インフィニット・ストラトス〜最強への道〜   作:まどるちぇ

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やっぱ戦闘描写だと長くなりますね。
100話くらいまでに銀の福音倒せればいいなあ、と思っています。



第7話

 

「よし!今日はここまで!」

 

「ぜえ……はあ…….。あ、ありがとうございました!」

 

 それから一ヶ月後。セシリア、一夏との決戦前日。師匠の厳しい特訓を終え、打鉄が疲労に耐え兼ねたかのように武装展開を解く。ワシも肩で息をしながら膝を折る。

 後半はずっと師匠とガチ戦闘の連続じゃった。流石は学園最強。量産機では性能差と操縦者の技能でゴリ押しされる。

 専用機があれば勝てるというものでもないが……。

 

「中々良い感じよ。明日のセシリアちゃんとの戦闘では、専用機の性能によっては勝てちゃうんじゃないかしら?」

 

「はは。師匠の名に泥を塗るような無様な試合にしないようにします。ワシも負けるのは好かんですし」

 

「よろしい!負けん気が最後の一踏ん張りに力を添えると覚えなさい!」

 

 師匠が【起死回生】と書かれた扇を広げる。

 

「はい!では、失礼します!」

 

 お辞儀をして、アリーナを出た。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「あ、お疲れ様ですわ刃さん!」

 

 着替えを終え、食堂に向かう途中でセシリアと会った。

 

「おう!なんじゃ、待っとってくれたのか?」

 

「ち、違いますわ!私はたまたま通りかかっただけで……」

 

「だはははは!隠さずとも良いわ!遠くから行ったり来たりしておったのが見えたぞ!」

 

「な!見ていらしたの!?」

 

「なんじゃ。やはり待っとったのか」

 

「!?〜〜〜〜っ!」

 

 セシリアが真っ赤になってぽかぽかとワシを殴る。

 

「はっはっは!さ、早く食堂に向かうぞ。偶には定食に手を出して見るとするかの」

 

「ま、待って下さい!もう……刃さんは意地悪ですわ」

 

 セシリアが愚痴りながら後に続く。

 弄り甲斐のある楽しい奴じゃ。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「ふう。偶にはきつねうどん以外も食べてみるもんじゃの」

 

「大体刃さんは偏食過ぎですわ!朝昼晩ときつねうどんだなんて。まるで本物の狐みたいですわ」

 

 ワシは生姜焼き定食を、セシリアはクラブハウスサンドとシーザーサラダのセットを喫食した。

 

「ここのが美味くてつい、な。しかし色々試してみんと損なような気がしてきたの。明日からは違うものも頼んでみるか」

 

「それがよろしくてよ。そ、それで……私でよろしければ、いつでもお供させていただきますわ」

 

 セシリアがはにかみながらそう言った。

 うんうん。大分丸くなったのう。

 

「うむ。せっかくルームメイトになったことじゃしな。親睦を深めようぞ」

 

「はい!」

 

 セシリアは力強く返事をした。

 明日は良い日になりそうじゃ。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「山田先生。首尾はどうですか?」

 

 IS学園コンピュータ管理室。大量のモニターの前で真耶がてきぱきと作業をこなす中、ドアが開いて千冬が入ってきた。

 

「ああ、織斑先生。ちょうどプロテクトの解除が終わるところです。それにしても、解除に一ヶ月もかかるプロテクトなんて初めて見ました。弱音を言わせてもらうと、途中で諦めそうになったんですよ」

 

 そう言って真耶は千冬からコーヒーカップを受け取り、中身を煽る。

 

「いえ。逆に束のプロテクトを一ヶ月で外せただけでも僥倖に近いと思います。それで、解析結果は?」

 

「はい。今表示しますね……こ、これは!」

 

 真耶がモニターを見ていると、驚いたように立ち上がった。

 

「何か見つけましたか?」

 

 千冬もモニターを覗き込む。

 

「こ、これはまさか……!?」

 

 

 

 ☆

 

 

 

 翌日。第3アリーナ控え室。

 

「まずはワシとセシリア。そしてセシリアと一夏。最後にワシと一夏の順番で試合か。2人共連戦は疲れるじゃろうな」

 

「つまり君は全力のセシリアちゃんと当たることになるわね。準備はいいかしら?」

 

「はい師匠!八極もよく馴染みます」

 

 手を開いたり閉じたりして、八極の感覚を馴染ませる。

 

「相手はエリート。たかだか一ヶ月特訓したくらいでいい気になっていると痛い目見るわよ。ま、君に限ってそれは無いかな?」

 

 師匠の声に頷いて応え、入場口前に行く。

 

「柳君!準備はいいですか?」

 

 スピーカー越しに山田先生の声が聞こえた。

 

「いつでもどうぞ」

 

 その声と同時にゲートが開く。眩しい光の中へと、駆け出していった。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「お待ちしておりましたわ、刃さん」

 

 アリーナ上空には、既にセシリアが陣取っていた。不敵な笑みでワシを待ち構える。

 

「うむ。楽しみにしておったぞ。今日は全力で行く。だからお主も手加減などしてくれるなよ?」

 

「そんな失礼な女に見えまして?ご安心なさいな!」

 

 ブーーーー

 

 開始のブザーが鳴り、セシリアがライフルのスコープを覗き込む。

 

「長距離型か。相性が悪いの」

 

 ギュギュギュギュ ダンッ

 

「!?消え……」

 

 ギュキュキュキュ

 

「!?そこ!」

 

「おおっと!」

 

 セシリアの射撃を間一髪で回避する。

 

「今の動き……」

 

(突然消えたかと思えば、一瞬にして背後に……。そしてあの音。まるでバスケットボールの試合の様な、強い足の踏み込みのような音……)

 

「考え事とは感心せんな」

 

 キュキュ ダンッ

 

「!また……」

 

 ドガッ

 

「くっ!」

 

 掌底がヒットし、セシリアがよろめく。

 

「まだまだ行くぞ」

 

 ギュギュギュ ダンッ

 

「そろそろカラクリが読めてきましたわ!そこ!」

 

 ドシュッ

 

「っ痛ぅ!効くのう……」

 

 右肩に凄まじい衝撃が走り、シールドエネルギーが10分の1程削れる。

 

「脚部スラスターによる瞬間加速(イグニッション・ブースト)……ですわね?」

 

「……伊達にエリート名乗ってはおらんな。無影縮地という技での。今のワシなら1000里先も一瞬で行けそうじゃ」

 

 

 

 ☆

 

 

 

「空中で踏み込みか……。なんとも型破りな性能だ」

 

 千冬がモニターを見ながら僅かに口角を上げる。

 

「無影縮地……こんな技が存在したなんて」

 

 真耶は自分が解析した八極の戦闘データと試合の映像を交互に見比べる。

 

「い、今のは一体……?縮地って?」

 

 モニターを見ていた一夏が唖然として固まる。

 

「縮地は現代スポーツや武道でも稀に使われる体捌き、移動法だ。柳は八極の脚部スラスターの出力を限界まで上げて一瞬で放出することで、擬似的な瞬間加速を起こして高速移動したという訳だな。ブレーキ時に聞こえる摩擦音は瞬間的なスラスターの噴射が空気を叩く音か」

 

 千冬が解説を終えると、その場にいた全員が再びモニターに注目した。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「そらそら。どんな火力も当たらなければ蚊ほども効かぬぞ」

 

「言ってくれますわね!なら、これでどうですの!」

 

 セシリアの腰部装甲から小さなビットが4つ飛び出してくる。

 

「なるほど、さっきまでのは小手調べという訳か。面白い!」

 

 ビットが一斉にレーザーを発射する。

 

 ダンッ キュキュッ

 

「なっ!?」

 

 ビットのレーザーは虚空を撃ち抜き、ワシはセシリアの目の前まで縮地する。

 

「どうした?攻撃の手が止んどるぞ」

 

 ガスッ

 

「くぅぅぅ!」

 

 肘打ちがヒットし、またもやセシリアはノックバックする。

 

「さて、後はあのビット達じゃが……」

 

 振り向くと、ビット達は一瞬でワシを四方から囲んでいた。

 

 ドシュ

 

「ぐあっ!」

 

 レーザーが装甲に直撃し、シールドエネルギーが大きく削られる。

 

「油断大敵ですわよ」

 

「……肝に銘じる」

 

 セシリアと視線を合わせ、ニヤリも笑う。

 

「……参る!」

 

 タンッ キキィ

 

「!音が……」

 

 ガンッ

 

 ビットの一つに拳がヒットし、そのまま爆発した。

 

「そんな!?ビットを殴り壊すなんて!?大体、さっきから武器の一つも出さずに、私を侮っていますの?」

 

「…………無いんじゃ」

 

「は?」

 

「このISには武装が一つも無いんじゃ!」

 

 

 

 ☆

 

 

 

 少し前。アリーナ控え室。

 

「柳。お前のISの解析が終了した。VTシステム等の不正プログラムは見つかっていない」

 

 織斑先生はそう言って展開済みの八極を見せた。白と黒が渦のようにうねりあったカラーデザインがカッコイイのう。

 

「ありがとうございます。では、早速装着してみます」

 

 八極の脚部スラスターに足を固定し、全身を委ねる。すると、八極の方から合わせるように装甲がフィットされていく。

 

「おお!まるで生きているかのようじゃ!文字通りパートナーという訳か」

 

「柳。装備欄を見てみろ。左のウインドウだ」

 

 織斑先生の声のままに左を見ると、そこには装備欄らしきウインドウが出ていた。しかし。

 

「ん?織斑先生。装備欄に装備の名前が一つも無いんですが……?」

 

「やはりか。昨日山田先生と見た解析結果通りだった、という訳か」

 

 織斑先生はそう言って少し考え込む。

 

「おそらく容量領域も無いだろう。基本装甲とスラスターだけのISなぞ前代未聞だが、束の作ったISだ。そのくらいの突飛な特性は想定すべきだったな」

 

「ま、まあ。しかし、あの人は使えないものを作ったりはしないでしょう。きっとこの八極にも強い特徴があるはずです」

 

「だと良いがな……」

 

 

 

 ☆

 

 

 

「……という訳で、八極には武器が積まれておらんのだ。その代わり、短距離での機動力は第三世代型の比ではないそうな」

 

「なるほど。その機動力で一瞬で懐まで潜り込み、徒手格闘にてダメージを与える戦法、という訳ですわね」

 

 セシリアが右手を翳す。一瞬右手が光り、その手にはナイフが握られていた。

 

「羨ましいのう。遠近両方の武器があって。さて、そろそろ再開しようか」

 

「ええ。行きますわよ!」

 

 セシリアが残り3つとなったビットを操る。

 

「自動追尾ではなく手動操作か。 臨機応変に動けるが、操縦者の癖が反映されてしまうな。ぶっちゃけて言うと動きが読みやすい。……ほれ!」

 

 ガンッ

 

 横っ跳びにブーストし、後ろ蹴りをすると、ビットらしき感触が踵を掠めていった。背後で爆発が起こる。

 

「私のビットを2つも……!」

 

「そうら一気に決めるぞ!」

 

 ダダンッ

 

「甘いですわ!まだお披露目してない武器がありましてよ!」

 

 セシリアの腰部装甲が開き、ミサイルが発射される。

 

「何!?」

 

 縮地の弱点。それは移動先を読まれると自身のスピードがそのままダメージに上乗せされるということ。

 

 激しい爆発が起こり、目の前が煙で覆われる。

 これは負けたかのう……。

 

 シュアアアア…………

 

 その時、八極が強い光を発した。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「直撃です。これは、もう……」

 

 真耶がモニターから目を離す。

 

「いや。機体に救われたな。あの馬鹿者が……」

 

 真耶がモニターを見直すと、煙の先に一次移行した八極をその身に纏った刃が立っていた。




更新ペースのムラは不治の病です。
次回予告
遂に真の姿を現した八極。新たな力に戸惑いつつも果敢にセシリアに挑む。果たして勝敗の行方は……!?
次回【柳 刃 大勝利!希望の未来へレディ、ゴー!】
ISファイト、レディ、ゴー!
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