上がれって。」
「う、うん」
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居間で向かい合って座った私達、開口一番は白雪だった。
「久し振りだね、キンちゃん。」
「あぁ」
「…」
「…」
…が、続かない。
多分ここは私の出番だろう。
「ねぇ、2人はいつぐらいから知り合い?」
キンジがその質問に答えた。
「白雪とは割と小さい頃に出会ったな。長期休暇の時親父に連れられていった山の神社にいたんだ。」
…うん私は『知ってる』。しかしまぁ、私の中身は見せびらかせる気はないので言わないけど。
「巫女服着ているのは、事実その神社の巫女だからだ。白雪の姉妹全員が巫女服着ている。」
「へぇ、そうなんだ。?て事は白雪は姉妹がいるの?」
「そうだな、たくさんいるぞ、…」
答えたキンジの口調はどこかぎこちない。目を合わせないとかキンジは態度に表れやすいのでそのことに気づかない私じゃない。特殊な環境だったのだろうか?
「白雪、昔キンジに何かしてもらったの?」
なので私は白雪にターゲットロックする。どうしてそんなにキンジのことが好きになったのか聞くために。
別に本人に聞いたわけじゃないし、キンジにそんな甲斐性を求めることなど無駄だと『知って』いるのと同様に、白雪がキンジのこと好きだと『知って』いるからだ。
「・・キンちゃんはね、私を外に、花火大会に連れて行ってくれたんだ。帰ってとっても怒られちゃったけど、境内でしたどんな遊びよりも楽しかった。今でも刻銘に覚えているよ。私が過ごした中で一番鮮明に脳裏へと焼き付いた空だから・・・」
うっとりとした、何かその日日が今の自分と距離があるかのように斜め四十五度を向いて、私たちから目をそらして言う。
その姿に、あきらめてしまった瞳に、私は耐えられなかった。聞いてられなかった。
まるで今を大切にしようともしないような姿に。
私には『今』以上に大切なものなんて無いから。
すうっと、目を細めた私は机越しに体を乗り出し、白雪の両頬を両手で挟んで目と目を合わせる。驚いてなすがままな白雪に私はあさっての怒りをぶつける。
「今の私たちは?どうし簡単にあきらめれるの?」
「え、」
驚いた白雪はとっさの言葉が出ないようで私から目をそらして私の両手の中でおろおろしている。
「私諦めてなんては……」
「いや、諦めてる。」
否定しようとした白雪の言葉に被せて彼女の言葉を否定する。その言葉は聞きたく無い。
たとえ自分の我儘の言葉だったとしても、これは言える。『そんな白雪は見たくない』
だから私は白雪の耳元で囁く。
「変われない人間なんて居ない。それはただ変わろうとしないだけ」
そう言いながら白雪の体を優しく抱きしめる。すると私の胸に白雪のnice bodyが押し付けられるわけで、あっヤバイ。鼻血が・・なかなかいい体だな。と余分な脂肪の無い私は若干敗北感を感じなくも無い。
白雪は泣かなかった。でも震える体が何よりも彼女の心境を表しているのでは無いだろうか?
次の投稿は未定也(ーー;)