インフィニット・ストラトス〜最強への道〜   作:まどるちぇ

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vs.一夏です。
悟空vsベジータの様な感覚でお楽しみ下さい。


第10話

「……やっと、だの」

 

「……ああ」

 

 一夏を見る。真っ直ぐ、気迫の込もった眼光が飛んでくる。が、恐らくワシも同じ目をしているのじゃろう。互いに一歩も譲らない。もう言葉は多く要らんじゃろう。

 

「一夏よ。この闘い、一つだけ約束してやろう」

 

「奇遇だな。俺もだぜ、刃」

 

「「……絶対ぇ、勝つ!」」

 

 開始の合図が耳に入るや否や、互いの刀がぶつかった。

 

「うおおおお!」

 

「おりゃああああ!」

 

 ガン ギン ガギン ガガガギン

 

 激突、激突、激突。

 刃を交える度、衝撃に飛ばされ、食らいつく。シールドエネルギーがガンガン減っていくが、それは一夏も同じ筈。

 

「まだまだあ!」

 

 日輪で一夏と鍔迫り合いをし、そのまま横に受け流す。

 

「隙あり!」

 

「しまっ!」

 

(でももう片方の刀に攻撃力は無い!今度はこっちが攻撃の隙を……)

 

 ガァン

 

「っが……!?」

 

(重い……!?)

 

「ふむ。言う義理も無かったから言わなかったが」

 

 そう言うワシの両手には、純白の小剣が握られていた。

 

「日輪と月夜は2セットある」

 

「な……!?」

 

 一夏が驚いて声を詰まらせる。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「……これが刃さんの作戦」

 

 最初の数分でシールドエネルギーの大半を削り合う激戦を目の当たりにし、セシリアは息を呑んだ。

 

「ええ。どうやら上手くハマってるみたいね」

 

「『猪突猛進作戦』……確かに、織斑 一夏の剣圧に引けを取らない迫力だった」

 

 3人がそれぞれの感想を述べる。

 

「でも、結局は考え無しにぶつかるだけじゃないですの!?そんな戦略も戦術もない野蛮な作戦、あり得ませんわ!」

 

「セシリアちゃんには分かんないかもね。男の子というのはあんなものなのよ」

 

「……お姉ちゃんも女の子なのに、なんで分かるの?」

 

「それは……生徒会長だから?」

 

「「…………」」

 

 3人の中にしばらく沈黙が流れる。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「やってくれるな、刃!でもその刀、長くは持たないんじゃ無かったか?」

 

「それはお主も同じこと。さあ、喋ってる時間が惜しいぞ!」

 

「「うおおおお!」」

 

 一夏の機体が白く輝く。白式の【零落白夜】と言う技らしい。やっとこさエンジンがかかってきたのう。

 

「さて……正直言って、ワシもお主もシールドエネルギーの残量は百もないじゃろうな」

 

「!ああ、正解だ!」

 

 ここで正直に言ってしまうのが一夏の弱いところ。

 そして、ここで正直に言えるのが一夏の強いところ。

 

「そろそろ本気を出すかの!」

 

 日輪を仕舞い、釣魚を取り出した。

 

「!スゲェ……槍を握っただけで、刃が何倍も大きく見える。本気の本気って訳だな!」

 

「ふん!そんなワシを見て更に集中力が倍になるお主も充分イカれとるわ!それに、まだまだじゃ!これで、全力!」

 

 釣魚の鏃を日輪に挿げ替える。

 

「そんなことも出来んのかよ……けど!諸刃の剣だぜ!」

 

「お主を倒すには、これくらいせねばの!」

 

 槍を構え、真っ直ぐ一夏に突進する。

 

「疾い!けど、負けねえ!」

 

 ガキン

 

「……ほう。ワシの突きを見切ったか」

 

「……まあな」

 

 ゾワゾワと、背中に冷たい電撃が走る。

 

「いい!いいぞ一夏!集中力が増しておる!まだやれるよな!?」

 

「当然!そっちこそ先にへばるなよな!」

 

 ギン ゴン ガギン

 

 鈍い金属音が何度となく響き渡る。

 

「うおおおお!」

 

 ズズズ…………

 

「!?がああああ!」

 

 意識が遠のく。しかし体の感覚ははっきりと一夏に向かっていく。

 

 ガキン

 

「なっ!?なんつー圧力だ……」

 

「はああああ!」

 

「負けるかあああああ!」

 

 ビーーッ

 

「……え?」

 

「……は?」

 

 ブザーが鳴り響き、意識がはっきり戻る。

 

「そこまで!両者エネルギー切れにより、この勝負引き分け!」

 

「なんじゃ……。結局勝負はつかずか」

 

「全然気づかなかった……。もうそんなに減ってたのか」

 

 2人ともその場にへたりこむ。全力を出した。途中で意識を手放してしまいそうなくらい。

 

「なあ、刃。さっきの……」

 

「ん?何のことじゃ?」

 

「いや……多分、気のせいだ。なんでもない」

 

「?変な一夏じゃな……」

 

 互いに全力を出し切った。悔いはない。決着がつかなかったなら、また勝負すればええ。

 

「今日はええ日じゃ。何も後悔の無い、素晴らしい日であったぞ」

 

 それだけ言うと、意識が遠のいた。

 

(さっき、八極の黒い装甲が白い部分を侵食してたような……?見間違いかな?)

 

 バタン

 

「刃……?刃!おい、どうしたんだよ!?目を開けろって!刃!」

 

 

 

 ☆

 

 

 

「……ここは」

 

 目が覚めると、そこは山脈の頂だった。目線の高さに見える山々には厚い雲がかかり、目下には激流の大河がざぶざぶと音を立てて海へと競争している。

 

「おわ!?なんじゃこの格好!?」

 

 見ると、袈裟着一張羅で山頂にいた。不思議と寒さは感じなかったが、それでも肌寒い感覚がした。目の前には釣り竿が岩肌に刺さっており、釣り糸は目下の激流に垂れておった。

 

「こんな激流に糸を垂らしたって、魚なんか釣れやせんだろうに……」

 

 ぶつくさと文句を言いながら、釣り竿を握る。激流に引っ張られるが、よくしなる竿は折れる気配が全くない。

 

「しかし、これでは魚がかかっとるか分からんのう」

 

「そんなもんさ、人生もね」

 

 背後で声が聞こえ、見上げる形で振り向いた。

 

「誰じゃお主?」

 

 見ると、白い衣を着た少女と、黒い衣を着た少年が立っていた。少年は少女にしがみつくように立っている。

 

「誰って……なんとなく分かってほしいなあ」

 

「僕達……ご主人様に名前を付けてもらったんだよ?」

 

 ご主人様……ねえ?白と黒……子供……小刀?

 

「あ!主ら日輪と月夜か!」

 

 竿を再び突き刺し、立ち上がる。

 

「気付くのが遅いって!もう……いつもは抜け目ないくせに……」

 

「えへへ。ご主人様に貰った名前。すごく気に入ってるんだ。僕も、お姉ちゃんも」

 

 月夜が嬉しそうにモジモジと指を動かす。

 

「だはははは!いや気付かんじゃろ!普段は小剣の形をしとるのに、突然人間になられたら……って、人間になっとる!?」

 

「あれ?私のご主人ってこんなに馬鹿だったっけ?」

 

「ち、ちょっと動揺してるだけだよ。ほら、僕達が勝手に呼び寄せちゃったから……」

 

 月夜が申し訳なさそうに言う。

 

「?呼び寄せる?」

 

「えーっとね!ここは、八極の中って言うか、八極とご主人の精神バイパスの境目って言うか……」

 

「……よく分からんが、八極やお主らと話ができる場所、ということかの?」

 

「そうそう!そんな感じ!それでね!今回の戦闘で月夜が暴れそうになったでしょ?そのことを謝りたいって月夜がね」

 

「今回のこと?おお、そういや一夏との戦いでは使ってやれんですまなんだな。なんじゃ?それで拗ねちまったか?」

 

「う、ううん。僕はちょっと使いにくいからそれは仕方ないの。えっと……最後の方で、意識だけが遠くなった感覚があったと思うんだけど……」

 

 月夜が日輪から離れ、ばつの悪そうにこちらに歩み寄る。

 

「そういやそんなことがあったような無かったような……」

 

「えっと。その時に、僕がご主人様の闘争本能に影響されて、少しご主人様の人格を乗っ取りかけちゃって……」

 

「うん?つまり、ワシがあんまり好戦的過ぎると、お主がワシを乗っ取って好き勝手暴れる、という訳かの?」

 

「は、はい!ご、ごめんなさい……」

 

 月夜が涙目になりながらぺこりとお辞儀をする。

 

「それを気にしておったのか……。月夜よ。こっちに来いな」

 

 手招きして、月夜を呼び寄せる。月夜は戸惑いながらも近付く。手が触れる位置まで来た時に、月夜を抱き寄せた。

 

「ぅあっ!?」

 

「わざわざ謝ってくれてありがとの。ワシもお主が暴れんように気をつけよう。じゃから、お前はお前にできることをせい。良いな?」

 

「う、うん!ご主人様ぁ……」

 

 月夜は再び抱き寄せて欲しいと寄ってきた。日輪にベタベタじゃったし、甘えん坊なんじゃろうなあ。

 

「…………」

 

 日輪がそんな様子を見て物欲しそうにこちらを見ている。

 仕方のない奴らじゃの。

 

「ほら、日輪」

 

 片手を広げる。

 

「な、なんだい!?」

 

「お前もこっちに来い。せっかくじゃから、連戦の労いをしてやらんとの」

 

「ご、ご主人がどうしてもって言うなら、いいけど……」

 

 そう言いながらも、日輪はダッシュで寄ってきた。

 

「これからも、よろしく頼むぞ2人とも」

 

「当たり前さ!私に任せておいて!」

 

「僕も頑張るよ!」

 

 しかしこの2人、どことなく更識姉妹に似ておるの。

 

「私たちの話はこれだけよ!さ!帰った帰った!」

 

「扱い酷いのう……。まあ、また会えたらよろしくな!」

 

 そう言って手を振ると、高速で後ろに引っ張られる感覚に陥り、意識が引き戻されていった。

 ISはパートナー……。なんとなくこの言葉の意味が分かったような気がした。




ISとの会話シーンって書きたくなる…….書きたくならない?
次回予告
クラス代表決定戦を終え、クラスの絆は更に深まる。
そんな折、二組にやってきた謎の転校生……。それは一夏と刃がよく知る人物であった!
次回【デュアル幼馴染】
お楽しみは、これからだ!
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