東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~   作:キメラテックパチスロ屋

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出会って、別れて、また出会う

それが私の三千世界

by白咲楼夢


Danseur dans une flamme《炎の踊り子》

 

 

楼夢は、手に持った自身の妖魔刀『舞姫』をしばらく見つめ、その切っ先を火神矢へと向ける。

その刀身の峰には七つの小さな穴が空いていて、そこから金色に光る魔除けの鈴が七つ付いていた。

さらに刀身は桃色の何処か神々しい光を放ちながら輝いていた。

そして柄に付いている紙垂の長さが若干長くなっており、数も一つから五つにまで増えていて、全体的に刀がお払い棒のようにも見えた。

 

 

「......何でもありかよ」

 

 

火神矢はその光景を見て苦笑いする。

それもその筈、楼夢の刀の形が変わり、さらに【八岐大蛇状態】にまでは及ばないが楼夢の妖力は刀の形が変化した事によって、確実に増えていた。

 

 

「形まで変わるのか 、お前の刀は?」

 

「まあ......な。こいつは私と似たようなもんだ。こいつは力を使う場所を見失っていた。同じく私も今までなんの為に力を使っているのか知らなかった。

だけど、今分かった気がする。私は私がしたい事をし続ける。だからーーーー

 

 

 

 

ーーーー私が今踊るべき舞台は此処だ!!もう、絶対に見失わない!!」

 

「そうかよ、じゃあ来いよ!俺も負ければ誇りを踏みにじる事になるんでね!

 

魂を吸う者(ソウル・イーター)『ストームブリンガー』!!」

 

 

火神矢がそう言うと同時に刀が緑色の光に包まれる。

 

 

「魂ってのはな、主に人妖問わずに全て霊力で出来ていて、生物が死ぬと魂は一瞬元となった霊力の約数万倍の霊力を放出するんだ。

そしてこの、ストームブリンガーは殺した相手の霊力を吸い取る事が出来るんだ」

 

火神矢はキヒヒと不気味な笑い声を上げる。

 

楼夢の左目は自然と緋色の宝石のような色に変わる。緋色の望遠鏡(スカーレット・テレスコープ)を発動させたのだろう。そして、刀身の峰に手を当てる。次の瞬間、舞姫が真紅の炎と共に燃え、楼夢は炎の刀と共に舞い始める。

 

火神矢は何時攻撃が来てもいいように構える。

 

楼夢は炎と共に舞っている。その光景は楼夢が火の鳥となって、踊っているように火神矢は思えた。次の瞬間、

 

 

舞姫神楽(まいひめかぐら)朱雀(すざく)の羽乱れ』」

 

 

楼夢は突如そう呟く。

すると火神矢の全方位から炎の羽が大量に放たれた。

 

 

「ハアッ!?」

 

 

いきなりの出来事に若干驚くも火神矢はそれを刀で一つ一つ叩き落としていく。

よくよく考えれば灼熱を生み出す火神矢にとって炎とは恐るに足らない物なのだ。あくまで()()()の話しだが。

 

 

「Project『氷結(Freeze)』実行」

 

 

楼夢は地面に舞姫を突き刺すとそう呟く。そして......

 

 

パキパキパキッ

 

 

「......なっ!?」

 

 

突如火神矢の周りが氷結し始める。

火神矢は数秒間氷のせいで動けずにいたがこれも彼の能力によって破壊される。

だが、数秒間は次の攻撃を仕掛けるには十分な時間だ。

 

 

「やれやれ、こんな物......へ!?」

 

 

火神矢は余裕そうな顔から間抜けな声を出す。

そしてどんどん顔の色が蒼白になっていく。

 

火神矢が見つめた先、そこにはーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「破道の八十八『飛竜撃賊震天雷砲(ひりゅうげきぞくしんてんらいほう)』」

 

 

ーーーー楼夢が放った青白く光る閃光があった。

 

膨大な量の霊力で放つ極大な雷撃。

その霊力は普段使う量の三倍の霊力が込められていてさらに八十八番と言う鬼道の中でも最高位の数字を付けられている鬼道。その威力は山を数個消し飛ばす程あった。

 

 

ドゴオオオオン

 

 

だが、それでもだ。

 

 

「グガアアア、......中々味な真似しやがって!

 

重刃『紅蓮十文字(ぐれんじゅうもんじ)』!!」

 

 

火神矢は砂煙の中から現れ、紅蓮一文字を十字に二回放つ。

 

 

「殺れるもんなら殺ってみろ!!

 

超次元『亜空切断』」

 

 

楼夢は楼夢で、狂夢を倒した斬撃を放つ。

 

黒と赤の斬撃は互いにぶつかると、恐らく今までで一番大きな衝撃波を辺りに放ち、相殺しあう。

 

だが......

 

 

「オラァァァァ!!」

 

単純な威力だけなら、火神矢が勝っていた。

それもその筈、そもそも楼夢はスピード型なのでこう言った純粋な力比べには弱いのだ。

 

火神矢の炎は十字を描きながら、楼夢の月牙を突き破り、轟音が辺りに響く。

 

 

 

 

 

 

 

「......とうとう終わったか」

 

 

火神矢は辺りを警戒したあと、刀を収める。

先程までとは違い、楼夢の妖力は感じられなかった。

火神矢はこれほどの戦いの中でも何故か安全なサイコロステーキに近寄り、ナイフとフォークを取り出そうとする。するとーーーー

 

 

グミョーン

 

 

そんな音と共に火神矢の真横に空間の隙間のような物が開く。そして中から......

 

 

「何勝手に人の昼飯食おうとしとんじゃコラー!

 

舞姫神楽『白虎の牙』!!」

 

 

楼夢が隙間の中から、素晴らしいツッコミを入れながら叫んでいた。

 

突如、火神矢を狙うように、焔ノ業火のような氷柱が地面からいくつも突き出す。

 

そして、上からは巨大なつららが雨のように降り注いでいた。

 

上と下からの氷柱攻撃。その様子は白虎が牙を剥く様に似ていた。『白虎の牙』など大した名前である。

 

 

「グ......アァァァァ!!」

 

 

火神矢はこの事を予想していなかった為、一瞬で氷付けになる。

 

楼夢は亜空切断で亜空間へ続く隙間を開き、その中でやり過ごしたのだ。

あの時、火神矢が楼夢の妖力を探しても見つからなかった理由も、亜空間へと逃げ込んでいたお陰で感知出来なかったのだ。

そして楼夢はタイミングを見計らって、隙間をもう一度開き、攻撃したという事だ。

 

そして火神矢を氷付けにしていた氷がバキバキと音を立てて崩れさり、火神矢が出て来る。

 

 

「グ......うう、どうやら俺は限界が近いようだ」

 

「同じく俺も空間を開くのに妖力をほぼ使っちまった」

 

「成程、じゃあ次が最後って訳か」

 

「......そう言う事になる」

 

 

それを聞くと、二人は一旦距離を取り、それぞれの一撃に集中する。

 

 

「最後に聞いとくぜ。その刀の能力はなんだ?」

 

「......【舞いを具現化させる程度の能力】それが、舞姫の能力だ」

 

二人は残った妖力を全て刀に込める。楼夢は刀を鞘に収め居合切りの構えを取る。

 

辺りを沈黙が包む。そしてそれを破るように風がヒュルっと通る。そしてーーーー

 

 

「死炎『不知火懺悔(しらぬいざんげ)』」

「狂華閃九十七『次元斬(じげんざん)』」

 

 

ーーーー桃色の閃光と真紅の斬撃が混ざり合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......クソ、俺の負けだ」

 

「......いや、それは違う。相打ちだ」

 

「そう......かよ、中々楽しかったぜ、『火神(ひがみ)』」

 

「おう...よ」

 

 

そう言うと、二人は鮮血を出しながら倒れる。

 

 

辺りは、その返り血で真紅に染まる......

 





やっと火神矢VS楼夢さん戦終わった\(^ω^)/
まあ、次回はほのぼの回になりますね。
そして火神矢さん強し(笑)
だってこの人の実力明らかにスサノオ超えてますよ。
後後今の状態の何倍も強くなるなんて言えない。

では、次回もキュルっと見て行ってね

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