東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~   作:キメラテックパチスロ屋

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夢は叶わず、現実は冷たい

けれども叶えたい夢もある


by白咲楼夢



夢の理想郷作りとスキマ妖怪

楼夢side

 

 

オッス皆、オラ楼夢。現在日本各地を旅してる流浪人だ。だけど最近家が欲しいと頻繁に思う。だってこのままじゃ絶対ホームレスとか言われそうじゃん。それだけは絶対に避けたい。

 

 

と言ってるが現在進行形でそこらの森で野宿しているという現実が虚しい。

今度サンタさんに「家をください」ってお願いしようかな。........うん、プラモの家を買って来るサンタさんの姿が想像出来た。何という想像力。

 

と、そんなどうでもいい事を考えながら食料のカロリーメ●トを食べる。ちなみにこれも狂夢が作った物だ。ほんとに何でも出来るな、アイツ。

 

そんなことより、俺は自分の真横の誰もいない空間を見つめる。そして、カロリーメ●トを食べながらその空間に語りかけた。

 

 

「うん、美味いねェカロリーメ●トは。........あんたもそう思うだろ?」

 

 

 

「あら、私はそれを食した事がないので分かりませんわ」

 

 

突如、空間が割れその中から女性が出て来る。だが楼夢はその女性よりも空間の割れ目の方を見つめていた。

 

 

「(あの空間の割れ目........何処かで見たような............痛ッ!?)」

 

 

突如、楼夢の頭に激痛が走る。

それと同時に楼夢の脳裏に一つの映像が映った。

 

 

「(あれは........蓮子とメリー!?何故だ!?こんな記憶俺には............)」

 

 

その映像には蓮子とメリーが先程見た空間の割れ目の前で立っている光景が映っていた。そして楼夢の頭にいくつもの疑問が浮かんだ。

 

 

「(何故メリー達があの割れ目の前にいる!?一体あれは何なんだ!?そしてーーーー)」

 

 

 

 

ーーーー誰だこいつはッ!?

 

 

楼夢はメリー達の横で楽しそうに笑う人の姿があった。腰まで長い美しい黒髪を持っているが、その顔は黒く塗り潰されたようになっていて良く見えなかった。

 

 

「(落ち着いて情報を整理すると、まずこんな記憶を俺は知らない。つまり俺は此処にいなかった可能性が高い。取り敢えずメリー達と親しい人間を、昔と共に振り返っ........て................ッ!?)」

 

 

その時楼夢は気付いてしまった。自分の記憶を掘り返すとメリー達の笑顔が浮かんで来る。だが同時にーーーー

 

 

 

 

ーーーー生前の自分の顔を一切思い出せない事に。

 

 

「(どういう事だ!?こんなの普通じゃない!?まるで記憶が切り取られたようなーーーー)」

 

 

そこで映像は途切れた。楼夢は気付かれないように冷静になり、女性を再び見つめる。

 

 

女性の身長は俺より低く、金髪の長い髪と、紫に輝く特徴的な瞳を持っていた。さらに頭にはリボンの付いたナイトキャップを被っていて紫色の中華服に似た服を着ている。

如何にも紫だなァ、と思ってしまう少女だった。

 

だが問題はそこじゃない。問題はこの少女があまりにもメリーに似ていた事だ。

特にナイトキャップを被っている所と金髪な所が同じだ。ひょっとすると彼女は昔の俺と何か関係性があるのかもしれない。

 

 

「私の名は八雲紫(やくもゆかり)、スキマ妖怪よ。今日は貴方に用があって来たわ」

 

「ふーん。俺の名は白咲楼夢。でそれは何?」

 

 

楼夢は軽く自己紹介すると先程から気になっていた空間の割れ目のような物について問い質す。

 

 

「これは私の【境界を操る程度の能力】で空間の境界に裂け目を作ったスキマと呼んでいる物ですわ。まあ、一種の亜空間と思ってください」

 

 

紫は胡散臭い笑みを浮かべながら答える。

それにしても亜空間ねェ........。だが流石に混沌の世界程ではないだろう。あっちは移動とかも出来るみたいだが、その分混沌の世界は一つの世界として認識される程広いのだ。あそこを管理している狂夢君に拍手。

 

 

「さて、用件をどうぞ。ちょうど食い終わったし」

 

 

俺がそう言うと紫の周りの空気が緊張感に包まれる。やがて、紫はその口を静かに開いた。

 

 

「貴方、ーーーー」

 

 

 

 

 

ーーーー私の式にならない?

 

 

 

「勿論却下です♪」

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

紫side

 

 

白咲楼夢。私が彼を見つけたのは彼が妖怪の山に入った時だ。

 

天狗の頭領である天魔を超える力を持ち、侵入者である筈なのにあのお硬い天狗と酒を飲む。

確かな力を持ちながら性格は友好的。まさに私の夢を叶える為に必要な人材だ。

 

だから彼を私の式にしようとした。だが返答はーーーー

 

 

「勿論却下です♪」

 

 

即答で返された。正直言ってこんなに早く返されたら流石の私だって傷付く。

 

 

「即答ね」

 

「当たり前だ。俺は自由が好きなんだ。俺より上の存在はいない。逆に下の存在もいない........とは限らない」

 

「まるで自分より強い者はいないと言ってるような口ぶりね」

 

「強けりゃ良いって訳じゃないんだよ、ワトソン君。血を見て喜ぶ奴らは火神(バカ)狂夢(アホ)だけで充分だ」

 

「そう、なら自分より上の存在がいるという事を教えてあげるわッ!!」

 

 

私は彼に大量の弾幕を放つ。我ながら美しい弾幕である。だが彼はそれをひょい、と避ける。

 

 

「うーむ、食後であまり動きたくないけど........しゃあないか」

 

 

彼の後ろから計十一本の金色の尻尾が出て来る。式にしたらあれを枕代わりにしよう。

 

 

彼は桜の花弁のような弾幕を何千と撃ってくる。

一個の大きさが小さくとも量が量なので厄介だ。

 

避け切れない弾幕を私はスキマで防ぐ。そして彼の近くにスキマを開いて弾幕を放った。

 

 

「喰らいなさいッ!!“弾幕結界“!!」

 

 

私は大量の弾幕で彼を檻のように囲み、一斉にそれらを放つ。

この弾幕の檻には鼠が通る穴すらない。つまり脱出は不可能である。

私は勝利を確信する。だが次の瞬間ーーーー

 

 

 

「“無限装弾虚閃(セロ・メトラジェッタ)“」

 

 

彼が放った無数の閃光が、私の檻を消し飛ばした。

 

 

「なっ!?」

 

「別に驚く事じゃねえだろ。........そう言えば俺の能力を言ってなかったっけ?俺の能力は【形を操る程度の能力】だ。例を上げればこんな事が出来たりする」

 

 

そう言い彼は足元の地面を足で叩く。

すると、私の真下の地面が尖り私を貫こうと突き出て来る。

 

咄嗟の事で反応が遅れたが私は空を飛んで避ける。だが突き出た大地は私をさらに追うように伸びて来る。

鬱陶しいので、スキマの中に入って一旦退避する。

 

此処には誰もいない。私一人だ。そう確信すると気を緩める。

 

 

「ちょっと予想以上に強いけど問題ない。あれぐらいなら私一人でーーーー」

 

「戦闘中に気を緩めて独り言か?」

 

 

紫はその声を聞いた瞬間、背中に悪寒が走る。

 

 

「踊れ、“舞姫“。“亜空切断“!!」

 

 

彼がそう叫ぶと、突如スキマの世界に激しい光が差し込み、二つの扇を持った彼の姿が現れた。

 

 

「なっ、何で........ッ!?」

 

「お前はどうやらそのスキマとやらの中が安全だと思っているらしいが、空間を切り裂かれる事は計算に入っていないようだったな。まあ、亜空間に逃げ込んだくらいで気を緩めた時から俺の勝ちは決まってたんだよッ!!」

 

 

私は一刻も早くスキマの中から脱出しようとする。が、それを許す程相手は甘くない。

 

 

「脱出してえなら手伝ってやるよ!!“亜空切断“ッ!!」

 

 

彼は一瞬で膨大な妖力を持っていた扇に込める。そしてそこから紫色の斬撃がスキマの中を切り裂きながら放たれた。

 

 

「“四重結界“ッ!!」

 

 

私は四重の結界を目の前に作るが、それも割られて私に直撃する。

 

 

「くっ、ア“ァ“ァ“ァ“ッ!!」

 

 

空間を切り裂く程の斬撃を受けた衝撃で、紫は楼夢の“亜空切断“が切り裂いたスキマの世界の裂け目の外に吹き飛ばされ、外の世界の地面に叩き付けられる。。

脱出には成功したもの、紫は重症を負っていた。

 

 

「カハッ、ゲホッ!!........取り敢えず逃げなきゃッ!」

 

「逃がすとでも?“スターライトクロス“」

 

 

楼夢は紫に向けて2本の光の剣を放つ。紫は重症で動けなかった為、避け切れず光の剣が突き刺さる。

 

 

「安心しな。ソイツは拘束用の術だ。まあ、次は加減はしないんだけどな」

 

 

彼はそう言うと、今度は膨大な霊力を扇に込めていた。

 

嗚呼、このまま死ぬのか。やけに呆気ない最後だった。でも、最後に........私の『理想郷』を作りたかったな。

 

 

「霊刃“森羅万象斬“」

 

 

紫はこの時自分の最後を確信し、静かに目を閉じた。

彼女に青白い斬撃が迫りーーーー

 

 

 

 

ーーーー直撃し、爆発した。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

楼夢side

 

 

ふい~、食後の運動は疲れるな。

 

俺はさっき森で捕ってきた猪を綺麗に切り分け、妖術で起こした火で炙る。

 

紫と名乗った少女は、あの後気絶してまだ起きない。最後の森羅万象斬は手加減しておいて良かった。もしあれを本気でぶち込んでたら今頃彼女は生きていないだろう。

 

まあ、あの戦闘から一時間は経っている訳だからもうそろそろ起きると思うが........。

 

 

「う、うーん」

 

「よお、身体の調子はどうだ?」

 

「私は........生きてるの?」

 

「生きてる決まってるだろ。ほらっ、食え」

 

 

そう言い俺は紫に先程焼けた猪の肉を差し出す。

紫は暫く警戒していたが、やがて腹が空いたのか肉を食べ始めた。

 

 

「........美味しい」

 

「そうか?そこらで捕った物なんだけどな」

 

「今まで........他人から食べ物を貰った事がなくて」

 

「ふーん。ちなみに何で俺を式にしようとしたんだ?」

 

 

紫は暫く口を閉ざすが、やがて彼女はゆっくりと語り出した。

 

 

「実は........私の夢を叶えるのを手伝って欲しかったのよ」

 

「その夢ってのは?」

 

「『人間と妖怪が共存して暮らす世界』........そんな理想郷を作りたいのよ」

 

「人間と妖怪?流石に不可能に近いんじゃないか?」

 

「ええ、分かってるわ。でも捨てきれない夢なのよ........。今まで各地で協力者を探してたけど誰も協力してくれなくて........。........ありがとう、こんな私のつまらない夢を聞いてくれて」

 

「........ふふふッ」

 

「........何が可笑しいのかしら?」

 

「いや、結構面白そうな事をしようとしてるなと思って。不可能を可能にしようとする。実に面白い。........まあ、式としては無理だが友人としてならいつでも頼りな。力を貸すぜ」

 

「........えっ、それってつまり........?」

 

「お前の理想郷作りを手伝ってやると言ってんだ。これから宜しくな、紫」

 

「........ありがとう、楼夢」

 

 

 

ーーそして俺は紫の理想郷作りを手伝う事になった。

 

 

 

 





~~今日の狂夢『様』~~


「いやー、物語も進んで来たね~。作者です」

「前編は結構重要な設定が出て来るからな。狂夢だ」


「それにしても紫戦はあっさり終わったな」

「楼夢さんは最強クラスですから、いくら大妖怪でも勝つ事は難しいんですよ」

「まあ実際は俺の方が強いんだけどな」

「まあ、狂夢さんはこの小説では最強ですからね」

「実際何回か楼夢とあの後殺ってるしな。ちなみに戦績は十戦中九勝一敗で俺の方が圧倒的に強い」

「楼夢さんも大変なんだろうな........」

「という事で今回はここまで。高評価、お気に入り登録、感想、コラボなどどんどん募集中だぜ。次回もキュルッと見に来いよ」

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