インフィニット・ストラトス〜最強への道〜   作:まどるちぇ

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説明口調になってしまった……


第28話

 あっという間に週末になった。アリーナのバリア復旧を手伝い、事務作業を手伝い、本音と簪の話を聞き、忘れていた叔父からの手紙に目を通し……そりゃ5日くらいすぐに過ぎるわな。

 シャルルも色々と悩んでいる部分を見せたが訓練ではきっちり切り替えてくれたしの。

 

「あ、組み合わせ出たよ」

 

 空中投影ディスプレイにトーナメント表が示される。

 

「ほう……」

 

 とある文字が目に入った瞬間、心臓が一際熱い血を作り始めた。

 

 一回戦第一試合

 

 柳 刃&シャルル・デュノアVSラウラ・ボーデヴィッヒ&虹村スピカ

 

 …………誰?

 

「いきなりラウラか……」

 

「うん。対戦相手はタッグ申請をしなかった人から抽選らしいけど…………誰?」

 

 シャルルも首を傾げる。良かった。ワシだけ知らん訳じゃなさそうじゃな。

 

「誰かは分からんが油断はせんでいこう。不確定要素は警戒するに越したことはないからの」

 

「うん!」

 

 シャルルの力強い頷きを見届け、フィールド入口に向かった。

 

 

 

 ☆

 

 

 

 アリーナ:学年別トーナメント1年生の部

 八極を展開してアリーナに入ると、割れんばかりの歓声に包まれた。観客席を埋め尽くす生徒。各国のお偉いさんらしき人間がチラホラ。

 そして、目の前には当然。

 

「少し安心したよ。いきなり貴様とぶつかれることにな」

 

 ラウラは余裕の笑みを浮かべてワシの前に立つ。その背後にいるのが虹村スピカという生徒か。虹村スピカ。どことなく一夏の韻を踏んだような名前じゃな。

 

「えーっと。そっちの女子は初めましてじゃな」

 

「……虹村スピカ。よろしく」

 

 虹村はそれだけ言うと臨戦体勢に入った。打鉄のブレードを抜き、ダラリと両腕を下げる。

 

「?なんであんな隙だらけな……」

 

 シャルルが虹村の構えを見て疑問を漏らす。

 

「脱力は瞬撃(インパクト)を高める為じゃろう。迂闊に近付くな」

 

 ただでさえラウラを前にしているというのに、虹村もまた一癖も二癖もある奴らしい。あのテンションの低さからしてタッグパートナーにはあまり関心はないようじゃ。まああってもラウラが一蹴して終いじゃろうが。

 

『一回戦第一試合、始め!』

 

 アリーナに響くアナウンスとブザーが開戦を告げた。

 

「とりあえず時間を稼いでみる。シャルルは手筈通りにな!」

 

「うん!」

 

 短いやり取りを交わし、両手に月夜を持つ。

 シャルルは距離を取り、ライフルを構える。虹村が射撃を阻止すべくシャルルに接近するが、シャルルは上手く距離を取りながら牽制した。

 

「ハ!付け焼き刃のチームワークで私に太刀打ちできると思うな!」

 

 ラウラは初めから一人で闘うかのように虹村を無視し、16本のワイヤーブレードを振り回す。

 

「小手調べ、じゃな。受けて立つ!」

 

 月夜で四方八方から迫り来るブレードを弾く。

 弾いた隙間を縫うようにラウラの懐へと距離を詰めた。

 

「この距離ならワイヤーは使えまい!」

 

「そう来ることは想定済みだ!」

 

 ラウラはプラズマ手刀を両手に展開し、接近戦に応戦しようとした。

 

「甘い!」

 

 月夜を止めようと振り翳したプラズマ手刀はまるでバターのように容易く斬り裂かれた。

 

「!?しまっ」

 

「ふんっ!」

 

 月夜をフルスイングし、肩口にあったワイヤーブレードの射出口を潰す。2本のワイヤーが根元から断たれ、蛇のようにその身をくねらせながら落下していった。

 

「くっ!……流体を吸収する短刀(ダガー)か」

 

 ラウラは距離を取って月夜を見る。

 

「うむ。正確には運動量らしいんじゃが……流体ならば運動量を0にしてやればこのように形状維持ができなくなるという訳じゃ」

 

 勿論持論じゃが。簪に話を聞いてもちんぷんかんぷんじゃったし。

 

「なるほど。接近戦で駒を一つ潰したという訳か。小賢しい!」

 

 ラウラは眼をカッと見開くと、レールカノンの砲口を向けた。

 

「って待てバカ!この距離じゃお前もタダでは……」

 

「隙あり、だ」

 

 身体がガクンと硬直し、指一本動かせなくなる。停止結界か。

 しまった。レールカノン(それ)は囮か。

 予想外の攻撃に対処を迫り、隙を作る作戦。見事に嵌ったわ。

 ラウラはレールカノンの砲口を下げ、ワイヤーブレードを総動員させてワシに向けた。

 

「終わりだ。やはりあっけなかったな」

 

『そうじゃな。猿芝居はこの辺にするか』

 

 個人通信で直接意識に語りかける。

 

「戯言を!それで私が動揺するとでも」

 

 ラウラの言葉は飛来する銃弾によって遮られた。

 

「チィッ!」

 

「ちょっと刃にぞっこん過ぎるんじゃないかな?」

 

 シャルルが硝煙の立ち昇るライフルを構えて立っていた。虹村はシャルルのスピードに翻弄され、ようやっと追いつこうとしていた。

 

「世代遅れが!」

 

「どいて。私の獲物」

 

 ラウラの放とうとしたレールカノンはしかし虹村によって遮られた。打鉄の操縦は並じゃがシャルルに食らいつくガッツは見上げたものがある。

 

「ゴメン刃!手助けはこれで手一杯みたい!あとよろしく!」

 

「おう!あちらさんがよろしくやっとるようじゃし、ワシらも再開といくか」

 

「お仲間に助けられておいて偉そうに!」

 

 それは図星。シャルルには試合開始から繋ぎ続けていた個人通信が途絶えたら援護に回って貰うよう打ち合わせしておいた。そしてそれを終えた後のことも。

 

「あの虹村とかいうのも中々骨のある奴のようじゃ。このまま長引く前に一気に決めるとしよう……日輪!」

 

 月夜を日輪に持ち替え、逆手に握る。

 

「シールドを引き換えに痛撃を与える武器か。恐るるに足らん」

 

「それはどうかの?」

 

 右脚のスラスターにエネルギーを溜める。

 片足による無影縮地で接近し、逆手に構えた日輪ですれ違いざまに斬りつける。

 

「疾い……ッ!」

 

「もういっちょ!」

 

 ブレーキをかけながら左脚のスラスターで無影縮地を行い、同様に斬りつける。

 

「ぐあッ!」

 

「名付けて、双日輪【飛燕】」

 

 超高速の二連撃にラウラのシールドエネルギーが風前の灯にまで削り取られる。

 

「クッ!この私をここまで追い詰めるか。認めてやろう柳 刃。貴様はこのIS学園において私の好敵手と呼ぶに相応しい!」

 

 絶望的なピンチの中、ラウラはそう言って狂気とも取れる激しい笑みを見せた。ワシが一夏と初めて闘った時もこんな顔をしていたんじゃろう。

 

「そりゃどうも。とりあえずこの闘いに決着を付けるぞ」

 

 日輪の全力のふた振りでシールドエネルギーは削れたが、釣魚の使用条件にはまだ遠かった。しかしそれを待つ前に決着をつけるのがよかろう。

 

「これで……トドメじゃ!」

 

 日輪を構え、無影縮地でラウラの懐に潜り込む。

 

「そう何度も同じ手は食わん!」

 

 ラウラは手を翳し、目前に迫るワシに停止結界をかける。

 

「それはワシも同じこと」

 

「なっ……消えた!?」

 

 ラウラは停止結界で捉えた筈の敵影を見失った。ハイパークリアセンサーが即座に背後の熱源を探知した。

 

「後ろ!?」

 

「ご名答」

 

 日輪を大上段に構え、ラウラが振り返ると同時に縦一文字に斬り下ろした。

 

 ラウラの停止結界への対抗策。

 それは停止結界の発動プロセスの中にある敵の捕捉を突くこと。特定領域内に慣性制御を施すP.I.Cはその領域を定める際に極度の集中力を要求する。言い方を変えればその瞬間だけはターゲット以外に対して無防備になる。

 先刻はその隙を教える為にシャルルと個人通信を繋ぎっぱなしにしておいた。

 今度はその隙をワシ個人で逆手に取る。

 無影縮地で日輪の間合いに入る直前、垂直方向にスラスターを噴かす。するとどうなるか。縮地のベクトルとスラスターの噴射によって生まれた垂直方向のベクトルが合体し、斜方への力が生まれる。

 とどのつまりラウラに真っ直ぐ突進していたが急に頭を飛び越えるような軌道に変わる。ラウラからすれば目の前の標的が急に消えたように見えるじゃろう。

 結果、停止結界発動の為に割いていたセンサーを掻い潜り、ラウラの死角へ入り込んだという訳じゃな。

 

「あぐっ……馬鹿な……!私が、こんなところで負けるというのか」

 

 シュヴァルツェア・レーゲンがバチバチとスパークを起こす。シールドエネルギーは尽き、間もなく試合終了のブザーが鳴り響くじゃろう。

 

「嫌だ……私は負ける訳には……!」

 

「!?」

 

 終了の予感にホッとしたのも束の間。突如ラウラから禍々しい気が発せられた。




???「スピカちゃんスペシャルアターック!」
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