インフィニット・ストラトス〜最強への道〜   作:まどるちぇ

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感想を書いて下さった方、ありがとうございます!
やはりモチベが上がりますの。
これからも頑張りますので、よろしくお願いします。


第14話

 

 鈴の一方的な宣戦布告から数日。アリーナが使える最終日。

 

「はっ!」

 

 フォン キュキュッ

 

「……やはりこんなもんかのう」

 

 無影縮地は習熟度を上げる度に音が小さくなっていった。スタートとブレーキに必要なスラスターの出力の無駄が削られてきた証拠じゃ。

 

「見事なものですわ。専用機をものの一週間程度で使いこなせる方なんてそうそういませんわよ?」

 

「使いこなす、という意味ではまだまだじゃろうな。月夜はお主のような射撃タイプにしかまだ使えんし、日輪2本でゴリ押ししてから釣魚でフィニッシュ、というのが型になってきたしのう」

 

 また月夜が申し訳なさそうにしているのが目に浮かぶわい。

 

「特定の戦法を見出すことは大切ですわ。私もインターセプターを使いこなせていませんし、ある程度使用頻度にムラができるのは致し方ありませんわよ」

 

 何度か模擬戦を終え、戦略の話に移る。

 

「もう少し、なんとか有効活用できるといいんだがのう……。よし!セシリア、もう一回頼む!」

 

「はい!望むところですわ!」

 

 シールドエネルギーを補給し、所定の位置に着く。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「これは?」

 

 数日前。宣戦布告の翌日。

 鈴が放課後に一本のUSBを渡してきた。

 

「私のIS、甲龍の対戦動画よ。これ見て研究しなさい」

 

「良いのか?手の内を晒してしまって」

 

「アンタの手の内ももう分かってるからね。私だけ秘密ってのはハンデみたいで気に入らないのよ」

 

「なるほど。鈴らしいの。ではありがたく見させて貰うぞ」

 

 その後、鈴の動画を見た。武装の威力もさる事ながら、それらを使いこなす鈴の姿を見て、ワシの中で何かが燃えた。その日から猛特訓が始まったのじゃった。

 

 

 ☆

 

 

 

「……ワシの勝ちじゃな」

 

「これで6勝12敗ですわ……。ダブルスコアはヘコみますわね」

 

 セシリアはそう言って武装を解いた。

 

「相性の問題もあるじゃろう。月夜で僅かながらシールドエネルギーを回復するからの。その差が大きい」

 

 ワシも武器を仕舞う。

 

「そろそろアリーナの使用時間が終わりますわね。今日はここまでにしましょう」

 

「そうじゃな。着替えて飯にしよう。おーい一夏!もうすぐ終わりじゃぞ!」

 

「うおおおおっ!」

 

「はああああっ!」

 

 一夏と箒の激しい打ち合いが続く。しばらく声は届かんだろうな。

 

「……そっとしておくか。ワシらは先に上がろう」

 

「そうですわね。邪魔をしては悪いですし」

 

 高め合える仲間がいる。そんな幸せを噛み締めながらワシはアリーナを後にした。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「スゲーな、刃もセシリアも」

 

「一夏!余所見をするとは余裕だな!」

 

 ガキィィン

 

「うおっと!悪ぃ箒!せっかく付き合ってくれてるのにな」

 

 打鉄を纏った箒の太刀を受け流し、距離を取った。

 

「剣道は見道と教えた筈だ!気剣体一致を思い出せ!」

 

 再び箒の太刀が襲う。さっきより重い。

 

「思い……出した!」

 

 足や腰ではなく、全身で箒の太刀を押し返す。

 

「くっ!」

 

 堪らず箒は後退した。

 

「ありがとよ、箒。強い奴を見てるだけじゃ強くなれねえよな。おかげで目が覚めたぜ」

 

 箒だけを、見る。

 

「そうだ!それでこそ私の一……、私の知っている一夏だ!」

 

 ん?なんで赤くなってんだ?風邪か?

 

 

 

 ☆

 

 

 

「おっす、刃!今上がり?」

 

「鈴か。まあな。お主もか?」

 

 アリーナを出てセシリアと合流しようと食堂に行くと、道中で鈴と出会った。すっかり機嫌は直り、いつもの鈴に戻っている。

 

「私は整備課の人に調整手伝って貰ってたんだ。遅くまでやってるらしいから、刃も見学くらいならしてきてもいいかもね。じゃあ、私は一夏待つから」

 

「おう。教えてくれてサンキューの」

 

 鈴と別れ、食堂に着く。セシリアが既に待っていた。

 

「すまん。待ったか?」

 

「今来たところですわ。さ、参りましょう」

 

 そう言って踵を返すセシリア。一瞬、ふわっといい匂いが漂った。

 

「ん?香水変えたのか?いい匂いじゃの」

 

「うふふ♪ありがとうございます。贔屓にしているところの新作でして、私がテスターに選ばれたのですわ」

 

「代表候補生じゃしのう。あちらとしては良い広告塔という訳かの。うむ。桃と石鹸のような淡い香りがええのう。ワシの好みじゃ」

 

「あ!そ、そんなに近付いて匂いを嗅がれると恥ずかしいですわ……」

 

「おっと、すまんすまん。つい、な。さ、今日は何を食おうかのう」

 

 イカンイカン。つい夢中になってしまった。傍から見るとただの変態じゃな。セシリアも恥ずかしがって視線を落としてしまっている。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「整備課?」

 

「そうじゃ。この後行ってみようと思っての」

 

 食事を終え、部屋に戻ったワシらは、セシリアの淹れた紅茶を飲みながら雑談していた。最初の話題は、ワシが来なかったらこの部屋はオーダーメイドの家具で埋め尽くされる一人部屋になっていたとか。そんなこんなで今の話題は整備課になっている。

 

「今まで主観でしか八極を見てやれんかったし、いい機会だと思っての」

 

「それは良い考えだと思いますわ。私もブルー・ティアーズのデータを本国から取り寄せたり、逆に送信して解析して貰ったりしていますし。そういった視点でISを見るのは必要不可欠と言っても過言ではありませんわね」

 

 うむ。流石代表候補生。ISについての妥協は一切無しか。

 

「よし!では行ってくる!遅くなるかも知れんから先に鍵かけて寝とっても良いぞ」

 

「あ、待ってください!私も行ってみますわ。一度この学園の整備課がどんなものか気になっていましたし」

 

「そうか。それじゃ一緒に行こうかの」

 

「はいっ!」

 

 嬉しそうに頷くセシリア。やはりISへの情熱が為せる行動力じゃろうか。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「ここか」

 

 しばらく歩き、【IS整備室】と書かれた表札を見つける。中は工場のように広いが、金属音は聞こえず、ディスプレイ型キーボードを打つ音が響いていた。

 

「中々整った設備ですわね。収容数も申し分ありませんわ」

 

 セシリアが早速ブルー・ティアーズを整備機器に接続する。

 

「ふむ。ワシは少し見て回るか」

 

 そうして色々な人の様子を見て回った。誰もが真剣にデータを分析したり、調整したりしている。

 

「ん?簪か?」

 

 そんな中で、見覚えのある顔を見かけ、声をかけた。

 

「刃さん?」

 

 やはり簪じゃった。ゴーグル型のモニターで何かやっているところだった。

 

「久しぶりじゃの。お主もクラスリーグマッチに向けて調整か?」

 

「うん。私の専用機は自作だから、一から見直してあげないといけないの」

 

「そう言えばそうじゃったな。ならば邪魔をすべきではないの。ではな」

 

「ま、待って!ちょうどひと段落ついたから、息抜きしようと思ってたの」

 

「む、そうなのか?じゃあ息抜きになるかは分からんが、ここの使い方を教えてくれると助かる」

 

「いいよ。刃さん初めてだから、こっちの型の方が合うと思う」

 

「……うーん」

 

「どうしたの?」

 

「いや、同い年なんじゃし、『刃さん』はやめてくれんかのう?なんだかくすぐったいわい。呼び捨てでええぞ」

 

「え?で、でも……」

 

「ワシも簪のこと呼び捨てにしとるし、それで対等じゃろ」

 

 前にセシリアに言った時は、『好きでそう呼んでいるから良いのですわ!』と何故か怒られてしまったが、簪ならそんなことにはならないじゃろ。

 

「わ、分かった。えっと……刃」

 

「そうそう。それで良い」

 

「んっん!雑談なら他所でやるべきでしてよ?」

 

 セシリアが咳払いをして会話に割り込む。

 

「おう、そうじゃな。すまんすまん。それじゃ簪、色々教えてくれの」

 

「う、うん!えっと、まず起動時の装着設定を弄って…………」

 

 こうして簪の指導の元、ワシは八極のデータを収集した。そんな中でとある発見をしたり、無影縮地の理想消費エネルギーを算出したり、かなり新しい世界が広がった。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「そろそろ閉めるわよー」

 

 しばらく調整していると、3年の先輩が戸締りにやってきた。

 

「うむ。そろそろ切り上げるか。色々とありがとうの、簪」

 

「うん。刃の為ならこれくらいどうってことないよ」

 

 そう言って簪はニッコリと微笑む。普段は感情の起伏が表れにくい簪の不意の笑顔に、思わずドキッとしてしまう。

 

「お、おう。しかし、お主の調整の邪魔をしてしまったの。あれから殆どワシに付きっ切りじゃったし」

 

「あ、そうだ!そろそろインストール終わってるかも。じゃあね、刃。おやすみ」

 

 そう言って簪は走って行った。

 

「おう、おやすみ。さて、セシリア。ワシらも帰ろうかの」

 

「……あの簪とかいう子と帰ればいいんじゃないですの?」

 

 セシリアはやや不機嫌そうに言った。腕を組み、そっぽを向いている。

 

「何を怒っとるんじゃ?ほら、同じ部屋なんじゃし、一緒に帰るぞ」

 

 無理矢理セシリアの手を握って出口へ向かう。

 

「ちょ、ちょっと!分かりましたから、乱暴にしないで下さい!」

 

 セシリアは手を振りほどいてワシの隣に立つ。最初からそうしていてくれると助かるんじゃがのう…….。

 

「……刃は人気者だね」

 

 聞こえない、聞こえない。

 

 

 

 ☆

 

 

 

 クラスリーグマッチ当日。

 

「うへえ。早速鈴とか……」

 

 一回戦の組み合わせは一組vs二組。

 

「しかも第一試合。鈴、お主何か裏でやったんじゃないか?」

 

 プライベートチャネルで鈴と連絡を取る。

 

「んな訳ないでしょ馬鹿。私が裏工作とかそういうの嫌いなの知ってるでしょうが」

 

 それもそうか。じゃあ運命として受け止めるかの。

 

「まあ、なんにせよ楽しみにしとるぞ。秘策もあることだしの」

 

「ふふん、強気じゃない。吠え面かかせてやるわ」

 

 プライベートチャネルを切り、アリーナに入場する。甲龍の両肩の武装『龍砲』がずっしりとした威圧感を与える。

 

「……いざ、尋常に」

 

 試合開始のブザーが鳴る。

 

「「勝負!」」




さて、いい感じに簪とも絡めたし、後は鈴にボッコボコにされるだけだ!
次回予告
鈴との決戦直前に秘策を思いついた刃。意外な戦法に不利に立たされる鈴。白熱するクラスリーグマッチに、突如乱入者が現れた!その時、刃と鈴が取った行動とは……?
次回【招かれざる客】
愛の御旗の元に。
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