ニセコイ Another story 俺と楽の波乱万丈な日常!? 作:覇王神 ゾディアーク
前回の続きです!
夏休み真っ只中での、和菓子屋でのバイト
で、まさかの大型の台風が直撃。
過ぎ去るのはいつになるのだろうか・・
恐らくだが、一晩中は強い風と雨が吹き荒れることになるだろう。一言だけ言おう・・
(なぜこうなった!?)
正義はただ小野寺の和菓子屋のバイトをしに来ただけなのだ。まさか台風が街を直撃して
お泊まりルートへ直行するとは思いもしなかったのだ。
「小野寺、今日はお母さん以外居ないのか?」
「うん。お父さんは用事があって帰ってこれなくて・・妹は寮生活してるから・・」
(へぇ〜小野寺、妹いるのか。)
小野寺に妹がいた事を初めて知り、少し驚きを感じたが、今はそれどころではない。
両親と妹がいないとなると、正義は小野寺と二人きりでお泊まりという事になる。
男と女で二人きりは流石にまずい。
「小野寺、流石に男と女で二人きりはまずいだろ。悪いけど俺は帰るわ。」
「え、でも・・・」
「そんなもん気合いでどうにかしてやる!傘貸してくれ。」
そう勢い良く傘を持って外に出たものの、
ドアを開けた瞬間、激しい突風が吹き、正義の傘をへし折って吹き飛ばし、正義の顔に
痛みを感じるほどの雨が叩きつけられる。
「おい!気をつけろ!瓦が降ってきたぞ!」
「そこの坊主も危ねえから外に出るんじゃねぇ!」
近くの住民と思われる男達が正義を注意する。結局、正義は家に帰る事を断念せざるを得なくなってしまった。
(・・・何故こうなった!?)
これはもう仕方ないだろう。何がともあれ
この台風が弱まるまで小野寺の家に泊まらせてもらうしかないようだ。
(小野寺はどう思ってんだろうな。正直、俺と泊まるのは嫌なんじゃ無いのか?)
正義はそんなことを考えるが、どうやらそんな心配は無さそうだ。
(どうしよう・・・どうしてもニヤニヤしちゃう・・。)
(こんな顔、一条君に見せられない・・・お願い戻って私の顔〜。)
小野寺は正義の背後で『和菓子屋おのでら』と書かれた暖簾を片付けていたが、正義にその顔を見られたく無いからだろう。その影で顔をグニグニと解して、よしっと振り返る。
「一条君、夕ご飯とかどうしようか。」
「ん?そうだな・・・って・・なんでニヤニヤしてるんだ?」
「フェ!?」
まだ治っていなかった。
「いや、その・・・それは・・昨日見たテレビが面白くて・・・思い出し笑い?」
小野寺は何とか正義に悟られ無いように誤魔化す。
(ダメだ〜!どうしても顔が緩んじゃうよ〜!)
小野寺は疑問を浮かべている正義の顔にとうとう耐え切れず、後ろに振り向いてしまった。
(小野寺・・やっぱ緊張してるのか?)
まぁ、それもあるだろうが、小野寺にはそれとはまた違った意味があることに正義は気づいてい無い。
「じゃあ、色々話し合ってから決めようか。まずは部屋に上がってもらって。」
「へ?」
(私ったらなんて大胆な事を・・・!)
小野寺は先ほど自分が発言した事を思い出し、顔を赤らめる。正義も呆けた顔をしている。
「い、いいのか?部屋に入っても」
正義もまさか部屋に入れされてもらえるとは考えもしなかった上に小野寺自身もそんな大胆な事を提案するとも思わなかった。
「それは・・その一条君なら・・ね?」
「いや、同意を求められても・・・。」
正義の少し困った顔を見て、小野寺は悩み始め、ふと何かを思い出す。
自分の部屋今どうなっている?と。
自分自身は部屋がとてもきれいだと思っていたとしても他人から見たら汚いと思われるかもしれない。
「ちょ、ちょっと待っててね!少しだけ部屋を片付けさせて!着替えもまだしてないし!」
「お、おう。いいぜ?まぁそんな焦らずにゆっくり・・・」
ダダダダ‼︎‼︎
小野寺は物凄い駆け足で正義の言葉を最後まで聞かずに二階にある自分の部屋に直行する。
正義は店の影で作業着から私服に着替えているが、その上からは明らかに片付けているっという感じの音が正義のいる場所にも響き、更には掃除機の音まで聞こえる。
一体何をそんなに片付けているのだろうか?
小野寺は部屋の片付けを終え、最後の仕上げに芳香剤を霧状にして撒く。
そして小野寺は引き出しから着替え用の服を何着か取り出す。何度か試行錯誤を繰り返し、白いワンピースを着る事に決定する。
小野寺は正義を呼ぶために部屋を出ようとするが、机の上に置いてある写真立ての存在を思い出す。
その写真は中学校最後の運動会のだ。
それにはハチマキを頭に巻いた正義がリレーで一等賞を取り、バトンを上に翳しながらクラスの友人から抱きつかれている。という光景の写真だ。
こんな写真を一条君に見られたら・・・・
小野寺はゆっくりと写真立てを倒して中を見られないようにする。
小野寺は部屋を出て、ようやく正義を呼びに行くのであった。
*ーーーーー
「適当に寛いでもらっていいから」
正義が部屋に入ると小野寺が部屋の真ん中で
正座をしていた。
失礼かもしれないが、正義が部屋の中を見渡す。可愛らしい家具、女の子らしい色合いとなっていた。しかも、どこかいい匂いが・・・
「私、お茶入れてくるね。」
「あぁ・・お構いなく・・」
小野寺が部屋を出て、足音が遠ざかっていく。小野寺が戻ってくるまでこの部屋で一人っきりである。正義は部屋の中をもう一度見渡すとある部分に目が行く。
(あの写真立て・・・なんで伏せてあるんだ?)
すると、正義の心からある感情が湧いてくる。
(見てみたい・・・)
人間の心情的に『押すな!』と書かれている
ボタンをついつい押してしまうように、写真立てがあからさまに伏せていると中を覗きたくしまうのだ。
(・・・いやいや!ダメだろ!人の写真を勝手に見るなんて!)
正義は心の中で天使と悪魔が脳内戦争を繰り広げているのだ。
《人の写真ですよ?写真立てだって、小野寺さんが片付けている間に倒れちゃっただけかもしれません。見るのはよくありません!》
と心の中の天使が囁く。
一方悪魔側は・・
《へっへっへ・・!もしかしたらあの子の好きな子が映ってるかもしれねぇぜ〜?いいから見ちまえよ〜!減るもんじゃねぇんだからよ〜?見た後ばれないようにそぉ〜と元通りにしておけばノープロブレム!》
と主張をする心の中の悪魔。
(クッソ・・・見たい・・!でもダメだ!いや・・・でも・・・グッ・・・・)
正義は誘惑に負け、恐る恐る写真立てに手を伸ばす。その時・・・
「お待たせ〜!」
「フゥオアアアアッ!?!?」
小野寺がお茶を入れて戻ってきたと同時に正義は身体能力の全てを使い、座布団に座り込む。小野寺が戻ってきた時は心臓が爆発しそうであった。
「あ、ありがとう・・いや〜有難く頂くよ・・・!」
「?」
小野寺は頭の上に疑問符が浮かんでいるが正義への信頼があるのか説いただすことはしてこなかった。
(すまん小野寺・・・二度とこんな事しねぇよ・・・)
正義は心の中でそう誓うのであった。
「・・・・」
「・・・・」
部屋に来たは良いものの、お互い緊張しているのか会話をせずに数分経っていた。
正直気まずい。本来ここは男である正義が
話題を振るのが一番なのだが、異性に対して鈍感なため、どのような話題を振れば良いのかわからないため、振る勇気が出ない。
「・・・え〜と・・・どうしようか・・・」
「う、うん。どうしようか・・・」
「・・・・・」
「・・・・『しりとり』でもしようか・・」
それはまだ早すぎる。
「お、落ち着け小野寺!それは話題が尽き果てて、行き着く会話の墓場だ!」
「そ、そうだね!ご、ごめん!」
小野寺も話題を絞り出そうと必死だったのだろう。しかし、初っ端から『しりとり』はダメだろう。
正義はそこである提案を持ちかける。
「そ、そうだ!中学校の頃の卒業アルバム見ようぜ?定番中の定番だけど話題にはなんじゃねぇか?」
「そ、そうだね!そうしよっか!」
正義の提案に応じた小野寺は部屋にある棚から卒業アルバムを取り出す。
そして、それを開くと中には中学校の頃に撮った写真がビッシリと入っていた。
「うわ〜懐かしいね。」
「あぁ。半年前まではまだ中学生だったのにな。」
なんだかとても変な感覚である。半年前までは二人とも中学生だったのだから。懐かしいようかなんというか・・・
「あ、見てこれ。中学一年の時の球技大会の時の写真。私この時に、るりちゃんと仲良くなったんだよ。」
「へぇ〜。そうなのか。」
「一条君と二年の頃に一緒になった以来だね。」
「まぁな。兄貴と一緒のクラスで良かったんだよな〜。中々クラスに馴染めなくてよ〜。
小野寺と話すようになったのは三年生になってからだよな。」
正義は卒業アルバムを見渡す。しかし、自分の写真が中々写っていないのだ。
「何でだろうな・・・俺が写ってるの全然なくないか?」
正義は小野寺にそう問う。でも、小野寺は
「そんな事ないよ。ほらここにも・・ここにも・・ここにも・・!」
小野寺が指した写真に小さくだが正義の写真が載っていた。
「小野寺・・よくこんな小せぇの見つけられたな?」
「え!?だって・・・一条君・・モテてたでしょ?」
「・・・!?はぁ!?モテてねぇよ。そんなことだったら小野寺だって・・!」
正義は顔を赤らめながらもそう言う。まさかそのような返答が返ってくるとは思わなかった。
「えぇ!?だって一条君優しいし!!」
「んなことねぇよ。」
「えぇ〜?一条君が気付いてないだけかもしれないよ?」
「いやいや、無いって。」
正義は否定しているが、実際のところモテていたのは事実だ。
顔は整っており、運動神経、頭脳に置いて正義の前に出るものはいなかった。そして、更に優しいと来るとモテない理由がないのだ。
「私・・一条君の事好きだった人知ってるけど?」
「へ?マジで!?誰だよ!?」
「それは秘密・・・教えられません。」
小野寺はとても可愛らしい笑顔でそう言う。
正義はそれに対してドキッとしてしまう。
「えぇ〜?教えてくれてもいいだろ?」
「ダ〜メ。その人の許可がないと教えられません。」
「えぇ〜〜〜〜〜〜〜!?」
最初は台風の所為で帰れなくなり、どうなるかと思ったが、正直のところ、台風に感謝している自分がいる。今日はある意味いい日なのかもしれない。
「舞子君とはいつ会ったの?」
「あぁ。あいつとは兄貴と俺が幼稚園の頃からの腐れ縁。偶に腹立つ事もあるけど、いい奴だよ。」
「あはは。へぇ〜すご〜い。」
すると、小野寺が何かに気づいた表情になり、急に立ち上がる。
「どうした?小野寺。」
「雨が止んでる・・・」
「へ?」
正義は急いで携帯の天気予報を確認すると、
大型の台風が大幅に本州から逸れていた。
(なんだよ・・台風さんよ〜!?空気読まんかい!コンチクショー!)
台風が直撃したならしたで良かったのに、
どうして逸れてしまうのだろうか?
神様は本当に気まぐれである。
しかし、これで帰れるようになったのだ。
風も吹いていないため、チャンスである。
「小野寺・・悪いけどこれで帰るわ。小野寺の家に二人きりでいるのもまずいし・・」
「そうだね・・・・雨が降ってないのに泊まるのもアレだし・・・」
そう言って正義と小野寺は外に出るのだった。
「じゃあ、失礼するよ。楽しかったよ。ありがとな!」
「ううん。こちらこそ。」
正義はそのまま一本道を歩き出す。
しかし、ふとある事が思いつく。
(もしかしたら・・また今日みたいにバイトに呼ばれる事があるかもしれねぇな。)
正義は小野寺の家の前に戻り、ある事を提案する。
「小野寺!そう言えば、俺たち・・電話番号とメールとか・・知らねえな・・・交換でも・・するか?」
別に特別下心など無い。ないのだが、何故が緊張している。
「そ、そうだね!ちょっと待ってて!携帯取ってくる!」
小野寺は急いで自分の部屋に戻り、携帯を取りに行く。心無しか小野寺の顔はとても嬉しそうな顔をしていた。
正義の携帯と小野寺の携帯を近づけ、赤外線通信でメールアドレス、電話番号を交換する。
小野寺はテストメールを兼ねてあるメールを送ろうとする。
『中学校の頃好きだった子っていうのはね・・・私の事だよ。』と。
しかし、小野寺はそれを送る事は無く、そのメールを削除する。
「それじゃまた!」
「うん!またね!」
正義はそのまま走って家に帰ったのだった。
家に帰り、組員の奴らと楽に軽くからかわれたのはまた別の話。
どうでしたでしょうか?
小野寺さんの家で二人きりで
泊まってみたいものですねww
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