東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~   作:日差丸

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錆びゆく刃に願いを込める

どうかこの手が血の海に沈まぬ様にと

by白咲楼夢


THE WHITE BLOSSOM《白き花》

楼夢side

 

「......知らない天井だ......てこのネタ言う時って何時も外に居るよな」

 

俺は何をしていたのだろう。どーも皆さん、知らない土地で何故か気絶していた白咲楼夢です。俺は何故気絶しているんだっけ。......たしか......村で妖怪退治を頼まれて......妖怪を倒したら実はそれは囮で......村が......うう、嫌な事を思い出したな。

 

「つーか此処本当に何処ー!?」

 

現在俺は見知らぬ土地に居る。それはさっきも言ったがその景色が現実ではありえない物なのだ。

 

まず、俺の目に映ったのは今の俺の気持ちも晴らす程に綺麗な晴天。そしてかつては天をも貫く摩天楼の群れだったと思われる建物の残骸が上下左右バラバラにふわふわと空に浮いていた。。......うん今の時点でツッコミを入れたいのは解る。何故この時代にこんな高層ビルの群れだった物があるの?何故そんな物が重力無視して浮いてるの?まあいい、ちなみに俺は現在摩天楼の群れだった物の内の一つの上に立っている。元々ひとつひとつが馬鹿でかい為、こうして建物の残骸に立つスペースが山程あるのだ。俺はしばらく建物の上を歩き空の下を確認しようとする。だが地上は見えなかった。否地上などもとより無いのだろう。

 

「おいおいこの高さで落下したらどうなんだろう」

 

「死ぬね。間違いなく」

 

俺の独り言に誰かが答える。俺はびっくりして後ろを振り向く。そこには

 

「......何なんだよお前!?」

 

「何だとは失礼じゃねーか。楼夢」

 

そうそこには脇が無い白染めの巫女服を着た白髪の青年が居た。傍から見たらとても男とは思えない程整った顔。そして腰まである長髪。そう彼はある人物にとても似ていた。そのある人物とは

 

 

 

 

楼夢自身において他なら無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「取り敢えずお前に質問したい事がいくつかある。良いな」

 

「ああいいぜ」

 

「まずお前は何者だ?」

 

「俺か......俺はお前でありお前ではない者......つまりお前の裏とでも言っておく」

 

やっぱりそんなもんか。それにしても俺の裏か。.........俺にもそんな物があったんだな。

 

「そうか。じゃあ次、お前のその両目......それは血塗られた万華鏡(ブラッディ・カレイドスコープ)か?」

 

そうあいつの両目に俺は見覚えがあった。あれは確かに血塗られた万華鏡(ブラッディ・カレイドスコープ)そのものだ。

 

「正解......とでも言っておこう。だがひとつ言いたい。この目の本名は緋色の望遠鏡(スカーレット・テレスコープ)だ。断じてそんな中二病っぽい名じゃねぇ」

 

「テメェだって充分中二病じゃねぇか!人の事言えねぇぞ!」

 

「ああん!んなもんどうでもいい。次だ次」

 

流すのかよ。流石俺の裏なだけある。

 

「はいはい。んじゃ何故その目の名を知っている。お前が俺なら知らない筈だ」

 

そうそこが少し気になった。まあほんの少しだが。

 

「流石頭が切れる様で。んじゃ答えてやるか。この目は俺の本体だ」

 

「どういう意味だ?」

 

あまり俺はその意味を理解出来なかった。当たり前だ。俺の裏と言った男の本体がその両目だったなんて言われて理解出来る訳無い。

 

「お前は何故緋色の望遠鏡(スカーレット・テレスコープ)の目が黒く、その瞳が血の様な真紅の色をしているか知ってるか?」

 

「いや、知らないが」

 

「だろうな。じゃあ八意永琳が作った薬の元となる材料が何なのかも知らねぇな」

 

「知る訳ねぇだろ。永琳は毎回怪しい薬を飲ませて来るからいちいち材料なんて覚えられるかよ」

 

あの頃は毎回の実験が地獄だった。前に変な薬を飲んで身体が液体化した事もあったからな。

 

「そうか......なら教えてやる。あの薬の主な材料は数百の妖怪の血とその魂だ」

 

「What?」

 

意味解らん。数百の妖怪の血とその魂?駄目だコイツ早く何とかしないと。

 

「意味が理解出来ない......そういう顔をしているな」

 

「あたりめェだ。血の方は解ったが魂の方は良く解らん。形無き物をどうやって薬の材料に使うんだ?」

 

「形無き物......ねぇ。いいか良く聞け楼夢。万物には全て形がある。それは魂も例外じゃねぇ。現に現実世界には亡霊なんかがそこら辺にうろちょろしているじゃねぇか」

 

「ふーん。良い勉強になったよ。だが俺みたいな能力が無いと出来ないよな」

 

「月の科学を使えば容易い」

 

わーお科学の力って凄いね。何時か地上でも出来る様になるのかな。

 

「話を続けるぞ。そしてその薬は数百の妖怪の血と魂を融合して作られた。まあ主な材料がそれと言うだけで他にも色々必要だがな」

 

「そこまでは解った。だが何にそれが繋がるのかが解らない」

 

「まあ聞け。お前が薬を飲み干した後、融合された魂はお前の中にあった闇に溶け込み、そして俺という存在が生まれた」

 

「成程。つまりお前は永琳の薬のせいで生まれたという事か」

 

「んまそういう所だな」

 

永琳ェ......なんて物を俺に飲ませてんだよ。

 

「次の質問だ......え~と緋色の望遠鏡(スカーレット・テレスコープ)と呼べば良いか?まあいい、此処は何処だ?」

 

「おいおいそれは俺の本体と言うだけで俺自身に名は無ぇぞ。さて質問の方だな。此処はお前の精神世界というものだ」

 

「成程もう驚かないぞ。それより名前無いと呼びにくいから......そうだな......狂夢(きょうむ)と言うのはどうだ?」

 

「OKそれでいい。じゃあ最後の質問は?」

 

「お見通しかよ。まあいいじゃあ何故俺は此処に居るんだ?」

 

そう俺にとってはこれが一番重要だ。発狂して気が付いたら此処なんて説明がつかないじゃねぇか。

 

「ああそれか。それはお前とちょっと終破無死(おはなし)したかったから呼んだだけ」

 

「(漢字からして嫌な予感がする。今の内に刀を抜いとこう)」

 

俺は腰に刺してある刀を抜こうとする。だが

 

「(刀が......無い!?)」

 

俺の腰に刀の姿は無かった。ちぃ此処では使えないのかよ!

 

「それで......俺に話とは何だ?」

 

「なにちょっとお前がヘマして滅んだ村の事に関してだよ。全く情けねェな」

 

「......」

 

「今迄お前が護れた物なんてあったか?師父を無くし、使命も果たせず、お前自身の誇りであった刀を壊し、

 

世界で一番大切だった友人も護れねェ癖によォ!」

 

「......五月蝿い」

 

「情けねェよな!お前の世界を、人生を変えてくれた大切な恩人を護る力があっても護れなかったなんてよ!」

 

 

ーーハハハ、私もう終わりみたいね。やだな、死ぬのは。

ーー待ってくれメリー。お願いだ、逝かないでくれ!お前が消えたら......俺は......俺は!

ーーありがとう楼夢君。貴方に会えて良かったわ。

 

 

 

 

 

ーーもう失う物は何も無い。何も無いんだ。だったらもう派手に殺ろうぜ。

 

 

 

 

 

「まあお前の友人に力が無かったせいかもな。力無き者が生きていたって意味なんて無いからな」

 

「うるせえよ!黙れ!!!

 

破道の三十一『赤火砲』」

 

楼夢は激しく怒声を上げながら火の玉を飛ばし、狂夢に攻撃する。

 

「破道の三十三『蒼火墜』」

 

だが楼夢の怒りにも似た炎は狂夢が放った蒼火によって消えてしまう。

 

「蓮子を......メリーを侮辱するなァ!!!」

 

狂夢は楼夢があきらかに怒っているのを見てクスリと笑う。

 

「中々良い顔になって来たじゃねェか。そうだよ、その顔が見たかった」

 

狂夢はそう楼夢に言うと、足で地面を叩く。すると空から黒い刀が落ち、楼夢の目の前の地面に突き刺さる。それはルーミアに折られた筈の黒月夜だった。楼夢はそれを抜き、狂夢へとその刃を向ける。対して狂夢は何も無い所から白い黒月夜を出し、その刃先をペロリと舐める。

 

「さあ、美しく残酷な殺し合い(デスゲーム)を始めようじゃねェか!」

 

狂夢がそう叫んだ瞬間、白と黒の斬撃が晴天の空の下で互いに交差した。

 

 




3000文字突破。いや~今回はオリキャラ狂夢さんの登場と楼夢さんの友人が明らかになりました。
作者はシリアスな展開を書くのが苦手です。
そう言えば楼夢さんが怒った事って今回が最初になるのかな。それにしても狂夢さん前半と後半でキャラ変わり過ぎる!

さて次回、始まる殺し合い(デスゲーム)。はたして楼夢さんはこの甘い誘いに打ち勝つ事ができるのか!?次回もぶらりと見に来てね。
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