東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~   作:キメラテックパチスロ屋

6 / 292
獣に対して説得は無謀だ
なぜなら 獣から逃れる術は
その戦闘本能を打ち殺すより他はないからだ


by白咲楼夢


熊と蛇狐と初戦闘

 

 

オッスみんなオラ楼夢。

現在熊に襲われていた女性を助ける為に戦闘中だ。ちなみに性的な意味はではない。

どうしてこうなったのかは十分前に遡る......

 

 

 

 

 

しばらく前、走り疲れた楼夢は気分を紛らわすため歌を歌いながら森の出口を探していた。

 

「ていうか此処本当に広いな」

 

そう呟きながら楼夢は歩く。

 

ある~ひ、森の中~、熊さんに~

 

「出会った」

 

何やってんだろう俺。

自分でフラグ建ててちゃっかり回収しちゃっているし。馬鹿だろ。

そう思いながら辺りを見回す。すると…...

 

「ん、あれは......女性!?」

 

そう、そこには女性が居た。

足には熊に切り裂かれたであろう傷跡がある。

そしてその傷のせいで立てないでいた。

あのままでは殺されてしまうだろう。

 

「マズイ!」

 

俺は黒月夜を抜き熊の背中を切り裂いた......

 

 

 

 

 

 

......で今に至る。取り敢えず楼夢は女性に話しかけた。

 

「アンタ、大丈夫か?」

「え、ええ」

 

彼女は驚いた様な顔で言った。まあ当然だろう。彼の様な人外が目の前に居たら。

とりあえずこれには慣れるしかないな。

そして今の彼女の状態は「大丈夫じゃない。問題だ」という所だろう。傷口を見ればとても歩けるような状態ではない。

 

刀を構え熊を見る。

巨体は三メートル程で何よりも気になるのは鋭い爪と殺す気マンマンな目だ。

おかしい。楼夢は師父と一緒に数多くの熊を狩っていたが、ここまで巨大で狂気染みた目をしているのは初めてだ。

 

「最初は様子見でもしようかな?」

「グルルルル」

 

熊は低く唸る。そして......

 

「ガアア!」

 

その鋭い爪を振りかざした。

それを楼夢はジャストで避けて熊に接近する。だがそれを見越していたかのように、楼夢は熊に蹴られ吹き飛ばされた。

 

木の幹にぶつかり、崩れ落ちる。

幸い、骨折はして無いようだ。

この時だけ楼夢は丈夫な体に感謝した。それより

 

「熊が足使うなんて見た事も聞いたこともないんだが?」

 

楼夢は奴の認識を間違えていた様だ。

奴は熊なんかじゃない。本当の化物(モンスター)だ。

それに気づき覚悟を決める。

 

熊は次に右腕を振り下ろしてきた。

 

それを紙一重で躱し、後ろに後退する。

熊は自分の鋭い爪が地面に突き刺さり動けないようだ。

 

「馬鹿だろアイツ。まあいい、テメエの弱点は理解した」

 

見せてやる。俺の剣術......

 

 

 

 

狂華閃(きょうかせん)を......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今私は目の前の珍しい光景に驚いている。

それもその筈、人間を命懸けで助けようとしている妖怪など今まで見た事もないからだ。

私が驚いていると

 

「アンタ、大丈夫か?」

 

と聞かれた。私はその妖怪の顔を見る。

髪は桃色で長さは腰まである。

そして金色の獣耳に蛇の尻尾を持っている。

瞳の色は瑠璃色で脇の部分が無い巫女服?を着ている。

体は全体的に細身で顔は驚く程整っている。

だが胸は物凄く小さいようだ。可哀想に。たまに美女なのに胸に恵まれていない子って居るわよね。

おっと、どうやら話が少し脱線していた。

取り敢えず今は彼女に任せよう。

私は現在戦闘不能だし彼女の実力を知りたい。

彼女は刀を構え直した。

 

「ガアア!!」

 

熊はその凶器にも似た爪を振りかざす。

彼女はそれを避けて熊に急接近する。

どうやら彼女は力より速さ重視の戦闘スタイルのようだ。だが......

 

ドゴッ

 

「グアッ!!」

 

彼女は熊に蹴られ吹き飛ばされた。

人間だったら骨折するほどの威力だが彼女は大丈夫そうだ。そして......

 

ゴオッ

 

熊は止めと言わんばかりに右腕を振り下ろす。

彼女は間一髪で躱した。

一方熊の方は振り下ろした爪が地面に突き刺さり動けないようだ。

どうやら知能は低いようだ。

 

私は彼女を見る。

瞬間、彼女は私の目先から消えた。

否、正確には彼女は既に熊の懐に潜り込んでいた。

だが熊はその左腕を振り下ろしていた。そして爪が彼女を突き刺す瞬間...

 

ザシュッ

 

彼女は振り下ろされた左腕を綺麗に切り落としていた。

一見簡単そうに見えるが迫り来る攻撃を見切り正確に四肢を切り落とす。

これには膨大な量の集中力とスピードを必要とされる。それは彼女が只者ではない証拠だ。

 

「グガアアア!!」

 

熊は腕の痛みで叫び声を上げ、残る右腕を振り下ろした。

 

この瞬間私は熊の妖怪の弱点に気が付く。

 

熊の妖怪は基本的にその鋭い爪をフルスウィングで振り下ろす。

確かに当たれば致命傷になるだろう。

だが全ての攻撃がフルスウィングという事は攻撃の後には無防備になるということ。

そして彼女はスピード型だ。

熊の大振りな一撃を避けるなど容易い。

 

ズシャッ ザシュ

 

彼女は熊の右腕ごと切り落とした。

その速さは神速というより他無いだろう。

 

「ギャアアア!!」

 

熊は叫び声にもならない声を上げて動きが鈍くなる。

もちろん彼女はこの瞬間を見逃さない。

 

ドシャッ ザシュ ズシャ

 

彼女は熊の腹に回転切りを三回繰り出した。その様はまるで戦いの中で踊っているようだ。

 

「ガアアア!!」

 

熊は悲鳴を上げ後ろに後退する。しかし......

 

ドシュッ

 

熊の心臓を黒い何かが貫いた。

それは彼女が持つ黒い刀だった。

熊の妖怪はそのまま力無く倒れる。

 

ふと私は彼女を見る。

彼女の顔は大量の返り血で紅く染まっていた。

 

 

 

 

 




三話投稿。
いやー今回長かった。
というわけで次回もお楽しみに。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。