とある代表候補生の奮闘記   作:ジト民逆脚屋

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はっはっはっ、魔女集会で会いましょうをこっそり投稿してるから、良かったらね?


RE:二十九冊目

「そう言えばさ、真琴のパワーの限界ってどこなの?」

 

鈴がそう言った。手にはレンゲに杏仁豆腐を掬っていた。

 

「ふむ、そうだな」

 

向かいに座る箒が、番茶を啜りながら頷いた。

そして、静かにメニュー表にある本練水羊羹を指し示す。

 

「無料じゃないって訳ね」

「土産も欲しいな。部屋で二人が待っている」

「呼べば? 私、今は懐にかなり余裕があるわ」

 

鈴は言った後、後悔の色を顔に浮かべた。箒が微笑んだからではない。彼女はよくとんでも理論で、こちらを押し込んでくるが、それ程こちらに被害を出したりはしない。そう、彼女一人ならだ。

 

「なら、僕はあんみつね」

「私は宇治あんみつを戴きますわ。最近、日本茶に嵌まってますの」

「私は、葛餅。あ、黒蜜ときな粉で」

「俺、俺も、冷やし白玉で」

「あんた達、どっから湧いてくるのよ?!」

 

この手の話をすると、大体九割の確率で、何時ものメンバーが何処からともなく湧いてくる。

そして、断りなく大量の注文と、会計を押し付けてくるのだ。

と言っても、鈴も同じ事をやっているので、お互い様と言えばお互い様であったりする。

 

「まあ、いいじゃない。私も真琴のパワーは気になる」

「確かにな」

 

簪が言うと、一夏が同意を示す。鈴もそれには同意だ。

適度によく冷えた水羊羹を、箒は切り分けながら、彼女は表示枠を開いた。

 

ほーき¦『真琴、今大丈夫か?』

本熊¦『どう‥した…の‥?』

ほーき¦『食堂に来れるか?』

本熊¦『…大丈…夫…、ラウラ…』

熊兎娘¦『行く!』

ほーき¦『ああ、待っている。後、今日は鈴の奢りだぞ』

すずね¦『あ、ちょっ!?』

 

箒が表示枠を閉じ、切り分けた水羊羹を一口。湯気の立つ番茶を啜る。

 

「さあ、鈴の財布は何処まで保つのか?」

「鈴さん、お金の貸し借りは避けたいのですが、もし足りなければ……」

「やめてセシリア、余計に虚しくなるわ……」

 

 

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

 

 

「…来た…よ」

「うむ、みつ豆を食べるか?」

「食べる!」

「はっはっはっ、いい返事だ、ラウラ」

 

涼やかな硝子の器に、寒天、小豆、果物が盛られ、同じ盆には黒蜜の入った器がある。

 

「さて、真琴。お前を呼んだのは、これだ」

 

みつ豆を食べる真琴とラウラの前に、一枚の金属を出す。それは硬貨ではなく、何かの絵が描かれたコインだった。

 

「コイン? この間の?」

「ああ、久々のゲームセンターで、久々にコインゲームを見てな。懐かしく思ってな」

「んで、そのコインを?」

「真琴、いけるか?」

「…へ? …うん…」

 

真琴がテーブルのコインを、人差し指と親指で摘まみ、いとも簡単に折り曲げた。

 

「え、マジで?」

「うむ、硬貨を変形させるのは犯罪だからな」

「あ~、真琴。まさかだが、そのコイン、もう一度曲げられる?」

「…あ、…うん‥」

 

シャルロットが言うと、真琴はみつ豆を口に含んだまま頷き、二つ折りになったコインを再び手に取った。

 

「あぁ! ゲーセンのコインが四つ折りに……!」

「フォーチュンクッキーみたいになった……」

「?」

 

驚愕に引く面々を、真琴はみつ豆を口に運びながら、キョトンとした顔で見ていた。

 

「ほら、ラウラ。口の周りに黒蜜が着いてるぞ」

「おむむ……」

「いや、なに普通にしてるのよ?」

「なにがだ?」

「真琴さんのこれですわ……!」

 

フォーチュンクッキーになったコインを、セシリアが摘まみ上げ、箒に突き出した。

鈍色のそれを箒は受け取り、懐かしいものを見る目で見ていた。

 

「うむ、やはり真琴は素晴らしいな……!」

「はい、ダメ。箒が始まった」

 

簪が葛餅に追加の黒蜜を回し掛けながら、表示枠を開いた。

 

髪飾¦『箒劇場が始まる』

白夏¦『なにそれ?』

白猫¦『ははは、一夏は馬鹿だなぁ』

白夏¦『ひどくね?』

蒼雫¦『まあ、一夏さんですから』

すずね¦『安定の扱いね』

 

白玉につぶ餡を乗せ、口に放り込む。

慣れた安定の扱い、特に気にする事は無い。

一夏は表示枠に打ち込んでいく。

 

白夏¦『吹雪、居るか?』

空腹娘¦『あ、一夏だ』

すずね¦『久し振りね、睦月は?』

にゃしぃ¦『久し振りー』

白夏¦『いきなりだけどさ、吹雪。コイン曲げれる?』

ズーやん¦『いやいや、ふぶっちを何だと思ってんの?』

邪気目¦『〆るか』

船長¦『〆るぞ』

元ヤン¦『潰すぞ』

二人¦『誠に申し訳ありませんでした……!』

 

ちょっとの提案のつもりが、予想外な返しというか、予想出来た人物達から強烈な返しが来た。

 

空腹娘¦『コイン? 曲げれますよーう』

白夏¦『マジで?』

空腹娘¦『ほい』

にゃしぃ¦『うわ、ホントに曲げた!』

空腹娘¦『お腹が空きましたよーう』

すずね¦『あれ、吹雪? おーい』

にゃしぃ¦『吹雪ちゃん、冷蔵庫のタッパーは今日の晩御飯だよ』

白夏¦『あ、いつものだ』

 

これを最後に、表示枠内から二つの名前が消えた。

 

「え~、因みに、この中でコインをフォーチュンクッキーに出来る人」

「居ると思うの?」

「はい、すみません」

 

綺麗な謝罪をする一夏達を他所に、簪はテーブルの一画に目をやる。

 

「む…む……」

「母様母様、これはおいしいぞ!」

「はっはっはっ、白玉あんみつはどうだ?」

 

箒が真琴に次々と皿を渡し、真琴も箒から渡されるままに、甘味をラウラと共に次々と片付けていく。

食堂のテーブルに、夏用の硝子の器が塔を作っていく。

 

「あ、私も磯辺餅追加、焙じ茶も」

 

それを見た簪は、どさくさに紛れてメニューを追加、フォーチュンクッキーコインを、どうにかして戻そうと躍起になっているメンバー達を見る。

 

「真琴、因みにあれ、戻せる?」

「…あ…うん‥」

 

フォーチュンクッキーコインが、真琴の握力によって、ただの折れ目がついたコインに戻った。

それを見た箒とラウラ以外が、少し距離を取った。

 

「うむ、流石だ、真琴。あ、そうだな。いきなり話を変えるが、明日実家に行こう」

「へ?」

「はっはっはっ、御義母様にお呼ばれをしたのだ」

「えぇ……」

 

湯気の立つ番茶を一口啜り、箒は当たり前の様に言った。




次回
強制イベント発動&真琴ママン登場?
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