道人君in艦これ。ただし亡霊。 作:ゆっくりRUISU
この小説は、アニメ1話を前編・後編で区切って書いてます。
あのアラームの後、吹雪は三水戦のメンバーと共に出撃ドッグにいた。
そして、大淀の放送が入る。
『主力の第一機動部隊、第二支援艦隊、第三水雷戦隊。稼働全艦隊の出撃準備、完了しました』
続けて、更に放送が入る。
『秘書艦の長門だ。
第四艦隊が過日、遠征中に敵深海棲艦と遭遇。その際、敵棲地を発見した。
この鎮守府正面海域を制圧している艦隊の棲地であることは間違いない。
これよりここを強襲する』
そう言われた途端、にわかに3艦隊、18人が騒がしくなる。
その時。
【ど…となく……湾…うげ……思わ……な】
また声が聞こえ、吹雪は辺りを見渡すが、やはり何もいない。
そうこうしている間に、出撃する事になった。
警告音と共に、スロープに沿って足場が下がり、最下点に到達する。
(ここまで来たら……、行くしかないよねっ!)
そう自分を奮い立たせ、神通に続いて飛び出す。
そして、『出撃』と書かれた板を踏む。
すると、その板が小さく割れ、その下から出たマジックハンドが、脚に
プラモのように艤装を取り付けて行く。
更に、魚雷発射管を保持したマジックハンドが、太股に魚雷発射管を取り付ける。
その魚雷発射管が180度、上を向く。
そして、革のベルトが伸びて固定される。
そして、今まで乗っていた板が細かく別れると、目の前の水路が開く。
そして、一気に飛び出した。
…まではよかったのだが。
「うひゃぁぁぁぁぁ!?」
情けない悲鳴を上げ、波にも翻弄されつつ吹雪が進むと、
視界上に見えていた板がパタパタ、と回転する。
『雪白』『雪初』『雪深』『雲叢』『波磯』、そして『雪吹』。
そして、その板の横の歯車が回転し始める。
それによって引っ張られた鎖が、背部艤装と主砲を引っ張り出した。
そして、背部艤装が吹雪に激突し、瞬時に固定される。
最後に、飛んできた主砲を右手で掴むと、吹雪は大海原へと飛び出していった。
【…いや、水に浸けててあの装備は動くのか?】
白い服を着たモノの呟きは、吹雪の耳には入らなかったらしい。
その後、第一機動部隊、第二支援艦隊の艦娘らも出撃。
危なげなく、先日発見された棲地目掛け進撃していく。
…たった一隻を除いて。
「う、うわぁっ!?わ、わぁっ!?は、速いっ!?速いぃぃぃ!?」
「特型駆逐艦、陣形崩れてるよー?」
「す、すいませんっ!?」
吹雪は、明らかに他の艦娘達よりも遅れていた。
それを見ていた睦月と夕立が、吹雪に聞いた。
「大丈夫?」
「どこか、調子悪いっぽい?」
「だ、大丈夫っ…。
うわっわっわっわぁぁ!!?」
言ったそばから体勢を崩し、転びかける。
それを見ていた神通が、口を開く。
「吹雪ちゃん、貴方もしかして…?」
「うぇっ!?あ、えーっと…」
言いよどんでから、吹雪は最大の告白をした。
「「「「「実戦経験が無い(っぽい)~~~!!!?」」」」」
直後、派手にスッ転んで海面を転がっていった吹雪を見て、
三水戦全員が、何故出撃経験が無いのかを察してしまった。
この吹雪、運動オンチであった。
そして、不安を抱えたままの初戦闘。
海面から飛び出した駆逐艦が、咆哮を上げる。
それを見て思考を切り替えた三水戦のメンバーは、我先にと飛び出していく。
慌てて追いつつ、吹雪は連装砲を構える。
(…これが深海棲艦…?
あんなに大きいんだ…!)
初めて見る『敵』の姿に、圧倒されかける吹雪。
それを、旗艦の神通が鼓舞する。
「砲雷撃戦、始め!川内姉さん!」
「夜じゃないのにっ!」
そう言いつつ、神通の横に並んだ川内は、左手の砲を構える。
そして、神通・川内は砲撃を開始した。
更に、那珂は砲撃ではなく雷撃を仕掛ける。
放たれた8本の魚雷が炸裂し、駆逐艦の船体をへし折る。
「ドッカーン!」
だが、新しく飛び出した駆逐艦2隻の砲撃が、川内と那珂に直撃する。
「姉さん!那珂ちゃん!」
神通が思わず叫ぶ。
爆炎が晴れると、服が少し煤けた那珂と、
腕のカタパルトがひしゃげ、服も少し破れた川内が立っていた。
それを見ていた吹雪は、ある事を実感する。
(これが、戦い…!)
「見て!」
睦月のその言葉に、正面を見ると。
多量の深海棲艦が、散発的に砲撃を行っていた。
その砲撃を避けつつ、神通の指示に従い単縦陣を組む。
(足手まといにはならないようにしなきゃ…!)
ひそかに決意しつつ、同航戦で砲撃を行う。
放った砲弾が駆逐艦の顔面に命中し、爆炎が生じる。
「やった!?」
しかし、爆炎を裂いて駆逐艦が砲撃を放つ。
飛来した砲弾をギリギリで避けるが、波に体勢を崩される。
「ビビってる暇はないよ!」
「は、はいっ!」
川内に叱咤され、再び砲撃を行う。
そして、戦闘後。
残骸が漂う中を、三水戦が航行していく。
『まもなく、敵棲地に到着します』
そう通信が聞こえた直後、海域の雰囲気が変わり、
『敵』の勢力圏に入った事が吹雪にもわかった。
「吹雪ちゃんっ!」
睦月に呼ばれ、視線を上げると、
真っ赤なオーラを纏った駆逐艦が、口を開けて突っ込んできた。
「きゃああぁぁぁぁ!!?」
なんとか交わすも、暴力的な波に押しやられ、吹き飛ばされる。
吹雪が顔を上げると、先ほどの駆逐艦が大口を開けていた。
その口から砲が飛び出した時、そいつの側頭部に砲弾が炸裂する。
その間に体勢を立て直した吹雪は、先の砲撃で流れた駆逐艦に、狙いを定める。
「お願い、当たってくださーいっ!」
そして、砲撃を放つ。
…だが、外れた。
放った砲撃は当たらず。
そして、その巨体が吹雪を沈めんとした時。
そいつの放った砲弾が、不可視の障壁に阻まれる。
「…え?」
訳もわからずポカンとしていると、再び駆逐艦が砲撃を行った。
だが、先程と同じように、吹雪に当たる前に謎の障壁で防がれる。
2度、3度と砲弾が障壁に弾かれるのを見ていると、不意に。
【おい、シールドバリアーで受け続けるのは止めろ、持たん!】
今までよりもハッキリと、その声が聞こえた。
「え!?」
【見えないならいい!お前のブレスレット、羽みたいな飾りついてんだろ!?】
焦ったようなその声を聞きつつ、吹雪は己の左手首に着けたブレスレットを見た。
「…ホントだ。羽がついてる」
呟き、その羽に触れてみる。
すると、あるイメージが脳裏に浮かんだ。
緑の翼が生え、黄色の双眼を持つ人型の機械。
その機械が、空を飛び回り、両手の銃や翼から出た四角い筒、
そして腰の棒、更には腹からも光を吐き出す姿。
「…ヴェント、フリーダム?」
自然と、浮かんだ名前を呟いていた。
途端、ブレスレットの緑の羽が輝き出した。
そして、吹雪の前にその光が集まり出す。
やがて、その光が収束し、翼の生えた人を形作る。
そして、光が晴れると、鉄灰色のソレが立っていた。
『…やっとマトモに動ける。
PS装甲起動。システム確認。ヴェントフリーダム、出撃するぞ!』
ソレがそう呟くと、鉄灰色だった色が急速に色づいていった。
『とりあえず、テメエはいい加減にしろ!』
そう言うなり、腰から引き抜いた銃で駆逐艦を撃ち抜いた。
『…んで、大体の状況は聞いてたが。
アレを仕留めりゃいいのか?』
そういう機械ーヴェントフリーダム(以降ヴェント)は、陸上にいる深海棲艦、泊地棲姫を指しつつ
未だきょとんとしている吹雪に話しかけた。
「………」
だが、返事は無かった。
直後、砲弾がヴェントの頭部に命中した。
「吹雪ちゃん!」
「吹雪ちゃんから離れてっぽい!」
そう言いつつ、睦月と夕立が砲撃を続ける。
『ちょっと、待てやぁぁぁ!』
そう言いつつ、ヴェントは高度を上げて砲弾を回避する。
そしてそのまま、泊地棲姫目掛けて突撃した。
それを半ばボンヤリと見ていた吹雪は、ブレスレットが消えたことには気づかなかった。
『上にいるのは…九十九艦爆に、九十七艦攻、あと零戦か?データベースで照合出来たが。
…なんでそんな骨董品紛いの代物持ち出すんだ?』
呟きつつ、武装を前面に構える。
『まずは取り巻き狙いってな!』
そう言うなり、両手の銃ービームハンドガン『スピア』と、
翼の四角い筒ープラズマ収束砲『バラエーナ』、腰の棒ー複合レールガン『νクスィフィアス』
そして、腹の複相ビーム砲、『カリドゥス』による斉射を行う。
7門からなるフルバーストは、7体の深海棲艦に突き刺さる。
弾薬や燃料に引火し、全て爆発、残骸に成り果てる。
直後、泊地棲姫の砲撃がヴェントの胴体に突き刺さる。
『…いい砲だな。もぐか』
いい砲、と評価はしたが、ヴェントには傷ひとつ無い。
これは装甲が特殊なせいなのだが、そこは後の機会に。
ともかく。
ヴェントに2発目を撃とうとした泊地棲姫に、16発の砲弾が飛来した。
当然、全弾がいきなり当たるものではないが、数発が泊地棲姫に命中した。
…と思われたが、障壁によって弾かれ、ダメージは通らなかった。
しかし、その障壁に亀裂が入る。
直後、泊地棲姫の近くにいた球体が口を開き、対空射撃を開始した。
だが、それを見ていた空母の艦娘、赤城が冷静に艦攻を発艦させる。
発艦した艦攻は、低高度で抱えている魚雷を放つ。
放たれた魚雷が、泊地棲姫に命中する。
更に、放たれたビームが対空砲火を撃ち上げていた球体を2つ、吹き飛ばす。
『ヒット2、っと』
ヴェントが、両翼のバラエーナを放ったのだった。
最後に、艦爆が爆弾を泊地棲姫目掛け落とす。
一際大きい爆発と共に、泊地棲姫が倒れた。
それを見ていた艦娘達は、もう終わったと思ったが。
ザバァ、という音を立ててヴェントが、沈んだ泊地棲姫を拾い上げていた。
それを見ていた艦娘達に、緊張が走った。だが。
右手で泊地棲姫の頭を掴んだヴェントは、左手で、手斧としても使えるスピアを構え、
勢いよく泊地棲姫の主砲の接続アームに降り下ろした。
接続アームとスピアの刃で、ガチン!と硬質な音と共に火花が散り、接続アームが歪む。
それを、2度3度と繰り返す。
やがて、メキリという音を立て、アームが千切れる。
すると、ヴェントは引き上げた泊地棲姫を放り投げ、千切れた主砲を回収した。
直後、ヴェントの頭部に矢が突きつけられた。
「…武器を捨てて投降しなさい」
『おっと悪い、そろそろ引っ込むぜ。ほいそっちの』
「おっと。…これは良いものだね」
赤城が投降を促すが、ヴェントはそう言うと、もぎ取った砲を背の低い艦娘に投げ渡した。
受け取った艦娘、響はその砲を評価していた。
直後、ヴェントの全身が光り始める。
それを見ていた赤城が矢を放つが、矢は虚空を射抜いた。
気がつくと、赤城の前からヴェントは消えていた。
少し離れて。
赤城達の戦闘を少し遠くから見ていた吹雪は、こちらに向かってくる光の塊を見つけた。
「なんか来たっぽいよ!?」
夕立も見つけたが、砲を構える前に光が吹雪の左腕に集まっていった。
数秒後、左腕にはブレスレットが戻ってきていた。
【さて、シールドエナジーヤバかったんで引っ込んだが】
「うひゃぁっ!?」
声がまたもや聞こえ、吹雪は辺りを見渡した。
右、いない。
左、白い服。
後ろ、いない。
…左に白い服を来た誰かがいた。
「な、なんかいるぅっ!?」
白い服を着たそれが浮いているのを見て、吹雪は飛び上がって驚く。
【おいおい。俺、お前が提督室から出た辺りからいたぞ?】
ソレがそう言うのを聞いていた吹雪は、あることに気づいた。
「…睦月ちゃんと夕立ちゃん、この人見えてないの?」
「え?誰かその辺りいるっぽい?」
「吹雪ちゃん、休んだ方がいいんじゃない?」
【…あ、なんかこれ見えてないらしい。ブレスレット渡したら見えるようになんねぇかね】
ソレにそう言われ、吹雪はブレスレットを外して、睦月に渡してみた。
「睦月ちゃん、これ着けてみて」
「どうして?まぁいいけど…。
…って、ホントに何かいたぁ!?」
【おう、よろしく】
だが、ブレスレットを吹雪に返すなり、睦月にはソレは見えなくなった。
同時に、声も聞こえなくなる。
【…これはアレだ、どうやら俺はそのブレスレットを持ってりゃあ見えるらしい】
分析しているソレに対し、吹雪は尋ねた。
「えー…っと、お名前聞いてもいいですか…?」
【ん?ああ、名前か。名乗ってなかったな】
そう言うと、それは1呼吸置いてから口を開いた。
【義善道人だ。多分職業は亡霊だな、今。生前は学生だが】
肉体を失った彼は、そう名乗った。
…その後、第一機動艦隊・第二支援艦隊・第三水雷戦隊は何事もなく鎮守府へ帰還した。
そして、夕暮れの中、吹雪は岬に来ていた。
その心の中にあるのは、今日の戦闘の事である。
【どうした?そんな辛気くさい顔して】
唐突に、道人が吹雪に話しかけた。
「いえ、私、艦隊の足引っ張っちゃってるんじゃないかって不安になっちゃって…」
【なんだ。そんな事か】
吹雪の悩みを聞いた道人は、スッパリと切って捨てた。
【月並みな事を言わせて貰うと、だが。
苦手なら苦手で、出来るとこ伸ばすなりすりゃいい話だろうが。…っと、誰か来たぜ】
軽くアドバイスをした後、背後から来た『誰か』の事を伝えると、道人は黙った。
吹雪が振り返ると、そこには。
「し、司令官!」
白い軍服を着た、自らの提督が立っていた。
そして、提督は吹雪に、『ある事』を伝えたのだった。
以上です。
道人君いない部分弄りづらい…。
とりあえず、ネタで一発。
【義善道人、16歳。亡霊です】
…との事。
…あ、セリフ何て言ってたのか補完しとかねえと。