宙を目指す世界にて 【凍結】   作:シエロティエラ

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更新です。
今回から一気に飛んで原作に入ります。


それではゆったりと




原作一巻
IS学園入学


 

 

 

女子、女子、女子、女子、女子etc...

 

生前(まだ死んだことないが)でも男女比率がおかしい環境にいたが、これは流石に俺でもキツい。

教室を埋め尽くす女子達、救いがあるとすれば、俺は一番後ろの席(それでも真ん中の列だが)であることと、その列の最前列に一夏がいることにより、殆どの視線が彼に殺到していることか。あとは左隣がカレンであることぐらいだな。

まぁ俺の右隣の生徒は俺を見ているが。

 

俺達が今いるのは『IS学園』の一年生教室。『インフィニット・ストラトス』と呼ばれる、宇宙航行用マルチフォームスーツのいろはについて学ぶ学園である。

まぁ一般的に見れば、専門的なことを学ぶ高等学校といったところか。

 

このインフィニット・ストラトス、通称『IS』だが、8年ほど前に出会った兎娘、篠ノ之束によって発明された。

彼女はそれを宇宙航行用として開発したが、世界政府はそれの兵器面としての有用性にしか着目しなかった。加えてISは今のところ女性にしか扱えないという欠陥があり、世の女性の半数以上が偏った考え、女尊男非の思想を持つようになってしまった。

 

まぁ兵器面としての有用性を見られたというのは、あの()の自業自得としか言えまい。証明の方法を間違えたのだからな。

自衛隊のコンピューターをハッキング、ミサイルを一斉掃射させ、自身の友人で一夏の姉たる千冬に撃墜させた、それが丁度7年前。

まだ中学生の千冬では全て落としきれず、俺が狙撃して破片もろとも消さなければ、本当に死傷者が出るところだった。

 

その影響で篠ノ之一家は離散、束と俺の尽力でなんとか幼い箒は両親と暮らせるようになったが、束は一人姿を眩ませることになった。

暫くは政府の監視のもと、ISのコアを製造していたが、四百ちょっとまで作って、あの娘は再び姿を眩ませた。今は何処で何をしているかは知らん。

 

 

世にISが発表された数年後、世界ではISを用いたスポーツ大会が行われるようになった。俺からしてみれば、ただの武器紹介大会にしか思えないがな。

 

一夏の姉たる千冬も二度その大会に出場し、一度は優勝した。

だが二連覇はなし得なかった。

理由は一夏の誘拐である。

 

目的は何だか知らんが、中二の頃に開かれた二回目の大会に、俺と一夏、カレンは会場のドイツに滞在していた。

そしていよいよ千冬の決勝試合というとき、事は発生した。

何人かの黒服集団が一夏を車に乗せ、走り去ったのだ。

 

俺はカレンと千冬に連絡し、自分は強化した肉体で車を追跡した。そして奴等の根城に辿り着き、隙を伺って場を鎮圧した。

一応念のために変装をしていた、といっても髪をかき揚げ、いつもの軽鎧に白い外套だから正体はバレていない。流石に犯人と勘違いされ、千冬が襲ってきたときは肝が冷えたが。

 

 

まぁそんなこんなで非日常が時々降りかかるなか、一夏が試験場を間違えてISを起動するという、何とも迷惑なことをやらかしてくれた。

 

先程も述べたが、ISは何故か女性しか扱えず、その影響で男性の人権は理不尽に貶められているのが現状だ。

そんな中、世界で初めてISを起動させた男が現れたのである、どうなるかは自ずと察することができるだろう。

 

その影響か全世界の男も起動テストが行われ、俺も二番目に動かしてしまった。そのときの同級生の嫉妬の目は、カレンが嬉しそうな笑みを浮かべるものだった、とだけ言っておこう。

 

そして現在の状態に帰結する。

俺は学園に強制入学させられることを受け、カレンは受かった一般高等学校を蹴って俺に着いてきた。

本当に俺には過ぎた良い女である、たまに簀巻きにしなければもっと良いのだが。

 

 

しかしこの視線はどうにかならんのか?

いやまぁ、周りが女子ばかりで平然と読書をしている俺が変なのだろうが、あまり無言で見つめられていてもいい気はしない。

加えて一夏に飽きたのか、殆どの視線が俺に集中し始めた。中には侮蔑の視線も混じっていたが、気にするだけ無駄だろう。

 

 

「みんな揃ってますか? それではSHRを始めますよ?」

 

 

教室の扉が開き、小柄な女性が入ってきた。成る程、この女性がこのクラスの担当か。

それにしても、少々若々し過ぎるというべきか、実年齢は俺よりも10ほど下だろう。

それに何だかしゃべり方といい、声の調子といい、桜に非常に似ている気がする。

 

 

「今日から一年間、この一組の副担任をします、山田真耶と言います。皆さんよろしくお願いしますね」

 

「「「……」」」ジー

 

「えっと……あの(汗)」ダラダラ

 

「「……よろしくお願いします」」

 

「ッ!! はい!! よろしくお願いします!!」

 

 

挨拶には挨拶を返すのが基本だろうに。返したのが俺とカレンだけとはこれは如何に。

だがまぁ、調子を持ち直してくれてよかった。見たところ山田先生、実力はあるだろうが、気弱な性格がそれを殺してるな。

 

 

「それじゃあ自己紹介からいきましょうか。まずは……」

 

 

まぁそうなるだろうな。何処の世界でも、まずは名前を知らないと話が進まない。交渉でないのならば尚更な。

……一瞬頭に変な光景が浮かんだが、無視を決める。右目を片手で隠して、「フランシスコ・ザビ……!!」なんて叫ぶ少女など知らん。

 

 

「衛宮君、お願いします」

 

「はい」

 

 

俺の順番となり、立ち上がる。そして俺に殺到する視線。若干一名、面白いことを言えという視線が向けられているが、具体的には左隣から。

 

 

「衛宮士郎です。趣味は鍛練に刀剣鑑賞、あとは料理ですね。ご存知の通り、私は二人目の男性操縦者ですが、ISに関しては素人もいいところ、迷惑をかけますがよろしくお願いします」

 

 

簡単に終わらせ、即座に耳栓を投影する。序でにカレンにも渡しておき、二人してそれを装着した。

理由は簡単。

 

 

「「「きゃああああああッ!!!!」」」

 

「男の子よ!!」

 

「クラスに男の子!!」

 

「お母さん、生んでくれてありがとう!!」

 

 

これである。

正直耳栓をつけていても辛い。ぼーっとしていた一夏なんざダメージをうけている。はっきり言って虎の咆哮より……いや、虎の咆哮のほうが酷かった、俺が悪かった。

 

 

「次は織斑君、お願いしますね」

 

 

先生に話かけられたが、未だ反応しない一夏。いくらなんでも精神面弱くないか? もう慣れてもいい頃だろう?

 

 

「織斑君。織斑一夏君」

 

「は、はい!?」

 

「あ、びっくりしたかな? ごめんね? でも今自己紹介してて次は織斑君の番なんだよ。大丈夫?」

 

「だ、大丈夫です先生!! します、しますから!!」

 

「ほ、本当ですか!? 絶対ですよ!?」

 

 

何を漫才しているのだ、あの二人は。とりあえず早くせねば時間が足りなくなるぞ?

一夏は立ち上がり、深く深呼吸をして生徒達に顔を向けた。途端女生徒達の視線が一夏に殺到し、彼はたじろいだ。む? あのポニーテールは……もしや箒か?

 

 

「ぇえーっと……織斑一夏です」

 

 

一夏はそう言うと黙りこくった。

……俺や他の生徒の自己紹介聞いていたか? というより自己紹介なんぞ今まで腐るほどやってきていただろうに。

しばらく観察していると、一夏はまた深く深呼吸を一回した。ようやく続きを言うのか。

 

 

「……以上です!! 『スパァン!!』あだぁあ!?」

 

 

……俺がベッドバンキングを机にかまし、カレンがニヤニヤした笑みを浮かべ、一夏が千冬から出席簿で叩かれたのも仕方がないだろう。そう、仕方がないのだ。

そして一夏よ、俺は昔言ったぞ? 余計なことを言う前に、頭で考えて発言しろと。千冬を関羽と呼称すれば再び叩かれるのは自明の理だろうに。

それよりも千冬の服装、スーツだな。ということは、彼女はここで働いていたのか。

 

 

「まったく、お前は自己紹介もろくにできないのか? 少しは衛宮を見習ったらどうだ」

 

「いや千冬姉、俺は『スパァン!!』イダッ!?」

 

「学校では織斑先生と呼べ」

 

 

恐ろしいことだ。

少しでも彼女の勘に障る思考や発言をすれば、あの出席簿で叩かれるのだな。以後気をつけるとしよう。

 

 

「諸君、私はこのクラスの担任である織斑千冬だ。お前達新人を一年で使い物になるよう教育をするのが私の仕事だ。この教室では私が法律だ、返事は必ずはいだ、不満があってもはいだ。いいな?」

 

 

はい、独裁宣言いただきました、と。

昔から思っていたが、彼女は力で押さえつけること以外知らんのか? いずれ『力』と『強さ』を履き違える馬鹿者がでてくるぞ?

 

 

「キャアアアア!! 千冬様よ!!」

 

「本物の千冬様よ!!」

 

「もっと叱って!!」

 

「でも時々優しくして!!」

 

 

……恐ろしいことだ。

あれか? このクラスにはアブノーマルな人種しかいないのか? いや俺もある意味アブノーマルだが、変わった性癖は持ち合わせていないぞ、うん。

千冬額に手をあて、深いため息をついていた。俺もその気持ち、わからなくはない。

 

 

「毎年毎年、よくもまぁこれだけ集まるものだ。これは私に対する嫌がらせか? やれやれ……」

 

 

千冬は首を振ると、カレンに顔を向けた。

 

 

「織斑、とりあえず座れ。オルテンシア、自己紹介の手本をこの馬鹿に見せてやってくれ」

 

「わかりました」

 

 

指名されたカレンは静かに立ち上がった。

彼女の動きに連動し、肩掛けとなっている聖骸布と彼女の銀髪が、ふわりと風に揺られた。

何故か知らんが、俺は非常に嫌な予感がし、冷や汗が流れた。

 

 

「カレン・オルテンシアです。趣味と言えるものはありませんが、オルガン演奏と刺繍、料理ができます。それから……」

 

 

このとき、俺は何度目か知れない『悪魔の笑み』というやつを見た。ああ、当たって欲しくない予感が当たってしまった。

そこ、箒に一夏に千冬よ。三人で合掌するな、余計に悲しくなってしまうだろうが。

 

 

「……隣に座る衛宮士郎ですが、彼は小学生の頃から私の駄け……所有物ですし、共に暮らしています。私から彼をとろうとする人は、私が許したもの以外は認めませんのでご了承を」

 

 

彼女は綺麗な声で言葉を紡ぎ、椅子に座った。教室の皆は一様に口を半開きにしている。あの三人は相変わらずこちらに合掌していた。

 

 

「……毎度のことだが、君は場を掻き乱すことが趣味なのか? 最後のは言わなくても別に良かろう?」

 

「牽制というのは大事なのよ、士郎? あなた放っておいたらすぐに落とすのだから」

 

「俺を女たらしのように言うな」

 

「無自覚は恐ろしいこと」

 

「なんでさ……」

 

 

理不尽だ。

神よ、俺は何かお前に対してやったか? ……やってしまっていたな。シスターであるカレンをめとったな。

何のかんの言いつつ、自己紹介時間は終了した。

 

 

 

 

 

 

 

--------------------

 

 

 

 

 

 

 

「士郎~、俺はもう駄目だ~」

 

 

SHR終了後、早速行われた授業で一夏はやらかした。

箒と二人、屋上で積もる話をしていて一秒遅刻、千冬に本日四度目の出席簿アタックをもらっていた。

更に今度は事前に配布されていた参考書を、なんと電話帳と間違えて捨てるという愚行をなしたと告白した。……阿呆なのか?

 

そして授業が一つ終わり、俺に泣きついている状況である。

 

 

「……電話帳と間違えて捨てるなど」

 

「いやだって……間違えるだろ?」

 

「これの何処が電話帳なのだ? こんなに大きく『必読』と書いてあるものが? それにこんな目立つ色で書籍名が書かれているのに?」

 

「うぅ……」

 

「ちょっとよろしくて?」

 

「だいたいお前は昔から……クドクド」

 

「出ましたね、箒さん」

 

「ああ、久しぶりに見る」

 

「「士郎のスーパー説教時間(オカン・タイム)」」

 

「……聞いてますの」

 

「邪魔しないでくれ。今この馬鹿を叱るのに忙しい」

 

「あっはい……」

 

 

彼女(セイバー)とは少し異なる金髪女子が話しかけてきたが、生憎と俺は説教に忙しいので、カレン達に応対を任せた。

 

 

「━━わかったな? 今後は気をつけろ」

 

「……はい(泣)」

 

 

一通り一夏への説教を済ませ、改めて金髪の少女に向き直った。

 

 

「大変失礼した。待たせてしまって申し訳ない」

 

「いえ、大体のことはこちらのお二方に聞かせて頂きました。そちらの泣いている御仁はともかく、あなたのことは特に」

 

「そうか。改めてだが、衛宮士郎という。よろしく頼む」

 

「セシリア・オルコット、イギリス代表候補生ですわ。以後お見知り置きを」

 

 

そう言うと彼女、セシリアは優雅に一礼した。成る程、この子は恐らく貴族出身だな。加えて代表候補、実力は高いのだろう。

互いに二度目の自己紹介を終えた時、丁度チャイムが鳴った。

 

 

「……また後程来ますわ、ミスター。カレンさんも箒さんも、また後程」

 

「ああ、わかった」

 

 

ふむ、今のご時世にしては珍しい気質だな。女尊男非に染まっていないとは中々どうして、将来大物になるだろう。

人の本質を自身の目で見極めることは、普通は心得ていても実践は難しい。その点、彼女は今までそうしなければいけない立場にいたのだろう。

 

 

「授業を始める、席につけ」

 

 

千冬が入室し、皆は急いで各自席についた。

 

 

 

 

 

 






はい、ここまでです。

色々とすっ飛ばしてしまいましたが、この調子で続けていきます。
明日2月14日は、メイン作品にて番外編を投稿します。


それでは今回はこのへんで




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