ニセコイ Another story 俺と楽の波乱万丈な日常!? 作:覇王神 ゾディアーク
林間学校最後の回です!
女湯での事件から一夜が明けた。
俺と他の奴らは朝食の準備をしている。
それまでは良いのだが・・楽と桐崎の様子が少し変なのだ。まぁ無理もないだろう昨日
”あんなこと”があったのだから。
俺は集と楽と共に飯を食っている。
「なぁ?正義、楽?今夜のイベントって知ってっか?」
「イベント?」
「今日山から帰ってきたらよぉ、毎年恒例の肝試しをやるんだよ。」
「肝試しだぁ?高校生にもなってか?」
「わかってないなぁ、正義君。ただの肝試しじゃないんだぜ?なんとクジを引いて男女でペアを組むんだ。それに重要なルールがもう一つ・・!」
めちゃくちゃテンションが上がっている集に
少し引く楽と正義。
「ペアになった男女はかならず手を繋がなければならない‼︎なんと素晴らしいイベントなんだ‼︎拒否は許されない‼︎」
「どうだどうだ!燃えてきただろ?
楽は小野寺と一緒になれたらいいな?」
その発言に対し、楽は一気に顔を赤らめる。
正義はなんで赤くなっているのかわかっていないため、頭の上にハテナがついている。
「バカ言え。そんな簡単に当たるわけないだろ。」
「もし俺が小野寺とペアになったら買うか?」
「誰が買うか!!」
正義は流石にそこまでする奴がいるのか?と思っていたが・・楽は小声で
「2千円でどうだ・・。」
「手を打とう。」
「買うのかよ!?」
楽の発言に対して正義はツッコむ。そんな会話をしている正義達だが、一方小野寺と宮本というと、
「あっちも盛り上がってるみたいだし、あんたはとにかく一条弟君とペアになりなさい!」
ブホォ!
小野寺はびっくりして、口に含んでいたお茶を吹き出してしまう。その所為で口元がびちゃびちゃになっている。
「なりなさいって、ペアってクジで決めるんじゃ・・。」
「気合いでなんとかしなさい!!」
「そんな無茶な・・。」
小野寺の言った通り、肝試しのペアはクジ引きで決められる。これに関しては確率の問題であるため、正義とペアになりたいと願ったとしてもどうしようもないのだ。
気合いでなんとかしろと言われても無理なものは無理だろう。
ハンカチで顔を拭く小野寺にまだ続ける。
「あんたこの林間学校でなんも進展しないつもり?どんな形にせよ、こっちから仕掛けなきゃ何も変わらないよ。勇気出すって決めたんでしょ?」
宮本は集や楽、正義に対しては厳しいが、
小野寺に対しては優しい一面がある。
自分の友人の恋を実らせようとしてくれているのだ。
しかし、今までるりが小野寺にチャンスを作ってくれていたのだが、小野寺はそのチャンスを不意にしてしまっていた。それを機に
勇気を出すと決めたのだ。
「それに、もし私が一条弟君とペアになったらあんたに譲るからさ・・確率は2倍よ。」
「るりちゃん・・」
るりなりの優しさに胸の奥から湧き上がるものがある。
お盆を持って立ち上がるるり。しかし、
「ペアになって暗がりになったら押し倒しちゃえばいいのよ。」
「るりちゃん!」
さっきまでの良い雰囲気はどこに行ったのか・・。
「でも、もし本当に一条君と一緒にペアになれたら・・わたしどうするんだろう・・。」
小野寺はそう考えながら使ったお盆を片付けていると、その近くには自動販売機でお茶を買っている正義の姿があった。
(私も勇気出して頑張らなくちゃ・・。)
小野寺はそう心に言い聞かせる。今は正義と小野寺以外誰もいない。二人きりで話せるチャンスなのだ。
「おはよう一条君!」
「ふぇい!?」
突然声をかけられ驚く正義。
「昨日は良く眠れた?」
「お、おう。眠れたっちゃ眠れたけど
頭に血が上って大変だったけどな・・」
なぜかというと昨日の夜、集が女子の部屋と繋がる襖を覗き見し、それがバレてベランダで逆さてるてる坊主の状態で寝ることになってしまったのだ。
「小野寺も集合遅れるなよ?また後で!」
正義の脳内では・・
(やべえ・・昨日のお風呂の光景が俺の脳内ハードディスクに完全に焼き付いてやがる!
昨日いた女子の顔を見ると、あの光景がフラッシュバックしてまともに話せねえ・・。)
そのため、早めに立ち去る正義。
しかし、小野寺の頭の中では・・
(もしかして、私避けられてる?)
*━━━━━━━━
あれから時間が経ち、山登りを終えたあと
お待ちかねの肝試しが始まった。
「はーい!こっち注目!只今より恒例の肝試しを始める!準備はいいか野郎どもぉお!」
<おおーー!!>
キョーコ先生が拡声器でみんなにそう問いかけ、生徒達が一斉に声を上げその呼びかけに応える。
「じゃあ先生達はここで一杯やってるんで、
後は適当にやってくれ。生徒の自主性を重んじてな。」
(おい教師ども・・・)
心の中でツッコむ正義。周りの奴らもテンションが上がっていて、同じく先生達のテンションも上がっていた。それに乗じて酒に手を出し始めたのだ。なんともテキトーである。
これはもう諦めるしかないだろう。
「じゃあ女子から先にクジを引いてくださ〜〜い!」
女子から先にクジを引くが、特に盛り上がることも無く進められ、全員が引き終わる。
次は男子の番となった。これは男子達にとって運命の瞬間であるのだ。顔からは緊張の色がうかがえる。
男子は列を作り、順番ずつクジを引いていき
正義の番が近づく。
(俺は誰が当たるんだろうな・・知り合いの方が俺としては嬉しいんだけど・・。)
心でそう呟きながらクジの入った箱の中に近づいていく。すると、周りから女子の声が響き渡る。
「へぇー。小咲は12番だったんだー。小咲は12ば〜〜ん。小咲は12ば〜〜〜〜ん。」
正義は声のした方向を振り向くと宮本がドヤ顔をしながらこっちを向いてきた。
どうやら小野寺の番号を言いふらしていたのは宮本だったようだ。
(宮本は何を考えて番号を言いふらしてたのかはよくわかんねえけど、小野寺は12番か・・・知らない人と肝試しするよりは楽しいか・・やべー、なんかわかんねえけど緊張するぅう!!)
とうとう、正義がクジを引く番となり正義の額からは汗が流れる。
正義は直感に任せ、クジの入った箱の中に手を突っ込む。
小野寺は両手を握りしめて祈りながら
見つめている。
(コレに決めた!!)
正義は箱の中からクジを一枚引き抜き、
二つ折りにされたクジを広げる。
そこに書かれていた番号は━━━━12番
「マジか・・本当に当たっちまった・・。」
正義は当たれば嬉しいな程度にしか思っていなかったが、本当に小野寺とペアになれるとは思いもしなかった。
正義はペアを組むこととなった小野寺の元へ向かう。
(ヒャアアアアアアアアア!)
「おちつけ、おちつけ、おちつけ、」
小野寺は顔を真っ赤にして宮本の肩を掴みグラグラと揺さぶっている。宮本は表情は変えてはいないが、本人なりに必死そうだ。
正義はなぜそこまで小野寺が顔を赤らめて騒いでいるのかわからず、頭にハテナマークを浮かべながら近づく。
「小野寺・・よ、よろしくな。」
「ふぁい! よ、よろしくお願いしましゅ!」
緊張しているのか噛み噛みになっている小野寺。他のペアというと、
「なぜ、あなたが?」
「男子が人数不足らしくて・・男子役を・・」
宮本、鶫ペア
「怖くなったら抱きついて良いよー桐崎さぁーん!」
「私の腕力ゴリラ並みらしいけど」
「やっぱその辺の木に抱きついてください桐崎さぁーん!」
桐崎、集ペア
「よろしくお願いします。一条さん」
「あぁ、よろしく。」
楽、お淑やかな女の子ペア
という感じでクジ引きは決まった。
いよいよ肝試しの始まりである。
ルールは決められたルートを歩くだけ。
しかし、配置されたオバケが脅かしにかかってくる。その中、男子と女子は必ず手をつながなくてはならないのだ。
「12番のペアの人、準備お願いしまーす。」
「お、そろそろだな・・大丈夫か?小野寺?」
「う、うん。大丈夫!緊張してるだけだから。あと、手・・繋ぐんだよね?」
「あぁ。」
正義は右手を差し出して、小野寺はそれを左手で取る。この状態でスタート地点からゴールまで維持しなければならないのだ。
「はい!では出発してください!」
スタートの合図で正義と小野寺は歩き始める。
「おーい正義。頑張れよ〜〜。」
「おう、さっきに行ってるぜ兄貴。」
楽に呼びかけられる正義は返事を返す。
小野寺は手を握りしめ、意気込んでいる。
小野寺は正義と距離を縮める一世一代のチャンスだ。確実にものにしたい。
しかし・・
「ガァアアアアアア!」
「キャアアアア!」
「く、苦しい小野寺・・」
スタートして、5分も経たない内に最初の脅かしの人が立ちはだかる。
それに驚いた小野寺は正義に首元に思いっきりしがみついている。
「恨めしやぁああ!」
「ヒャアアア!!」
「グエッ・・苦しい・・」
この様な流れが何度も繰り返され、
10分が経過した今は・・
「はぁ・・はぁ・・」
「・・大丈夫か?」
正義の腕にくっつき、息を切らす小野寺。
彼女は無意識のうちにしてしまっているのだろう。普段の小野寺だと、恥ずかしさで逃げ出してしまうところだ。しかし、今は肝試し。そんなことを気にしている場合でないのだ。
正義は抱きつかれる度にこう思っていた。
(女の子ってこんなに柔らかかったのか・・
匂いもいい匂いで、女の子固有のものなのか?)
正義も年頃の男の子だ。気にしない筈がない。
「小野寺。頑張れ。もう少しで出口だ。」
「う、うん。」
(チクショー上目遣いでこっち見ないでくれー可愛いじゃねぇかよぉおお!)
正義は理性の糸が切れそうになるがなんとか耐える。
小野寺はとても疲れた表情だ。そりゃそうだろう。只でさえ山登りをしているのだ。
山登りが終わった後休憩時間があったものの
疲れが取りきれる筈もない。
「小野寺!ゴールの光が見えたぞ。頑張れ!
」
正義は必死に小野寺の応援をする。
正義と小野寺の体同士がくっつきあっているがそんなことは御構い無しだ。
正義と小野寺はゴールに辿り着いたが、
送られたのは歓声ではなく、男達の冷たい目線だった。
「一条・・お前・・」
「へ?」
「うらやましいじゃねえかこの野郎!!
一発殴らせろ!」
「こっち来んなーー!オバケよりもお前らの方が怖えーー!」
正義は他の男子生徒に追い掛け回されるハメになってしまう。
一方女子はというと、
「寺ちゃん、一条君とくっ付いてるー!」
男子とは違い、歓声が送られる。
しかし、小野寺はフリーズしていた。
(わ、私ったらなんて大胆なことを・・!)
「小咲お疲れー。小咲?」
顔を赤らめて、石の如く硬直していた。
宮本は声をかけるが反応がない。
「「「「「いぃいちぃいじょうぅぅ!死ねええええええええ!」」」」
「わわわわわ!」
正義たちはそのまま、肝試しが行われた
森へと入っていく。
「おい、桐崎?あっちから声するぞ。
彼処に誰かいるのかも。」
正義達の騒ぎによって救われたものがいることは正義は知る由もない。
こうして、波乱万丈な林間学校は幕を閉じたのだった・・。
どうでしたでしょうか?
林間学校を満喫できてよかったですね。
次回はなんと鶫にラブレター!?
鶫はそれに対して悩みがあるが・・
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