とある代表候補生の奮闘記   作:ジト民逆脚屋

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どうも、逆脚屋です。「とある代表候補生の奮闘記」第2話です。

今回は戦闘回、熊さんの強さが少しでも伝わればいいなー

後、熊さんの機体はガンダム00のティエレンタオツー(セルゲイ仕様)がモデルです。



二冊目

IS 学園第三アリーナで、織斑一夏は迫り来る雨のごとき銃弾に対し、必死に回避行動をとっていた。

 

「くそッ!近付けねぇ!」

「来な・・・いで・・・」

 

何とかして自分の距離に近づこうとする織斑一夏と、己の機体『打鉄・甲』の右腕にマウントされた滑腔砲に搭載している機銃で追い払い続ける熊谷真琴の姿があった。

これだけ聞くと真琴が劣勢のようにも聞こえるが、実際は一夏の圧倒的劣勢で真琴の圧倒的優勢であった。

機銃に追い払われ、何とか安全な距離に逃れて体勢を立て直そうとしても、その隙を突かれ滑腔砲による大ダメージが叩き込まれる。例え近付けても、両肩の物理シールドとカーボンブレイドにより打ち払われる。

まともにダメージを与えられず、一方的にダメージが溜まり続ける。

一夏の機体『白式』は武装が近接武器である『雪片』のみという非常にピーキーな仕様だが、それ故に加速力や装甲、機体の反応速度といった性能は他の第三世代の中でも群を抜いている。

その上単一能力『零落白夜』という自分のエネルギーを犠牲に相手のエネルギーをごっそり削り取る反則能力もあり、並みの相手であれば軽く斬り伏せることが出来るが使い手を選ぶ機体だ。

そのパイロットである織斑一夏は、ついこの間まで全くの素人であったが、持ち前の向上心と誰かを守れるようになりたいという信念で、一年生の中でも上位に入る腕前となっている。

 

対する真琴の機体『打鉄・甲』は日本製第二世代『打鉄』の改修機である。

元々、防御に秀でた『打鉄』を更に防御に特化させるために装甲を増やし、肩部のシールドも材質を変更して更に硬く仕上げつつ、スラスターを搭載し機動力を確保、追加した装甲の各所にもスラスターを追加搭載しており、重々しい見た目に対し中々の機動性を持っている。

武装も滑腔砲と同軸機銃、カーボンブレイドの他多数の装備を搭載している。

パイロットの熊谷真琴は、長身とあの織斑千冬に匹敵する身体能力を持っているのだが、争い事が嫌いで超が付く程のインドア派であり、本を与えればずっと読み続け、その間は梃子でも動かないことで有名である。

そんな彼女だが、何処で何を間違ったのか国家代表候補生になってしまい、あれよあれよと次期国家代表とか『荒熊』とか呼ばれる様になり、最近ではラウラになつかれた影響か『母熊』とか『ママ熊』とか『ママ』とか呼ばれている。

正直な話、『荒熊』より『母熊』の名で呼ばれることの方が多い。

そんな二人が何故、戦っているのか。それは以下の通りである。

 

「真琴、今日の放課後空いてるか?」

「・・・やだ・・・」

「そんなこと言わずに!この通り!」

「・・・!・・・いい・・よ」

「よっしゃ!」

 

一夏が差し出したのは、真琴が好きな作家の一人『ミルズ・エーカー』の最新作『蒼い空に祈りを』であった。

発売日に早起きして、寝惚けたラウラを背中に貼り付けて最寄りの本屋に急いだが、着いた頃には完売しており、次回入荷も未定という事態で半ば諦めかけていた時に、まさかの人物がそれを持っていたのだ。本を差し出されて飛び付かない真琴ではない。いとも簡単に承諾してしまった。

 

これが今回の戦いの顛末である。

 

では、そんな二人の決着は?

 

「オラー!」

「来ないで・・・って・・・言ってるの」

 

残ったエネルギー量から、次がラストチャンスと悟った一夏は真琴の射撃の隙を突き、一気に加速し突撃を敢行した。

 

「ダアアアラアアアッ!」

 

一夏は勝利を確信

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クルナト・・・イッテルノニ・・・」

「嘘やん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

したと思ったが、確定したのは一夏の敗北だった。

突撃を敢行した瞬間、右背のスラスターを撃たれ体勢を崩した処を真琴のカーボンネットに捕まり、脱出しようともがいているところに、左腕に搭載されたジェル発射管から発射されたジェルにより、何故かあの有名な『シェーの体勢』で固定され落下、そのままエネルギーが切れるまで滑腔砲を撃たれ続けた。

 

『試合終了!勝者、熊谷真琴!』

 

「やっと・・・終わった・・・」

 

大嫌いな戦いが終わり、やっと本が読めると思った真琴であった。

だが、無情なアナウンスが担任教諭の声で告げられる。

 

『第二試合、熊谷 真琴対鳳 鈴音!』

 

「え・・・なんで・・・?」

「真琴、騙して悪いけど、あの本、結構高かったんだから、そう簡単に持ってかれたら困るのよ」

「そん・・・な・・・」

 

ガックリと項垂れる真琴だが、次第にプルプルと震えだした。

鈴は、自分をジト目で睨んでいる真琴を見て、すぐに自分の過ちに気付く。やっちまった!と、

 

「・・・ヴー・・・」

「待って真琴!落ち着こう?ね」

「・・・シラナイ・・・」

「真琴!」

「・・・オチチャエ・・・」

「イヤアアアァァァァッ!」

 

真琴は両腕に滑腔砲を展開、鈴も負けじと龍砲を展開するが、あっさりと発射口を撃ち抜かれ、ならばと構えた双天牙月もカーボンワイヤーに絡め取られ、明後日の方向に捨てられ武器の大半を失った。

 

「シャッチョサン、オーチツキマーショー!」

「・・・やだ・・・」

「デスヨネー」

 

哀れ鈴=サンはしめやかに爆発四散!

 

 

 

 

ところ変わって、第三アリーナピット内

 

「織斑先生~、おりむーの回収完了で~す」

「ふむ、ご苦労。布仏、織斑を機体から引き剥がして、シャワールームにでも叩き込んでおけ」

「りょ~か~い」

 

指示を出すのは織斑千冬、初代ブリュンヒルデにして真琴が『荒熊』と呼ばれる原因を作った張本人である。

 

「諸君、先程の試合から勝負を決めるのは、機体性能だけでなくパイロットの技量も必要だと言うことがよく分かった筈だ。良きパイロットに成りたければ訓練を欠かすな」

「「「はい!」」」

「宜しい、良い返事だ。だが諸君、只訓練をすれば良いという訳ではない。無茶な訓練をした身の程知らずは、必ずと言って良いほどああなる」

 

千冬が指差す先には

 

「それじゃ~、おりむー逝ってみよう~」

「待って!ノホホン=サン!字が違うし、俺の背骨はそっちには曲がらなッ!」

「ヴー・・・ヴー・・・」

「グワー!グワー!」

「落ち着くんだ母様!それ以上は鈴が『鈴だったもの』になってしまう!」

 

そこには地獄があった。一夏は白式に下半身が残った状態で上半身があらぬ方向に垂れ下がりプラプラと揺れており、その回りをダボダボ袖のノホホン=サンが謎の踊りを踊りながら回る。

鈴は、騙して悪いがしたため、真琴にクマーされていた。クマーのされ過ぎで何か別のものに成りかけているが、ラウラがそれを止めていた。

 

「分かったか?」

「「「Hai !」」」

「宜しい、諸君遅くまでご苦労。明日の授業は、これまでの復習として小テストのみとする。普段より早く授業が終わるから訓練なり休息なり自由にすると良い。では、解散」

「先生!熊谷さんボーデヴィッヒさんを抱っこしたまま、ヘヤノスミスの元で蹲って離れません!」

「熊谷」

「・・・や・・・」

「母様」

「・・・やなの・・・」

 

完全にいじけてしまった。

その後、千冬が一夏と鈴の財布から『ミルズ・エーカー』の作品を買い与え解決した。

因みに、『ミルズ・エーカー』の作品を買う千冬の顔は、とてもビミョーな表情であったという。

 

後日、真琴には『本読み熊』の名が追加された。




用語解説

『ミルズ・エーカー』
イギリスの女性作家。詩集からサスペンス、ファンタジーまで幅広い作品を書く、真琴のお気に入りの作家の一人。
元空軍のパイロットであり、千冬やセシリアとも親交がある。
作家の他に別の顔もある。実はそっちの顔の方が有名

次回はお買い物回、母熊のおめかしを書くぞ!
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