道人君in艦これ。ただし亡霊。 作:ゆっくりRUISU
では、どうぞ。
呉鎮守府にて。
少し大きめのリュックサックに傘を差し、左手にハンドバッグを持った、
セーラー服を来た一人の艦娘が、眼下の海面を眺めていた。
「きれ~…」
感想をポツリと漏らしてから、振り返る。
目の前には、これから自分が所属する鎮守府の建物が広がっている。
「はぁ。…よしっ」
自分に気合いを入れ、その艦娘は鎮守府へと向かおうとした。
その時。
その艦娘の頭上から、何かが降ってきた。
「え?」
手のひらで、降ってきたそれを受け止めて、眺める。
「ブレスレット…だよね?」
しばらく見ていて、あることに気がついた。
「あっ!時間がもう無いや!」
遅刻してしまう、と思った彼女は、ブレスレットをハンドバッグに押し込み、
鎮守府の提督室へ向かって急いだ。
「うひゃぁっ!?」
…時々、何も無い場所で躓きながら。
そして。
「初めまして、司令官!吹雪です!よろしくお願いします!」
己の提督に対し、艦娘ー吹雪は敬礼をしつつ着任挨拶を行った。
「失礼しました!…はぁ。どうしよう…」
そう言い、提督室のドアを閉めた吹雪が、自らの今後を嘆いたその時。
「あの~…」
「あ、は、はいっ!」
横から声がかかり、慌てて吹雪がそちらを向くと。
「吹雪さん、ですか?」
髪に少し赤のグラデーションがかかり、遠目には少し髪の色が紫のようにも見える艦娘が、
胸の前で両手を組み合わせ、立っていた。
「あっ、はいっ!吹雪であります!
本日付で、第三水雷戦隊に配属になりました!」
「あっ…。
同じ第三水雷戦隊に所属する、睦月です。よろしくお願いします」
「あ、こちらこそ、よろしく…」
そう言って、吹雪が睦月に深々と頭を下げた時。
左肩に提げていたハンドバッグが落ち、中身が転がり出た。
御守り、チマキ、先ほどのブレスレット、そしてペンギンの人形。
※すいません、草の包みの中が分からなかったのでチマキにしました。
「わああぁっ!」
必死になって落ちた中身を拾っていると、
ペンギンを拾い上げた睦月が、無邪気に笑ってから「可愛い♪」と言ったので、吹雪は「アハハ…」と、照れ隠しに笑うのだった。
すると、睦月は、ハァと安堵のため息を漏らしてから。
「良かった~」
「?」
睦月の言動の意味が分からず、睦月の方を見ると。
「特型駆逐艦って聞いたので、もしかしたら怖い人なのかなって思っていたから…」
「私も、怖い人と同じ艦隊になったらどうしようって思ってたから、良かった~」
意見が一致し、睦月と吹雪は互いに顔を見合せ、笑うのだった。
その時。
【…て、………こだ…】
「え?睦月ちゃん、何か言った?」
「吹雪ちゃん?どうしたの?」
「いや、今何か聞こえた気がしたんだけど…」
何か聞こえた吹雪が、睦月に確認を取った時。
【お………しか……聞こ……い…か】
「は、はっきり聞こえたぁっ!?」
「およよ?どうしたの?」
先程よりもはっきりと聞こえ、吹雪は思わず振り返った。
だが、誰もいない。
「あれ…?」
「吹雪ちゃん、行こ行こっ!」
そしてそのまま、睦月によって半ば無理やり移動する事となったのだった。
…結局、背後に浮かんでいた白い服を来たモノの存在に気づくことなく。
【…さてさて、なんで死んだ筈の俺が生きてんのかね。
…てか、これは生きてるって言っちまっていいのか?】
そして。
「ここ?」
「うん。
夕立ちゃん、吹雪ちゃん連れてきたよ」
「ぽい?」
睦月が扉を開けると、金髪緑眼の艦娘、夕立が雑誌を読みつつ返事を返した。
「あ、初めまして。吹雪です!」
「夕立だよ。貴方が特型駆逐艦の1番艦?
…なんだか地味っぽい」
「も~、失礼だよ」
夕立をたしなめつつ、睦月は机に吹雪のハンドバッグを置いた。
「机はこれを使ってね。それで、荷物はこっちに…」
そう言いつつ、引き出しに手を掛け。
引っ張り出した引き出しには、先客ー熊の人形がいた。
「も~、夕立ちゃんっ!
『吹雪ちゃん来るまでに片付けといて』って言ったのに~!」
「だって~。私の引き出しにもう入らないっぽい~」
両手で頬杖を突きつつ、夕立が言い訳をする。
そして、少し言い合いが始まった時。
【…い、う…ろ】
「ま、またっ!?」
また声が聞こえ、吹雪が振り返ると。
そこにいたのは、茶髪で短めのツインテールで、オレンジ色の服の艦娘と
すこし髪型が違うが、服は同じ色の艦娘が立っていた。
「お、気づかれちゃった?
ふむふむ、これが特型駆逐艦の1番艦かぁ。
ちょっと垢抜けないけど、可愛いじゃん」
「あ、貴方は…?」
やっとその言葉を捻り出した吹雪に、睦月が答えた。
「あ、川内さん。同じ第三水雷戦隊のメンバーで、妹の神通さんと那珂ちゃんと一緒に隣の部屋に住んでるの」
…その後。
夜戦について川内が語りだし、夕立に「夜戦バカ」と言われてキレたり。
外でいつの間にか那珂がビラを配っていて、その度に神通が頭を下げていた。
そして、外を走っていた艦娘に睦月が手を振ったりしていた。
…その頃。
海面を割って飛び出した駆逐艦をギリギリで回避しつつ、赤毛にアホ毛の飛び出した艦娘、球磨が叫びながら砲撃を放つ。
「舐めるなクマーッ!」
更に、球磨とほぼ同じ艤装を着けた艦娘、多摩も砲撃を続けて放つ。
「そこにゃ!」
そして、球磨達より一回り程度大きい艤装を着けた艦娘、愛宕も砲撃を行う。
「パンパカパーン!喰らいなさ~い!」
そして、右手に板、左手に弓を持った空母の艦娘、翔鶴が艦載機を通じて索敵を行う。
「…見つけた!」
目的のモノを発見した翔鶴は、鎮守府に打電を入れた。
「第四艦隊、翔鶴より入電!
『敵棲地を発見!』繰り返します!『敵棲地を発見!』」
その電文を受けた艦娘、大淀が同じく艦娘である長門と陸奥に伝える。
そして、陸奥が意思を確認すると、長門は大淀に指示を出した。
「第四艦隊には帰還命令。同時に、これより棲地攻撃用の艦隊を編成する!
打って出るぞ!」
…一方。
「ここが教室っぽい」
そう言われ、吹雪が少し上を見ると、看板に『級逐駆』と書かれていた。
「今日は日曜日で誰もいないから、明日皆に紹介するね?」
「うん、ありがとう。…ん?」
礼を言った後に、時間割を見た吹雪が、唐突に口を開いた。
「ねぇ、睦月ちゃんと夕立ちゃんって、実戦どの位積んできたの?」
「実戦?この艦隊に配属になってから、まだ2回かな」
「1回は、何もしない内に先輩達が倒して終わっちゃったっぽいしね」
「吹雪ちゃんは?」
睦月に聞かれた吹雪は、少し考えた後に、
「この位…?」と、指で示すと。
「20?」と夕立が読み取り、吹雪が言いよどむと、肯定と取られたらしく、
そのまま話が進んでしまった。
その時。
バラララララ…という音が、外から聞こえてきた。
2人に続いて窓際に行き、吹雪が空を見上げると、艦載機の編隊が飛んでいた。
「一航戦の先輩達の、演習っぽい」
「一航戦?聞いたことある!
たった一艦隊で数十の深海棲艦に立ち向かい、完全勝利したと言われる伝説の艦娘達だよね!?」
ワイワイ、と話す吹雪達。そして、睦月の提案で見に行く事になった、その時。
【女………ん…れば………しいってか?】
「ま、またっ!?」
またもや謎の声が聞こえ、吹雪は辺りを見回すが何もいない。
「吹雪ちゃん、どうかしたっぽい?」
「時々、なんか聞こえてるみたいなんだよね。なんだろ」
「ふ、二人とも、聞こえてないの…?」
自分にしか聞こえていないとの事で、吹雪はなるべく無視する事にした。
【…メンドイから黙ってるか】
そして、弓道場に移動しようとした時。
ウゥゥゥゥゥ……という、サイレンが鳴り響いた。
以上です。
原作の『大幅なコピー』に引っ掛かるんじゃないかとビクビク。
台詞の弄りようがあんまり無い。どうしよ。
つ、次は結構弄ります。
次回のタイトル予告!
02話 起動ー翔ける翼
3/7 追記
ちょこっと修正しました。