今回わ割とシリアス目だと思います。多分ですがあと1、2話ほど士郎視点の話が続きます。それが終われば、某あかいあくまに視点が変わります。視点が多い?仕方ないんだ、話を考えてる内に一章だけで8人くらいの視点じゃないと書ききれないって分かったんだ。ちなみに一章は本編30話越え予定だったり。
長話もそこそこにして、では本編をお楽しみ下さい。
士郎side
「・・・・・・」
俺は今、リムジンという名の収容車に乗せられて移動している。リムジンはブロロロと音を鳴らしながら山道を走って行く。
俺の両腕にはずっしりとした見た目とは裏腹に軽い六角形の手錠が付けられている。強力な電磁石でも中には入っているのか、両腕に力を入れて外そうとしてもピクリとも外れる気配はない。隣には翼さんが座っているのが救いのように見えるが、全てを拒絶するかのような雰囲気に話しかける事を躊躇ってしまい、結果としてピリピリした空気が車中を支配していた。
「士郎君、ごめんなさい。いきなり連れていかれて何が何やらと思っているでしょう?」
不意に運転席から話しかけられた。そりゃそうか、運転手がいなければリムジンなんて動かせまい。状況が状況だったからすっかり失念していた。
「えっと、あなたは?」
「僕は風鳴翼のマネージャーをしています、緒川慎次と言います。車を降りたら名刺をお渡ししますね。」
「それはご丁寧にどうも・・・・・・。」
つい、ぶっきらぼうな口調で返してしまう。普通なら怒るところなのだが、緒川さんは涼しい顔で受け流していた。見た目は世間で言うところの草食系男子といった感じの風貌で歳は藤ねえと同じくらいか少し上というところ。涼しい顔をしているが隙らしい隙はなく、そうでなくとも先ほど見た翼さんの姿を思いだして、逃亡は不可能だろう。
そういえば、響達はどうしているだろうか?俺が作ると言った手前、相応の料理を作って振る舞ってやりたいのだが、如何せんいつ帰れるのか分からない以上は連絡を取って桜に作ってもらう方がいいかもしれない。
「あの、家に連絡してもーーーーーーーー」
「それは出来ないわ。」
ピシャリ、とリムジンに乗ってから一言も言葉を発していなかった翼さんがそう言い放った。
「出来ないって、何でですか?」
「あなたが関わってしまったのは国家機密なのよ?もし、その連絡でそれが世間に知られればどうなってしまうのかは、想像がつかないわけではないでしょう?」
「なっーーーーーー」
国家機密、だって・・・・・・?あの翼さんの姿が?いや、それはそうか。もし仮に翼さんでなくとも同年代の女の子が武装を纏ってノイズと戦っている事が世間に知られれば、日本政府は国民のみならず世界各国からの批判を免れない。なら、外部への連絡をさせないのは当たり前の事だ。響達は心配するかもしれないが、早めに事を済ませればいいだけの話だ。
リムジンは未遠川の上流を抜け、深山町に入った。そして道を進んでいくのだが、俺はその道に見覚えがあった。
「この道って、まさかーーーーーーーー」
「ええ。あなたの思った通り、私立穂群原学園へ向かう道よ。そして私立穂群原学園音楽科の地下に、政府機関ーーーーーー特異災害対策機動部二課の本部があるの。」
「そんなバカな・・・・・・。翼さん、冗談でしょう?」
「・・・・・・私が冗談を言う人間に見える?」
そう言った翼さんの表情は、どこか暗い影に囚われているように見えた。それは多分、錯覚なんかじゃないと思う。2年前ーーーーーーあのライブ会場で゙ツヴァイウイング゙の片翼だった奏さんを失った事に起因するものだと直感出来た。なら、俺は奏さんから託された言葉を翼さんに言わなくてはならない。
「あの、翼さん。」
「何かしら?つまらない戯れ言なら、私は付き合わないわよ?」
「2年前のーーーーーーライブの事を覚えてますか?」
「ーーーーーー!」
「あの時、俺は逃げ遅れた後輩を助けに戻って、ノイズにやられそうになったところを奏さんに助けられたんです。」
「・・・・・・そう。それで?それがどうかしたの?まさか、奏にお礼がしたいだなんて言わないでしょうね?」
「・・・・・・もう、奏さんにお礼なんて出来ないじゃないですか。むしろ俺は謝りたいんです、他ならぬ翼さんに。」
「どうして、あなたが私に謝る必要があるのかしら?」
「だって、俺が半人前じゃなかったら奏さんは死なずに済んだかもしれないじゃないですか。俺が未熟だったばっかりに奏さんはーーーーーー」
「それ以上、口を開かないでちょうだい。」
翼さんのその言葉には怒気が滲み出ていた。
「それは、あなたとあなたの後輩を守って死んだ奏への侮辱よ。それに、そんなたらればの話に一体何の意味があるの?あなたが半人前であろうとなかろうと、きっと奏はあの歌をーーーーーー絶唱を歌っていたでしょう。なら、その守られた命の意味を考えなさい。それがきっと奏への贖罪となると思うわ。」
守られた命の意味、か・・・・・・。それでも、俺の在り方は変わらないだろう。切嗣に救われて『正義の味方』に憧れたあの日から、俺は自分の生き方を決めたのだ。見知らぬ誰かを救い助ける、切嗣のような『正義の味方』になると。そこに奏さんへの贖罪の思いが増えたところで、重荷なるなんて事はない。
「・・・・・・分かりました。あの、翼さん。もう一つだけいいですか?」
「今度は何?」
「その・・・・・・。奏さんから翼さんに伝えて欲しいって言われた言葉があって・・・・・・。」
「なっ!?奏が、私に?」
よほど意外だったのか、驚いた顔をした翼さん。その、こんな状況ではあるがそんな翼さんを可愛いと思ってしまった。よくよく考えてみれば、俺の1歳上というだけであって翼さんも響や桜と同じ女の子なんだ。こういう顔をするのは普通の事だ。・・・・・・って、今こんな事を考えてる場合じゃないだろっ!落ち着け、まずは深呼吸だ・・・・・・。何とか落ち着く事が出来たので、改めてさんと向き合う。
「奏さんは「 ありがとう、お前と歌えて楽しかった」って・・・・・・。」
「奏がそんな事を・・・・・・。」
翼さんはそれを聞いて俯いてしまった。細く白い腕は、そんな事を思っていてくれたんだという嬉しさからか、どうして直接自分に言ってくれなかったんだという怒りからか、もしくはーーーーーー自分は何も奏さんには出来てはいないのにという悔しさからなのか、少なくとも動揺している事くらいは読み取れるほどに震えていた。
それ以降、翼さんは黙ってしまった。しかし纏っている雰囲気は、先ほど以上の影に囚われている様に思えた。私立穂群原学園音楽科の駐車場に着いても翼さんは黙ったままだった。時刻は夜の7時、普段は花園に見える音楽科も今は人気がが無くなり誰も近づかない思えるほどに静かで不気味な雰囲気だった。
音楽科の校舎に入ると、余計に人の気配を感じられないくらい静かで幽霊でも出て来そうな不気味な雰囲気が滲み出ていて、少しだけ足が竦む。だがそんなの知った事かと言わんばかりに、翼さんと緒川さんはどんどん先に進んでいくので遅れないように駆け足でついて行く。音楽科の校舎は普段は絶対に立ち入らない場所のため、2人から離れたら確実に迷う事請けあいだろう。しばらく進んでいくとエレベーターらしき物が見えてきた。よく見ると、ICカードないし専用のパスを翳さなければ通る事の出来ない仕様になっている事に気が付いた。しかし当然ながら、俺はそんな物は持ち合わせていない。
「ああ、心配しないで下さい。僕の後について来て下されば、ちゃんと通れますから。」
「あ、はい。分かりました。あの、それはいいんですけど・・・・・・このエレベーターってーーーーーー」
「お察しの通り、このエレベーターは地下に向かうための物です。先ほど、翼さんも仰っていたと思いますが。」
そういやそうだった。リムジンに乗ってた時、翼さんがそう言ってたな。音楽科の地下に政府機関があるとか。いやでも、何だって公の教育現場の地下にそんな施設があるんだ?普通なら地上、もっと言えば新都の方に建てると思うんだが・・・・・・。そんな事を考えている間に、緒川さんはエレベーターの中に入っている。翼さんがエレベーターの中に入っていくのでそれに倣って入る。どうやらこのエレベーターは直通らしく地下50階に着くまで止まらないらしい。というかボタンが1階かB50階かの2択しかない。エレベーターは俺の腰より上はガラス張りになっている。ゴウンと音を立ててエレベーターは地下深くに向かっていく。これはもうに逃げる事は諦めた方が良さそうだ。
一体どれほどの時間が経ったのかは分からないが、しかしゆっくりとエレベーターは減速を始めている。もうすぐ目的の場所に着くのだろう。ゴウンと音を立ててエレベーターは止まった。ドアが開くと、SFの世界に出て来そうな長い廊下が目に入ってきた。カツカツと規則正しい足音を鳴らしながら、2人は進んでいき遅れないようについて行く。しばらく歩くと、ロボットアニメなんかでよく見る司令室の様な部屋が見えてきて、そのドアの前で2人は止まった。ウィーンと音を立てドアが開く。中は本当にロボットアニメの司令室といった感じで、オペレーターらしき人影もある。その中で、一際異彩を放っている男に緒川さんは話しかける?、
「司令。ただいま戻りました。」
「緒川、ご苦労だった。彼が例の?」
「はい。彼が衛宮士郎君です。」
緒川さんの視線の先にいたのは、赤い髪に赤い服を纏っている筋骨隆々とした偉丈夫の男だった。身長は恐らく2メートル近く、ただそこにいるだけなのに威圧感だけでこの場を支配しているかのような覇気が滲み出ている。しかして、纏う雰囲気は良識ある大人といった感じで不思議と恐怖は湧かなかった。
「あの、何で俺はここに連れてこられたんですか?その、俺が見た翼さんの姿が国家機密って事は何となく理解しましたけど・・・・・・。」
「うむ。早速説明をといきたいのだが、自己紹介をしなければ君も安心できないだろう?なにせ突然こんな所に連れてこられて混乱しているだろうからな。」
緒川さんに司令と呼ばれた人は、暖かみのある声で自分の素性を名乗った。
「俺は風鳴弦十郎。元々は公安警察官だったんだが、色々あって 今は特異災害対策機動部二課の司令をしている。以後、よろしく頼む。」
「はあーーーーーーって、風鳴!?」
「ああ、そういえば言ってなかったな。翼は俺の兄貴の娘でな、血縁関係上は俺は翼の叔父に当たる。」
「なるほど・・・・・・。」
「まあ、同じ苗字だからな。誤解するのも無理からぬ事だ。」
はっはっは、と豪快に笑う弦十郎さん。まあ、実際弦十郎さんを翼さんの親父さんだと思ったのは事実なわけで、多分説明されなかったら弦十郎さんを翼さんの親父さんだと誤解したままだっただろう。それはそれとしてーーーーーー
「あの、それよりこの手錠取ってもらってもいいですかね?そろそろ手首が痛くなってきたんで・・・・・・。」
「それもそうだな。緒川、彼の手錠を解いてやってくれ。」
「分かりました、司令。」
手錠を緒川さんの前に差しだし鍵を使って外してもらい、ようやく両腕が自由になる。それなりの時間を手錠で拘束されていたので、軽く柔軟をして両腕をほぐす。
「さて・・・・・・まあ、立ち話もなんだ。そこにかけてくれ。」
「し、失礼します・・・・・・。」
ソファーに恐る恐る腰を落ち着ける。これからどんな事が話されるのか・・・・・・国家機密だという事は分かっているが、口封じというだけならあの場で済ませればいいはずだ。それをしなかったという事は何か理由があるはずだ。あるはずなのだがその理由が何なのか全く以て見当がつかない。
「さて、まずは何から話したものか・・・・・・。」
弦十郎さんは腕を組み思案している。ふむ、と考えがまとまったのか、俺にこんな事を聞いてきた。
「君はノイズについてどこまで知っている?」
「え・・・・・・?ノイズって、あのノイズですよね?」
「ああ。君が知っている範囲で構わない。」
「えーと、ノイズは何処か俺達の埒外にあるところから出現している事、ノイズの目的は不明な事、ノイズは何故か人を襲う事、ノイズの攻撃を受けた人は炭になってこの世から消える事、ノイズの攻撃には魔術が有効なーーーーーー」
「ほう、君は魔術を知っているんだな。」
「あーーーーーー」
しまった、うっかり魔術の事を話してしまった。
「いや、えっと、今のはですね・・・・・・」
「そう慌てなくていい。俺も魔術を知る者だからな。」
「え・・・・・・?魔術を、知っているってーーーーーー」
「風鳴家はかなり昔から魔術師の家系と親交があってな、魔術協会や聖堂教会ともその家系を通じてのコネがある。それに風鳴家も退魔師ーーーーーー現代で言うところのエクソシストの家業をやっていた時期が存在してな・・・・・・。その時期に書かれた書物に魔術と思しき記録が残っている。だが、室町時代の初期を最後に退魔師としての活動は行われておらず魔術についての記録もしていないようだがな。」
「てことは、魔術回路とかは無いんですか?」
「無くて良かった、とは思っているがな。魔術ーーーーーーひいては魔術師の世界なんてのは血生臭い。ご先祖様は子孫をそんな世界に巻き込みたくないと思って魔術師の家系となる事を放棄したのかもしれん。」
要約すると魔術師の家系じゃなくて良かったと弦十郎さんは言っている。にも関わらず弦十郎さんはかなり厳しい顔をしている。それは、魔術があればノイズと戦う事を翼さんに任せなくていいという思いがあるからなのだろうか?それでも、どんな魔術であれ使う事が出来なければ意味が無い。ーーーーーー俺はそれを嫌と言うほどに知っているのだから。2年前のあの日、あのライブ会場で。後悔しても仕方ないのは分かっている。分かってはいるが簡単に割りきれるものではない。あの日以降、より一層鍛練に熱を入れるようになったが、それでも成果は芳しくない。それならせめてと、ある程度の無茶が出来るように毎日欠かさずしている筋トレの量も増やしたが、所詮は焼け石に水だ。一朝一夕で何かが変わるわけはなく、ただ時間だけが無情にも過ぎ去っていった。
ーーーーーーそれでも、得られた物はあった。
響と未来という、家族の様な大切な繋がり。桜を通じて出会い、ライブ会場の惨劇という悲劇で生まれた繋がりではあるけれど、だからこそ大切な繋がりであると思うのだ。そこにどんな因果があり、どんな巡り合わせがあったかは分からない。それでもーーーーーーあの2人は桜や藤ねえと同じくらい失いたくない大切な存在になったのだ。それを覆す事なんて、それこそあの2人が死なない限りありえない。何より、彼女達を失いたくないと思うからこそ強化魔術の鍛練に熱が入る。鍛練がキツくなかった事は無いし死ぬ様な目に遭うときだってあるけれど、それでも辞めてしまおう逃げてしまおうだなんて思ったことはない。辛いと思ったことも、苦しいと思ったことも、今の一度だってありはしない。
ーーーーーーだから願うのだ。彼女達が幸せになれますようにと。最近、星が見えている夜は決まってそうしている。それが例えささやかでも彼女達が幸せになれるのなら、それが一番俺にとっては嬉しい事だ。
「そういえば君の父親だが、名前は衛宮切嗣で合っているかな?」
「え!?親父を知ってるんですか!?」
「風の噂程度だがね。゙知ってい情報も゙魔術師殺じと呼ばれ魔術師から忌避されているフリーランスの魔術師兼殺し屋だった、という事ぐらいなものだ。」
「゙魔術師殺じ・・・・・・?」
「知らないのならそれでいいだろう。世の中知らない方が良い事だってある。」
「はあ・・・・・・?」
要するに、切嗣は魔術師達の間では疎まれていたって事みたいだ。まあ゙正義の味方゙なんて子供じみた夢を切嗣は持っていたんだ、魔術師じゃなくとも普通は「何を言ってるんだこいつ」みたいな顔をされるだろう。しかし、゙魔術師殺じとは一体・・・・・?切嗣はあの日より前に何をしていたんだろうか?殺し屋もしていたとか何とか弦十郎さんは言っていたけれど・・・・・・。とはいえあの日以前の切嗣が何をしていたのか知っている知り合いの人を知らない以上、その話は一旦保留だ。
「それより何で俺はここまで連れてこられたんですか?翼さんのあの姿を見た事なら、書類か何かにサインさせれば済む話なんじゃ・・・・・・?」
「それで済む話ではないから、ここに連れてきてもらったのだ。」
ますますわけが分からない。というか色々ありすぎて頭の中が鍋の中で煮えくり返った味噌汁みたいに沸騰してるんだが。
「単刀直入に言わせてもらえば
「え・・・・・・?それって、まさかーーーーーー」
「そのまさかだ。あの場には一般人が寄ってこないように魔術による結界が張ってあった。魔術回路を持つ者、又はこの世の者ではない者以外を寄せ付けない結界がな。」
「つまり、本来なら入れないはずの結界の中に魔術師である俺が誤って入ったって事ですか?」
「そういう事だ。そして、もし魔術師であるなら他国の者である可能性が非常に高い。加えて政府機関の所属だとすれば゙シンフォギア゙の技術が盗まれる可能性がある。万が一に持って行かれてしまっては一大事だからな、だから君の身柄を拘束したわけだ。」
思っていたより事態は深刻だったらしい。確かにノイズを殺すための兵装が悪用されないとも限らない。それこそ盗まれた技術で゙シンフォギア゙とやらが大量生産されてしまえば、人々を虐殺するのも不可能ではないだろう。だがしかし疑問が1つだけある。
「あの、1つ聞いてもいいですか?」
「構わんが、何かね?」
「その結界が張ってあったって事ははそれを張った魔術師がいるって事ですよね?」
「まあ、そういう事になるな。」
「もし、結界を張るのが役割なら結界を張り終わった時点で逃げるか逃げなくてもサポート出来る位置にいるはずです。でも、一本道になっているあの山道から誰かが逃げてきた形跡はありませんでしたし、サポートをするにしても俺が結界の中に入った時点で姿を現さないのはどう考えてもおかしいです。結界を張った魔術師は何処に行ったんですか?」
魔術師が張る結界としてもっとも知られているのは人払いや索敵が主だ。俺の読みが正しければ、今回張られた結界はその両方を併せ持った性質の結界のはずで、俺が結界に立ち入った時点で結界を張った魔術師は異常を察知して何か仕掛けてくるはずなのだ。
なのにそれがないというのはどうにも腑に落ちない。結界を張った魔術師が切嗣と旧知の仲で俺の事を知っているのなら話は通るかもしれないが、切嗣に旧知の仲の魔術師はいないのでこれは成り立たない。
だとすれば結界を張った魔術師はよほど用心深い性格なのか、もしくは手を下すまでもないと判断したのか、いずれにせよその魔術師が何処に行ったのか分からないともやもやするのだ。
しかし、弦十郎さんは俺の質問を予め予測していたかのように答えを言った。
「君の質問はもっともだ。だが穴がある。」
「穴?」
「前提が違うのさ。君は恐らく彼女がノイズが出現した瞬間に結界を張ったと思ったようだが、彼女が結界を張ったのはもう一週間も前の事だ。ならば現場にいなくとも不思議はあるまい。」
「確かに・・・・・・。」
「弦十郎、魔術協会への報告が終わりました。」
「お、噂をすれば何とやらだ。結界を張った本人が来たぞ。」
「?一体、何の話をしていたんですか?」
弦十郎さんの視線を追うとそこにいたのはーーーーーー
「なっーーーーーー」
「おや、君は確かあの会場にいた・・・・・・。」
忘れるはずもない。あのライブ会場で青い槍兵と共にノイズと戦っていた女性、確か名前はバゼット・・・・・・だっただろうか?
「ふむ・・・・・・。弦十郎、何故彼はここに?」
「君の張った結界をすり抜けて入ってきたようでな、外来の魔術師の可能性を考慮してこちらに連行したのだ。」
「なるほど、概ね事情は把握しました。ですが彼は自分の家系以外の魔術師を知らないようですし、恐らくこの冬木の土地を管理している
「それはもっともなんだがな・・・・・・。こちらの事情というのもある。何より彼は魔術を使えるのだろう?例え半人前であったとしてもいないよりは幾分かマシだ。」
いないよりはマシ、という言葉は心にグサリと突き刺さったが弦十郎さんの言い分は分かる。確かにノイズという超常が何十、何百、何千、何万と現れた時にマトモに戦えるのが翼さんだけというのは何とも心許ない話だ。まあ、だからといって俺がノイズと戦ったとしても勝てる保証は無いし、かえって翼さんの足を引っ張るだけだろう。むしろ実力的に言うならバゼットという女性の方が何十倍も役に立つと思う。ついでに言うとこのまま諦めて帰してほしいのだけど・・・・・・。
しかし、そう思っている時ほどこ事はうまく進まない。
「ふむ・・・・・・。ならばテストをしてみる、というのはどうだろうか?」
「テスト、ですか?」
弦十郎さんは突然「テストをする」と言い放った。俺もバゼットさんもどういう事か全く意図が掴めていない。
「弦十郎、テストと言いましたが一体何をするつもりですか?」
「ああ。バゼット君、君は確かランサーのサーヴァントと契約をしていたな?」
「ええ、確かに私はランサーと契約をしていますがーーーーーーああ、なるほど、そういう事ですか。」
「えーーーーーーえぇ?」
俺は未だにチンプンカンプンだが、バゼットさんは今のやりとりで何をテストするのか分かったらしい。
「では早速呼びましょう。ランサー、話は聞いていましたね?」
バゼットさんは虚空に向けて話している。するとどうだろう、バゼットさんの背後には誰もいなかったはずなのにどこから現れたのかーーーーーーそこにはランサーと呼ばれた全身に青タイツを纏った長身の男がいた。
「ああ。だが、いいのか?」
「ええ。躊躇う必要はありません、あなたの力を存分に奮って下さい。」
「そうか。そんじゃ、早速ーーーーーー」
「待ちたまえ。ここで戦われたらこちらが被害を被る。トレーニングルームがあるから、そこでやってくれ。」
「はいはい、分かったよ旦那。そんじゃ行くぞ坊主。心配すんな、すぐに終わる。」
そう言うと男は俺の服を掴み引きずって行こうとする。
「え、いや、ちょっと!?俺はやるなんて一言もーーーーーー」
「こうなっちまった時点でお前の意志は関係ねえよ。大人しく諦めろ。」
「何を勝手なーーーーーー!」
「昔から上の連中ってのは勝手な奴らなのさ。ここに限らず、何処の世界や場所にも身勝手な権力者はいるんだよ、例外なんざごく少数に過ぎねえよ。怨むなら、不用意に結界の中に入っちまった自分を怨むこった。」
どこか達観した口振りで男はそんな事を話した。まるで遠い昔に同じ目に遭ったかの様に。俺は抵抗を諦め、されるがままに引きずられていく。
「何だよ、随分と大人しくなったな?」
「どうせ抵抗したって、あんたに勝てる保証はどこにも無いからな。どんなものかは分からないけどテストを受けなきゃどうにもならないんだろ?」
「ま、そうだろうな。っと、着いたぜ?トレーニングルームだ。」
後ろを向いて見るとそこには《Training Room》と書かれた表札が貼られた扉があった。男は俺を引きずったまま中に入っていく。そして、
「ほれ、いい加減自分で歩け。」
と言って俺を片手で放り投げた。当然、受け身なんて取れるわけがなくーーーーーー
「痛って!?」
盛大に尻餅をついた。それを見て男は「呆れた」と言わんばかりに溜め息を吐く。
「おいおい、そんぐらいは出来てくれよ。そんなんじゃ先が思いやられるぜ、全く・・・・・・。」
「無茶言うな!いきなり放り投げられて受け身なんて取れるか!」
「仮にも魔術師だろ、坊主?あんくらい出来なきゃ、戦いの1つも出来やしねえよ。そうじゃなくとも気ィ抜きすぎだ。他の連中からしてみりゃ鴨がネギ背負って歩いてくるようなもんだ。」
「随分な言いようだな・・・・・・。」
「それはそれとして、だ。今のうちに使えそうなもんは見繕っとくといいぞ?テストの時に使えるかもしれねえしな。」
「使えそうな物って・・・・・・。」
テストの内容を未だ知らない人間としては、何が使えるものなのか皆目見当も付かない。普通に考えれば魔術の実力を計るんだろうし、適当な物でいいだろう。
しかしよく見てみるとあるのは竹刀だとか木刀だとか、やたらと刀や剣の形状をした物が多い。トレーニングルームなのだし、体幹や精神面を鍛える為の物が多く取り揃えてあるのは当たり前と言えば当たり前なのだが、それにしたってトレーニングルームと呼ぶには色々と足りない気がする。具体的にはルームランナーとか筋トレ器具とか。
さて、それはともかくとしてテストをやるとすれば恐らく自分の得意な魔術の精度を見せるのだろうし、なるたけ変化が分かりやすい物の方が良いと思う。となると、このポスターだろうか?何か無駄にアルミ加工をされているが、紙とほとんど変わらない強度だしこれにするか。
これを手に持ったところで、男が怪訝な目で俺を見てくる。流石にそんな目をされる謂われはないので、男に問いかける。
「そんな目で見られても何が言いたいのか、こっちはさっぱりなんだが?」
「・・・・・・なあ、坊主?お前、そんなんでいいのか?」
「そんなんでって、どういう事だ?」
「そりゃーーーーーー」
「待たせましたね、ランサー。」
「おう、何だよバゼット?随分早いじゃねえか。」
「そろそろテストを行おうかと。何人か見物人がいますが、気にせずやって下さい。」
バゼットさんの後ろを見ると弦十郎さんと翼さん、それに緒川さんと名前は分からないが2人の男女が立っていた。
「そういえば、君の名前を聞いていませんでしたね。」
「衛宮、士郎です・・・・・・。」
「衛宮士郎ですか。では、士郎君と呼ばせてもらいましょう。」
「は、はあ・・・・・・。えーと、あんたの名前は?バゼットって名前だけは分かるんだけど、フルネームってわけじゃないだろ?」
「そうですね・・・・・・では、改めまして。私は魔術協会に所属している゙封印指定の執行者゙、バゼット・フラガ・マクレミッツと言います。バゼットと呼び捨てで構いません。」
「わ、分かりました・・・・・・えっと、バゼットさんーーーーーー」
「さて、互いに名前を覚えたので、早速ですがテストを始めたいと思います。」
バゼットさんに質問をしようと思ったのだが、質問をする前にテストを始めると言い切られてしまった。参ったな、どんなテストか聞いてないんだけどな・・・・・・。
そんな俺の心境を無視して、バゼットさんはテスト内容の説明を始める。
「これから士郎君には5分間、ランサーの攻撃に耐えてもらいます。」
「・・・・・・はい?」
「士郎君が5分間耐えきれば合格、出来なければ不合格となります。では、2人とも構えてーーーーーー」
「まっ、待った!」
「何ですか、士郎君?」
「あのテストって、魔術に関する事なんじゃあないんですか・・・・・・?」
「?何を言っているのですか?これも立派な魔術のテストです。サーヴァントであるランサーの攻撃を5分も耐えきれば、魔術師としては上々です。さて、時間も惜しいですし・・・・・・。ランサー!手加減はしなくて構いません、テストを始めて下さい!」
「応よッ!てなわけでだ、行くぞ坊主ッ!!」
「なっ、えっーーーーーー!?」
未だ何も分かっていない俺に向かって、ランサーと呼ばれた男が疾走する。その手にはいつの間に持ってきたのか、男の背丈より長い深紅の槍が右手に携えられていた。男の動きはまさしく獣を思わせ、しかしそこにはある種の美しさがあった。それに見とれているとーーーーーー
「はッーーーーーー!!」
一息で突き出された深紅の槍が、俺の左肩を貫いていた。
「あ、がッーーーーーー!?」
何が起きたのか、全く分からなかった。気付いた時には既に深紅の槍が左肩を貫いていた。
「う、ああッーーーーーー!!」
槍を外す為に後ろに飛び退き後退する。
「は、あ、っあーーーーーー?」
男の追撃が来ない。男の方へ視線をやると、男は槍を肩にあてがい何かを待っているようだった。
「何の、つもりだ・・・・・・?」
「何のつもりかって、待ってやってるんだよ。お前さんの為にな。」
「俺の・・・・・・?」
「魔術師、なんだろう?」
「ーーーーーー!」
「坊主。お前の魔術ってのを見せて見ろよ。それまでは攻撃はせん」
情をかけられているんだろう。いくらテストと言っても、俺と男し実力の差は歴然としている。このまま続ければ、俺が死ぬ可能性が無いわけじゃない。なら俺はーーーーーー
「はあ・・・・・・、ふう。」
深呼吸をして心を落ち着かせる。手に持っているポスターを丸め、そしてーーーーーーー
「ーーーーーー
゙強化゙の魔術を使うために、1つの
魔術回路をイメージし、イメージした魔術回路に魔力を注ぐ。すると、いつもやっている鍛練と同じ様に背中に高温に熱した鉄の棒を入れたような痛みが走る。走るのだが、いつもの様な痛みは無い。むしろ普段より背中が軽くなったかのような錯覚を覚える。だが問題はここからーーーーーー
「構成材質、解明。」
ポスターを形どるモノを設計図のようにイメージしていく。何がポスターを形どっているのか、ポスターに通した魔力で把握する。
「構成材質、補強。」
ポスターに足りないモノを鉄を溶接するようにポスターに魔力を行き渡らせ、強化し補強していく。いつもなら失敗する行程も、今のところはこれといった不備はない。
「
ポスターに魔力を通したまま、ポスターとの接続を切る。ポスターに通わせた魔力にブレは無い。成功、したんだろう。これなら十分に太刀打ち出来るはずだ。
「終わったみてえだな、坊主?」
「ああ、なんとかな。」
「そうか、ならーーーーーー遠慮無くいかせてもらうッ!!」
10メートルあった距離を男は一気に詰め寄ってくる。
ーーーーーーこのままじゃ、やられる。
そう直感し、素早く後ろに下がる。だが、それすら読み切っていたのかーーーーーー
「そらッ!!」
男が携える深紅の槍から音速に近い刺突が幾重もの方向に嵐の如く打ち出される。1つ1つの刺突を見切るのはとてもじゃないが出来ない。それでも致命傷に成りうる一撃は放たれている死の匂いの様なものが濃く、それを弾く事に全神経を集中させる。
「ッ!!」
死の匂いが濃い一撃が5つ。1つ目は胸の中央、2つ目は右目、3つ目は首、4つ目は右脇腹、5つ目は心臓を狙って放たれている。「れら全てをどうにか捌ききる。が、無傷とはいかず大きな傷では無いものの体のあちらこちらに掠り傷
が刻まれていた。
刺突の嵐が止んだ。男はまるで準備運動が終わった程度かのように息一つ乱れていなかった。対して俺は立っているのがやっとの状態で肩で息をしている始末。力の差は最早言わずとも分かる。男が声をかけてくる。
「ほう、意外とやるじゃねえか。少しは見直したぜ。あれを掠り傷だけで済ませるとはな、大したもんだぜ坊主。」
「そう、かよ。けど、もうこれでテストは終わーーーーーー」
「何、腑抜けた事を言ってやがる。まだ3分も残ってるんだぜ?」
「なっーーーーーー」
「そら構えな。次は今の倍速いぞ。」
「っーーーーーー!!」
そう言って再度放たれた刺突の嵐は先程のものより激しさを増し、その速さは当に音速を超え槍の形すら認識出来ない。これは何をしても避けきれないし捌ききれない。どころか先程は当たっても掠り傷だった一撃が、今放たれている一撃は例え掠り傷でも致命傷となり確実に俺の命を奪うだろう。それならばーーーーーー
「はあッ!!」
攻め込むために一歩踏み込み、上段を振りかざし男に向かって放つ。だがーーーーーー
「坊主。いくらなんでも隙がありすぎだッ!!」
男が槍を引き安心してしまったのか、そのまま上段を振り下ろした瞬間、俺の鳩尾に鋭い蹴りが襲う。
「か、はっーーーーーー」
うし後ろに跳んで痛みを軽減するなんて高等技術が出来るわけもなく、情けなく背中から壁に激突するーーーーーー
「え・・・・・・?」
「何!?」
だが予想に反して、背中にあるのは堅い壁の感触ではなく、柔らかいベッドの上に落ちたような感触だった。しかし、勢いを完全に殺す事は出来ず俺はそのまま
「チィッ!あの女狐め、あんなところにも工房を作っていたとはなッ!!」
何者かーーーーーー少なくとも女狐と言っているんだから女性だろうか?ーーーーーーに毒づく男。そして男はこうも言っていた。
ーーーーーーあんなところにも工房を作っていたとはなッ!!
あの言葉から察する事が出来るのは、その女狐と男は協力関係ないし共に戦う立場にある事、本来この場所に工房など無い事、そして工房というのが魔術師が持っていて当たり前のソレを指している事。確かに周りを見回してみると、家の土蔵なんかとは比べ物にならないくらい魔術師の工房然としていた。怪しげな薬や凛然と煌めく鉱石、何よりも目に飛び込んで来たのはまるで漫画やアニメの魔法使いが書くような魔法陣がそこにはあった。
カツン、と音が工房内に響き渡る。振り返れば、男が心の弱い人間ならもう死んでしまっていると確信できるほどの圧力と殺気を放っていた。
「全く、今のは流石に予想外だったな。」
男は飄々と話しながら歩み寄ってくる。しかし放たれている殺気に変化はない。5メートルのところで男は深紅の槍を俺に突きつける。
「だが、もう詰みだ。運が悪かったと諦めろ、坊主。」
「待て!彼を殺すというのか!?」
弦十郎さんが驚いた様に声を出す。男は振り返り弦十郎さんに話しかける。
「何だよ、あんたはそういう意味で言ったんじゃねえのか?弦十郎?」
「そんなわけが無かろうッ!あくまで実力を計るためにーーーーーー」
「坊主の実力を計ったとして、実戦で使えるかどうかは別の話だ。どんなに訓練の時には優秀な兵士でも、実戦になれば腰が引けて無惨に殺されるなんてのはザラにある。特にこの国は争いもなけりゃ略奪もない。そんな平和ボケした環境で育ったんなら、例えノイズに対しての戦力になろうとも呆気なく死んじまうだろう?なら引き入れねえ方がマシってもんだ。それが坊主の為にも、テメエらの為になる。」
「君にとってはそうかもしれんがーーーーーー」
「そんなに戦う力が欲しいなら、テメエが最前線に出りゃ済む話だろうが。違うか?」
「それ、は・・・・・・。」
「それが出来ねえから、戦える力を持つ奴をテメエは引き入れてえんだろ?その為なら実の姪も憎しみに染まった嬢ちゃんでも構わないってわけだ。」
「・・・・・・」
弦十郎さんは黙ってしまった。僅かに見えた弦十郎さんは両方の手で拳を作り震えていた。
男がこちらに向き直る。
「さて、じゃあそろそろ終いにするかね。」
「ーーーーーーッ!」
じわりじわりと男が近づいてくる。
ーーーーーー逃げなければ確実に殺される。
そう思った俺はそこから逃げるように後ろへと後退するが、恐怖に染まった足がもつれて尻餅をつく。手を動かし後ろに下がってもお男との距離は長くなるどころか短くなっている。
ーーーーーーこんなところで殺されるのか?
゙正義の味方゙という夢を叶えていないのに?その夢の道の途中なのに?まだ何も成し得ていないのに?
ーーーーーーふざけるな。
こんなところで終われるか!こんな中途半端なところで死んでいいはずがない!だって俺はーーーーーー゙正義の味方゙にならないといけなんだから!!
だからまだ死ぬわけにはいかない!死んで終われるものか!だからーーーーーー戦う力が欲しい!この男を倒せるだけの力が!
「ッ!?」
左手の甲に痛みが走る。左手を見るとそこにはーーーーーー
「何だ、これ・・・・・・?」
奇妙な紋様の紅い痣があった。それと同時に、ヒュウウウと風が逆巻き始めた。次第に風は嵐の如く吹き荒び、高濃度の魔力が滲み出ていた。
「ぐッーーーーーー一体何だってんだ!?」
「この魔力ーーーーーーまさか、彼が?」
「ーーーーーー!なるほどな、だとすりゃ面白ぇじゃねえか!」
風の音に阻まれて男とバゼットさんの会話は聞こえない。聞いたところで意味など分からないだろうが。
風が止みーーーーーーそして、工房に閃光が迸る。
カシャリ。
工房に鎧の様な音が響く。瞬間ーーーーーーカキィン、と金属同士がぶつかり合ったかの様な甲高い音が鳴り響く。
「ぬッ!?」
ズザザーッと押し出される音。恐らくは男が弾き飛ばされたのだろう。するとーーーーーー
「ーーーーーー」
「なっーーーーーー」
いつから、そこにいたのだろうか?目の前には1人の少女がいた。
金砂の様なブロンドの髪、美しい光を宿す碧眼。見ただけで物凄い美人だと分かるが、見た目は俺よりも下手をすると響や桜よりも下に見える。
少女は俺を見つめている。そして少女が口を開く。
「問おう。」
凛とした美しい声。しかしその中に確かな威厳を感じる。
「あなたが、私のマスターか?」
運命の夜、戦いの幕はここに上がった。
どうでしたか?私は五次ランサーが好きなので割と出番は多いと思います。それはそれとして、現時点で士郎の攻略対象ヒロインが4人という事実。しかもまだ増えるんだぜ?(白目)
次でどうにか士郎視点を終わらせるつもりで書きます。同時に早めに投稿できるよう努力します。では、また次回。
(タイガー道場は次いつ書こうかな・・・・・・?)