宙を目指す世界にて 【凍結】   作:シエロティエラ

12 / 14


まずは謝罪と言い訳を。
一応不定期更新としておりますが、遅くなってしまい申し訳ありませんでした。
更新に5日以上空いた理由は、少しスランプ気味だったためです。
加えてリアルも引っ越しなどで忙しく、下書きを少しずつ書いたり、お気に入り作品を拝読をする時間はありましたが、書き込むとなると三時間は普通にかかります。
まぁ私が遅いだけでしょうが。


そんなわけで更新です。

それではゆったりと






無人機戦

 

 

 

 轟音と共に一夏と鈴の間に割り込んできたそれは、衝撃と共に地面に激突した。砂ぼこりがもうもうと立ち込める中立ち上がったそれは、人形をした巨大な黒いモノだった。

 

 

「……なぁ鈴。あれってなんだ?」

 

「……知らないわ。というかあれってIS?」

 

 

 巨大なISらしきモノは、頭部にあたる部分に付属するモノアイを動かし、周囲を見渡している。それはまるで、自らの敵を探しているよう。

 

 

「ッ‼ 不味いぞ鈴‼ もしこいつが辺り構わず暴れたら…」

 

「わかってるわ‼ S.Eが持つまで奴を足止めするわよ‼」

 

 

 一夏と鈴の会話に反応するかのように、黒いモノは体を動かした。そしてそこで漸く砂ぼこりが晴れ、乱入者の全体像が確認できた。

 高さはゆうに5メートルほど。腕は地に着くほどに長く、ファンタジー作品に出てくるゴーレムを想像させる出で立ちの物体。その表面は頭部も例外ではなく、全て黒い金属質のようなもので覆われている。

 加えて腕部には荷電粒子砲を撃てそうな砲口が付属している。

 そして驚くべきことに、その黒いゴーレムからは未登録のISコアの反応があった。

 

 

《織斑君、鳳さん‼ 無事ですか⁉》

 

 

 そのとき山田先生から、一夏たちに通信が入った。

 

 

「山田先生ですか!? 俺たちは無事、ウォァアッ!?」

 

 

 しかし未確認機はそんなことを構わず、一夏たちに砲撃を始めた。

 

 

《すぐに教員隊が向かいます‼ 急いでアリーナから避難してください‼》

 

「いや、でもウォッ!?」

 

「私たちも攻撃されてて動けないです‼ ああもうっ鬱陶しい‼」

 

 

 鈴の衝撃砲が火をふくが、未確認機には大して効果はなかった。

 

 

「ッ!? 衝撃砲が効かない‼」

 

《織斑君、鳳さ……え? メッセージ?》

 

「くぅ……山田先生‼ どうしましたか!? 山田先生!?」

 

《……騒ぐな。今衛宮から未確認機に関する情報がきた》

 

「「ち、千冬姉(千冬さん)!?」」

 

 

 通信相手は突如、山田真耶から織斑千冬に変わった。マイクの集音を聞く限り、山田先生自ら代わったようだ。

 

 

「千冬姉、未確認機の情報って…」

 

「それに何で士郎が?」

 

《あいつがどうやってわかったかは知らん。だが衛宮によると、あの黒いデカブツは無人機だそうだ》

 

「無人機ですって!?」

 

 

 鈴のあり得ない、と言いたいような叫びが響く。その間も未確認機は攻撃を緩めない。

 鈴の驚く理由はわからないでもない。

 従来のISは人が搭乗してなんぼの機械。コアに意志があるとは言われているが、それでも人が乗らねば動くこともできない。

 だが、今の報告はその前提を覆すもの。無人で動くISを開発されたとなれば、世界のパワーバランスが崩れるのと同義である。

 

 現在ISの軍用は禁止されているが、果たしてどれ程の国がそれを守っているのだろうか? 現にドイツでは、ISを主力とした軍部隊が設立されている。

 そしてそこに無人機の存在が出てくればどうなるか? 必ず軍用しようとする者や国が現れ、それが発端となって戦争が起こる可能性も出てくるだろう。

 

 幸か不幸か、現在アリーナの観客席から闘技場内部は見えなくなっており、そもそも観戦していたのは生徒たちだけだったため、仮にあのデカブツが無人機だったとしても、国のお偉いさんに伝わる可能性は低い。

 

 

《こちらも半信半疑だったが、あれからは生命反応がない。衛宮の情報は間違ってはいないだろう》

 

「そっか。なら搭乗者が傷付く心配はいらないんだな?」

 

《そういうことだ》

 

「でも千冬さん、その当の士郎はどこですか?」

 

《奴は別の案件を遂行してもらっている。こちらの状況だが、デカブツの干渉で教員隊も出撃に時間がかかり、生徒も避難できない状態だ》

 

 

 本当は千冬の頼みではなく、更なる襲来者の殲滅に向かっているのだが、一夏たちは知るよしもない。

 

 

「……どれくらいかかりますか?」

 

《最低でも五分ほどだ。今奴の干渉からプログラムを取り返している》

 

「……鈴。俺たちでやるぞ」

 

 

 千冬の言葉を聞いて考え込んだ一夏は、己の頭に浮かんだ策を鈴に伝えた。

 

 

「はぁ? 教員隊が出てくるまで待たないの? というかね、いくら私が代表候補生だとしてもね‼ あんな奴相手に誰かを守りながら戦うなんて無理よ‼」

 

《その通りだ織斑‼ これは試合ではないのだぞ?》

 

「わかってる。でも早く終わらせるだけ、犠牲者や負傷者がでる可能性は無くなるだろ?」

 

「それはそうだけど、でもあんた」

 

「幸い今はまだ一人も犠牲者が出ていない。ならいま今のうちにやるんだ。勿論俺も戦う」

 

《馬鹿者‼ 戦闘の素人が前に出てなん何になる‼ 無駄に命を散らすだけだ‼》

 

「すみません織斑先生、俺も守られてばかりじゃダメだから」

 

《なっ!? おい待て!? いち……》

 

 

 これ以上は時間の無駄と判断し、一夏は通信を切った。因みに言うが、これらの会話は全て無人機の攻撃を避けながら行っている。

 

 

「鈴‼ やるぞ‼」

 

「ああもう‼ わかったわよ‼」

 

 

 一夏の掛け声と共に、二人は無人機へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……これで二体目。残り二体か」

 

 

 一方衛宮士郎は、自身の専用機を飛行能力に限定し、S.Eを極力使わないようにしていたが、それでも少々厳しい状態になっていた。

 無論戦闘は継続して行える。寧ろ今までの戦いに比べれば、今回は欠伸がでるほど楽な戦いである。しかし士郎の専用機はなかなかにじゃじゃ馬で、飛ぶことに限定していても常にS.Eを消費していた。

 今も背部スラスターは自己修復を行っており、S.Eを消費している。

 

 

「残りは……三割か。帰ることも考えると厳しいな」

 

 

 冷静に無人機の攻撃を避けつつ、この場をどう切り抜けるか考える。

 投影を使えばすぐに片付けることは出来るが、恐らくこの無人機を飛ばした輩は、カメラを通してこちらを見ているだろう。下手に宝具を出して手の内を晒すわけにもいかない。専用機に組み込まれている干将莫耶でなんとか誤魔化している。

 

 だが奴らは逃げてくれないだろう。一体目を倒したときから攻撃が激しくなった。

 これら無人機に関して束は関わっていないことは本人から裏がとれているため、今回の襲撃首謀者として考えられるのは『女性利権団体』の阿呆どもか、テロリスト、もしくはどこぞの国だろう。

 

 いずれにしても、この場で片付けない限り被害者がでることは明白。早く終わらせるに限る。

 士郎は再び双剣を構え直し、一息に三体目を屠った。そのとき、他の二体同様にコアを抜くことを忘れない。万が一のため、束に解析を頼むために回収している。

 

 

「あと一体、S.E残量は……1割と少しか。修復能力をオフに」

 

 

 流石に今修復が働けば、海へとまっ逆さまになってしまうので、士郎は能力を切ることにした。これならばある程度S.E使用量を制御できるはずである。

 

 

「まぁ残り一体。これだけ残っていれば大丈……む? 何処に行った?」

 

 

 三体目に気取られている間に、四体目を見失ってしまった。生物ならば気配でわかるが、機械はそうもいかない。

 ハイパーセンサーを強化した視力と併用して探索すると、果たして最後の一体は見つかった。だがその一体は、真っ直ぐ学園に向かって猛スピードで飛行していた。

 

 

「あの方向は……ッ!? 不味い‼」

 

 

 スラスターの損傷を気にすることなく、士郎は咄嗟に多重瞬時加速(ガトリングイグニッションブースト)を使用して無人機を追いかけた。

 だが四体目は士郎よりも早く学園に着き、その腕の粒子砲にエネルギーの充填を始めた。どうやら学園を吹き飛ばす気らしい。

 そしてここで普段の幸運の無さが加わり、士郎が学園に到着したときにS.Eが切れてしまった。

 更に加えてアリーナの無人機からプログラムの主導を取り戻したらしく、士郎が落下した地点と無人機が砲口を向ける先は、丁度避難している最中の生徒たちのすぐに側だった。

 

 

「え!? 衛宮君、なんで上から!?」

 

「だ、大丈夫なの!?」

 

「それより何なの、あの空に浮かんでるの?」

 

「アリーナにいた奴にそっくりだ‼」

 

「こっちに砲口を向けてる‼ 逃げないと‼」

 

 

 更なる無人機の出現に、場は混乱し始めた。その間もエネルギー充填は続いており、無人機の砲口が禍々しく輝き出した。

 

 

(あれを防ぐには……だが、皆に見られてしまう)

 

 

 結論から言えば、士郎はあの砲撃を防ぐ可能性があるものを持っている(知っている)。しかし、それを使用するということは、魔術を皆の前で使うのと同義。ISの武装と誤魔化すこともできるだろうが、またまた運のないことに、士郎の専用機に盾が搭載されていないことは知られている。

 

 

(使うか……だが魔術(これ)を知られては……それでも投影(これ)を使わなければ……)

 

 

 一人葛藤する士郎。その周りで混乱するIS学園の女生徒たち。もう間もなく充填を完了するだろう無人機。

 

 ふと士郎は顔をあげ、目の前の混乱を見つめる。

 女生徒たちは悲鳴をあげ、どこかに逃げようと走る。比較的冷静なものはアリーナから遠ざかろうとしているが、人混みに呑まれて動けない。なかには転んで倒れてしまう子たちもいる。

 

 

ーー お前は見捨てるのか?

 

 

 ふと、懐かしい声が聞こえた気がした。

 同時に思い出されるは、自身の原点。

 迫り来る炎の海、無力に燃やされる人々。助けを求めながらも次々に息絶える人々。地獄を再現したかのような冬木の街。

 

 

ーー 次は自らの手であの地獄を生み出すか、まぁそれも良かろう。私には関係ないことだからな

 

 

 生み出す。

 あの光景(ジゴク)を、今度は自分の手で生み出すというのか。

 

 

(否、そんなことはさせん。隠蔽がなんだ。今必要なのはこの学園を、生徒を守ることだ。ならば衛宮士郎のすべきことはただ一つ‼)

 

 

 答えを導き出した士郎は、真っ直ぐ前方空中の無人機を見つめた。同時に、赤い外套を纏った弓兵が笑った気がした。

 今回ばかりは、あのいけ好かないあいつに感謝しよう。

 

 敵は一体。出される砲撃は今までで一番強力だろう。

 弓を使って撃墜するか? いや止めておこう。暴発すれば更に被害がでる。

 似た理由で『斬り抉る戦神の剣(フラガラック)』も却下。これが奴の切り札でなければ、結局無駄撃ちに終わる。

 よって衛宮士郎が用意すべきは盾。それも生半可な盾ではない。

 より強固な、より堅実な、より大きな盾を作り出さねばならない。

 

 

「衛宮君‼ 逃げよう‼」

 

「何してるの!? 早く逃げなきゃ‼」

 

 

 士郎の後方で、クラスメイトの少女たち、最前列の二人は確か鷹月と鏡だったか、が口々に叫ぶ。布仏も心配げに士郎を見つける。

 だが逃げることはできないだろう。何処に行こうと、今の無人機の攻撃は学園を吹き飛ばす。恐らく、ISを纏っていても重症は免れないだろう。

 

 

「心配ない。あれは俺がどうにかする」

 

「無理だよ!?」

 

「逃げない「そこまでです」…カレンさん!?」

 

 

 人混みを掻き分け、士郎に避難を促す少女に被せるように、カレンが少女たちを諌めた。制服のポケットから、空になった黒鍵用ホルダーの端が覗く。

 成る程、扉を破壊したのだろう。

 

 

「こうなっては士郎は引きませんから。それで、何か策があるのかしら?」

 

 

 カレンが有無を言わさぬ目で問いかける。士郎は苦笑いしながら、しかし目には光を宿して答えた。

 

 

「ああ。あれを使うことになるが、今はそれが最善だ」

 

「……本気なの?」

 

「あれ?」

 

「あれってなんのこと?」

 

 

 士郎とカレンの会話に、周囲の生徒たちは着いていけなかった。だがそれも当然だろう。

 

 

「ああ。本気だ」

 

「……本当にいいのね?」

 

「……ああ」

 

 

 士郎とカレンは互いに互いの目を見て言葉を紡ぐ。

 殆どの生徒は校舎の方向に避難したが、それでもクラス二つぶんほどの生徒がこの場にいた。もう間に合わないと悟ったのか皆諦めた表情を浮かべ、なかにはひざまづく者といた。

 

 

「……わかったわ。みんな聞いてください」

 

 

 渋々と納得したカレンは、少女たちに体を向けて語りかけた。呼び掛けられた生徒たちは、何事かとカレンに顔を向けた。

 

 

「皆さんはできるだけ態勢を低くしてください。できれば伏せているのが好ましいです」

 

「なに? もしかして何かするの?」

 

「もう手遅れじゃないの?」

 

 

 カレンの発言に、皆一様に訝しむ表情を浮かべた。

 

 

「四の五を言っている暇はありません。私の言うことを聞いて少しでも助かる道を選ぶか。はたまた勝手に行動して死ぬリスクを増やすか、好きな方を選びなさい」

 

 

 カレンの言葉に、少女たちは迷わず地面に伏せることを選んだ。その間に無人機はエネルギー充填を終えたらしく、士郎たちに、正確には士郎に標準を調節し始めた。

 少女たちはそれを見て、絶望の表情を浮かべた。が、その耳に小さな、だがしっかりとした声を聞き取った。

 

 

ーー I am the bone of my sword.(体は剣で出来ている)

 

 

 意味はわからない。だが頭ではなく、心に染み込むように詩が入り込む。

 

 無人機は標準を合わし終え、発射の準備を整えた。

 無機質なモノアイが、一度強く瞬いた。

 

 

「「「衛宮君(エミヤン)!?」」」

 

「……」

 

「『織天覆う(ロー·)』……」

 

 

 無人機のかざした両手の砲口から、莫大なエネルギーを内包した砲撃が発射された。

 後方の生徒たちはそれを見まいと頭も地面に押し付ける。

 しかしカレンと、彼女の近くにいた鷹月や布仏たち数人の少女たちは目の前で起きたことをハッキリと見て、その光景が脳裏に焼き付けられた。

 

 

「『七つの円環(アイアス)』‼」

 

 

 無人機目掛けて翳された士郎の右腕と、その直線上に花開いて砲撃を防ぐ、七枚花弁の大きな光の花を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったくしぶといわね‼ 何なのよあのデカブツは‼」

 

 

 一方アリーナで無人機と戦う一夏と鈴。二人は無人機の攻撃を掻い潜りながら攻撃を放つが、無人機は特に効いた様子を見せていなかった。

 

 

「あのデカブツのシールドが堅すぎる、うぉっと!?」

 

「だから近接で攻めてるんでしょう‼ それでもシールドのせいで攻撃を当てられないのよ‼」

 

 

 シールドの許容力を越えた攻撃を加えればいいのだが、今二人が相手をしている無人機は、並のISよりも強固なシールドらしい。

 なんとかしてシールドを破らなければならないのだが。

 とそこで、一夏が何か思いついたように顔を上げた。

 

 

「そうだ‼ 『零落白夜』だ‼」

 

「はぁ!? あんた何を言って……ッ!! そういうことね‼」

 

 

『零落白夜』とは、一夏の専用機である『白式』の単一仕様能力(ワンオフアビリティ)である。簡単にその能力を説明すると、多大なエネルギーを使用する代わりに、対象のIS本体もシールドごとぶった切る能力である。

 つまり一夏はその能力を使い、無人機をシールドごとぶった切ろうとしているわけだ。

 

 

「幸い奴は一定圏内に入らなければ攻撃しない。そこで瞬時加速を使えば、奴を切れる‼」

 

「確かに、いい手段だわ。でもあんた、S.Eはどれくらい残ってる?」

 

「えっと……瞬時加速と零落白夜、それぞれ一回ぶんほど」

 

「要するに一発勝負か……」

 

 

 この策が失敗しない可能性がないわけではない。

 ありとあらゆる失敗と成功の可能性を模索し、だが結局一夏の案以外考え付かなかった鈴は、一つ大きなため息をついた。

 

 

「……わかったわ。それでいきましょう」

 

「おう‼」

 

 

作戦が決まったそのとき、アリーナの外から大きな音と衝撃、そして眩い輝きが発せられた。

 

 

 

 

 

 





はい、ここまでです。

中途半端、並びにグダグダな内容ですみません。
これも全て、ゴルゴムのウルフオルフェノクの世界の破壊者の眼魂を集めているロイミュードのドーパントの仕業でして……

次回は決着です。
そしてそのあと番外編を書き、fateを一つ二つ更新してハリポタに移ります。


それでは今回はこのへんで。


アンケート、まだまだ募集中です。回答される方は活動記録にお願いします。



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。