東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~   作:キメラテックパチスロ屋

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人を一人殺める

その時私は温もりを忘れる

人を二人殺める

その度私は感情を削られる

人を更に殺める

それから私は罪と言う十字架を背負い続ける

by白咲楼夢


THE FIGHT《戦い》

 

楼夢side

 

「おりぁぁぁぁぁぁ!!」

「オラァァァァ!!」

 

二人は激しく殴り合う。その衝撃に耐えられず衝突する度に地面にクレーターが出来ていた。

 

まず楼夢は右拳を突き出す。火神矢はそれを左腕で軽く払い、楼夢の懐に潜り込み右ボディーブローを入れる。

楼夢はガードが間に合わないと判断し腹に力を込めて威力を軽減する。そしてカウンターぎみのアッパーカットを火神矢に繰り出す。

火神矢はボディーブローを打つ為に楼夢の懐へ急接近していた為、避けられず顎を捕らえた。

だが、火神矢は攻撃を喰らった瞬間に身体も一緒に吹き飛ぶ事で威力を吸収し軽減する。

 

「おいおい、やるじゃねえか」

 

「ち、体術の方も完璧かよ」

 

「それじゃぁ......行くぜ!」

 

そう言うと二人はまた殴り合いを始める。

だが忘れていないだろうか?楼夢はスピード型の剣術を扱っていて決して殴り合いを得意とするパワー型ではないのだ。

おまけに今迄の戦いから楼夢の弱点はその耐久力の脆さだ。

決してスタミナが無いと言っていない。そう楼夢は一撃に弱かった。

剛の時も、ルーミアの時も、狂夢の時だって楼夢は一撃受けただけで致命傷となっていた。

 

「グ......ガァァ!!」

 

火神矢は炎の拳で楼夢の顔面に一撃を入れる。

楼夢はなんとか踏みとどまったが火神矢はその手を休ませない。

楼夢に向けて炎の拳を連打する。

 

「ハアッ、ハアッ、......ちぃ!ーーーー

 

ーーーー縛道の八『斥』!!」

 

楼夢は手の甲に斥力のような物を発生させ、火神矢の拳を弾く。

突然拳が逆方向へ弾かれた事によって火神矢は少しバランスを崩した。

その隙に楼夢は右拳に妖力と風を超圧縮して纏う。それを目撃した火神矢は拳に纏う炎を更に巨大化させる。

 

「鬼神奥義『空拳』/我流拳奥義『火炎拳(かえんけん)』」

 

二人が同時に言うと、互いに拳を放った。

その衝撃で天地は一際大きく揺れる。

楼夢は超圧縮された風、火神矢は妖力で作り出した炎、こういえば今物量で勝っている楼夢が有利に見えるだろう。

だが楼夢の風は次第に弱くなっていく。何故ならーーーー

 

 

 

 

 

ーーーー火神矢の炎が楼夢の拳に集まっている風の酸素を燃焼し、集まっている風を真空状態にしたからだ。

普通、空気を燃焼しても二酸化炭素が残る。だが、火神矢の炎はそれさえ打ち消した。

 

次第に楼夢の風は消え去り、楼夢は火神矢の渾身の一撃を喰らう。

 

 

 

ドゴォォォォォォン

 

 

 

楼夢が吹き飛ばされた所には巨大な火柱が立つ。火神矢はそれを見て、勝利を確信し警戒を解いた。

 

そうそれがいけなかった。次の瞬間、

 

ヒュン

 

火神矢の耳には何かが風を切る音が聞こえた。火神矢は急いで刀を構え直す......が時すでに遅し、

 

「縛道の七十九『九曜縛り(くようしばり)』」

 

火神矢は周りにある八個の黒い玉が浮かんだ後、胸に一つの黒い玉が付き縛られる。

その拘束力は凄まじくいくら火神矢でも抜け出せなかった。

 

楼夢は刀を抜き、刃を火神矢に向ける。そして......

 

「狂華閃七十一奏『細波(さざなみ)』」

 

無数の水の刃が火神矢を襲う。

 

 

 

 

 

ーー狂華閃七十一奏『細波』

 

この技が上位の七十番代にある理由は、その攻撃範囲の広さと威力だ。

この技は刀から刃の形をした、高圧水流を相手に飛ばし、切り裂くと言う技だ。

これだけ聞くと、大した事ないと思うだろう。実際、高圧水流の一つぐらい並の力を持つ者でも躱す事は出来る。

だが、もし高圧水流が一つだけではなかったら?

そう、この技は一撃ではなく『氷結乱舞』のような複数回攻撃を放つ技なのだ。

その数はーーーー

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー全てで十五発。

 

十五個の高圧水流が楼夢の剣術の速度と同じ速さで放たれる。

楼夢の剣術の型は速度重視。更に精神が高まっていれば一撃を一秒未満で出す事など容易い。

此処まで聞けば、この技がどれほど恐ろしい物か理解出来るだろう。

 

毎回一秒未満に放たれる高速の十五の高圧水流。

さらに水と言う概念もあってかその攻撃範囲はかなり広い。

それを、鬼道で拘束されている火神矢が避ける事は不可能だろう。よってーーーー

 

 

 

ーーーーズパパパーン

 

 

そんな音が聞こえた後、俺は火神矢が居た場所を見つめる。そして、刀を構え直す。

 

火神矢が居た場所には死骸が無かった。よって、拘束から逃れたと推測できる。

だが、外れた訳ではない。攻撃を放った場所には血が飛び散っていた為、少なからずダメージを与えた事は確実だ。

 

「......そろそろ出て来たらどうだ?」

 

「......ち、やっぱりな」

 

楼夢が後ろを振り向くとそこから火神矢が出て来る。その左腕からは高圧水流で切られたような跡があり、そこから血が流れている。

 

「以外だね。どうやってあれを避けたんだ?」

 

「......忘れたかよ。俺の能力ならてめえの水を蒸発させてダメージを削る事も出来るんだぜ!」

 

火神矢はそう言うと、妖力を高めていく。

突如、辺りの空気が変わる。そしてーーーー

 

「!?」

 

火神矢は楼夢の前に一瞬で近づき、刀で叩き切る。

楼夢はあまりにも突然だった為受け流す事は出来ず、刀で受ける。

......だが、楼夢は火神矢の山をもなぎ払うようななぎ払いの威力に、為すすべもなく吹き飛ばされる。

 

楼夢はすぐさま受け身を取る。

だが......

 

「遅い!!」

 

突然後ろから声が聞こえる。そしてーーーー

 

炎舞剣(えんぶけん)紅蓮華(ぐれんか)』」

 

楼夢は灼熱の炎を纏った刀で叩き切られる。

 

「あ“......あ“あ“あ“あ”あ”あ”あ”!!!」

 

楼夢はドロドロに溶けた鉄が身体に塗られているような感覚を味わい、そのあまりの熱に叫ぶ。

実際、灼熱とはそれ程かそれ以上の熱量なのだ。

だが火神矢はすぐさま楼夢に回し蹴りを放つ。当然、楼夢は避ける事は出来ず、そのまま吹き飛ぶ。

 

「じゃあな、楼夢。中々楽しかったぜ☆

 

 

 

 

 

ーーーー炎波「フレイムウェーブ」

 

火神矢はそう言うと、地面に手を当て、力を込める。

すると......

 

 

 

 

ーーーー大量のマグマが波のように地面から吹き出て、楼夢を飲み込む。

 

その光景は、天変地異の一種と言っても過言ではない。その時ーーーー

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーマグマの波の中から、二十メートルを超える八匹の大蛇が飛び出て来る。

 




いやー投稿遅れてすいません。
リアルで色々忙しかったり、途中まで書いていた小説が消えたりと色々ハプニングが起きまして。

では次回、マグマの中から出て来た八匹の大蛇。そして楼夢さんがとうとう妖力を解放する。

次回もキュルっと見て行ってね

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