ニセコイ Another story 俺と楽の波乱万丈な日常!? 作:覇王神 ゾディアーク
第30話です!
すみません!今回で文化祭編が終わりだと
予告しましたが、今回、少し長くなって
しまったので分ける事にしました!
「これは・・・まずいかもしれない・・!!」
正義が窓から凄まじい視線を感じ取り、
窓の近くに生えている大木の枝を見てみると
そこには、目は血走っており、手にナイフを持ちながら、楽に殺意剥き出しのクロードがいた。
ここ数週間、千棘と楽は殆ど行動を共にしていなかったのだ。それに心無しか監視が厳しかったような気もする。
(早く兄貴に伝えねぇと・・!このままだと殺られちまう!)
正義は焦燥に駆られ、急ぎ演劇の衣装を試着中の楽の元へと向かう。
「兄貴!ちょっとこっち来てくれ!」
「ちょっ!?な、何だよ!?」
正義はやや強引に楽の腕を引っ張り、クロードの目の届かない所へと一旦避難する。
「兄貴!もう限界だ。もう数週間も桐崎と一緒にいねぇだろ・・!クロードが兄貴の事、消し掛けようとしてるぞ!?」
「え!?ま、マジか!?」
楽もようやく危機感を感じ取ったのか、焦る表情を見せる楽。
「てか、何があったんだよ・・!喧嘩してた事は分かってたけど・・・鶫は何も教えてくれないし・・!」
すると、楽は表情を変えた。その表情はまさに不機嫌そのものである。
「そんなの・・・俺が知りてえよ・・!千棘は何で怒ってんのかも分かんねえし・・!やけに
冷えし・・!何が何だか・・!」
どうやら、正義とほぼ同じ現象が楽にも起きているようだ。何か原因がある筈だが、いまいちその理由がはっきりしていない。しかし、まずはこの状況を打開しないしなければならない。
「分かった・・!取り敢えず、俺は鶫にクロードの監視の目を緩くして貰うように説得してみる・・!兄貴は一刻も早く、桐崎と仲直りしてくれ!このままだと・・・!」
正義は一刻も早く状況を打開しようと
頭をフル回転させて、楽に指示を出す。
「・・・わかってる・・!」
すると、楽は千棘を探しに廊下へと、走り出ていった。それと共に、正義も鶫を探しに出て行った・・・。
*ーーーーー
正義は猛スピードで鶫のいる、廊下をひたすら走っていった。本来、廊下を走ってはいけないのだが、そんな事を気にしている場合では無かった。
廊下をひたすら走り、探していると、窓にもたれかかっている鶫がいた。
「鶫!」
「なんだ・・お前か。」
やはり、”お前”という呼び方は変わっていない。
「頼む!クロードの監視を緩めてくれるように言ってくれねぇか?クロードは最近やたら監視が厳しくて、兄貴が練習に身が入らねえんだ。
頼む!」
「何故だ?・・お前にそこまでしてやる義理は私には無い。」
「!?」
正義はここまで頼み込むのは初めてである。それなのに、この対応はあんまりである。
「いい加減にしてくれよ!!分かった!隠し事は無しだ!今、桐崎と兄貴が理由は分かんねえけど喧嘩してて、数週間も口を聞いてねぇんだ!それをクロードが見てて、兄貴を殺りそうな勢いなんだ!頼む!俺が嫌いなのはわかってる!一生のお願いだ!兄貴のためにも、桐崎の為にも・・!」
「だから・・何故・・お前にそこまでしてやらねばならない・・!クロード様がしている事は
お嬢のためだ。お前の兄貴など・・・・”知ったこっちゃない!!”」
プツンッ!
正義の中で何かが切れた。今まで信じてきたもの、培ってきたもの・・全てが裏切られたかの様な感覚。正義の中で、楽しかったこと、嬉しかったこと・・全てが崩れ去った。自分の事は貶されようが、蔑まれようがどうでも良い。
しかし、自分が尊敬している人物を貶すような事は・・許せない。
「あぁ・・そうかよ・・・!!お前はそういう風に思ってたのか・・。俺ん中では、お前はいい友達だと思ってた・・。けどお前の中では何とも思ってなかったって事か・・。お前と居て楽しかった事は無かったし・・。」
すると、鶫の表情が変わった。
「マラソンで競い合った事も・・敵同士だったからか・・。そうだ・・。全部・・今までの事は・・所詮は友達ごっこだった訳だ・・。」
「・・・!!」
「もう・・お前には何も頼らねえ。これから俺1人でやる・・。だからもう・・お前は・・!」
パチンッ!!
正義の左頬に鋭い衝撃が走る。気がついたら、
鶫にビンタされていた。
「え・・・?」
正義は突然の出来事に豆鉄砲を食らったような顔をする。
そのまま鶫は正義の前から何も言わず立ち去った。窓から差し込む光によって、鶫の額に流れる一滴の水が輝いていた。
「正直・・殴られる事なんてしょっちゅうだったから慣れてた・・。んだよ・・・ビンタの方が・・殴られるよりも痛えじゃねぇか・・・。」
正義は鶫の姿が見えなくなったところで、
そう呟いた・・・。
*ーーーー
(あの・・大バカ者め・・!愚か者・・! ・・・・私の・・・バカ・・)
鶫は壁に拳を殴りつけていた。一発・・二発・・三発・・と。
(何故・・私はあんな事を言ってしまったんだ・・・・!!あいつが一条楽の事をどれだけ大切にしているのか分かっていたのに・・!)
鶫の心に大きな罪悪感がのしかかる。
(あいつと喋っていると・・どうにも素直になれない・・!昔は・・こんな事無かったのに・・‼︎)
鶫は崩れ落ち、目から涙を流していた。
気がついた頃には日が暮れていた・・・
*ーーーー
そして・・文化祭当日。
様々なグループが舞台発表をしているなか、
正義達のクラス、『ロミオとジュリエット』
の開演が近づいていた。
「しかし、まさか今日に限って欠席者が三人も出るとはな・・。」
「だな・・。まぁ、騎士役は応用が利くし、何とかなるだろ。」
そう。今回、よりによって欠席者が出てしまったのだ。その中に、ジュリエットの代役である万里花も含まれている。
騎士役は多少アクションシーンがある為、
運動神経の良い人が選ばれていた訳だが、
その所為もあってか、代役がいないのだ。
今回ばかりはアクションが抜けて、多少クオリティが下がってしまうかもしれないが、セリフは非常に少ないので、突然代わりの騎士役を頼まれてもなんとかなるだろう。
「兄貴。大丈夫か?セリフ抜けてたりとかしねぇよな?」
「大丈夫だよ。心配すんな。きっちり練習積んできたしな。」
「頑張ろうね。一条君!」
本番が近づき、緊張と共にワクワクしている楽と小野寺の2人。
(兄貴も・・あの時は桐崎となんかあったみたいでしばらくは口を聞いてくれなかったけど・・多少元気になってくれてよかった。)
あの時とは正義が鶫にビンタされたあの日の事である。家に帰ってきて、しばらくの間は
2人ともものすごく静かだったのだ。あんな事があったのだ。無理もないだろう。
(なんか・・嫌な予感がするんだが・・気のせいか?)
正義は一瞬そう考えるが、そんな事ないだろうとその考えを消し去る。
しかし、 まさかその予感が的中するとは正義は思いもしなかった・・・。
*ーーーー
本番開始まで数三十分。全員の緊張が高まっていく。
「小野寺、緊張してんのか?」
「あ、い、一条君。う、うん。ちょっとね。」
突然正義に声をかけられ、驚くと共に顔を赤らめる小野寺。
「小野寺なら大丈夫だよ。やれば出来るんだから。心配すんな。」
「う、うん・・!あ、ありがとう。」
好きな人に声をかけられ、励まされるというものはとても嬉しいものである。正義のこの言葉により、より一層やる気が沸いてきた小野寺。
「じゃあ、俺は台本読み直してくる。頑張れよ。」
「うん。一条君も頑張って。」
(一条君に応援されてるんだ。頑張らないと!もう一度台本読み直そう・・!)
小野寺が台本を読み返していると、何やらその近くでステージの飾り付けをしている女子生徒がいた。
「ちょっと〜!危ないよ〜!?」
「大丈夫。もうちょっとだから。」
女子生徒は梯子を使って高所の飾り付けを行っていた。足場も悪いため、非常に危険である。
女子生徒はそれでも、作業を続行している。
「もうちょっと・・・きゃ!!」
「危ない‼︎‼︎」
足を滑らせ、落下してしまった女子生徒を見た小野寺は咄嗟に女子生徒の落下地点に駆け出し、庇う小野寺。
ガシャーン‼︎
「!?どうした!?」
大きな物音がしたため、周りの生徒達が
現場へと集まる。
「どうした小野寺!?」
その物音にキョーコ先生も駆けつけてきた。
「だ、大丈夫です・・。痛ッ!」
小野寺の足首には大きなアザが出来ていた。
完全に捻挫している。
「小野寺・・。残念だけど・・本番は・・。」
「小野寺・・・。」
正義は残念な表情で拳を握り締める。
しかも、今回は代役である万里花は風邪を引いて欠席している。何というバットタイミングだろうか。
「先生・・!私やります!」
「やるったって、あんたそんな足じゃまともに歩けないだろ・・。安静にしてなきゃ駄目だ。」
どんなに小野寺がやりたいとしても、
先生は生徒の身を案じる必要がある。
普段適当なキョーコ先生でも今回ばかりは
ストップをかけている。
「おい。そこのロミオ。」
「え?あ、はい!」
突然キョーコに声をかけられ、素っ頓狂な声を出す楽。
「あんた、ちょっとジュリエットについててあげな。無理させんなよ?」
「はい!」
(小野寺・・・。)
正義と楽は小野寺に寄り添い、横には座る。
「えっと・・大丈夫か?」
(小野寺・・よっぽどジュリエットやりたかったんだな・・・。)
正義はそんな事を考えているが、小野寺は違った。
「どうしよう・・・私のせいで・・このまま劇が中止になったら・・!みんな頑張って準備して・・考えて・・!この衣装だって・・!頑張って作ってくれたのに・・!全部無駄になっちゃう・・!」
(小野寺はこんな時でも・・自分の事よりも人の事を考えてる・・!それなのに・・・俺は・・!)
そう考える正義だったが、一足早く動きを見せたのは・・・
「小野寺の所為なんかじゃねぇ!!中止になんかさせない!!」
楽だった。
楽はそう言った後、駆け出していった。
正義には楽が何しに行ったのかなんとなく予想はついていた。
(ここは・・兄貴に任せるとしよう。)
しかし、更なる悲劇が正義の周りに起こる事となることは誰も知らない・・。
*ーーーー
「小野寺・・大丈夫か?」
「・・・うん。」
どう見ても大丈夫ではないが、今の正義には
声を掛けて励ます事しかできない。
「兄貴に任せておけ・・!きっと大丈夫だ!」
「・・うん。」
楽の事を心から信じている正義。
正義は楽と”もう1人”の帰りを待っているのだ。
「正義・・!」
楽がものすごい勢いで帰ってきた。
しかし、肝心なもう1人がいない。
失敗したのだろうか?
「正義・・!ちょっと来てくれ!」
楽は正義の手を引っ張り、人のいないステージの隅へと連れてきた。
この表情から見て、楽はとても焦っている模様だ。どうやら失敗という訳ではなさそうだが、
それよりももっとまずい事なのだろう。
正義はそう仮定したが、楽の一言からは
想像を遥かに超えた言葉が返ってきた。
「千棘が・・・攫われちまった・・!」
「・・・・!?」
攫われた・・・確かに楽はそう言った。
「兄貴・・!落ち着け!状況をしっかりと伝えてくれ!」
ここで焦ってもしょうがない。まずは冷静になる事が大切だ。
「あぁ・・!そうだな・・。俺が千棘を呼びに行った時に・・男2人が千棘を車に強引に乗せてたところを見ちまったんだ・・!その男達はビーハイブの奴らじゃねえ!何度も見てるから分かる!」
主犯格は男2人。千棘の存在はこの街を根城としているヤクザ、マフィアに知れ渡っている。
特に大ギャング組織ビーハイブのご令嬢だ。
そう簡単に手を出せる相手ではない。
可能性を考えるとしたらキリがないが、
恐らくだが、千棘を連れ去ったと思われる男2人はここの住民ではなく、何らかビーハイブに恨みか何かを持っている海外の別の組織と考えるべきだろう。
「俺は・・!あいつが捕まんのを黙って見てる事しかできなかった・・!すまない・・正義!」
「いや、兄貴は悪くねえ・・。むしろ、それでよかったんだ。」
仮にもし楽が奴らに下手に手を出していたら
返り討ちにあって捕まっていたかもしれない。
そう考えると、楽が行った行動は正しいだろう。
「大丈夫だ。俺が奴らから桐崎を取り戻す・・!兄貴はここで待っててくれ!」
「待て!正義!」
正義は楽を置いて、連中の元へと向かおうとするが楽がそれを引き止める。
「俺も・・行く!」
「兄貴・・!兄貴は将来公務員になるのが夢なんだろ・・!こんなゴタゴタに巻き込まれてもいいのか?真っ当に生きていきたいんだろ!?」
「確かに・・俺は真っ当に生きていきてえよ・・!ヤクザの仲間入りだなんて御免だ!
けどな・・目の前で恋人を攫われて、自分だけ安全な場所にいられるほど腐っちゃいねぇ!!」
楽は目を大きく見開いてそう言った。
正直、楽が食い下がってくるとは思っていなかった。千棘が無傷で何事も無かったかのように帰ってくることを祈りつつ、ただ黙って見守る。そうするだろうと思っていた。
「・・・分かった。兄貴に何があったら俺が守ってやる・・!取り敢えず、兄貴はつ・・」
正義は言葉の途中で切った。
頭の中にパッと鶫の名前が出てきたのだ。
鶫と正義は喧嘩中であり、助けを求めるにしても非常に気まずい。しかし、今は非常事態。
そんなことを言ってる場合ではないのだ。
「兄貴は鶫に連絡してくれ・・・!鶫以外の奴には何も言うな・・!肝に銘じてくれ!」
「分かった。鶫に連絡すりゃいいんだな?」
そう言って楽は鶫の携帯に連絡をする。
楽の受話器からは鶫の声がはっきりと聞こえている。どうやら、彼女にも非常事態だということに気がついたのだろう。
数分後、鶫が駆けつけてきた。
「・・・・」
「・・・・」
お互い目を合わせるも全く会話をしない。
そりゃそうだ。気まずいからである。
「っ・・・鶫・・!頼む・・桐崎の救出を手伝ってくれ!」
正義も意を決して、鶫に話しかける。
「言われなくても助けるに決まっている・・!
お嬢の身の危険が迫っているのだからな。しかし・・何故・・私に助けを求めた・・?」
「頼む。今頼りになるのはお前しかいないんだ。俺の事を嫌ってんのはよく分かってる・・!けどな・・お前とだったら・・なんでも出来る気がするんだ!」
「なんなんだ・・それは・・海の時ではあんな事を言っておきながら・・」
「え?」
「一条正義・・!お前は私の事が嫌いなのだろう?本当は嫌々頼みこんでるんじゃないのか・・?本音を言え・・!」
正義は非常に驚いている。自分の中では
いつも通りの返答だったはずなのに、鶫は
そのいつも通りの返答に非常に傷ついていたのだ。本人なりに悩み、怒っていたのだろう。
(俺の馬鹿野郎・・・!)
今頃その事に気がついた自分の鈍さに嫌気がさし、自分の心の中で自分の事を罵る。
「・・・嫌いなんかじゃねぇよ・・。」
「・・・!?」
「すまなかった・・まさかお前に海で言った言葉をそんなに気にしてたとは思わなかった・・・。あれは・・言いすぎたと思ってる。
でも、あの話にはまだ続きがあるんだよ・・。
確かにお前は・・突然殴ってくるし、何考えてるのかわかんねぇ・・。でも・・決して嫌ってなんかねぇよ・・!」
正義はこっぱずかしいセリフに顔を赤らめる。
「・・・!?」
正義は鶫に赤らめた顔を見せないよう後ろを向いている。
「・・・ふっ・・そうか。嫌いじゃ・・ない。か・・・」
すると鶫は正義の背後に近づき、背中同士をくっつける感じで寄り添っている。
「足を引っ張ったら・・承知せんぞ?
”モンチュ”」
正義が鶫の方へと顔を振り返らせると、
そこには笑顔が見えていた。ここ数週間ずっと見れていなかった笑顔を。その笑顔を見た正義は前の鶫が戻ってきた。と言わんばかりに目から涙を流す。恐らく、安心からの涙だろう。
「良かった・・。」
「男が泣いてるんじゃない。一条正義。早くお嬢を助けないと。」
正義は目から流れる涙を衣服でふき取る。
「あぁ・・。だな。」
こうして、波乱に満ちた、凡矢理高校文化祭が
ようやく開催したと共に、激戦の火蓋が切って落とされたのである。
次回に続く
どうでしたでしょうか?
表現が難しかったです・・!
でも、書いていて楽しかったですねw
まぁ、鶫と正義が喧嘩をさせるのは
しつこいようでありますが辛かったですけどねwww
次回の投稿は7月24日(日)予定です!
次回からようやく、演劇が書ける・・!
感想、評価、リクエスト、アドバイス
募集中です!(≧∇≦)
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特に感想、評価はお待ちしており
ますwww
次回をお楽しみに!