東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~ 作:キメラテックパチスロ屋
嗚呼、私は今誇りの為に剣を取る
........思い無き剣は獣に過ぎない
楼夢side
「ふー疲れた。次はお前だ天照♪」
「........」
天照は無言のままぐったりと地面に倒れている須佐之男の元へと近づき、そっと手を頬に当てる。そしてキッと楼夢を睨む。
「何が『疲れた』ですか........まだ本当の実力なんて出してない癖に........!」
「........あ〜あ、バレてたかー。まあしゃーないな。........あんたこそ須佐之男と比べ物にならない程強い癖によ」
「........不思議ですね。神力は完璧に隠しているのに........」
「俺の左目はお前の霊力などの力、筋力の質、それらからの相手の実力を見通すことが出来る。まあ、俺は
「........中々厄介な能力ですね」
俺と天照は話し合いながら構える。俺は舞姫を鞘に納めた後、【妖狐状態】になりいつでも術を唱えられる準備をした。
「では、改めて名乗らせて貰います。大国大和の主神ーー天照大御神です」
「「白咲楼夢。白咲流剣術“狂華閃“最高階級“白塗“の巫女こと桃色の蛇狐だ!」」
二人が自己紹介を終えた時、辺りに砂煙が舞い上がる。楼夢はお得意の桜の花弁のような弾幕を数千個、天照は周りに炎の玉を大量に生成し楼夢へと放った。
桜の花弁が天照の弾幕を包む度に、炎が爆散し辺りを吹き飛ばす。そんな状況が延々と続く中、その均衡を破ったのは天照だった。
天照は右手に意識を集中させると、これまでの三倍程の大きさの炎の球を楼夢へ放つ。楼夢は桜の弾幕を上手く操り一方向に集めて防御しようとするが炎はそれごと燃やし尽くし、楼夢へと迫る。
「はっ“羽衣水鏡“っ!!」
楼夢は薄い水で覆われた霊力の結界を発動させ火球を防ぐ........が、その反動で後ろに吹き飛ばされる。
天照はまた自身の右手に炎を集め始める。だが、俺にはこの結界がある。
“羽衣水鏡“は弾幕などの遠距離攻撃を無効化することが出来る。つまり俺に炎は無意味だ。
楼夢はそう確信し結界に更に霊力を注ぐ。だが、次の瞬間ーーーー
バシュッ
そんな音と共に血しぶきが舞い、楼夢の結界は壊される。いや、正確には断ち切られた。
「“
俺は胴の傷を手で塞ぎながら光となって消えて行く結界と天照を見つめる。天照の右手には炎で出来た燃え盛る一刀の刀が握られていた。
そして俺は理解する。何故結界が壊されたのかを。
“羽衣水鏡“は弾幕の他に炎や水、雷などの属性攻撃を無効化することが出来る。だが、その欠点は直接物理攻撃にはとても脆いと言う事だ。
天照は一回目で俺の結界の能力を確認し、二回目は炎の刀で俺を結界ごと切り裂いたのだ。
「アハハ、これは本気で殺んないとな!」
「........させません」
俺が自分の刀の柄に手を当てた瞬間に、天照は抜かせまいと炎のマシンガンのような弾幕を放つ。
「縛道の八十一“断空“」
俺は目の前に透き通った透明な結界を貼り弾幕を防ぐ。
そして、小さな声で囁いた。
「踊れ........“舞姫“っ........!!」
刹那、刀が桃色に光り瑠璃色の桜吹雪が楼夢を覆い尽す。
やがて、桜吹雪が止み始める。その先にはーーーー
ーーーー瑠璃色に輝く二枚の扇を両手に持った楼夢がいた........
「成程........その刀は扇にも変わるのね?」
「まあ、刀か扇にしか変形しないんだけどな。まあ、見くびってると痛い目見るぜ!」
楼夢の扇には瑠璃色で描かれた桜の絵と、風景に桃色が少し混じったようなデザインだった。
楼夢が喋り終えると、天照は再びその刀を振りかざす。
楼夢は、攻撃を避けた後二枚の扇を広げたまま風を巻き込んで踊るように回転する。
すると、巻き込んだ風が桃色に光り巨大な竜巻を創り出した。
「舞姫神楽“
楼夢は静かにそう唱える。天照は必死に桃色の竜巻を消そうといくつもの巨大な炎を当てるが竜巻は時間が経つ事に更に大きくなり、天照は竜巻に飲み込まれた。
竜巻は天照をその風で切り刻んだ後集まっている風を拡散させて天照を吹き飛ばした。
天照の身体は地上に落ちた後、
一、二回転してその場で倒れる。
天照はなんとか立つと炎を創造しながら楼夢へと話し掛ける。
「........単刀直入に言います。貴方のその扇の能力は何ですか?」
「変わらねえよ。俺の舞姫の能力は【舞いを具現化する程度の能力】だ。........まあ、形状が扇になったお陰で踊りやすくなり、バリエーションも増えるんだがな。まあ、遠距離用舞姫と思ってくれたらいいぜ」
「ほう。つまり近接距離で戦えばいいわけですね」
「へー筋力が全く無く近接距離が苦手なクセにか?」
「........くっ........!!」
「お喋りはお終いだ!」
楼夢が辺りを回転するように踊ると、楼夢が踊った場所から瑠璃色の弾幕が吹き出した。
天照は炎で相殺するが、その時には楼夢は次の式を描いていた。
「縛道の六十三“鎖条鎖縛“!!」
楼夢の霊力で創り出された鎖は巻き付くように天照を拘束する。
楼夢はまるで稲妻の激しさを表すかのように激しく踊る。すると、舞姫が瑠璃色の雷を纏う。
楼夢は風を切り裂くように、舞姫を振り、いくつもの瑠璃色の雷の刃を創り出した。
「舞姫神楽“
天照は拘束されて動けずこの攻撃を直接喰らう。
「ぐ........あ“あ“あ“!!」
だが天照はこの攻撃で鎖条鎖縛を壊し、拘束を逃れる。
天照は地面に手を置くと、楼夢を囲うようにマグマが地底から吹き出た。
天照はそれで楼夢の視界から姿を消すと、気付かれぬように右手に超圧縮した炎を集め始めた。
一方楼夢は何度もマグマの壁を吹き飛ばそうと攻撃をぶつけているが、マグマはすぐに吹き出て再生してしまう。
突然、楼夢の身体に悪寒が走る。
「
そんな声が聞きえた後、楼夢は後ろを振り返る。その先には身体一つを飲み込むほどの炎の閃光がマグマの壁を貫き現れた。
「破道の八十八“飛竜激賊震天雷砲“っ........!!」
楼夢も舞姫から青白い閃光を放つが威力が足りずかき消され、楼夢は吹き飛ばされた。
「ご........ガハッ........!!........ふふふ、ようやく楽しくなってきたぜ!!」
「........さっさと灰となって消えてください!」
楼夢、天照は次の攻撃の為少し距離を置く。
ーーまだまだ戦争は終わらない........。