東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~   作:日差丸

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戦火飛び、鮮血舞う愉快な舞踏会

 

「そろそろ出てきたらどうかなぁ、お姉さんたち」

 

  フランは右手を複数ある巨大なガレキの内の一つに向けると、握りつぶすような動作をした。

  それだけでガレキは爆散し、隠れていた私の姿が明らかになる。

 

「アハッ、みーつけた! じゃあ今度はお人形遊びしようよ! もちろんお姉さんがお人形役ね?」

「残念だけど私はネットとゲーム以外はやらない主義なんだよ」

「……なにそれ? もう一人のお姉さんもどっか行っちゃったし」

「ルーミアなら逃げたよ。怪我してるからね」

「ふーん、でもお姉さん一人じゃ……退屈しちゃうな!」

 

  そう言ってフランは炎の大剣——レーヴァテインを真上に掲げて、思いっきり振り下ろした。

  近づくだけでも焼けるような熱さ。岩をもたやすく砕くほどの重い一撃。

  そんな一撃を前に、私は右手に握ってある新しい剣で、レーヴァテインにぶつかるように切り上げた。

 

  衝突の瞬間、地面が震えた。

  熱風が辺りを吹き抜け、周りのガレキを消し飛ばす。

  それだけの一撃を受け止めてもなお、私と私の剣はビクともしなかった。

 

「……なんでっ!?」

 

  甘い甘い! 私がいつまでも無策だと思うなよ!

  私はガレキで隠れてるときに、自分にある魔法をかけていたんだ。

  その名も体重変化魔法【ズッシード】。

  私の体は小柄なため、軽いし吹き飛ばされやすい。

  しかしこの魔法を使えば一時的に体重を増加させることができるのだ。

 

  しかし、それはあくまでフランの攻撃を受け止めれた理由の一つに過ぎない。もっと重要なことは他にある。

 

「……その剣、ルーミアのお姉さんが持ってた……」

「残念だけどちょっと違うよ。これは憎蛭(ニヒル)。形は本来のものとちょっと違うけどさ」

 

  そう、私の手にはダーウィンスレイヴ零式の形をした火神の妖魔刀【憎蛭】が握られていた。

  と言っても、憎蛭は本来バールの形状をしており、それだと私が戦いにくいという理由で片手剣の形に変えてもらっている。

  ……妖魔刀って形変えれるんだ。

 

『変えれるのもあるし、変えれないのもあるわよ。貴方の【舞姫】がいい例ね』

 

  さいですか。

  ふと、頭の中で幼い大人口調の声が響いた。

  もちろんのこと、憎蛭に変化しているルーミアのものです。

  妖魔刀は基本的に強度が通常の魔剣とは比べ物にならないほど高い。火神だったら受け止めるどころか逆にレーヴァテインを砕くことすら可能だろう。

 

  さらにさらに。この憎蛭は所有者の対熱耐性を高める能力があります。

  これによって、レーヴァテインを受け止めたときに発生する炎や熱風は完全に無効化。直撃したらまずいけど、近づくだけでダメージを受けることはなくなった。

 

  これら三つが、フランの斬撃を私が受け止めることができた要素だ。

 

「今度はこっちから行かせてもらうよ!」

「っ、まだまだァ!」

 

  再び私とフランの斬撃が同時に繰り出され、衝撃とともにそれが静止する。

  さて、忘れてないだろうか? ()()()()()()()()()()()()()

 

  左手に握られた刀が青白く発光する。

  残り少ない霊力を消費したけど、これくらいならあと数回は撃てる。

  フランは私に剣を受け止められたことに動揺しすぎて、私の刀を見ていなかった。

 

「【森羅万象斬】ッ!」

「しまっ——ゴッ!? ガァァァアアアア!!」

 

  フランの体を斜めに青白い線が描かれる。そして次にはそこから膨大な光が放出され、フランの体に巨大な斬撃跡を刻んだ。

 

  さすがに今のはダメージが大きかったようで、フランは急いで後退して再生の時間を稼ごうとする。

 

  させないよ?

  逃げるフランに魔法を発動。

  ——【ボミエ】。

  これによって、フランの足は重りがついたかのように重くなり、スピードもグンと下がった。

  私も体重を増加させてるせいで音速も超えれないほど遅くなってるけど、今のフランよりかは断然早い。

  すぐに追いついて、憎蛭を横一文字に振るう。

  フランもそれに反応して、レーヴァテインを縦に構えて防御した。

  だ、け、ど。

 

「反対がお留守だよ!」

 

  がら空きになった反対を、私は素早く切りつけた。それもフランが反撃するまで何度も。

  結果的に、五回ほど切ったところでフランの苦し紛れの拳が振るわれたので、危なげなく下がって回避する。それをしながら魔法を発動。

  ——【メラ】。

  とっさに放てる初級魔法だけど、それがフランに再生の時間を与えないでいる。

  私、万能キャラでよかったぁぁぁぁ!

  正直近接と遠距離どっちもこなせなくっちゃ、この子に勝てる相手は限られるだろう。

  攻撃しては下がり、攻撃しては下がる。

  これぞヒットアンドアウェイ作戦。

  これの効き目は絶大で、フランは当たらないのに苛立ち、ますます攻撃が大振りになっていく。それを受け止め、その隙に何度も切りつける。

 

  フランの戦い方はお粗末だ。

  魔法の威力は絶大だけど、構築が甘いせいでそれなりに魔法に精通する者ならそれがどういうものなのか瞬時に見抜くことができる。

  剣術も同じで、ただ力任せに振り回すだけ。

  おそらく、彼女は今までどんな敵も一撃で殺してきたんだろう。苦戦しなければ技術を覚えようとは思わないし、実際に今まではそれで十分だった。

  そう、今までは。

 

「当たれ、当たれ、当たれェェェ!!」

 

  フランが感情のままに弾幕をばらまいていく。

  一つ一つが並の妖怪なら一撃で屠ることができそうな威力を持っている。だけど、狙いが定まっていない。

 

  それらを避けながら、思考する。

  哀れだ。心底哀れに思う。あれほどの才能があれば今ごろは幻想郷最強に一角になれただろうに。

  そう思うと、顔も知らないフランの姉という存在に苛立ちが積もる。

 

「だから、見せてあげるよフラン。本当の魔法を」

 

  右手にメラ、左手にヒャドを生成する。そして合掌することで二つの魔法は融合し光となった。

  そして光が矢へと変化し、弓を引きしぼるような動作を取ると、一言告げる。

 

「——【メヒャド】」

 

  その言葉と同時に弓を引いていた手が放され、光の矢がフランめがけて高速で飛んでいく。

  怒りのまま弾幕をばらまくフランに、それに反応することは不可能だった。

  そして、光の矢がフランの胸を貫いた。

 

「あ、ああっ、痛い、痛いッ!」

 

  吸血鬼特有の再生能力が体中の傷を治そうと動き出す。だが、どんなに再生が始まっても、胸の傷だけは癒えることはなかった。

 

  それも当たり前。

  私が放ったメヒャドには消滅エネルギーがある。それが胸に残り、再生するたびに肉を消滅させて無効化しているのだ。あの様子じゃしばらくは治らないだろう。

 

「痛い痛い痛い痛い痛い痛いッ!!」

 

  フランは初めて治らない傷を前に、涙を流しながら胸を掻き毟るように手で塞ごうとする。

 

『……これで終わりかしらね。あの子、もう戦えないわよ』

「わかってるよ。……フラン、今負けを認めて大人しく捕まれば命は奪わないであげる。胸の傷も癒してあげるよ」

「い、痛い、痛い、痛い……痛い……っ」

 

  私の声を聞いて、徐々にフランの声が小さくなっていく。

  彼女は子どもだ。命を助けると言われて、安心しているのだろう。

  私はそっと両手の剣を下ろして、フランへとゆっくり近づいていく。

 

  しかし、このときまだ私たちは彼女の本質に気づいていなかった。いや、気づいていたけど忘れていたんだ。

  ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「アハッ、アハハハハハハッ!! 痛イ痛イ苦シイ苦シイ……許サナァァァァイ!!」

「なっ!?」

 

  フランは急に壊れたかのように絶叫すると、先程までとは比べ物にならない速度で無茶苦茶に突っ込んできた。

 

「っ、くそぉぉ!」

 

  視界にフランがレーヴァテインを振るう姿が映る。それを見て叫びながら、ほぼ反射で私は憎蛭を縦に構えた。

 

  雷が落ちたかのような轟音が響いた。

  フランのパワーは急激に上がっていた。先ほどのように受け止めたはずなのに、私の体が剣同士が打ち付けられたまま数メートル地面をえぐりながら後退するほどに。

  いや、これはパワーが上がるどころの話じゃない。これは限界突破と言った方が正しい。

  見れば、フランのレーヴァテインを振るった腕が裂けて血が噴き出していた。肉体の限界を突破した力の反動は、吸血鬼の体でも耐え切れなかったのだ。

  体重増加魔法がもしまだ続いていなかったら、私は今ごろペシャンコだっただろう。

 

  でもこれでお互いの剣は封じた。そしてまだ私にはもう片方の刀がある。

 

「【裂空閃】ッ!」

 

  圧縮された空気を纏った斬撃が、再び無防備なフランへと迫る。

  こうなったら首を切って終わらせてやる!

  吸血鬼なんだからあとで治療すれば大丈夫なはず。

  しかし、狂いに狂った吸血鬼は、そんな私の考えを斜め上に行く行動を取る。

 

「アハハッ! 捕マエタァッ!」

 

  なんとフランは、レーヴァテインを握っていないもう片方の手で私の刀を手掴みしたのだ。

  はぁっ!?

  私の斬撃は例え体が小さくなっても切れ味はほぼ変わらない。実際に刃は手のひらを真っ二つに裂いて、最終的にフランの肘までめり込んだ。

 

  しかし、止められた。

  まるで裂けるチーズのように肘から先が二つに分かれた腕で、彼女は私の刀をがっちりと挟んでいる。

 

「このっ、放せ!」

「イヒ、イヒヒッ! 【フォーオブアカインド】ォッ!」

 

  フランがそう叫ぶと、フランの影から彼女そっくりの分身が三つ、出現した。

  それぞれの手には赤く燃える大剣——レーヴァテインの姿が。

 

  しまった!

  必死に刀を引き抜いて下がろうにも、中途半端にフランの再生が始まったせいで腕にめり込んでいて抜けない。

  そして抜きだそうとして失敗した時間は、短いようでフランの分身たちがそれぞれレーヴァテインを振るうには十分な時間だった。

 

  三つの鈍い音とともに、視界が紅で埋め尽くされる。

  果たして視界を染めているのは炎か、それとも……血か。

 

「ぐあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!」

 

  三人のフランの斬撃が、私の体をえぐりだし、臓器を燃やし尽くした。

  凄まじい勢いのまま数回転しながら地面に転がり落ち、体を痙攣させて私はそのまま動かなくなる。

 

『楼夢!』

「ルー、ミア……幻影魔法を……早くっ」

「っ、わかったわ! ——【イリュージョンシャドウ】!」

 

  フランが確実に私を殺すため、レーヴァテインを振り下ろす。それは私の体を真っ二つに砕いた——ように見えてることだろう。

 

  妖魔刀の姿のルーミアが唱えた魔法はフランの視界に幻を見せる類のものだ。これでしばらくは持つだろう。もっとも、戦闘中は幻を見せるのに集中できないから、今の私たちには時間稼ぎにしかならないだろうけど。

  改めて、傷を見てみる。

  体には大剣で切られた跡が()()、クロスするように刻まれていた。そのあとに焼かれたので出血は最初以外ほとんどしてないから血が足りないなんてことにはならなさそうなのが幸いだ。

 

  しかし、一番の幸いはやっぱりこれだろう。

  本来、私は三人のフランによって三つの斬撃を受けたはずだった。

  しかし、いつも腰にぶら下げている鬼神瓢(きじんひょう)に偶然一つのレーヴァテインが当たったことで、そこだけはほぼ無傷で済んだのだ。

  さすが、剛の一撃にも耐えると言われる瓢箪(ひょうたん)。一体なんの素材でできてるのやら。

 

  さて、これからどうするか……?

  正直もう勝算はほとんどない。魔力と妖力も底を尽きかけてきたし、何より四人も敵がいてはどうにもならない。

  使える武器は神理刀と憎蛭のみ。……いや、一つだけあるけどあれは私が使えるように作られていない。全盛期でもまともに持つことすら不可能な逸品だ。

 

「詰んだかな……」

『そうね……。正直もう無理な気がしてきたわ』

 

  認めよう。フランは強い。

  そして私たちが弱くなりすぎた。

 

  ふと、先ほど私を守ってくれた鬼神瓢が目に映る。

  ……そうだ。どうせ死ぬなら一口ぐらいは。

 

  私は瓢箪の蓋をキュポンと言う気持ちいい音を出して開ける。

  そして、それを一口どころではなく、ラッパ飲みするようにゴクゴクと中身の酒全部を飲み干した。

  そう、()()()()()()()()()

 それがどんな効果を持っていたのかも忘れて。

 

「……ぐっ!?」

 

  突如、私の体が発光し始めた。

  それと同時にフランに刻まれた傷口がみるみるうちに治っていく。そして発光が収まったときには完全に斬撃跡は塞がれていた。

 

  ルーミアが心底驚いた声で私に話しかける。

 

『楼夢、頭から角が……!?』

「……忘れてたっ! この酒対策なしに飲むと鬼神化するんだった!」

 

  そんな重大なことを忘れて飲んでしまったことに頭を抱えたくなるけど、そのとき私は思いついた。

  ……これ、ひょっとしてチャンスじゃないか?

 

「……ルーミア。フランを傷つけられるほどの技はない?」

『……あるけど、発動には人型に戻らなきゃだし、時間がかかるわ』

「じゃあそれをタイミングを見て放って。時間は私が稼ぐから」

『どうやってよ!?』

 

  ルーミアの声が頭で響いた。

  まあ見てなって。

  私は床にへばりつく血で魔法陣を地面に書き、魔力を流して()()()を召喚した。

 

『……これは!?』

「さぁて、これで最終決戦だ。終わらせてあげるよ、フラン!」

 

  召喚に従い、切り札が突如空中に出現して地面に突き刺さる。それだけのことで衝撃波が発生し、床にいくつもの亀裂がはしった。

 

  私はそれを両手で握ると、フランへと再び挑みに行くのであった。

 

 





「どーも、ファストフードは大好きですが、その後必ずお腹を壊す作者です」
「俺の胃はあらゆるお菓子を吸い尽くす。意外に甘党な狂夢だ」


「そういえば私最近f●teをアニメで見てるんですよね」

「遅すぎねえか? ステイナイト放送されたのいつよ?」

「2004じゃなかったですかね?」

「ていうかそんなビッグタイトルなアニメ今まで見てなかったことにびっくりだわ」

「私だって見逃しているアニメくらいありますよ」

「ちなみにオーバー●ード二期は来週で最終回らしいな」

「……一週間の楽しみがまた一つ減った……」
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