東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~   作:キメラテックパチスロ屋

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人は守るべき物があるほど強くなれる。

人や物、または己の誇りの為に

人はいつでも守り続ける


by須佐之男命


守るべき物

楼夢side

 

 

「........ハア、そのままお陀仏してくれりゃいいのに」

 

「痛つつ、流石に強えな。だが俺もヤラレっぱなしは性に合わないんでね、今度はこっちからだ!」

 

 

須佐之男はそう言うとまた刀を前に向けて構える。そしてそのまま天叢雲から炎を飛ばした。

 

 

「........時間稼ぎにもならねえよ、こんなもの」

 

 

ーーギア・マジックⅠ“虚閃(セロ)

 

 

楼夢は刀を握っていない左手から桃色の閃光を放つ。閃光は須佐之男の炎を貫通し、そのまま須佐之男へ向かった。

 

須佐之男は自身の【一刀両断する程度の能力】を使い閃光を縦に一刀両断する。そして地面に刀を突き刺した。

 

 

「“天地逆転(てんちぎゃくてん)“」

 

 

須佐之男がそう呟くと、楼夢の真下の地面がせり上がり、爆発した。

 

楼夢は突然の事で反応出来ず、爆発に巻き込まれる。

 

 

「ガハッ!........あんの野郎!」

 

 

楼夢は爆発に巻き込まれそのまま空に放り出される。楼夢はなんとか受け身を取ろうとするがそれを見逃す程須佐之男は甘くない。

 

 

「“(つるぎ)の雨“!」

 

 

須佐之男は地面に突き刺した刀を更に強く握るとそう叫んだ。

すると百を超える刃が空から楼夢に降り注ぐ。

 

楼夢は刀で刃を弾くが空中にいるため上手くバランスを取れず二、三個の刃が楼夢の身体を貫く。

 

 

「鬱陶しいんだよ!

 

ギア・マジックⅣ“無限装弾虚閃(セロ・メトラジェッタ)!!」

 

 

数には数と楼夢は千を超える虚閃(セロ)を放ち、全ての刃を撃ち落とした。そしてそのまま地面に着地し須佐之男に接近する。

 

 

「凍りつけ!狂華閃七十五“氷結乱舞“!!」

 

 

楼夢は須佐之男に氷を纏った七連撃を繰り出す。須佐之男は刀で防御しようとするが楼夢のスピードについていけずいくつかを貰う。

 

 

「く........この!」

 

 

須佐之男もそれに負けじと斬撃を繰り出し、戦況は激しい接近戦になった。

 

楼夢と須佐之男の刃がぶつかる度に楼夢は衝撃で後ろに下がらされていた。何故なら体格や筋力では女よりの楼夢より須佐之男の方が大きく、そして攻撃を避けるスペースの無い接近戦では元の筋力で勝る須佐之男には有利だったからだ。

 

 

「狂華閃四十“雷光一閃“」

 

「“一空牙(いっくうが)“」

 

 

楼夢は雷を纏った斬撃を、須佐之男は真空の刃を繰り出した。

 

二つの斬撃は互いに相殺しあうが須佐之男は強引に楼夢を薙ぎ払う。そしてそのまま吹き飛ばされた楼夢に向かって炎を放った。

 

 

「ア“ア“ア“ア“ア“ア“ア“!!」

 

 

楼夢の身体は赤く燃えながら地面に転る。須佐之男はそれと同時に地面に再び刀を突き刺し、そのまま握る手に力を込めた。

 

 

「吹き飛べェ!!“天地逆転“!」

 

 

楼夢が倒れている地面が急にせり上がりそしてーーーー

 

 

 

 

 

ーーーー先程より一回り大きい爆発が楼夢を襲った。

 

 

 

「やった........のか?」

 

「「殺られてる訳無えだろ、ゴミクズ共がァ!!」」

 

 

楼夢はそう叫んだ後、須佐之男を鬼をも凍り付くような形相で睨む。今の楼夢は明らかに怒っている事は誰の目から見ても明白だった。

 

 

「「ったく、少し黙ってりゃ調子に乗りやがって。うざい野郎だ。そんな奴には裁きが必要だな」」

 

 

楼夢達がそう話し終えると、楼夢は須佐之男に一直線に突っ込む。

 

 

「(最初のように変則しながらの接近戦か........いいぜ、来いよ!)」

 

 

楼夢はそのまま須佐之男へ突進しーーーー

 

 

 

 

 

ーーーー中間距離(ミドルレンジ)でその足を止めた。

 

 

「(腕を畳んで戦うなんて性じゃないだろ?)」

 

 

 

ーー俺もお前も!!

 

 

「(刀を思いっきり振れる距離で勝負かよ......!?)」

 

 

須佐之男はその楼夢の行動に驚きを隠せないでいた。何故なら刀を振り切れる距離という事は筋力で劣る楼夢には無謀な策だからだ。

 

 

楼夢は狂気的な笑みを浮かべながら不敵に笑う。須佐之男はその行為で己の迷いを断ち切った。

 

 

「それならお望み通りに振り抜いてやるよ!!」

 

「地獄に堕ちやがれェ!!」

 

 

須佐之男は渾身の一撃を楼夢に繰り出す。対して楼夢はそれに己の刃でカウンターを狙う。

 

ズギャン!!、という音がし、鮮血が辺りに飛び散る。それでも二人は腕を休めない。第二第三と次々に攻撃を繰り出す。須佐之男の斬撃が先に楼夢に当たり、刃が身体にめり込む瞬間に楼夢はカウンターで須佐之男の身体を叩き切った。

そんな事が延々と続く。だが二人の身体にも限界という物がある。そして本来なら耐久力が少ない楼夢はこの戦況は不利『だった』はずだ。

 

 

「(何故だ!?俺の斬撃が先に当たっている!!傷もかなり深い筈だ!!なのに........)」

 

 

ーー何故笑っていられるんだ!?

 

 

「「何故笑ってるかって?楽しいからに決まってんだろォ!!アハハハ!!もっとだ!!」」

 

 

ーーまだ壊れるんじゃねえぞ!!

 

 

「ち、チクショォォォォ!!!」

 

 

須佐之男は先程の楼夢の言葉を聞きこの男の本性を思い出す。この男は妖怪よりも強く、残酷な化物であると。

 

 

須佐之男の頭の中が恐怖で埋まる。それと同時に須佐之男は中間距離(ミドルレンジ)から飛び付くように近距離(クロスレンジ)に持ち替えた。

 

 

「うわァァァァァ!!!」

 

 

須佐之男は自身の恐怖が写った刃を楼夢に振り回す。だがそんな物が当たる筈も無く、楼夢はカウンターで須佐之男の腹を貫くように殴った。

 

 

「ガ........ハア!」

 

 

須佐之男の身体が痺れたかのように痙攣する。

今楼夢が放ったのは“ソーラー・プレキサス・ブロー“。通称“みぞおち打ち“だ。

 

 

人間は横隔膜の上下動により呼吸する。それは楼夢のような人型の妖怪や神とて例外ではない。

 

肝臓、脾臓、胃、横隔膜を取り巻く内蔵にダメージを与えることでジワジワとその動きを奪い呼吸困難に陥れる。

ボディブローの効果とはこれだ。ただ欠点は遅効性であること、つまり長丁場でないとその効果は表れない。

 

だが横隔膜を直接叩けたら即座に呼吸困難は訪れる。つまり即効性のボディブローが成立する。

 

横隔膜の位置とはみぞおちのことだ。

楼夢はボディブローをみぞおち(ソーラー・プレキサス)に打ち込むことで須佐之男の動きを止めたのだ。

 

 

「鬼神奥義“空拳“!」

 

 

楼夢は棒立ちになった須佐之男の顎に天空をも貫くようなアッパーを喰らわした。鮮血が辺りに飛び散り、須佐之男はなんとか踏み止まるが、その意識は途絶えていた。

 

 

「霊刃“森羅万象斬“!!」

 

 

ーー糸が切れた人形のように動かない須佐之男の身体に冷徹な光を帯びた刃が放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーねえ、須佐之男。ちょっとこっちに来てよ。

 

ーー何ですか、姉さん?

 

ーーこっちこっち。此処なら大和の国を良く見れるわ。

 

 

 

 

ーー........綺麗ね、大和は。

 

ーー........そうですね。

 

ーーねえ、須佐之男。私はこの国をもっと豊かにしたいわ。そしてどんな時でもこの国を守れるようにしたいの。

 

ーー勿論俺も手伝いますよ。

 

ーー........ええ、二人で大和を守って行きましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー二人でね........

 

 

 

 

「お........あァァァァァァァ!!!!!」

 

 

突如、須佐之男が意識を取り戻した。そして刀を握る手に力を込める。

 

 

「俺は........俺は........負けられねえんだァァァァ!!!」

 

 

須佐之男がそう叫ぶと天叢雲に緑色の光が集まり、大きな緑色の光の剣を創り出す。

 

 

「あ........あァァァァァ!!!」

 

 

ーー神剣“草薙(クサナギ)“!!

 

 

緑と青の刃がぶつかる。そして緑の光が蒼き刃を押し返し始めた。

 

 

「これで........最後だァァ!!」

 

『........そいつはどうかな?』

 

 

ーー妖刃“夢空万象刃“

 

 

楼夢の青白い刃が、桃色に変わる。と同時に桃の刃が更に巨大になる。

 

 

「「悪いな........私達にも負けられない理由があるんだよ........」」

 

「ぐ........クソォォォォ!!!」

 

 

花弁の如く緑色の光が散りーーーー

 

 

 

ーーーー辺りが桃色で包まれた........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーすまねえ、姉さん。

 

 

 

 

 

 

 

 


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