ニセコイ Another story 俺と楽の波乱万丈な日常!?   作:覇王神 ゾディアーク

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お待たせしました!

第26話です!

今回は題名通り・・・縁日の回です!


第26話 エンニチ

凡矢理市で年に一度か二度行われる

町おこしの一環でもある縁日。

今宵の凡矢理市は沢山の人で賑わってる中、一人の青年が屋台の手伝いをしていた。

 

「らっしゃい‼︎美味しい焼きそばだよ〜!」

 

その青年、一条正義は組の屋台の手伝いを

していた。

人が密集し、体感温度が高い中

鉄板でそばを焼いているため、更に暑い。

 

 

「坊ちゃん。そろそろ休んだらどうです?」

 

「良いんだよ。大丈夫だ。組には世話になってるし、これぐらいさせてくれよ。」

 

正義の作った焼きそばは大盛況で、屋台で行列が並ぶほどだ。しかも、何時間も前から屋台の手伝いをしているため、流石の組員も休憩を入れたらどうだ?と言葉をかけるが、

正義は一向に休もうとしない。

まぁ、夜に休みを貰っているため、その分働く義務があるためだが。

 

 

「そいつはなんですか?」

 

「差し入れ。他の屋台の奴らに渡してくる。」

 

「坊ちゃん・・・あんたって人は・・!グスンッ!」

 

組員の一人が正義に優しさに涙を流す。

これは人として当然の行動だと思うのだが。

 

 

 

 

正義は人混みの中、屋台の連中に正義特性の焼きそばを渡しに行く。

 

楽も屋台で働いているが、どうやらそちらも大盛況の様だ。正義は縁日でやる事は特に決めていない。テキトーにぶらついて立ち食いをする予定である。

一方、楽はこの縁日に絶対手に入れたいラッキーアイテムを必ず手にすると意気込んでいた。

 

 

屋台の奴らに焼きそばを渡し終え、屋台に戻り、作業を続ける。

 

「坊ちゃん・・・いい加減休んでくだせぇ。

坊ちゃんは十分に活躍してくれやした!」

 

「いや、大丈夫だよ・・・って!ちょっと!」

 

 

組員が正義の持っていた鉄ベラを強引に奪い取る。正義自身も後ちょっとまで働きたかった訳だが・・・

 

「坊ちゃんはずーっと働きっぱなしじゃないすか!安心してくだせぇ!お金は十分なほど溜まりやしたし、坊ちゃんは遊んできてくだせえ!」

 

これは何を言っても無理だろう。鉄ベラまで取られてしまったのだ、ここは言葉に甘えるとしよう。

 

「わかったよ。じゃあ、後は頼んだぞ?」

 

「あいよ〜!いってらっしゃいやせ!坊ちゃん!」

 

 

 

 

 

*ーーーー

 

 

 

休みをもらったとは言え、食べる以外何をしようか考えていなかったため、人混みの中をぶらつく。

 

「えっ〜と・・何しようかな・・・っとと!

すみません!」

 

「いえ、こちらこ・・・」

 

正義は人混みの中、屋台を探していた所為か

人とぶつかってしまう。ぶつかった人物は正義がよく知っている人物だった。

 

「鶫?」

 

「一条正義?」

 

その人物は鶫だった。しかも、珍しく青い生地に花柄の入った浴衣を着ていて一瞬誰だかわからなかった。

 

「貴様・・一体何をしているのだ?」

 

「お前こそ・・今日は桐崎と一緒じゃないのか?」

 

鶫と千棘が一緒にいないのは珍しい。そのため正義はそう問う。

 

「お嬢はこの縁日をとても楽しみにしていたみたいでな・・一人で飛び出して行ってしまったのだ。貴様こそ、ここで何している?」

 

「俺は組の手伝いをしてて、今さっき終わったばっかだからやる事なくてぶらぶらしてただけだよ。」

 

「ふ〜ん。ところで何でこんなに人混みが出来ているのだ?普通の縁日でもここまで混まないぞ?」

 

確かに・・普通の縁日でもここまで混まない。ここまで混むと思われる理由が一つ思い浮かぶ。

 

「多分、ここでしか手に入らないお守りの

”恋結び”の所為じゃねぇか?」

 

その”恋結び”というのは恋愛成就のご利益があるらしく、その効果は絶大でそれを持っていると思いを寄せている人同士がカップルになれると話題沸騰中のラッキーアイテムらしい。楽はこの恋結びを手に入れようとこの日の朝から躍起していた。

でも、正義は正直なところ神頼みのような類いのものはあまり興味がない。なので恋結びを買う予定は特にない。

 

「あ〜そうか・・鶫はアメリカから来たからこの縁日っていう文化あんまりよく知らねえんだよな。」

 

「まぁな。長い間アメリカにいた所為もあって、何をしようかも悩んでしまう。」

 

「そういう話なら、俺と縁日回るか?俺の組も相当屋台出してるし、焼きそばとか、たこ焼きとかタダで食えるぞ?」

 

「フ、フン!だ、誰が貴様なんかと。私にもやることがあるのだ。」

 

 

鶫は顔を赤らめながらも素っ気ない態度を取っているが、表情は喜んでいるように見える。因みに鶫のやる事とは・・

 

(恋結びか・・・この人混みだと買うのは難しいか・・・)

 

どうやら鶫は恋結びを買うつもりらしい。

 

一方正義もある事を探るために、ある暴挙に出た。

 

(鶫の誕生日の為に何が好きなのか探らねぇとな。こいつの好みは俺良く知らねぇし。)

 

「素直じゃねぇ〜な。じゃあ強制だ。一緒に行くぞ。」

 

「え!?ちょ!?」

 

正義はそう言って鶫の手を引っ張って人混みの中を突き進んでいく。

 

 

*ーーーーー

 

 

「やっぱ縁日つったら屋台だろ。」

 

「それはいいのだが・・・貴様・・・そんなに食べるのか?」

 

正義が買ったのは組の連中が作った、たこ焼きで、鶫は6個入りを買ったのだが、正義は6個入りを三、四個買っていた。勿論タダである。

 

「桐崎だってこんぐらい食うだろ。これでも少ねえほうだぞ?」

 

「・・・」

 

「なんか言えよ!?」

 

正義の大食漢ぶりに少々引き気味の鶫。

量的には千棘と変わらないはずなのだが。

なんなのだろう・・・この扱いの差は・・

 

「ま、まぁいい。取り敢えずこれ食ったら

他んとこ行くぞ?」

 

「他って・・何処にだ?」

 

「それは決めてない!」

 

我ながら行き当たりばったりな考えである。

でも仕方ない。鶫の好みを探す為だ。

 

「はぁ・・全く。貴様はそういう所が駄目なのだ。」

 

「う、うるせぇな。良いから早く行くぞ?」

 

「行くぞって・・まだ貴様食べ終え・・・って貴様、もう食べ終えたのか!?」

 

「あぁそうだよ!早く行くぞ。」

 

正義はそう言って鶫の手を引っ張る。

 

(全く・・一体今日のこいつは何なのだ?よく分からん。)

 

鶫は正義のこの積極性のある行動の真相に気づいてはいないが、何かをしようとしていると薄々感づいていた。

 

 

*ーーーー

 

 

次に一行がやってきたのは、組が出している

金魚すくいの屋台だ。

 

 

「そぉ〜と・・・あぁ!全く!何なのだ!こんな薄っぺらいもので取れるわけないだろう!」

 

金魚すくいの難しさにどっぷりとハマっていた鶫。挙げ句の果てにはこの金魚すくいの仕様に愚痴をこぼす始末だ。

初見殺しとはまさにこの事だろう。

 

「あ〜あ。あのな?金魚すくいってのはこういうもんなんだよ。それにこの金魚本当に欲しいのか?」

 

「勘違いするな。これはお嬢が欲しがっているからだ!」

 

「あいあい。わかりやしたよ。ちょいとそれ貸してみ?」

 

正義は鶫からほぼ破れているポイをこちらに寄越すように促す。

 

「え?しかしほぼ破れてるぞ?」

 

確かに”初心者”ではこの状態のポイで金魚をすくい上げるのは難しいだろう。しかし、

それが”達人”なら別だ。

 

 

ヒュンヒュンヒュン!

 

正義は流れるようなスピードでほぼ破れているポイを使って金魚をお椀の中に一匹、二匹、三匹、四匹とすくい入れる。

 

「「「「「「「おぉおおお!」」」」」」」

 

その達人のような早業で正義の金魚すくいを見てていたお客さん達が歓声を上げる。

 

「えぇえ!?貴様!一体どうやって!?」

 

「へへぇん。こういうのは家でめちゃくちゃ練習出来っからな?悪いけど、縁日での俺と兄貴は無敵だぜ?」

 

 

小さい頃、良く楽と正義は家で遊ぶ時金魚すくいなどをして遊んでいた事がある。

よく何匹すくい上げられるかをおやつを賭けて争っていたりもした。今では懐かしい記憶である。

 

「お、来やしたね?坊ちゃん!あっしはいつも坊ちゃんには惨敗しやすからね?さっきも

楽坊ちゃんに完全に敗北したばっかなんで・・・更に強い刺客を入れやした!」

 

(あ、兄貴ここ来てたのか。だったら尚更負けられねぇ!)

 

正義はそう意気込むが肝心なその強い刺客とは・・・

 

黒い体をして、細長く、ヌメヌメした体をした高級魚・・・

 

 

 

 

「ウナギ‼︎⁇」

 

 

しかもとても大きく、お椀の中には絶対入らないサイズである。

 

(んなもん一体どうやって・・・)

 

正直こんな物、この薄っぺらいポイでは取れる気がしない。

しかし、だからと言って引き下がる訳には行かない。意を決してポイをウナギに近づける。

 

バチャバチャ!

 

案の定、ウナギが暴れるが・・・

なぜかウナギはポイに体がガッチリと絡まってしまい、その勢いに任せて正義が早くウナギの絡まったポイを引き上げる。

 

(取れたぁああ!?)

 

 

これはもはや9割ほど奇跡に近いだろう。

普通ウナギがガッチリと絡まるなどないのだから。

正直、取れるとは思っていなかったので

予想外の出来事に少し驚く。

 

「貴様本当になんなのだ!?」

 

「いや・・これは俺も予想外・・・」

 

 

「またのお越しを・・・坊ちゃん・・」

 

組員は自分の最大の刺客を正義に突破されてしまい、精神的にもガックリきている。

まぁ何がともあれ、勝負に勝ったのだ。

 

 

「ほら・・・桐崎にこれ渡せよ。欲しがってたんだろ?」

 

正義は先ほど取った袋に入った金魚を鶫に渡す。しかし、数は二匹ほど。

 

「まぁ、飼うんだったら最初は二匹ぐらいがベストだよ。」

 

「あぁ。ありがとう。一条正義。」

 

「お、おうよ。」

 

鶫の笑顔に顔を赤らめる正義。

仕方ない・・とても可愛らしかったのだから。

 

 

 

*ーーーー

 

 

次に来たのは射的。

 

 

「この銃みたいなもので欲しい奴を撃ち落とせば良いのか?」

 

「あぁ。そうだよ。」

 

鶫は銃の扱いは長けていると自信満々に主張する。

しかし、射的の仕組みを理解してないと読む正義。

 

ポン!

 

案の定、鶫は無難にお菓子を狙うが、見事に外れる。

 

「何なのだこのオンボロ銃は・・!実銃であれば一発で!」

 

「あ〜あ。そりゃ簡単に取られないようにする為に射的の銃口は少し曲がってんだよ。」

 

正義は鶫の持っている銃を借りて、箱に入っているミルクキャラメルを狙う。

 

ポン!

 

正義は見事に的中させ、キャラメルを落とす。

 

「ほら。やるよ。」

 

正義は撃ち落としたキャラメルを鶫に渡す。

 

「なぜ貴様はそんなにアッサリと取れるのだ?」

 

「ふふ〜ん!年期が違うんだよ。上手くなりたいんだったら教えてやってもいいけど?」

 

「ふん。結構だ。」

 

正義はやや自慢げにそう言う。

鶫も素っ気ない態度でお誘いを断る。

 

 

そんなことをしていると、何やら人集りができており、騒がしくなっていた。

 

 

「私はそろそろ買いたいものがあるから、一旦抜けるぞ?」

 

それと同タイミングで正義から別行動に写そうとする鶫。

 

「おう。じゃあ、神社近くの大木でまた会おう!」

 

 

そう鶫に向かって聞こえるように声を上げる。

 

(でも、鶫は何が欲しいんだろう・・結局わからず仕舞いか・・)

 

正義は少ししょぼんとしているとある事を思い付く。

 

 

(いや・・待てよ・・買いたいものって言えばこの神社でやってる屋台か恋結びの販売だけだよな?屋台はほぼ全部回ったし・・考えられるとしたら”恋結び”だけだよな。)

 

正義はそう一瞬考えるが

 

 

(いやいやいや、待て待て!鶫に限ってそれはないだろう・・恋結びなんて恋をしてる奴か、女男に飢えた奴しか欲しいと思わねえだろ・・鶫だぞ?)

 

途中、ややゲスい事発想をしていたがそれは置いておく。

しかし、考えようによってはこれほどまでに評判が高いお守りなのだ。今で興味がなかった人も興味が湧いて買う人だっている可能性がある、鶫もその一人かも知れない。

 

(恋結びか・・・俺も買ってみるか?)

 

そう考えると正義自身も興味が湧く。

気がついたらいつの間にか恋結びの売っている神社へと足を運んでいた。

 

 

 

*ーーーーーー

 

 

 

案の定、大行列だったが、並んだ列が良かったのかギリギリ売り切れのところで恋結びを買う事ができた。

 

(はぁ〜まさかこんなに並んでるとは・・混んでることは知ってたけどここまでとは・・)

 

 

 

正義は行列を並んでいた為、少し溜息を吐く。まぁ結果的には買えたから良かったのだが。

しかし、どうなのだろう。このお守りが恋愛成就の効果が本当にあるのかにわかには信じがたいことである。

 

 

「一条正義!」

 

混雑している場所から聞き覚えのある声が聞こえる。

 

「鶫!」

 

「貴様!どこに行ってたのだ!?」

 

「悪い!俺は買いたいもんがあったから・・」

 

「私は生憎、買いたい物を買えなかったのだ。今そっちに・・ヒャア!」

 

「鶫!」

 

鶫は正義に向かって手を伸ばしていたが

この異常な程の人集りに呑まれてしまう鶫。

 

(クッソ・・どこ行ったんだ?)

 

正義は鶫を探していると人混みの中に

ちょこんと、腕が出ていた。

 

「はぁ〜見つけた。ちょっと待ってろ今引っ張り出してやるから。」

 

正義はその腕を引っ張るがその腕は鶫の物ではなかった。

 

(小野寺ぁああぁああ!?)

 

人混みの中からは鶫では無く小野寺が出てきたのだ。

 

(鶫が小野寺に!?ど、どゆこと!?)

 

 

 

 

*ーーーー

 

 

 

「一条君・・なんでここに?」

 

「いや、俺はこのお守りを買いにな・・小野寺は?これ、買うつもりだったのか?」

 

「う、ううん。私はこの人の波に押されて来ちゃっただけで・・・あれ?そういえば

鶫ちゃんは?一緒じゃなかったの?」

 

小野寺は鶫と正義が一緒にいたのを目撃していた。小野寺は本当は恋結びを買うつもりだったのだが、この盛況っぷりで完売してしまい、買えなかったのだ。

 

 

「いや、さっきまで一緒だったんだけど、この人混みではぐれちまってな。参ったよ・・」

 

「そうなんだ」

 

(もしかしたら・・一条君の持ってる”恋結び”の力?いや、そんなことよりも、一条君と二人きりになれるなんて嬉しいな。本当はもっとこの時間が続いててほしいんだけど・・)

 

そう心に願う小野寺。

 

 

「あぁ、す、すみません。」

 

この人混みの中を歩いていると他の通行人に肩をぶつけてしまう正義。その衝撃で手に持っていた恋結びを落としてしまう。

それを見た小野寺は正義の落とした恋結びを拾おうとしてしゃがみ込む。

 

ブチ!

 

何かが切れた音が鳴り響く。

その音の正体は小野寺のサンダルの紐だった。

 

「あーあ。派手に切れたな・・・」

 

正義と小野寺はお互いに赤面しながら向き合い、正義が口を開ける。

 

「これじゃ歩けないだろ?俺が負ぶってやる。」

 

「え、えぇえ!?だ、大丈夫だよ!?」

 

「ほら、いいから。」

 

強引に推してくる正義に小野寺は渋々承諾する。正義はしゃがんで小野寺を背中に負ぶる。

 

「ご、ごめん!重たいよね!?さっき綿菓子食べちゃったし・・」

 

「いや、全然重たくなんかねぇよ。寧ろ、小野寺ちゃんと食ってるのか?軽すぎるぞ?」

 

小野寺自身は重たいと言っているが、寧ろその逆で正義にとっては軽すぎるぐらいだった。

 

 

(なんだかものすごく嬉しいけど・・物凄く恥ずかしいよ・・・)

 

小野寺はなんとも複雑な心境で正義に負ぶられていた。

 

 

 

 

人の少ない場所に小野寺を降ろし、恋結びを地面に置いて、正義は小野寺のサンダルの紐の修復を試みる。

「ほら、出来たぞ。まぁ一時的な処置だけど

この縁日が終わるまでは保つだろう。」

 

「うん。ありがとう。」

 

「じゃあ、俺は鶫を探しに行かねえと。ってあれ?恋結びが無え!?」

 

「え!?」

 

地面に置いていた筈の恋結びが無くなっていたのだ。さっきまでそこにあったのに・・

周りを見渡すと恋結びが失踪した原因の正体を見つける。

 

「あ!待て!それをどこに持ってく気だ!」

 

その犯人とは、茶色い斑模様のしたネコだった。口に正義の買った恋結びを咥えており、

今まさにこの場から持ち去ろうとしている。

 

「コラ!返せ!」

 

正義が近づくとその泥棒ネコは走って逃走する。負けじと正義もそのネコを追いかける。

 

「待てゴラァ!」

 

そして、小野寺の視界からは正義とネコの姿が見えなくなっていった・・・

 

 

 

 

(クッソ・・・どこ行った!?ん?あれは・・・見つけた!)

 

 

正義はネコのいる場所に走っていく。

そこにはなんと、万里花の姿があった。

 

 

「橘〜!」

 

「あら、正義様ではありませんか!どうかなさいましたか?」

 

そのネコは橘の後ろの手すりの所に見事なバランスで座り込んでいる。正義もそのネコを捕まえるべく、静かに近づく。

 

「橘・・・そこを動くなよ・・・」

 

「え?」

 

正義は万里花の肩をガッシリと掴み、集中力を極限まで高める。それ故形相が物凄いことになっている。目つきがまるで鬼瓦だ。

 

「えっと・・お気持ちは嬉しいのですが

私には楽様が・・・」

 

万里花も何か勘違いをしているようだが

正義はその事を気にしている場合ではない。

このまま苦労して手に入れた恋結びを持ちパクなんかされたらたまったもんじゃない。

万里花は正義の鬼気迫るほどの気迫とドキドキで心臓が今にもパンクしそうである。

 

(だ、ダメばい・・・!!)

 

「どりゃあああ!」

 

ネコ目掛けて飛びかかる正義だが、ネコはピョーンと正義を避ける。

 

「クッソ・・!逃したか!待てぇええええ!」

 

 

正義はネコを追いかけるため、万里花の前から立ち去るのだった。

 

 

 

 

 

 

*ーーーーーー

 

 

ネコは今正義から逃げている最中、

恋結びを道端に落とす。

それをある男が拾う。

 

(ん?これって恋結び?ふっふっふ・・今までナンパ25回中25敗・・・これがあれば百人力だ!)

 

そう。楽と正義の親友の集だ。

 

「お!あれはきっと美人に違いない!おーいそこのお嬢さ〜ん!」

 

集はその女性に声をかけるが、よく知っている人物だった。

 

「ゲ!?ぎゃああああああ!」

 

宮本の容赦のない上段蹴りが集の顔面に炸裂し、集の持っていた恋結びは遠くに飛ばされる。

 

 

そして恋結びは宙を舞った後

静かに道に落ちるのだった。

 

 

 

*ーーーーーー

 

 

 

 

(あれぇえ?クソ・・どこ行ったんだ?)

 

 

正義は飛んで行った恋結びを探しているが

中々見つからない。

 

「おい・・これって貴様のか?」

 

「え?あぁそうです!ありがと・・・」

 

正義に声をかけた人物は鶫だった。

 

「全く・・貴様は鈍臭いな・・・所持品の管理ぐらいしっかりしろ。」

 

「うるせぇ・・・色々あったんだよ。」

 

正義は態度は素っ気ないが、内心迷惑を掛けたと反省をしている。

まぁ何がともあれ鶫と合流したので最後の締めに恋結び販売もしていた神社に向かう。

 

 

(やれやれ・・今日は大変だったけど、楽しかったな・・・。この恋結びの所為で疲れたけど・・・。でも、やっぱこれって俺が持つのもなんかアレだよな・・こういうのはやっぱ女の子が持つべきだよな・・・こいつにも迷惑を掛けたし・・・さっき、「買いたいものは買えなかった」って言ってたしな・・・

もしかしたら、これ欲しいのかもしれねぇし

誕生日ももうそろそろだからこれでも良ければあげるか・・)

 

正義は歩いている中そんな思考をする。

一方鶫は、恋結びの解説が書いてある看板わ眺めていた。

 

 

恋結び

 

効能

 

一 良縁に恵まれます

 

ニ 片思いが実ります

 

三 古来より恋結びは男性が女性に渡すと求 婚を意味します。

 

と書かれていた。

 

(ふーん。そのような意味もあるのか・・・まぁ私は恋結びは買えなかったが・・まぁ

私に別に思い人など居らんし・・・)

 

 

「おーい鶫〜!これやる。」

 

「ん?」

 

正義は手に持っていた恋結びを投げて、鶫に渡す。

 

 

(ふ、フェエエエエエエエエ‼︎‼︎‼︎⁇⁇⁇)

 

鶫は赤面した。なぜかというと、正義が

鶫に男性が女性に渡すと求婚を意味する恋結びを渡してきたからだ。

 

(なんでこいつ こんなに動揺してるんだ?)

 

正義はどうやら、そのことを知らないのだろう。

 

「な、なんで私に・・!?」

 

「え?いや、何でって・・・」

 

「ほ、本気か!?貴様!?ど、どどどどういうつもりだ!?」

 

「本気だって。だから、やるっつてんの。」

 

「えええええ!?本気で!?えええええ!?」

 

(嘘だろ・・・!?こいつが私の事を・・!?このアホに限ってそんな事・・!

本当だったら・・私はどうしたら・・!?)

 

突然の事に戸惑う鶫。

一方、何故こんなにも動揺しているのかわからず、頭から疑問符が出ている正義。

 

「あ!?」

 

「ん?どうした・・」

 

「いや、その・・浴衣の帯が緩んで・・」

 

「はぁあ!?マジかよ!?」

 

鶫はあまりの動揺に汗ばみ、浴衣の帯が緩んでしまった。

 

「ちょっと落ち着け!今抑えてやるから!」

 

「ヒャア!こ、こっちに来るな!殺すぞ!?」

 

「怖えよ!いやいや、そうじゃなくて

そんな事言ってる場合じゃねえだろ!」

 

「ど、どんどん崩れてくる・・!」

 

鶫の浴衣がどんどんとはだけていき、

薄い水色の下着が垣間見えていた。

 

「今結んでやるから!」

 

「クゥウ・・!貴様がいきなりこんなものを渡してくるから・・!」

 

「なんの関係が!?」

 

正義が帯を抑えていると、ふとあるものが見える。そう・・恋結びの看板だ。

 

(え・・・・・?)

 

 

「違うからな!?」

 

正義はついつい、鶫の帯を手から離してしまう。

 

「帯がぁああ!?」

 

「いや、これは・・その!知らなかったんだ!いや・・なんというか・・・!これはお前への誕生日プレゼントで・・・!」

 

 

「いいからこっちを見るな!」

 

 

波乱の縁日はこうして幕を閉じた。

 

 

 

 

*ーーーーーー

 

 

 

縁日が終わった後、自宅に戻った鶫は

恋結びを持って、眺めていた。

 

(全く・・・奴のせいで散々な目にあった・・・しかし・・・来年も来ても・・悪く・・・ないかも・・な・・・)

 

鶫は正義から言われた言葉を思い出す。

 

 

『まぁ・・・色々あったけど・・その・・・

誕生日・・おめでとう。』

 

 

 

ありがとう・・・一条正義・・・。

 

 

 

 

 

 




どうでしたでしょうか?

縁日で楽や正義みたいに
無双してみたいですねww
こんな青春を過ごせたらな・・なんてww

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次回をお楽しみに!
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