東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~   作:キメラテックパチスロ屋

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回る 回る

俺等の世界

そして私達は運命に流される哀れな砂粒

昇る 昇る

地から天へ

誇り高く天を舞い 見つめる貴女が灰になるまで

by白咲楼夢


Last games『The world with me』世界と私

楼夢side

 

「ゲホ、ゲホ......殺ったか......ガハッ!」

 

楼夢はそう呟くと朱く染まった血を吐き出す。身体は血まみれで所々に刀傷や何かに焼かれた跡がいくつもありボロボロだった。この状況で骨折をしていないのは不幸中の幸いと言える。そう言うしかない程に楼夢はボロボロだった。

 

「終わる......訳ねェだろうが!」

 

一方狂夢も怒りをぶちまける様な声で煙の中から姿を現す。身体の傷は楼夢よりは浅いとはいえ決して軽傷と言えるレベルの傷では無い。そして狂夢が戦車(チャリオット)を使用してから既に一分が経っている。よって狂夢はタロットカードをシャッフルし直す。

 

「......やっぱりね。一発じゃ終わらねェか」

 

楼夢は苦笑いしてからゆっくりと構える。だがその目に光は無かった。

 

緋色の望遠鏡(スカーレット・テレスコープ)!!」

 

楼夢はそう叫ぶと目を黒に染める。その朱い瞳には狂夢しか映っていない。

 

「やっと出したか。待ちくたびれたぜ」

 

「当たり前だ。自分と同じ力を持つ者に最初(ハナ)から突っ込む馬鹿はいない。力を温存しておくのは戦闘では常識だ」

 

楼夢はいざという時に備え妖力消費の激しい『緋色の望遠鏡(スカーレット・テレスコープ)』を温存していたのだ。そしてそれを出したという事は戦いの終わりが近づいて来たという事だろう。

 

「そうかよ。じゃあ四枚目

 

 

Spell『魔術師(マジシャン)』」

 

そう言うと狂夢は自分の妖力を全て一つに集める。

 

「(何をしているんだ?あんな物放てば妖力を全て使い切っちまうぞ)」

 

G(ギア・マジック)(フォース)無限装弾虚閃(セロ・メトラジェッタ)』」

 

狂夢は数にして1000発以上の瑠璃色の『虚閃(セロ)』の嵐を放つ。全ての妖力を込めている為一発一発が物凄い密度をしている。その為、今の楼夢の身体では一発当たればすぐに致命傷となるだろう。楼夢は瞬歩を使いながら躱していく。だが1000発以上の『虚閃(セロ)』の嵐を避け切る事など不可能に近い。数十発が楼夢を捕らえる。

 

「鏡符『羽衣水鏡』」

 

楼夢は結界を貼り、なんとか防ぐ......と同時に嵐が止む。だが楼夢はそこである事に気付く。

 

「妖力が......減ってない!?」

 

そう狂夢は確かに全妖力を使って攻撃をした。仮に全妖力を使い切って無かったにしても1000発の「虚閃(セロ)」など放てば妖力は減る物だ。だが狂夢の妖力はまるで時が遡ったかの様に攻撃をする前と何も変わっていなかった。

 

「説明するぞ。俺の『魔術師(マジシャン)』の能力(スペル)は【妖力が減らなくなる程度の能力】だ。これのお陰で俺は一分間妖力消費を気にしなくていい訳だ。ほらよ

 

 

G(ギア・マジック)(フォース)無限装弾虚閃(セロ・メトラジェッタ)』」

 

「!!『羽衣水鏡』」

 

狂夢は突然攻撃して来た。勿論カードの能力を効かされて驚いていた楼夢に避けれる筈なく先程の様に結界で防ぐ......が1000発も防げる訳無い。それでも楼夢は結界を霊力で強化する。そのお陰か吹き飛ばされた時にダメージの7割が減っていた。そしてまた一分が経ちカードの能力が切れる。もう自分の身体の限界が近くなっているのを楼夢は誰よりも理解していた。

 

「さ~てと、俺もカード使うのは疲れるから次で最後にしようぜ」

 

「ああ」

 

狂夢は占いを始める。そして狂った様に笑いながら叫ぶ。

 

「さあ、フィナーレだ!!!

 

 

Spell『(ストレングス)』」

 

狂夢はそう叫ぶと身体から嫌な予感がすると楼夢の本能が告げた。だがそれは楼夢の頭には入っていない。。

 

「こいつの能力(スペル)は【身体能力を数十倍にする程度の能力】だ。準備は出来たか?」

 

狂夢がそう聞くと楼夢はクスリと笑い狂夢の方に振り向く。その瞳には既に希望の様な暖かい光は消え、代わりに全ての者の上に立つ氷の様な美しくも冷たい瑠璃色の光を放っていた。楼夢は残った妖力を全て身体に纏い身体能力を数倍にする。全ての妖力を纏えば一分程で消えるがこの戦いは残り一分しかない。だからこの判断はおそらく正解だろう。

 

 

 

「さあ、審判(ジャッジ)の時間だ」

 

その楼夢の声が聞こえた瞬間、二人は空へ消える。その後には刀と刀が激しくぶつかり合う音が聞こえた。どんなに斬られても、どんなに血を流しても、二人は狂った様に笑っていた。その姿はまさに悪魔と呼ぶに相応しい。

 

G(ギア・マジック)(サード)雷霆の槍(ランサ・デル・レランパーゴ)』」

「破道の八十八『飛竜撃賊震天雷砲』」

 

狂夢は稲妻の様な槍を、楼夢は特大の雷撃を放つ。二つはぶつかり合うと同時に爆発する。その衝撃波に周りの建物は全壊した。

 

G(ギア・マジック)(サード)黒虚閃(セロ・オスキュラス)』」

G(ギア・マジック)(フォース)王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)』」

 

続いて狂夢は黒い閃光を、楼夢は青白く光る閃光を放つ。技の威力はⅢよりⅣの方が強い為楼夢の『虚閃(セロ)』が狂夢のを打ち消しながら直撃する。楼夢はこれをチャンスと見て刀に霊力を込める。

 

「霊刃『森羅万象斬』」

 

楼夢は自身の十八番の『森羅万象斬』を放つ。だが

 

「甘ェよ!」

 

狂夢は霊力ではなく妖力を刀に込める。その妖力で刀は桃色に輝いていた。

 

「妖刃『夢空万象刃(むくうばんしょうじん)』」

 

狂夢は『森羅万象斬』に似た桃色の斬撃を飛ばす。その斬撃は楼夢ごと天を貫いた。楼夢は力無く空から落ちていく。狂夢は完全に油断し止めを刺そうと近づく。そう油断していたから狂夢は気付かなかった。楼夢の刀に今迄とは段違いの黒い色をした力が集まっている事を。狂夢がその事に気付いた時には遅かった。

 

 

「超次元『亜空切断』」

 

 

一瞬世界が黒に染まった

 

 

 

 

みんなは亜空間についてどう思っているだろうか?亜空間とはこの世界には無い別の空間の事だ。それを能力などで無理矢理開くと亜空間は再び閉じようと膨大な量のエネルギーを放出する。今回楼夢が集めていたのはそのエネルギーだ。楼夢は能力で亜空間の形を操り膨大な量のエネルギーを無理矢理放出させたのだ。そしてそのエネルギーで大きさ20メートル程の巨大な亜空間を敵ごと切り裂く。そしてそれで放出された桁違いな量のエネルギーはその大きさに耐えられなくなり、周りにある物全てを呑み込む程の大爆発を起こす。

 

一瞬、世界が黒に染まった。

 

楼夢はビルの残骸に倒れていた人物に近づき話し掛ける。

 

「これで......終わりだ」

 

「ふふふ......ゲームセット勝者は......てめぇだ楼夢」

 

その時、世界が突然崩れ始める。

 

「何だこれは?」

 

「......時間だな。別れの」

 

「そうか」

 

「ふっまさか本当に俺を倒すなんてな。取り敢えず褒めておくよ。だが一つ言わせろ。もうちょっと自分らしさを見つけな」

 

「......そうだな。サンキューな」

 

「勘違いすんじゃねーぞ。俺はてめぇの敵でも味方でも無ェ。......後俺を一応倒した褒美に良い物をくれてやる。もしも苦戦するようだったらそれを持って呼びな」

 

 

 

 

ーーと

 

 

 

 

その瞬間、世界は完全に闇に包まれ俺は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やっと此処まで来た......。
次回から東方蛇狐録始まります。......え、どういう意味だって?皆さん気付かなかったんですか。今迄の話は全てプロローグの様な物で決して本編では無かったんです。まあプロローグで伝えたかった事は楼夢さんの性格や能力そしてその過去です。ちなみに過去の話はまだまだ先なので宜しくお願いします。......あっ次回は本編ではなくオリキャラなどをゲスト入りで紹介していくと思うのでお楽しみに。
あと最近作者は東方vocalアレンジなどを聞いているのですけどオススメがあったら教えてください。宜しくお願いします。
では次回までキュルっと見て行ってね。

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