インフィニット・ストラトス〜最強への道〜   作:まどるちぇ

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とりあえず原作1巻もしくはアニメ1期まではやりたいなあと思っています。
束さん登場です。


第6話

 第6話

 

「…………」

 

「…………」

 

 き、気まずい。

 師匠に特訓をしてもらおうと生徒会室へ向かったら、簪しかおらなんだ。出直すのもなんじゃし、ということで師匠を待つことにしたんじゃが……。

 

「……えっと、更織 簪、じゃったかの?」

 

「は、はいっ!」

 

 名前を呼ばれ、簪がビクッと反応する。

 

「そ、そんなに警戒せんでも……普通に傷付く」

 

「ご、ごめんなさい……その、怖くて」

 

 ぐはあ。なるほど。純粋な言葉とは鋭利な刃物に匹敵する殺傷力じゃ。

 どうやら師匠に怒鳴っているのを見て、そう言うキャラだと思われたんじゃろうなあ……。

 

「そう言えば、あれから更織先輩……師匠とは仲良くしておるかの?」

 

「う、うん。今度、一緒にショッピングに行く約束した……」

 

「うむ。良かった良かった。全く不器用な姉妹じゃな。お互いがお互いを守ろうとして背を向けあっておったとはな」

 

「……そうかも。確かに、おかしいね。うふふ」

 

 お、ようやく笑ってくれたの。このままいい話っぽい雰囲気に持っていければ……。

 

「今度は背中を預けられるような関係を目指すんじゃ。似た者同士、これからも仲良くするんじゃぞ」

 

「うん!……似た者同士って言っても、お姉ちゃんは私の上位互換みたいな存在だけどね……」

 

 簪の表情が再び陰りを見せる。

 

「ああいや、お主が姉上に勝っとるところもあるじゃろ」

 

「……例えば?」

 

 うぐ。墓穴。……どうせならもう少し掘ってみるかの。埋蔵金が出るかも知れんし。

 

「そうじゃな……。眼鏡が似合う、というのはどうじゃ?」

 

「……え?」

 

「いやあ、お主の眼鏡の似合いっぷりは天晴れの一言じゃぞ!いや、眼鏡が無くても充分可愛いが、眼鏡を着けたらそれはもう桁違いに」

 

「…………」

 

 いかん。やはり墓穴は墓穴じゃったか。

 

「な、なーんて冗談を言ってみたり」

 

「ほ、ほんと!?私、お姉ちゃんより眼鏡似合う!?か、可愛い!?」

 

 埋蔵金じゃったかー。ようし、掘って掘って掘りまくるか。

 

「おうとも!天使から女神にランクアップするくらいじゃな!いやあ見事見事!」

 

「ほ、褒めすぎ……。恥ずかしいよ」

 

 簪が真っ赤になって否定する。

 

「それに、師匠も完璧では無いしの」

 

「!うん……」

 

「至らんところを見つけたら、サポートできるように精進せねばならんの」

 

「うん!」

 

「あらあら♪私のかんちゃんを口説くなんていい度胸してるじゃない?」

 

 埋蔵金を掘り尽くしたら、デッカい墓穴になった。

 

「……人の悪い。立ち聞きですかな?師匠」

 

 いつの間にかワシらの背後に更織先輩が立っておった。扇には【色男撲滅】という物騒な文字が。

 

「……お姉ちゃん」

 

「安心してかんちゃん。こんなナンパ男はお姉ちゃんが成敗」

 

「嫉妬?」

 

 ズドドドー

 

「また派手にすっ転んだのう師匠」

 

「な、何を言ってるのかんちゃん!?私はあなたを守ろうと」

 

「ううん」

 

 簪の両手が師匠の両手を包み込む。

 

「分かるの。刃……さんは、お姉ちゃんにとって私と同じくらい大切な人だって思ってるのが」

 

「……ふぇ!?」

 

 途端に師匠の顔がトマトのように真っ赤になる。

 

「えへへ。図星、でしょ?」

 

「えっと、それはそのう……。そう!弟子!初めてできた弟子だもの!大切にしなくっちゃね!おほほはほ!」

 

「……お姉ちゃん、素直じゃない。あんまり誤魔化してると、私が取っちゃうかもよ?」

 

「んな!そ、それは……譲れないわ」

 

 師匠がニヤリと笑うと、簪も負けじと笑う。

 

「うむうむ。仲良きことは良きことなり。さて、師匠。話がまとまったところで特訓を」

 

「え、ええ。はい、うん。と、特訓ね。いいわよ♫」

 

 師匠は平静を保っているつもりだが、いつもと調子がおかしい。主に音符。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「今日は私と追いかけっこしましょ」

 

 第1アリーナに集まり、特訓が始まった。今日は追いかけっこらしく、簪の合図で追う側と追われる側が交互に変わる。瞬発力と方向転換のキレを磨く特訓じゃな。

 

「よーい、はじめ!」

 

 キィィィィン

 

 追いかけっこを始めようとすると、上空から飛行機の飛行音のような音が聞こえた。

 

「あれは!?」

 

「鳥か!?」

 

「飛行機か!?」

 

「いや、あれは……」

 

「「「デカい人参だー!」」」

 

 アリーナのバリアを突き破り、ミサイルのような巨大人参が地面に突き刺さる。

 

「こ、これは一体……!?」

 

「敵襲!?総員、警戒体勢を!刃君!先生を呼んできて!」

 

「いや、多分……」

 

 プシュゥゥゥ パカッ

 

 人参が開く。中から現れたのは、一人の女性であった。

 

「やっほー♪久しぶりだね刃君!束さんだよー!」

 

「……お久しぶりです。相変わらずですのう」

 

 嬉しそうに手を振る束さんに、苦笑のまま手を振り返す。

 

「うんうん!10年振りくらい?大きくなっちゃってー!」

 

「束さん……。はあ、何のご用ですか?」

 

 どうせロクなことじゃないのは目に見えとる。さっさと終わらせてくれんかのう……。

 

「なんとなんと!刃君にスペシャルプレゼントー!なんだと思うー?」

 

「ワシの専用機、とかですか?」

 

「おおー!正解正解♪流石刃君、観察眼が半端じゃないねえ」

 

 束さんを知っていればIS関係の用事だとは容易に想像できると思うが。

 

「……遠慮しておきます。ワシの実力はまだまだです。専用機などおこがましい。せめて、セシリアとの戦闘を経験してから」

 

「それじゃあ逆効果だよー。だって、ISはその機体に搭乗者の戦闘スタイルをより多く経験させないといけないんだよ。そのなんとかって人と闘うなら、それこそ専用機でやらなきゃ」

 

「む。一理ありますのう。まあ、餅は餅屋ってことですかな」

 

「そういうこと。まあ、時間は無いからフィッティングは自分でやってね♪それじゃあこれ」

 

「おわっと」

 

 束さんはそう言ってワシに何かを投げ渡した。見ると、一対になった二つの勾玉であった。白と黒。対極を表す印を模した勾玉のペンダントであった。

 

「これが……」

 

「こっちです!こっちで凄い音がして……」

 

 どこからか女子生徒が教師を連れてくる。

 

「おっとっと。どうやら本当に時間みたいだね!じゃね、刃君!」

 

 それだけ言って束さんは人参ロケットに乗り込むと、颯爽とアリーナを出て行った。

 

「……刃君。今のは……」

 

「……ええ。ISの産みの親にして天才科学者の篠ノ之 束さんです。姉の知人でして」

 

「貴方……そのIS、もしかして」

 

 ワシは首を横に振る。

 

「ワシが望んだことではありません……。おそらく、姉が設計図を送って束さんに創らせたんでしょう」

 

 束さんが消えた空を、ワシはしばらく見つめ続けた。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「……それで?」

 

 食堂。夕食を終えたワシは師匠と簪に尋問されておった。

 

「束さんについては以上です。ワシから知ってることはもうありませんのう」

 

「……あれが世界最高の天才科学者、篠ノ之 束」

 

 簪が束の姿を思い返し、考え込む。

 

「なんというか……強烈な人だったわね。天才って皆ああいう感じになるのかしらね?」

 

「そうですな。変わり者というか、住む世界が違うというか……」

 

「ただの馬鹿だ。頭はいいがな」

 

 ワシら3人の会話に織斑先生が入り込んで来た。

 

「柳。束から専用機をもらったな?」

 

「え、ええ。これです」

 

 そう言ってペンダントを見せる。

 

「まさかお前が束と接点を持っていたとはな……。しかもIS適性はトップクラスときたものだ。運命なのか、あの馬鹿が仕向けたものなのか……?」

 

「ほう。IS適性については初耳でしたな」

 

「話がズレたな。その専用機、我々で解析することになった」

 

「……ふむ。外部からの登録不明のISだから、といったところですかの?」

 

「察しが良くて助かる。近年、VTシステムと呼ばれる不正プログラムの複製履歴が発見されたらしい。束がそんなものに手を出すとは思わんが、念には念を、だ」

 

「VTシステム?」

 

「ヴァルキリー・トレース・システム。操縦者の意のままにISの形状・特性を変化させるプログラムよ。現在はIS条約で使用及び複製、プログラムの閲覧を禁止されているわ」

 

 師匠が分かりやすく解説した。

 

「なるほど。あい分かりました。どうぞ、お持ち下され」

 

 ペンダントを織斑先生に渡す。

 

「安心しろ。セシリアとの戦闘までには返す」

 

「あ、いや。打鉄を貸していただければワシはそれで……」

 

「まあそう言うな。専用機を拒否するような贅沢ができる立場か?」

 

 織斑先生が意地悪そうにニヤリと笑う。

 

「ええー!?ぎんぎん専用機貰ったのー!?」

 

「いいなー!私も欲しいなー!」

 

「待機状態もオシャレでいい感じ!」

 

 気付いたら周りにクラスの女子達が集まってアレコレと感想を言っていた。

 

「……どうだ?」

 

 これは、拒否したら大顰蹙を買う羽目になりそうだの。

 

「……分かりました。ありがたく使わせていただきます。この……」

 

 そこまで言って気付いた。この専用機を何と呼ぼうか。専用機、というのは味気ないしのう……。

 

「織斑先生。この専用機に、何か呼び名のようなものを付けても良いですか?」

 

「なんだ、無名か。ならば名付け親はお前だ」

 

「ふむ……」

 

 少し考え、頭にとある単語が浮かぶ。

 

「…………八極(パージ)。八極と呼ぶことにします。白黒の勾玉から連想しました」

 

「そうか。では今からこの機体の名前は八極だ。扱いには細心の注意を払う。ほら、お前達!食事は迅速かつ効率良く摂れ!」

 

 それだけ言って織斑先生は食堂を去って行った。

 その後、女子生徒達の質問攻めに会ったのは言うまでもない。




刃のISの名前が出ました。
正確な発音はパーヂイですが、せっかくなんでパージにしました。
次回予告
熾烈な特訓をやり抜き、ついにセシリアとの決戦が始まる。ぶっつけ本番で八極を操る刃だったが、癖の強いその性能に振り回される。窮地に立たされたその時、刃のISに新たな変化が……。
次回【狼煙、天高く】
来週も、サービスサービスゥ!
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