東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~   作:キメラテックパチスロ屋

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猿猴捉月

俺達は守りたかった........

小さな夢に見えるだろうが、俺達には果てしなく大きな夢に見えていた

だが........守れなかった............


by白咲狂夢


世にも美しい竹の姫

 

 

楼夢side

 

 

「ふーん、『なよ竹のかぐや姫』ねぇ.......」

 

「そうなんだよ。ソイツのせいでお父様が最近構ってくれなくなっちゃって........。それで暇だからここに来たってわけ」

 

「成程ねぇ........。妹紅も大変なんだな。それでその他にはなんかあったのか?」

 

俺はそう店の前に立って話している少女に問う。

この子の名は藤原妹紅(ふじわらのもこう)。あの有名な貴族、藤原不比等の隠し子だ。

 

彼女は着物に掛かった黒い髪をなびかせながら答える。

 

「あっ、後最近お父様が白髪の若い陰陽師に色々依頼したりしてるみたいなんだよ」

 

「白髪の........ああ、火神の野郎か........。道理で最近やけに稼ぎまくってるわけだぜ」

 

「知り合い?」

 

「知り合いというか同居人だ」

 

「なんだ、楼夢はそんな趣味をしていたのか」

 

「断じて違うからな!」

 

俺はそう彼女にツッコミを入れる。

 

彼女と俺が知り合ったのは、妹紅が城下町に行った時、俺が売ってた芸術品などに興味を持った事が始まりだ。

彼女はその日から頻繁に俺の店に来るようになった。

 

ちなみに俺が商売をしている間は、娘達は店の奥で遊ばせている。

表で遊んでて陰陽師に見つかったら色々とマズイからだ。

 

「ちなみに最近の売れ行きはどう?」

 

「中々だな。特に妖怪が最近活発になって来たおかげで、刀などの武器が飛ぶように売れてるな」

 

俺が作る武器は他の物より頑丈で切れ味が良いことで評判だ。最近は鎧などの防具も作ったりしている。

 

「それじゃあ、私はそろそろ帰るね。お父様が心配してるだろうし」

 

「ああ、また来いよ」

 

俺は彼女に手を振りながら商品を片付ける。今の時刻は夕方だ。俺は赤く染まった空を見上げながら思考に移る。

 

それにしても『なよ竹のかぐや姫』か........。

知り合いに同じ名前の奴がいるけど、流石にそれは出来過ぎだろう。

だけど少し興味がある。今夜にちょっとお話しようか。

 

 

ーー俺は口元をにやけさせながら家に戻った。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「『なよ竹のかぐや姫』?なんでそんなもん俺に聞くんだ?」

 

「いや、お前なら知ってるかなと」

 

「仕事の関係で知ってるが、知ってどうするんだ?」

 

「ちょっと拝見させてもらおうかと」

 

俺の言葉を聞くと、火神は呆れた声で返事をする。

 

「はぁ........。お前も男だからな。そういうのに興味を持っても仕方ないか」

 

「一応言っとくがお前の想像してる事とは違うぞ。ただ、古い知り合いに同じ名前を持った奴がいてな。ちょっと気になっただけだ」

 

「知り合いねぇ。まっ、俺にはどうでもいいけどな。取り敢えず情報を教えてやる」

 

「おっ、サンクス」

 

俺は火神に礼を言った後、その情報に耳を傾ける。

 

火神の話の内容で、かぐや姫の屋敷の場所、そしてそのかぐや姫に大勢の貴族達が求婚をしているという事が分かった。

 

と同時に『なよ竹のかぐや姫』という名で一つの事が分かった。

そう、かぐや姫あの有名な『竹取物語』のかぐや姫なのだ。

これはもう確定と言っていい。だが俺が気になるのはその後だ。

 

つまり、『なよ竹のかぐや姫』は俺の友人の蓬莱山輝夜と同一人物なのか、という事だ。

 

一応あいつも古代都市一の美女だったはずだし、その可能性はありえる。

だがそうなると、何故彼女が地上にいるのだろう。

俺は脳味噌をフル回転させるが、狂夢より出来の悪い俺の頭は答えを出してくれなかった。

 

結局、今の俺に出来る事は、かぐや姫の正体を暴く事だけだった。

 

俺は娘達を連れると、出発の準備に取り掛かった。

 

「んじゃ、行ってくる」

 

「ああ、飯は勝手に食っておくからな」

 

俺は家を出て、かぐや姫の屋敷へ向かった。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

夜、俺は屋敷の方を観察していた。

当然だが屋敷の門の前には門番が何人もいて、正面からは入れそうにない。

 

というわけで今に至る、と。

兎に角、屋敷の中に入る方法を探さなければならない。

 

一応強行突破する手もあるが、それだと俺の信頼はガタ落ちになる。

 

俺は、『妖獣状態』になると娘達を口でくわえ、屋敷の塀をジャンプして超える。

 

「ぷはぁー、と........。流石に三匹纏めて口で運ぼうとしたのが間違いだった........」

 

俺は一人でそう呟くと、娘達の先頭に立ち、進み始める。

 

ちなみに俺が『妖獣状態』になったのは理由がある。それは、もし屋敷の使用人に見つかっても狐の姿なら本来の姿より警戒されにくいのだ。

 

「それにしても広いな............、あいつは........?」

 

「............。」

 

俺は縁側で、庭の池を眺めていた少女を見つける。

 

黒色のサラッとした髪、百人中百人の男が振り返る程の美貌。........そう、あれはまさしく、俺の知ってるーーーー

 

 

「........暇だァァァァァァァァァッ!!!」

 

........うん、俺の知ってる何時もの蓬莱山輝夜こと輝夜だ。

 

見事にシリアスな雰囲気ぶち壊してくれましたよ、こんちくしょう。

ていうかなんで感動の再会の一声が『暇だァァァァァッ!!!』なんだよ!?

どうしてくれるんだこの空気!?

 

俺は心の中で輝夜にツッコミを入れつつ、彼女に近づいていった。

 

「ああもう!!せっかく地上に来たってのに、毎日毎日ジジイばっかで、つまんないわ!!嗚呼、暇だ!!暇過ぎて永琳の雷が落ちて来る程暇だ!!」

 

「いや、永琳の雷ってなんだよ。てか本当に落ちて来そうだから怖いわ」

 

「それほど暇って意味よ。ああ、どっかで天変地異でも起きないかしら」

 

「起きたら起きたで問題なんだが........」

 

「うっさいわね!!アンタに私の気持ちが............、へっ?今、私誰と........」

 

「やっと気づいたか」

 

俺はやっと気づいた輝夜に、招き猫のように手を振る。すると、輝夜は驚きながら、俺と距離を取る。

 

「なっ........妖怪!?何時からここにいたの!?」

 

「つい先程ここに入りました」

 

「........まあ、良いわ。雑魚妖怪が一匹迷い込んだだけの話よ!」

 

「........へぇ、俺相手に雑魚とは、言うようになったじゃないか、輝夜」

 

「........ッ!?どうして私の名を........ッ!?」

 

「酷いねぇ、知り合いの事を覚えてないなんて」

 

「生憎と、私には妖怪の知り合いなんてものはいないわよ」

 

「ふーん、じゃあ特別に分かり易い姿になろっか」

 

俺はそう言うと『妖獣状態』から『妖狐状態』になる。

 

「あっ、貴方は........ッ!?」

 

「久しぶりだね、輝夜♪」

 

俺はそう軽く彼女に挨拶する。

 

「ろっ、楼夢........なのかしら............?」

 

彼女はそう言うと、ゆっくり俺に近づきーーーー

 

 

 

 

 

ーーーー俺の顔面に強力な右ストレートを叩き込んだ。

 

「ハガッ!?」

 

俺は女が撃ったとは思えない程強力な一撃で、屋敷の塀に叩き付けられた。

 

「なっ、何を........!?」

 

「あの時私達を騙して地上に残った時、私や永琳がどれほど心配したか分かってんのかしら?」

 

「あの時は本当に悪かったって!この通り反省してる!」

 

「なら、私とO☆HA☆NA☆SH☆I☆しようかしら?」

 

「やめて!俺のライフはもうゼロよッ!!」

 

「問答無用!!」

 

「嫌だァァァァァァッ!!」

 

 

 

 

 

ーーTHE☆お話死タイム中........。

 

 

 

 

「ーーーーわかったかしら!」

 

「はい........すいませんでした............」

 

俺は輝夜の説教が終わると、地面に仰向けになって倒れる。

 

すると、娘達が心配そうな顔で俺の元に寄ってきた。

 

「はぁ~、娘達よ。俺の心の傷を癒してくれるのはお前達だけだよ」

 

その言葉を聞いた輝夜が食いついて来た。

 

「えっ、今娘達って言ったわよね........?」

 

「そうだが」

 

「........ええっ!貴方結婚してたの!?」

 

「いや、結婚はしてない。この子達は俺の血とか肉とかをベースにして作っただけだ」

 

俺は未だに驚いている輝夜に説明する。

 

輝夜は、長女である黒い子狐ーー美夜を抱き上げ、撫でる。

美夜は嬉しそうに尻尾を降る。

だが輝夜は疑問があったのか俺に質問する。

 

「一つ思ったんだけど、この子達って貴方みたいに人型にならないのかしら?」

 

「いや、生まれて十年もしてないから今はただの狐と一緒だよ。まあ、百年ぐらいしたら変化の術を覚えると思う」

 

「ふーん、そう言えば貴方、私があげたあれを持ってるかしら」

 

「ああ、持ってるぞ」

 

俺は右腕に付けたブレスレットを外し、輝夜に渡す。

 

「返すぜ、これ」

 

「えっ............?」

 

「正確には再会の品ってことでのプレゼントだがな」

 

「........ふふっ、取り敢えず屋敷の中に行きましょ。積もる話はその後よ」

 

 

この後、俺は輝夜と今までの事を話し合った。

輝夜も、俺の話に満足してくれたのか、とても楽しそうにしていた。

 

 

...........その代わり三日に一度、この屋敷に来るようになりました。

まんまとハメられましたよ............ちくしょうめ................。

 

 

 

 

Next phantasm............。





~~今日の狂夢『様』~~

「どーもどーも、毎度お馴染み、狂夢だ」

「夏休みは何時もグータラ、作者です」


「いやー、やっと輝夜さんと再会しましたね」

「まっ、最終回までは最低一年以上掛かりそうだな」

「まあ、なんとか最終回に行けるように頑張ります」

「ところで作者は夏休みに何してんだ?」

「そうですねー。基本的に漫画見たり、ド●クエジョーカー3したり、東方妖々夢をプレイしたり、ですかね」

「お前まだ妖々夢やってんのか」

「いやー、表はノーマルで全クリしたんですけど、やっぱりEXTRAステージがクリア出来なくて........」

「流石、センスの無さが、今日も眩しいぜ!!」

「そこ、厨二病っぽく言わなくて良いから!!」


「取り敢えず、今回はここまでだ。次回もーーーー」


「「キュルッと見に来いよ/来てねッ!!」」


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