とある代表候補生の奮闘記   作:ジト民逆脚屋

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ちゃうんすよぉ!
ちょっと、予定がズレタんすよ!

あ、スピンオフの狼さんと〝夜調べ〟も宜しくお願いします!

というか、〝あの人〟のこの世界線初登場がこれで良いのだろうか?


RE :二十四冊目

事実は小説よりも奇なり。箒の心境は正にそれであった。

確かに、事実は小説よりも奇なりだ。

今現在の自分の立場がそうなのだから。

ISという、空飛ぶ不可思議な機械に乗り、リアルブンドドしている身だ。正直な話、これ以上の奇はそうそう無いと思っていたが、それはどうやら自分の未熟であった様だ。

 

「ふむ」

 

しかし、今はその未熟を悔やむ時ではない。

そう、歓迎する時だ。

己の未熟と見識の浅さが招いたこの事態、歓迎せずしてなんとするか。

そうだ。あの首領(総長)も言っていた。

 

『楽しい事は正義なのデスヨ』

 

そうだ。楽しい事は正義だ。ならば、この事態を楽しまなければならない。

 

「ちょっとなに、止まって ・・・あ?」

「鈴さんも、どうしたのですか ・・・い?」

「セシリアもどうしたのさ ・・・う?」

「ちょっと、皆どうしたの ・・・え?」

 

鈴、セシリア、シャルロット、簪の順に箒達の三人部屋に入り、順に固まった。

 

「箒、皆来たぞ」

「ふむ、皆、よく来たな」

「よく来たなって・・・」

「一体、何が・・・?」

「えっと、それ〝誰〟?」

「有り得ないけど、まさか・・・?」

 

 

四人の視線の先には、この部屋の主である三人の内の二人、箒とラウラが居る。しかし、もう一人、この部屋には主が居る筈だ。しかし、四人の前にインドア長身の姿は無い。念の為、定位置という名のもう一つの住み処であるヘヤノスミスを見るが、そこにも居ない。

しかし、箒の膝の上に小さく丸まっている見慣れない者が居た。

 

「いや、まさか、そんな訳」

「漫画やアニメじゃないんですのよ?」

「だよねー」

「真琴だぞ」

「母様だぞ」

「はっはっはっ、ナイスジョークって、え・・・?」

「ああ、そうだ。見給え、諸君。私の女神が天使になった・・・!」

 

満面の笑みで、箒が自らの膝の上で丸くなっていた者を、全員に顔が見える様に抱き上げた。

黒い髪、少しタレ気味の目、どこか気の抜けた雰囲気、自分達の感覚と箒とラウラが間違っていなければ、その小学校低学年程の幼女は間違いなく熊谷真琴であった。

 

「は? え、うそぉ?」

「現実だ」

「そうだぞ、母様だぞ」

 

呆気に取られるいつものメンバーの一人、鈴が疑念を口にするが、箒とラウラの二人が即座に疑念を否定する。

見覚えがある程度にしか共通点の無い幼女を、何故にそこまで真琴と断言出来るのか。

 

「実はな、ハードラックダイアモンド社で、アンチエイジング飲料を試作していてだな」

「あ、大体の流れが分かった」

 

箒と真琴、簪が所属するハードラックダイアモンド社では、新たにアンチエイジング効果が期待できる食品類を売りに出そうと、ハードラックダイアモンド社開発部門が正気をドブに放り捨てて開発していた。

その商品の一つ〝グングン飲む飲む肌若返る〟、これが全ての元凶であった。

 

「まあ、なんだ? ナノマシン医療技術を、ふんだんに盛り込んでいるらしくてな。予算も何もをかっ飛ばした仕上がりになったそうだ・・・」

「いや、それで試作品貰って、真琴だけが飲んだら、こうなった訳?」

「うむ、予算の関係で貰ったのは一本だけで、入れ物が某飲むヨーグルトに似ているだろう? 実は味もそうらしい。あ、後な、鈴」

「なによ?」

「この頃の真琴の顔の前に、不用心に手を出さない方がいいぞ」

「はあ? なによ、そ・・・」

 

れ、と鈴の言葉は続かず、ガリンという音が鈴の手の辺りから聞こえた。

 

「はあ、遅かったか・・・ 鈴、先ずは落ち着け」

「いや、落ち着けって、どうしたのさ、これ?」

「シャルロット、皆も、鈴を少し押さえ付けておいてくれ」

「あ、うん」

「構いませんわ」

「鈴、指繋がってる?」

 

予想外の事態に固まる鈴を押さえ付ける簪が言う通りに、鈴の右手指はチビ真琴の口の中に収まっていた。

しかし、ただ収まっている訳ではない。先程、聞こえてきた音の通りに、口内に収めたのではなく、がっぷりと噛み付いていた。

 

「いいな? 鈴、この頃の真琴はかなり凶暴だ。ご覧の通りに、噛み付いてくるぞ」

「言うのが遅いわああぁぁぁぁっ!」

 

箒の言葉に漸く、事態を飲み込み痛覚を認識した鈴が、暴れ出そうとするが、他のメンバーに押さえ付けられ、びくともしない。

だが、噛み付かれている右手は体の動きに合わせて揺れる。それと同時に、鈴の右手にがっぷりと噛み付いている真琴も揺れる。

即ち、物凄く痛い。

 

「ああぁぁぁぁ! 離して! このガチチビグリズリー離してぇ! 指取れるぁぁぁぁぁ!」

「よーしよしよし、鈴落ち着け。暴れたら暴れた分、深く食い込むぞ?」

「ガチ野性動物の対処法じゃないのよぉぉお!」

「母様母様、大丈夫だ! 鈴は友達、怖くないぞ!」

 

右手を動かせば動かすだけ食い込んでいく歯、それを引き剥がそうとラウラが語りかける。

すると、不承不承といった感じで真琴が鈴の右手を離した。

 

「ヴー」

「ほーら、母様。こっちだぞー」

「指、指ある? 私の指ある?!」

「大丈夫、繋がってる」

「大丈夫ですわ、繋がってますわよ」

「ヴー・・ほーきちゃ・・・」

 

ラウラに導かれるまま、箒に抱き着きまた動かなくなった。

 

「えーと、箒?」

「うむ、どうやら、肉体と共に記憶も幼児退行しているらしくてな。ご覧の通りに、記憶にある私と自分と同じ匂いのするラウラにしか懐かないのだ・・・!」

「ガチの野性動物化してる・・・!?」

「はっはっはっ、参った。未来の真琴はムッチリ感が凄いが、過去の真琴はモッチリ感が凄いぞ・・・!」

「まったく、参った様に聞こえないんだけど」

 

自分の腹辺りにしがみついて離れない真琴を、撫でたりポンポンしたりしながら、箒は満面の笑みを浮かべる。

鈴はセシリアにより治療中だ。

 

「あれ? そう言えば一夏は?」

「あれ?」

「・・・・・」

 

いつものメンバーの一人である一夏が居ない。呼んでいないという訳ではないが、居ない。

それは何故なのか?

無言で目を逸らした簪を、真琴以外の全員が見た。

 

「はっはっはっ、皆、どうかしたのかね?」

「簪、お前、あのドリンクどうした?」

「君達の様な、勘の良い連中は嫌いだよ」

「こいつ、やりやがった・・・!」

「だって、怪しかったし・・・」

 

のほほん¦『お嬢様、おりむー発見しました~』

髪飾¦『ご苦労』

すずね¦『ご苦労、じゃねーわよ』

蒼雫¦『本音さん、一夏さんの容態はどうなってますの?』

のほほん¦『おりむーはね~、屋上で寝てたよ~』

白猫¦『なんで屋上?』

ほーき¦『なんか、高いところに行きたがるカタツムリの話が・・・』

髪飾¦『やめよう! その寄生虫は洒落にならない!』

のほほん¦『おりむーは無事確保~、またね~』

 

取り敢えず、一夏の無事は分かった。体も真琴の様に幼児退校はしていない様だ。

本音が何故か、〝画面外〟に手を振っていたのが不思議だが、相手は本音なので、他に〝誰か〟居たのだろう。

 

「夕石屋の二人からも、明日になれば戻っているらしいから、今日一日はな」

「真琴もこんなだしね」

「喫茶五百蔵の夏のケーキフェアはまだやってるし、明日にしようか」

「すまんな」

「指取れそうになったのは予想外だけど、明日にしましょうか」

「鈴は本当にすまんな。明日は〝五百蔵〟で一番高いケーキを奢ろう」

「それ〝吹雪スペシャル〟になるからいいわ・・・ あんなの、吹雪以外が食べたら一発糖尿よ」

 

喫茶〝五百蔵〟で一番高価なメニューは、長女専用メニューと言っても過言ではない。

因みに、次点が次女メニューであるが、こちらは普通に少し大きめのパフェだ。

 

「では、また明日」

 

言って解散すると、真琴が箒の腹辺りに頭を擦り付けてきた。時計を見れば、昼寝に丁度良い時間だ。

箒はあまり昼寝をする質ではないが、たまにはいいだろうと、部屋の空調を少し調整してベッドへと横たわる。

 

「ほら、ラウラも」

「うん」

 

自分にしがみついてくる小さな想い人を抱き寄せ、箒はゆっくりと目を閉じた。

 

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

 

おまけ

 

「えっと?」

「・・・・・」

「先生、なの?」

「はい、瑞鶴さん」

 

部活帰りの瑞鶴の目の前に居たのは、自らの弓道の師でもあり居酒屋〝鳳〟の店主でもある鳳洋(おおとり よう)であった。

ただし、

 

七面鳥¦『先生が幼女化して、めっちゃカワイイ件』

蜻蛉玉¦『事案でありますな』

 

ソッコで表示枠を割った。

まさか、正太郎コンプレックスがノータイムで来るとは思わなかった。

 

「瑞鶴さん?」

「ど、どうしたの? 先生」

 

あの鳳洋が幼女化している。

それは何故か?

瑞鶴には知るよしはないが、とある首領が自社試作品で〝夫婦の時間〟を楽しみ、その惚気話に嫉妬した何処かの居酒屋店主がこっそり試作品を譲り受けて、現在に至るという話があったりするが、瑞鶴には知るよしは無い。

 

「取り敢えず、食堂行こうか」

「はい」

 

瑞鶴190㎝、鳳洋120㎝。少し、身を屈めて手を繋いで歩く姿は、年の離れた姉妹のようにも見えたという。




洋さんの狙いは、少し外れ?


次回

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