てな訳で原作と少し展開が変わりましたが箒との初会話です。
「なあ。柳……だっけか?」
HRを終え、女子達が遠巻きにワシに視線を向ける中、話しかけてきたのは一夏じゃった。
「ん?おお。織斑 一夏じゃったか?」
「ああ。これからよろしくな」
そういって一夏は手を差し伸べる。
「うむ。せいぜい助け合って行こう」
差し伸べられた手を握った。
「田舎って言ってたけど、どの辺なんだ?中学の頃の友達とかは?」
「長野の山奥じゃ。小さな村での。学校も生徒が数えられる程しかおらんかったんじゃよ。学年なんて関係なく、皆家族のように思っておる。中学の最後の方は近くの大きい学校に合併したがの」
「へえー。なんかあったかくていいな、そういうの」
「まあな。お主はどうなんじゃ?家族とか、友達とか」
「あ、俺実は両親いなくてさ。さっきの千冬姉と一緒に暮らしてたんだ」
一夏の視線が少し下を向く。
「そうじゃったのか。それは悪いことを訊いたの」
「気にすんなよ。知らなかったんだし」
「そうか。そう言えば、ワシもお主も男の身でありながらISが動かせるみたいじゃな。初めてISを動かしてみてどうじゃった?」
「そうだなー……。なんか、頭の中に凄い量の情報が入ってきて、でもそれを何故か理解できて、よく分からない内に……、って感じかな」
「おお!お主も同じか!いやあ最初はワシの頭がおかしくなったのかと思っての。しかし、大体同じような感覚だったならなんとなく安心するわ」
「そうそう。なんか分かんない内に色々あってさ。正直まだちょっと戸惑ってるんだよ。柳は落ち着いてるみたいだけど?」
「刃でよいぞ。ワシも勝手に一夏と呼ぶからの。そうじゃな。まあなんとかなるじゃろ、とは思っておる」
「大人だな、刃は」
キーンコーンカーンコーン
予鈴が鳴り、生徒達が慌ただしく席に着く。
「話はまた後での。お主の姉君はルールにはうるさそうじゃし」
「おう、そうだな。じゃあまた後で」
一夏は手を振りながら席に着いた。
「さっそく男の子炸裂してるよねー」
「男同士の友情っての?ちょっと羨ましいよね」
「おりむーとぎんぎんの熱い友情……イイね!」
「よさんか布仏。何か違う意味に聞こえるぞ。あと、ぎんぎんもやめてくれ」
布仏と2人の友人の話が耳に入り、抗議しておく。
「おー。ぎんぎん名前覚えてくれたのー?」
布仏は嬉しそうに腕をぶんぶん振る。
「ぎんぎんはよせと言うに……。まあ、お主はキャラ濃い方じゃしのう。そこの2人も、相川さんと鷹月さん、じゃったか」
「ご名答!」
「名前覚えられちゃった♪」
2人も嬉しそうにはしゃぐ。名前を覚えるだけでここまで喜ばれると、逆にこちらも嬉しくなるのう。
「ねえねえ、私は?」
「私の名前は覚えてくれたかな?」
「キャラ的に私は忘れないわよね?」
次々と女子が机の周りに集まる。
「……お主ら、好奇心は猫をも殺すという諺を知っとるかの?」
「「「「?」」」」
「お前達、気は済んだか?」
女子生徒達が首を傾げると、その背後からドスの効いた声が聞こえた。女子生徒達が一斉に青ざめる。
「まあまあ織斑先生。親睦を深める為にやったことで、悪気は……」
「言いたいことはそれだけか?柳」
火に油、かのう。諦めるしか無いようじゃ。
スパーン!
☆
「……と、このように、ISには宇宙技術の一部が使われており……」
山田先生がIS誕生の経緯について説明する。と言っても、教本の序章にあった部分じゃから、予習の10分の1にもなっておらんがの。
「……………………」
暇つぶしに一夏を見とるが、いやはや退屈せんのう。教科書と黒板とディスプレイを眺めて冷や汗を垂らしておる。
「あやつ、絶対に教本読んどらんじゃろ」
「えっと、ここまでで分からないところはありますか?」
シーン……
まあ、あの無駄に分厚い本を読んどれば特に分からんことも無いじゃろ。約一名、別の意味で沈黙しとるが。
「えっと、柳君、質問はありますか?」
嗚呼。やっぱりワシに振るんじゃな。
「ワシは特に無いの。一夏はどうじゃ?」
「なっ!刃、お前!」
「にょほほほほ」
退屈せんのう。
「織斑君。何か分からないことありましたか?先生に遠慮なく訊いて下さいね。なんてったって先生ですから」
山田先生が笑顔で尋ねる。その笑顔は今は残酷だのう。
「じゃあ、先生」
「はい!」
「ほとんど全部分かりません!」
「えぇっ!?ぜ、全部ですか!?」
山田先生は困ったような顔をする。
「織斑。入学前に渡した本は読んだか?必読と書いてあったはずだが?」
「ああ、アレか。実は電話帳と間違えて捨てました」
スパーン!
「再発行してやるから一週間で覚えろ」
「いぃっ!?あの厚さを一週間は」
「覚えろ。いいな?」
織斑先生の鋭い眼光が一夏を貫く。
一夏は肯定して押し黙った。
☆
「お主、面白い奴じゃのう」
休み時間になり、一夏の席に近付く。
「くっそー。ひでーぞ刃」
一夏が恨めしそうにこっちを睨む。
「だはははは!やるべきことをやらんかった主が悪かろう!ほれ」
そう言って一夏に分厚い本を渡す。
「これ、お前の?」
「そうじゃ。大事な部分は線を引いてあるから、まっさらな本よりは読みやすいじゃろう」
「ありがとう!」
一夏は縋るように本に飛びついた。
「全く困った奴じゃのう。ISは最先端の技術なんじゃから、多少なりとも知識を詰めとかんとな」
「と、取り込み中すまない」
そう言ってワシらの会話に割って入ったのは、篠ノ之 箒じゃった。仏頂面で人付き合いが苦手そうじゃが、男子二人に話しかけるとは度胸あるの。
「一夏を借りても構わないか?」
「一夏を?ワシは別に構わんが……。お主ら知り合いか?」
「あ、ああ。箒は俺の幼馴染なんだ。会うのは6年振りだけど」
一夏が箒をチラチラ見ながら話す。
「そうじゃったか!ならば積もる話もあるじゃろう!気が利かんですまんな。どこへなりと連れて行けい!」
「そ、そうか。恩に着る。と、言うわけだ一夏。ちょっといいか?」
箒がプイっと顔を突き放して言う。この反応。もしや……?
「ああ。俺も一目見た時から箒と話したかったし!ちょっと行ってくるよ」
「そ、そうかそうか!私と話したかったか!うん!ならば早速行くとしよう!」
箒は一夏を連れて教室を出て行った。
「織斑君と篠ノ之さんって幼馴染だったんだ……」
「二人で何話すんだろう?」
「行ってみようよ!」
「よさんか布仏。無粋じゃぞ。せっかく6年振りに会ったんじゃ。水入らずで話させてやれ」
「そっかー。ぎんぎんは優しーね」
ワシに宥められて布仏はあっさり引き下がった。
「ぎんぎんはよせと言うとるのに……。まあ、ワシで良ければ話し相手になるからのう」
「ほんとー!?やったね!」
布仏が相川、鷹月とハイタッチをする。単純な奴らじゃ。
「先を越されたわ!」
「大丈夫!まだ初日だもん!」
「2組の私らもまだまだチャンスあるって!」
……雑音は聞かない主義じゃ。聞こえるだけで。
こんくらいの文字数でちまちま投稿していけたらいいなあ、と思います。
割と気分屋なので10000超えたりしたらすみません。
次回。ゴールデンチョココロネとの邂逅……!