東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~   作:キメラテックパチスロ屋

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星を見つめりゃ、時計に変わり

月を見つめりゃ、磁石に変わる

時計を見つめりゃ、さて、何が映るのかな?


by宇佐見蓮子


幻の竹林

 

 

  ……。

  ふと、目を開ける。

  気がつけば俺は、大量の竹に囲まれた深い闇夜の中、一人たたずんでいた。

 

  改めて拳を握ったり開いたりして分かったが、これは夢ではない。もう一つの『現実』だ。

 

  ヒュルル、と冷たい風が俺の頬を撫でる。

  ただ、これが現実、もしくは現実に近い世界だと分かっても、道が分かるわけではない。

 

  つまり、俺は今、迷子ってことだ。

 

  そこで俺は、重大なことに気づく。

  ……蓮子とメリーはどこ行った?

 

  急いで探そうとした矢先、隣の草がかき分けられる音が聞こえる。そして竹の壁から飛び出してきたのは、

 

「きゃっ」

「うわっ」

 

  ちょうど探そうとしていた二人、メリーと蓮子だった。

  そして、蓮子は俺に気づくと、いつも通りの変わらない表情で無事を確認してくる。

 

「おっ、楼夢君はっけーん。無事?」

「ああ、それよりもここが……」

「夢の世界、なんだね……」

 

  俺たちはこの別世界に、何か言いようのしれない感触に包まれていた。

  近くに生えてある竹を調べたところ、やはり本物だ。

  ここは、本当にメリーが行っていた世界なのだ。

 

「さて、これからどうする?」

「うーん、正直周りを歩きたいけど……」

「まっすぐに迷わず行ける可能性は低いね。メリーの話の通りなら、やみくもに歩いても確実に迷う」

 

  サークル部屋で聞いた、メリーの話を思い出す。

  確か、この竹林は微妙に傾斜が付いていて、平衡感覚を狂わせる、だったか……。

 

  ならば、と俺は今思いついた方法を蓮子に話す。

  すると、

 

「なるほど、それはいい案かも。やってみてよ」

「何か打開策でも思いついたの?」

「うん、さあ楼夢君、やっておしまい!」

「アイアイサー……うおらぁぁぁッ!!」

 

  蓮子の合図とともに野球バッグを投げ捨て、中の刀を抜刀する。

  そして、青白い光を刀身に集めると、それを気合の入った叫び声と一緒に思いっきり振り上げる。

 

  瞬間、巨大な霊力の刃が縦に、地面を文字通りえぐりながら、突き進んでいった。

  『森羅万象斬』、俺が今のところ唯一使える高威力の遠距離攻撃。

  その威力は凄まじく、目の前の道にあっという間に深いラインが刻まれた。

 

「これで迷わずにすむな」

「イヤイヤイヤ! おかしいでしょ!? なんでそんな必殺技っぽいものをこんなコンパス代わりに使っちゃってるの!?」

「なんか悪かったか? なあ蓮子」

「そうよ、私たちが困るわけじゃないんだからいいじゃない」

「……まあ、確かにこの方法なら平衡感覚を保てるだろうけど」

 

  そう言い、メリーもしぶしぶ納得する。

 

  調べて分かったけど、ここの地面はどうやら再生力も高いらしい。

  現に先ほど落ちていた棒でラインを描いたのだが、1分後には地面は元どおりになっていた。

 

  だが、俺が刻んだのはそんなチャチなものじゃない。

  文字通り地面を抉り取られた地面は、一日や二日で再生するものではない。さらに、込められた霊力が地面の再生を妨害しているらしい。

 

  つまり、あと数日は道に迷わずにすむ、ということだ。

 

「さあ行こう! 栄光の架け橋へ!」

 

  グガガガガガアアアアアアァ!!!

 

  蓮子が刃の通り道に向かって指差す。

 

  同時に、何か獣のような、不気味な雄叫びが同方向から響いてきた。

 

「……道を間違えちゃったわ。楼夢君、今度はあっちにもう一発お願い」

「貴方はここに何か恨みでもあるの!?」

 

  さすがに今度ばかりはメリーが蓮子を止めた。

  とはいえ、このままじゃ前に進めないのも確かなんだけど。

 

「第一、あんなもの放ったら嫌にでもそこに集まってくるわよ。全く、こういう時にそんなこと言うから脳筋って言われるのよ」

「むぅ……じゃあメリーは何か解決策でも見つけたの?」

「蓮子の能力を使えば、少なくとも道に迷うことはないんじゃない?」

「……あっ、その手があったか」

 

  バカだ……。気づかなかった俺が言うのも難だけど、やっぱりバカだこの人。

  というかメリーも、気づいていたなら言ってくれればいいのに。

 

「だって楼夢君……ものすごくやる気に満ちていたんだもん」

「……否定できないのがつらい」

 

 

  っと、そんなこんなで、俺たちは蓮子の能力を頼りに、前に進むことにした。

 

  無限に続くように思える竹林。蓮子の能力がなかったら、精神的な負担で押しつぶされていただろう。そこらへんは蓮子に感謝だ。

 

「それにしても、同じ景色が続くよね。なんか面白いことないかしら?」

「ちょっと蓮子、それフラグってやつじゃ……」

「ああ、見事にフラグが立ったな。そしてたった今回収されたぞ」

 

  俺はそう言って、前方を指差す。

  そこには、暗闇の中で光る赤眼を持つ、4足歩行の化け物がいた。

  しかも、明らかにこっちに向かってきている。

  ああ、嫌な予感が……。

 

「……メリー、私今度からは自分の発言に注意するよ」

「ええ、よろしく頼むわ。……ってことで……」

 

「「あとはよろしく、楼夢君!」」

「笑顔で逃げるんじゃねえ!」

 

  ウグゴオオオオォォォオオォォン!!!

 

「ッ! 畜生め!」

 

  悪態つくと同時に抜刀し、まっすぐに駆ける。

  対して化け物も、同じようにこちらに突撃してきた。

 

「グガアアッ!!」

「おりやあああっ!」

 

  そして、同じタイミングで、月明かりに照らされた、巨大狼のような妖怪の牙と、俺のダッシュ斬りが衝突した。

 

  くそっ、重い! だけど……

 

「妖忌の爺さんの方が、もっと重かったぜ!」

「ギャヒイィィッ!?」

 

  気合を込めて、妖怪を力で弾き飛ばした。

  妖怪は地面に転がるが、すぐに立ち上がって一定の距離を保つ。

 

  改めて、狼型の妖怪を観察してみる。

  まず、狼型の妖怪は大きさが異常だった。四足歩行の状態で、150cmはありそうだ。二足歩行になったら、俺の身長なんてゆうに超えるだろう。

 

  ただ、それ以外に特筆すべき点はない。強いて言えば、身体中の筋肉が普通の狼とは比べものにならないことぐらいだろうか。

 

  その時、狼は雄叫びをあげると、俺に飛びかかってきた。

  そこに下から上に刃を滑らせ、牙を弾く。そして、すぐに狼の横を取るため駆け出した。

 

  ワンテンポ遅れて追ってくる狼。

  なるほど、速い。普通の人間ならすぐに追いつかれてしまうだろう。

  だけど、俺よりは遅い。

 

  狼の視界から、追っていたはずのターゲットの姿が突如消える。

  そして次には、己の腹に青い光の軌跡が描かれ……肉を切り裂いた。

 

  やったことは簡単だ。

  ただ、走る速度を限界まで高め、戸惑う狼の横をすれ違いざまに切り裂いただけだ。

 

  だが、ただの斬撃で切り裂いたわけではない。

  俺の黒月夜は、青い光を刀身から放ちながら、輝いていた。

  俺は、森羅万象斬を使い続けることで、自分の霊力を刀に纏わせる技術を身につけたのだ。

  おかげで、その切れ味は何倍にも増し、丈夫な妖怪の皮膚を豆腐のように切り裂いたってわけだ。

 

  狼は燃えるような痛みに吠えながら、玉砕覚悟の特攻を仕掛けてきた。

  だがもう、終わりだ。

 

  突進をいなすと、黒の長刀が青に輝く。

  そこから放たれたのは、七つの斬撃。

  『氷結乱舞』と言われる、俺の得意技だ。

 

  足が、体が切り裂かれ、吹き飛んでいく。

  そして、最後の七つ目の斬撃。

 

「これで終わりだ、化け物」

「ガガアアアアァァァアアアアァアァッ!!! ……ガ、アァ……ッ!」

 

  渾身の一撃が、狼に向かって放たれた。

  それは、狼の顔にめり込み、どんどん進みながら体を通過してーーーー文字通り、真っ二つに引きちぎった。

  そして、狼型の妖怪は息の根を止めた。

 

  「……ふぅ」

 

  汗をぬぐいながら、愛刀を納刀する。

  ……正直、疲れた。

  やっぱり、慣れない敵と戦うと消耗が激しくなるな。だけど、まだまだ序の口だ。

  これから先、この世界をさまようのなら、必ず強敵が現れる。それからメリー達を無事に守りきることが、俺の仕事だ。

 

  俺の刀を納める音が聞こえたのか、二人が草をガサガサとかき分けて歩いてきた。

 

「終わった、楼夢君? って、うぉっ! ……死体があるならちゃんと言ってよ」

「すまん、言い忘れてた。メリーも大丈夫か?」

「ええ、ちょっと死体を見ると怖くなるけど、こういうのが続くなら慣れるために引っ込んでられないわ」

 

  メリーはそう虚勢を張るが、顔が少し青ざめている。

  しかし、彼女の言うことは本当だ。これからサークル活動を続けるのなら、無理にでも慣れさせるしかないだろう。

 

  ふと、視線を蓮子に移すと、彼女は慣れたのか、狼の死体をゴソゴソとあさっていた。

 

「おい蓮子、何やってるんだ? いくら金がないからと言って、そんなもん食えば腹壊すぞ」

「誰が食うか! ちょっと妖怪の死体が気になっただけだよ。もっとも、専門が違うから、狼とこれの違いなんてわからないんだけどね」

「なら、放置にしとくか」

 

  俺と蓮子は死体の調査を終了し、メリーの元に近寄る。

  それから、ちょうどいいので今後の方針を決めることにした。

 

「それにしても、これからも戦闘は避けれそうになさそうね」

「そうね……それになんか嫌な予感がするわ。強力な敵と出会うかもしれないし、勝てなかったら逃げることも考えなきゃ」

「戦ってるのは俺だけどな」

「あら、どこぞのポケットなモンスターの主人公だって何もしてないじゃない。それと同じよ」

「同じにするな! 俺は手持ちのモンスターかよ!」

「ちょうどいい、私がトレーナーをやるわ! 行け、楼夢君! 『突撃!』」

「それ命令じゃねえよ! もっと分かりやすい指示出せや!」

「えー、それじゃ……『ガンガンいこうぜ!』」

「結局AIに任せてんじゃねえか!」

 

  ……ハァッ、疲れた……。

  なんか妖怪よりも蓮子に体力使わされた気がする。

 

 

  そんなこんなで探索再開。結局、前回と同じ方角に進んでみることにした。

 

  今のところ、妖怪は襲ってきていないし、何も起きていない。

  いいことのはずなのに、それが俺には嵐の前の静けさってやつにしか思えなかった。

 

  そんな時、ふと、視線を西の方角に向ける。メリーも蓮子も、()()()気づいたようだ。

  竹林の奥、そこから僅かな光が見えたのだ。

 

「見えたか、二人とも」

「……ええ」

「うん、あっちの方に光が見えたよ。もしかして人がいるのかも」

「鬼火って可能性もある。蓮子、ここの座標をマークしておいてくれ」

「ってことは……?」

「どうせお前らは忠告を無視して行くだろ? だったら少しでも帰りが楽になるよう、印をつけておくのは当たり前じゃねえか」

「楼夢君……ありがとう」

「礼はよせメリー。そういうのは帰ってからにしてくれ」

 

  俺たちは体を西に向け、歩き出す。

  正直、鬼火だったら楽勝だ。俺の刀は肉体がないものには抜群の破壊力を誇る。何匹来ようが、以前の幽霊のように消し去るだけだ。

 

  だが、そこにいたのは鬼火ではなく、()()()()()()だった。

 

  そこにたどり着いた時、全ての景色が赤で染まっていた。

  燃えていた。

  竹林が、燃えていた。

 

  そしてその中心では、今でも爆風が吹き荒れている。

  地獄の中にいたのは、二人の少女。

  いや、人間と数えていいのか分からない。

 

  なぜなら、白髪の少女は体に炎を纏っていたから。いや、纏ってるんじゃない。体から、炎を放出しているんだ。

  その炎が少女の背中に収縮していき、二つの不死鳥を思い浮かばせる羽を作り出す。

 

  対してもう一人の黒髪の少女は、その光景を見て裂けそうなほど口を三日月に歪める。そして、おびただしい数の光の弾幕を浮かばせると、白髪の少女に向かってそれらを放った。

 

  爆音。そして、轟音。

 

  光と炎がぶつかり合う。二つの力がぶつかり合い、その流れ矢が竹林を燃やし、破壊していく。

 

  すると、突如白髪の少女は肉弾戦にチェンジし、不意をついて黒髪の少女の頭を殴りつけ、消し飛ばした。

 

「ッ!? ひっ……!」

「……なっ!?」

 

  少女の首なし死体を見てしまったことで、メリーは小さな悲鳴をあげる。

  俺も思わず驚いてしまった。

  しかし、少女の首なし死体ができたことに驚いたのではない。

 

 

  ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「なに……あれ……?」

 

  その異常な光景に、恐怖の表情を貼り付けた蓮子が呟く。

 

 

  そして今度は白髪の少女の下半身が、スパンと切断され、消滅した。

  だが、少女もただではやられない。

 

  黒髪の少女の足首を掴み、雄叫びをあげる。

  そして、白髪の少女の体に光が集中したかと思うと、突如、そこから放たれた巨大な炎の爆発が、二人を呑み込んで行った。

 

  ドッゴォォォォォン!!!

 

  化け物の命をかけた自爆攻撃。

  その範囲は巨大で、俺たちが隠れていたポイントにも、炎の波が押し寄せてきた。

 

「『森羅万象斬!!!』」

 

  波に向かって、最大の刃を振り下ろす。

  だが、威力はあちらが上で、一時的に押さえつけることしかできなかった。

 

「今だメリー、蓮子……逃げろ!!」

「で、でも……っ!」

「早くしろ! 長くは……持たねえッ!」

「行くよ、メリー!」

 

  状況を冷静に分析し、できることは何もないと理解した蓮子は、メリーの手を掴んで走り去っていく。

  それでいい。さて、もう持たないか……。

  そう悟った時にはもう遅い。

 

  青白い刃が消滅し、俺の体は炎の波に呑まれていった。

 

「ぐぅっ! が……ぁあっ!!」

 

  溶かされた金属を押し付けられたような痛みが、全身を襲う。

  熱いッ、熱いッ!

  体中が燃やされていくのが分かる。腕が、足が、体が、悲鳴をあげて泣き叫ぶ。

  まるで、拷問のような時間だった。

 

  爆風とともに宙に投げ出され、そのまま地面に落ちていく。

  痛みで感覚がマヒしている体に、今度は鈍痛が襲いかかる。

  だが、そんなことを気にしている場合ではない。早くメリー達を追わなければ。

 

  ぷすぷすと全身から黒い煙を出しながら、歯を食いしばってなんとか立ち上がる。

  すると、前からメリー達の姿が見えてきた。

  バカ野郎、まだこっちに来るな!

 

 

  ()()()()()()()()()()()()()()()!?

 

「ウオオオオオオォォォォッ!!!」

 

  雄叫びをあげると同時に、全力で刀を持ち上げる。

  そして、雨のように降り注ぐ炎の流れ弾に、必死に立ち向かった。

 

  神速の斬撃が、炎のあられを切り裂いていく。

  その度に刃から青い光がほとばしり、スパークする。

 

  メリーと蓮子は、その姿に見とれていた。

  炎の雨も、打ちあわせるたびに飛び散る火花も、全て彼を魅せつけるための材料にしか見えなかった。

 

「綺麗……っ」

 

  徐々に、炎の雨も、数を減らしていく。

  このままなら、なんとかなるっ!

  しかし、その期待は、火弾に紛れて落ちてくる、巨大な炎大玉によって、儚く崩れ去った。

 

  あれはダメだ!

  メリーは直感的に、俺は収縮された妖力の質でそう悟る。

  だけど、逃げるわけにはいかない。

  後ろには、メリーと蓮子が立っている。ここで受け止めなければ、彼女達を守れない。

 

  メリーが「避けて!」と叫んだ。

  だがまあ、無理な相談だ。

  これが終わったらパフェでも奢らせてやるからな。

  そう終わった後のことを思い浮かべると、俺は刀を両手で握り、正面に構えた。

 

「楼華閃一『赤閃』」

 

  斜め上から降ってくる炎大玉。

  そこへ、横から一閃。

 

  隕石の落下が一瞬止まる。

  そして、赤い線が描かれたかと思えば、次の瞬間ーー大爆発を起こして崩れ散った。

 

「今だ、全員で逃げるぞ!」

「「うん!」」

 

  ジリジリと響く痛みを無視して、メリーと蓮子の後ろを走っていく。

  こうして俺らは、この化け物の戦場から生き延びることに成功した。

 

  それから、何分か経ったその時、何か不思議な光がこちらに近づいてきた。

 

「楼夢君、何あれ?」

「……分からん。ちょっと確かめてーーーー」

 

  不思議な光を調べようと、触れた瞬間、光が突如激しく輝きーーーー俺たちの視界が真っ白になった。

 

 

 

 ♦︎

 

 

「……んあ? ここは……?」

 

  チュンチュンという鳥の鳴き声の下、目を覚ます。

  今の時刻を確認すると、午前7時、と表示されていた。

 

  辺りを見渡す。

  そこには竹林ではなく、高そうな部屋で眠る二人の少女の姿が目に映った。

 

「帰って、来たのか……?」

「そうみたいね」

 

  呟きに返事を返したのは、今だ横になりながらメリーに密着する蓮子だった。

  おい蓮子、メリーが眠ってるからといって、胸は触るんじゃない。そして揉むな。

  その度に蓮子の凶行で目が覚めたのか、メリーが情けない声であくびする。

 

「ふわぁ〜あ……って、蓮子! 私の胸を揉むのやめなさーい!」

「ネボシッ!」

 

  寝起きメリーの拳が、見事に炸裂した。

  蓮子は布団から吹き飛び、床に倒れこむ。

  自業自得だ。と密かに呟く。

 

 

  それから、俺たちは着替えて居間に移動した。

  そして、今回の夢で起きたことを語り合う。

 

  そして、話している最中、俺はメリーが何か宝石のようなものを手に握っているのに気がつく。

 

「メリー、それはなんだ?」

「……昨日の竹林で、あの二人が戦ってるところで拾ったの。あの時はつい拾っちゃったけど、よくよく考えたらこれってどちらかの物なんじゃ……?」

「よし、よくやったメリー。まさか最後に一太刀浴びせてくれるとは思わなかったぜ」

「なんで喜んでるのよ。まあいいけど、これがなんだか分かる?」

 

  そう言いメリーは手元の青い宝石をテーブルに置く。

 

「うーん、こんな宝石は初めて見たね。楼夢君は?」

「……霊力を感じる。だけど、それ以上は分からない」

「楼夢君でも分からないかー。……ハァ、気乗りしないけど岡崎に調べてもらおう」

「それが良いと思うわ」

 

  ということで、青い宝石は岡崎に預けることになった。

 

  それにしても、あの二人はなんだったのだろうか。

  別の世界にはあんなのがウジャウジャいるのか。

 ……鍛え直す必要がありそうだ。

 

  空を見つめ、この世の広さを実感すると、俺はため息混じりに、息を吐いた。

 






「今回、楼華閃一『閃』という技を『赤閃』に変更してさせてもらいました。どーも皆さん、最近リアルが忙しい作者です」

「最近新作アプリの事前登録で忙しい狂夢だ」


「狂夢さん……私もう体育祭出たくありません」

「やっぱりこうなったか……目が死んでやがる」

「もう家でオセ●ニアするしかないじゃない!」

「その前に勉強しなさい」

「違うだろ! このハゲェーーーーーー!!」

「ああ?」

「ヒィッ、いや違いますこれは手違いですお願いしますお願いします殺さないでください」

「安心しろ」

「狂夢さん……」

「流星群を生身で受けるだけで許してやろう(パチンッ)」

「へっ?」

「ほらもう降ってきたぞ? じゃあな、健闘を祈る!」

「……こっ、こっ、このハゲェーーーーーーーーー!!!」

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