宙を目指す世界にて 【凍結】   作:シエロティエラ

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更新します。
今回は短めです。


それではゆったりと






無人機襲来

 

 

 

 時間は少し巻き戻り、試合場ではカウントが始まる前に、一夏と鈴は空中で向き合っていた。貧乳発言以来、二人は久方ぶりに相対している。

 

 

「で? ちゃんと反省した?」

 

「貧乳発言については悪かった。本当に反省している。けど……」

 

「……けど?」

 

「……約束については本当にわからない。士郎に考えろって言われたけど、本当にピンとこないから、何を反省しなければいけないのかわからないんだ」

 

「……そう。ならいいわ。ここであなたを潰すから!!」

 

 

 鈴はその表情を憤怒に染め、カウントを待った。一夏は未だもってうんうんと唸っていたが、気持ちを切り替えたのか、自身の唯一の武装『雪片弐型』をコールし、構える。

 

 

「……鈴」

 

「……なによ。手加減しろとか言うつもり?」

 

「いや、違う。俺が勝ったら、その約束の本当のことってやつを教えてくれよ?」

 

「……いいわ。まぁ万が一にも」

 

 

 カウントが零になると同時に、鈴の肩部ユニットが動いた。

 

 

「私が負けるわけないけどねッ!!」

 

 

 声と共に、一夏を不可視の衝撃が襲った。

 

 

「グッ!? なんだ!?」

 

「私の専用機、『甲龍(シェンロン)』の衝撃砲はどう?」

 

「甲龍? 衝撃? なんグァア!?」

 

 

 一夏はまるで見えない拳に殴られたが如く、次々に衝撃砲の攻撃を食らっていく。

 

 

 

 

 

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 観客席では、一夏の様子を見ていた箒が、疑問の声をあげていた。

 

 

「鈴は何をやったのだ? 一夏が勝手に攻撃を食らっているようにも見えるが」

 

「『衝撃砲』ですわ。空間に圧力をかけて砲身を生成、余剰衝撃を弾丸として発射する第三世代の装備ですわ。加えてあれは全方位に発射できるので、極めれば死角からの攻撃を防ぎつつ、反撃できます」

 

「あれ? ハイパーセンサーじゃあわからないの?」

 

 

 セシリアと箒の話を聞いていた数人のうち、鷹月という子が代表で質問する。

 

 

「空間の歪曲などは察知できると思いますが、それは既に発射された後です。なので……」

 

「避けるのは不可能だと」

 

「……ええ」

 

「織斑君大丈夫かなぁ?」

 

「おりむーファイトなのだ~」

 

(……一夏)

 

 

 

 

 

--------------------

 

 

 

 

 

 一組の生徒が一夏を応援するなか、本人は非常に焦っていた。このままでは、一度も反撃することもなく試合が終わってしまう。

 

 

「クソッ!! どうすれば……ゴァアッ!!」

 

「いい加減に沈みなさい!!」

 

 

 ようやく、しかしまぐれの連続ではあるが、衝撃砲を避けはじめた一夏。彼はその間、打開策を必死に練っていた。

 

 

(このままでは、本当にワンサイドゲームなる!! なんとかしないと、せめて衝撃砲をどうにかしないと)

 

「いつまで逃げてるつもりよ!!」

 

 

 しかし衝撃砲をどうにかするにしても、弾は不可視、加えて鈴は正確無比に視線を向けた先に撃ってくるので、はっきり言えば避けるのは難し……

 

 

(待てよ? 視線を向けた先に撃ってくる? ならその方向に行かなければどうなる?)

 

 

 疑問をおぼえた一夏は、とりあえず鈴の視線から外れるように行動を重視した。

 するとどうだろう? 面白いように衝撃砲を回避することができる。

 

 

(やっぱりだ!! 鈴の衝撃砲は強いが、鈴が見た先にしか放つことが出来ない!! なら避けるのは簡単だ!!)

 

「このッ!! 何で当たらないのよ!!」

 

「当たりたくないからだろ!!」

 

「つべこべ言わずに当たりなさい!!」

 

「そんな無茶苦茶な!!」

 

 

 しかし会話をしながらもしっかりと回避する一夏、ある意味それは挑発行為のようなものである。事実、この行動は鈴の苛々に拍車をかけていた。

 

 

「ああもう、焦れったい!! 遠距離が当たらないなら近接よ!!」

 

 

 鈴はそう叫ぶと二振りの青龍刀を呼び出し、それを連結させて双刃剣にした。

 鈴のISはパワー系、それ即ち一撃でも食らえば、自身のS.Eは大幅に持っていかれる。

 

 

「一夏、知ってる? 絶対防御も完璧じゃあない。防御を越える衝撃を加えたら、搭乗者にもダメージが及ぶわ」

 

「……」

 

 

 知っている。

『白式』の単一仕様能力(ワンオフアビリティ)たる『零落白夜』もその類いなので、千冬から一夏は再三忠告されていた。この能力と武器は、下手すれば人をも容易く切り捨てると。

 

 

「でもだからと言って容赦はしないわ。あたしはあんたに全力でぶつかる」

 

「ああ、俺もその方がいい」

 

「覚悟はいいみたいね。それじゃあ……」

 

 

 だが一夏達はぶつかり合うことなく、突然アリーナ天井のシールドが破られ、黒く大きなものが轟音と衝撃と共にアリーナに突っ込んできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突然衝撃が襲って間もない頃、士郎はISを展開してカレンを衝撃から庇っていた。幸い二人には怪我はなく、閉じ込められた様子もない。

 

 

「……今のはいったい。カレン、無事か?」

 

「ええ、大丈夫です。何事なの?」

 

「わからん。何かが突っ込んでくる気配がしたから、咄嗟に君を庇ったが……ん? この通信、千冬から?」

 

 

 どうやら千冬から通信がきたらしく、士郎は応対の選択をとった。

 

 

 《士郎、カレン!! 無事か!?》

 

「ええ」

 

「こちらは何ともない。それより今のはいったい何だ? 悪いが簡単に説明を頼む」

 

 

 今は緊急時、よって体裁は気にせず、単刀直入に切り出した。

 

 《ああ、正体不明のISによる奇襲だ。こちらの防衛システムがジャックされていて、生徒を逃がすことができず、教師も出撃できない状態だ。ISは一夏と鈴が対応している》

 

「なるほど。それで、私は単独行動をとっていいのか?」

 

 《……それで事態が良くなるのなら、お前に判断を委ねる》

 

 《織斑先生、本気ですか!? いくら経験豊富とはいえ、生徒に単独行動させるのは!!》

 

 《山田先生、すまないが今はこれが最善だ。出来れば私も出撃したいが、それは今は無理に等しい》

 

 《……》

 

 

 山田先生と千冬の会話を聞いている間も、アリーナの方では戦闘が進んでいる。そして先程から気になっていたが、更に4機ほど、学園の外から反応が出ている。

 

 

「……千冬、山田先生」

 

 《なんだ?》

 

「更に複数の反応だ。アリーナは一夏に任せ、俺はそちらに行く」

 

 《え? ッ!? 織斑先生!! 衛宮君の言うとおり、アリーナにいるのと同じ反応が複数です!!》

 

 《何だと!?》

 

 

 流石に予想外だったのか、千冬も焦った声を出す。その間にも、刻一刻と4機は迫ってくる。

 

 

「……時間がない、私は出るぞ。後で始末書でも何でも書いてやる」

 

 《え? ちょっ!? 衛宮君、まってk……》

 

 

 通信を無理矢理遮断し、守護者を背部スラスターのみ展開させる。

 

 

「……すまない、カレン」

 

「いいわ、薄々こうなることは予感がしましたから」

 

「……そうか。だが今回は心配しなくても大丈夫だろう」

 

「ええ。ならその間、私は避難誘導でもしましょう。閉ざされた扉は黒鍵(コレ)で破壊できますから」

 

「頼んだぞ。ああ、それとカレン」

 

「? なに?」

 

「……別に、侵入者を追い払わずに、全て倒してしまっても構わんのだろう?」

 

 

 カレンに心配させまいと、赤い弓兵のような口調で、挑発のような言葉を紡ぐ。

 

 

「……ええ、あなたの思うままに」

 

 

 答えを聞いた士郎はスラスターを吹かし、一気にカタパルトから飛び立った。

 

 

 ━━気をつけて

 

 

 風をきる音に紛れ、カレンのそんな言葉が聞こえた。これは、益々死ねない理由が増えた。

 眼下に戦う一夏たちが目に入ったが、相手は随分と大きな異形。解析の魔術により、敵は全身を機械で構成されていることが判明した。制御室の千冬に、侵入者は無人機であるとのメッセージを送り、更なる襲来者の元へと士郎は急ぐ。

 

 アリーナから北方向へ進むと、海上で四方を無人機に囲まれた。

 複数の複眼が見つめる先の士郎自身の両手には、ISの武装のようなゴツゴツした機械じみた剣ではなく、片や波紋が浮かぶ白の剣、片や赤い亀甲模様が浮かぶ黒の剣を握っていた。

 

 

「さて、お前たちは機械だ。ということは、手加減の必要がないことを示す」

 

 

 言葉を紡ぐ士郎に、無人ISは腕についた砲口を向ける。そして打ち出すためのエネルギーを充填する。

 そして言葉が終わるのと砲撃が放たれるの、士郎が消え、そして四体のうち一体の無人機の腕が消えたのは同時だった。無人機の人工知能、突然のことに固まっていた。

 

 

「ふむ、存外脆いのだな。これは、各国が謳う最強の兵器というのは取り下げねばなるまい」

 

 

 全ての無人機が目を向けた先には、奪われた片腕を弄ぶ青年の姿。彼の背部スラスターは所々がボロボロと崩れている、が、そこもすぐに修復される。

 腕を投げ捨てた士郎は、今度は一本の長槍を取りだし、構えた。

 

 

「さて、貴様らに自我があるかは知らんが、貴様らがこれから挑むのは、機械では決して越えられない壁だ。存分に味わうといい

 誰がこいつらを操っているかは知らんが、精々男と侮って手を抜け。その間に全て処分させてもらおう」

 

 

 言葉と共に武器を構え直した士郎と四体の無人機は、大きな衝撃と共にぶつかった。

 

 

 

 

 

 

 

 






はい、ここまでです。

何か今回は纏まりが無くて申し訳ない。本当に戦闘描写は苦手なんです。
加えてISを最後に読んだのはまだMF文庫時代でしたので、ざっと四年ほど前になります。
ですので、多少抜けている点があれば、出来ればスルー若しくは私個人宛にメッセージでお知らせください。

さて、次回は主に一夏方面です。

それでは今回はこの辺で




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