最近考えてるのが、TOAとネギま!とシンフォギアのSSです。こちらがひと段落したら構想練ってみます。
「やっほー、一夏!刃!」
食堂に向かうと、鈴が待ち構えていた。手に持つ盆にはラーメンが乗っている。
「おう、鈴か。ってそこ、通行の邪魔だぞ」
「う、うっさいわね!分かってるわよ!」
「だはははは!そそっかしいところは変わらんの、鈴!ワシが風邪を引いた時も、薬草と毒草を間違えて飲まされて大変じゃったっけ?」
「刃……それ……」
「あんまり……」
「笑えませんわ……」
一夏、箒、セシリアが静かに突っ込む。
「まあ良い。ワシも久々に中華が食べたくなったぞ!青椒肉絲定食でも頂こうかの」
それぞれの注文を済ませ、席に座った。
☆
「久しぶりだな、鈴。元気そうで何よりだよ」
「アンタこそ、偶には怪我病気しなさいよね」
「なんだそりゃ……」
テーブルを挟んで向こう側。一夏と鈴が久々の幼馴染トークに花を咲かせておった。
「くっ!一夏め……!あんなにデレデレしおって……!」
ベキッ
箸を握力で真っ二つにするな。明日からアダ名が一休さん(物理)になるぞ。
「刃さん!一体あの女とどういう関係でしたの!?洗いざらい喋って貰いますわよ!」
逃げ場無いのー。まあ、やましい関係では無かったから、別に話してしまっても構わんか。
☆
「お主、ワシと遊ばんか?」
中国に来て数日。暇を持て余したワシは家を抜け出して近くの公園に来ておった。
「……私?」
声をかけた少女は意外そうな顔で自分を指差す。
「お主以外他におらんじゃろ?ワシは柳 刃という者じゃ!お主は……?」
「……私、凰 鈴音。私には近付かない方がいいよ」
「?なんでじゃ?」
ヒュー ガスッ
「ッ!」
「なっ!?」
鈴の瞼に何かが当たった。石じゃった。石が飛んできたであろう後ろを振り向く。すると、数人の子供が石を手玉にしながら不敵な笑みを浮かべておった。
「やーい!混血児!汚ねえ日本の血なんかこっちに持ってくんな!バーカ!」
「……ね?分かったでしょ?こんな奴ら、私は平気だから。だから、私に近づかないで」
「……断る」
「……え?」
「断ると言ったのじゃ!」
そん時は頭に血が上って沸騰するかと思った。寄ってたかって女の子を虐める奴らなど、時代を問わず大罪人じゃわい。
「石でもなんでも投げてみい!ワシはこの子に一つも当てさせんぞ!」
「なんだこいつ!やっちまえ!」
リーダー格らしき子供が他の子達を促す。いくつかの石が一斉に飛んでくる。
「はっ!」
足元に落ちていた長い角材を拾い上げ、目の前で高速回転させると、石は弾き飛ばされて何処かへ落ちていった。
「ただただ仁王立ちで食らう馬鹿ではないわ!ま、そんな馬鹿も好きじゃがのう!」
「くっそー!こうなったら力づくでやっちまえ!」
手下達が一斉に走ってくる。
「さて、逃げるか!」
「え!?あ、ちょ!」
鈴の手を引き、走り出す。
「お主、自分で走れるかの?」
「う、うん!かけっこだったら、男の子にも負けないよ!」
その時見せた鈴の初めての笑顔は、ワシの目に焼きついた。
眩しくて、純粋で、どこまでも透き通った笑顔。
ワシは足がもつれて転びかけるまで、その笑顔に魅入っておった。
☆
「……とまあ、小っ恥ずかしいエピソードを添えてみた訳じゃが」
「つ、つまり、あの方は刃さんの初恋の人……!?」
「……正直答えかねる。恋心というものがあの頃のワシにあったかは分からん。ただの正義感だったか、カッコつけたかっただけか……とにかく、鈴とはそれからしばらく遊ぶようになった。ヤンチャしては、大人達に怒られることもあったが、楽しかったのう……」
イカンイカン。これでは本当にただのジジイじゃな。
「い、今は、どうですの?その、鈴さんのことを、慕って……?」
セシリアが興味津々と言った具合に訊いてくる。
「うーん……無いの。良き友じゃが、そういう目では見れんかな。今は一夏にお熱のようじゃしな。な?篠ノ之」
「な、何故私に振る!?関係無いだろう!」
箒は仏頂面でそっぽを向く。
「意地っ張りめ。一夏が取られてから後悔するなよ?」
「わ、私は……別に……」
そう言う箒じゃが、その表情はどんどん暗くなっていった。
「そ、そうですの……。恋人としては見れないんですのね……」
セシリアがホッと胸を撫で下ろす。分かりやすい性格じゃのう。
「なんですって!一夏、女子と相部屋なの!?」
鈴の大声が木霊し、一瞬食堂が静まり返った。
「お、おう。まあな」
「ちょっと!その話詳しく……」
「ま・た・お・ま・え・か」
修羅じゃ。修羅がおる。
織斑先生のありがたいアイアンクローを受け、鈴の四肢は力なくだらりと下がった。あれ、死んだんじゃなかろうか。
☆
「……断る!」
「……え?」
意外な答えだった。鈴は唖然とし、その少年を見上げた。熱くて、強い、目の中の炎。
「断ると言ったのじゃ!」
ビリビリと地響きが鳴りそうな大声に、鈴も、いじめっ子も、ただただ竦む。
「石でもなんでも投げてみい!ワシはこの子に一つも当てさせんぞ!」
久しく見なかった、背中。
自分を忌避する背中でも、自分を見ようともしない無関心な背中でもない。
護る背中。護るべきものの為、立ち塞がる背中。自分のことを、ずっと見ていてくれる背中。
そんな背中の持ち主は、父親以外で初めて見た。
カン カカン カン
少年の振り回す棒はまるで盾の如く投石を弾き落とした。
「くっそー!こうなったら力づくでやっちまえ!」
「さて、逃げるか」
「え?あ、ちょ!」
少年が手を引っ張る。温かい。そして、力強い手。
胸の奥にあった闇が、明るく照らされるように感じた。
「お主、自分で走れるかの?」
少年は手を離さないまま尋ねた。
「う、うん!かけっこだったら、男の子にも負けないよ!」
憧れた。強く、明るく、正しい何かに。だから、答えてやった。自分は負けず嫌いだったのか、と今更になって認識したのが可笑しくて、自然と笑みが零れた。
☆
「そう。あの時、アタシは強くなれたの。アンタのお陰よ、刃!」
寮の部屋で荷解きをしていた鈴は、子供の頃に撮った刃との写真を見つけ、笑顔になった。
☆
「ふむ。偶には休むのもええが、本を読むかトレーニングくらいしかやることがないのう」
それでも腹は減る訳で。人間というのは無駄の多い生き物なんじゃな、と下らない思考を巡らせてみる。腹が減ったら食堂行こう。うむ。我ながら良い言葉じゃ。そんなことを思いながら部屋を出る。セシリアもしばらく自主トレーニングで己を磨くらしいしの。
「む?鈴か?」
廊下の先。部屋から飛び出してこちらに走ってくる鈴の姿が見えた。
「おーい!り……ん……?」
呼び止めようとしたが、何か様子がおかしい。
顔を伏せたままこちらに気付かず、そのまま廊下を疾走していった。
「鈴が出て行った部屋は……やっぱりの」
ため息を吐いて、1025室、一夏の部屋に入っていく。
鈴かわええんじゃあ〜
オルコッ党なんてなかったんや!時代はセカン党や!
本命?勿論、新党のほほん!
という訳で、鈴ルートはありません。あくまで友達として、恋愛相談役として存在します。
次回はこのまま後編になります。
プラン立てても茶番にスペース使われちゃうからね。仕方ないね。