東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~   作:キメラテックパチスロ屋

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思いと共に砕け散る 仏の御石の鉢

光と罪と欲だらけ 蓬莱の玉の枝

炎の恋は燃え尽きる 火鼠の皮衣

雷鳴逆巻き、天誅下る 龍の頸の珠

空掴み、天崩れる 燕の子安貝


さあ貴方の回答を聞かせて頂戴?


by蓬莱山輝夜


五つの難題+α

 

楼夢side

 

 

「ふぅ、今日はもう帰るか」

 

俺はそう呟くと売ってる品物を片付ける。外はまだ店を閉めていない店もあったが、多くの店は俺と同じよういを始めていた。

 

 

陰陽師達が攻めてきてから三日の時が流れた。

今の時刻は現代で言う七時くらいだ。夜は妖怪が活発化するから商人達も早く帰りたいのだろう。

 

俺は店を閉めると都の外へと向かった。行き先は勿論愛しのマイハウスだ。人間にとってはかなりの距離があるが、妖怪の俺なら都を出て走ればすぐだし、他の妖怪に襲われる心配がない。

まさにひっそりと暮らすには打って付けの場所だ。

 

俺は家に戻ると、売り物を倉庫に置き娘達を連れてまた家を出る。

何故って?それは勿論輝夜の屋敷へ遊びに行く日だからだ。

 

輝夜の屋敷に遊びに行くのは良いが、問題は俺の家から結構な距離があるからだ。

今度ルーラの呪文でも研究しようかな。行ったことがある場所へほぼ一瞬で飛んでいける呪文とか便利じゃん。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

現在いる場所は輝夜の屋敷。........の庭の塀の外である。

 

俺は娘達を抱き上げるとジャンプして塀を超え、輝夜の屋敷に入った。

 

「おっす輝夜。遊びに来たぜ」

 

「よく来たわ楼夢。後いい加減門から入ったらどうかしら?」

 

「いやいや、お前自分の屋敷の門の前がどうなってんのか知ってんのか?外ではジジイ共が気色悪りぃ笑みを浮かべて待ち構えてんだぜ」

 

そう、俺が庭の塀を飛び越えて入ったのは理由がある。それは先程言った通り輝夜に求婚してくるジジイ共が門の前にいるからだ。

故に堂々と門から入れば後々面倒くさくなる。

という訳で庭の塀を飛び越えて入ったのだ。

 

「はぁ........。まだあのジジイ達いたのね。ほんと困ったもんだわ。前なんか屋敷の塀をよじ登って入ろうとしたんだもの。まっ、こっそり弾幕で撃ち落としたけどね」

 

........マジかよ。俺が簡単に飛び越えたように言ったから分からないと思うが、この屋敷の塀はかなり高い。ただの貴族がよじ登るには無理がある。

それを登ってきたってどんだけしつこいんだよ........あれ?ちょっと待てよ........。

 

「........お前って弾幕撃てたっけ?」

 

「あら、言ってなかったかしら?こう見えても能力も持ってるしそこらの陰陽師よりは強いわよ」

 

おいおい、それは初耳だぞ。しかも緋色の望遠鏡(スカーレット・テレスコープ)で調べてみたら中級妖怪なんて敵じゃない程強いジャナイデスカ。

何がそこらの陰陽師よりは強いだよ!?都のトップが戦っても勝てるか分からねえぞ!?

えっ、なんなの?俺はこの護衛なんて付けるだけ無駄と言える程強い姫様と一緒にいて気付いてなかったの?鈍感過ぎんだろ、俺!?

........いや、ただ単純にこいつが霊力隠すのが上手かっただけなのだろう。そう信じたい。

 

「........今貴方失礼な事考えたわよね?」

 

「いえいえ、滅相もない」

 

だからなんで永琳しかり人の思考が読めるんだよ!?このエスパー共めッ!!

 

「あらあら随分言ってくれるじゃない。そんな貴方にはお仕置きが必要なようね」

 

 

 

ーー『蓬莱山 輝夜 が 現れた』

 

 

ーー『楼夢 は どうする?』

 

 

ーー『戦う』 『特技』

 

 

ーー『道具』 『逃げる』←

 

 

ーー『楼夢 は 逃げ出した』

 

 

「にっ、逃げるんだァ........。勝てる訳がないよォ........」

 

俺は何処ぞの星の王子様のセリフを言いながら屋敷から脱出しようとする。

だが気付いた時には輝夜に首根っこを掴まれていた。

 

 

ーー『しかし 回り込まれてしまった』

 

 

「あらあら、どこに行くつもりかしら?」

 

「ちょっ、ちょっとコンビニ行ってくる!!」

 

「見苦しいわね。じゃあお仕置きを始めるわよ☆」

 

 

ーー『輝夜 の 攻撃』

 

 

「いくわよ。........かー、めー、はー、めー........」

 

「我が生涯に一片の悔いなしッ!!」

 

「.......波ァッ!!!」

 

 

ーー『輝夜 は かめはめ波 を 放った』

 

 

ーー『楼夢 に 9999 の ダメージ』

 

 

ーー『楼夢 は 力尽きた........』

 

 

俺の頭にそんな声が流れる。そして凄まじい轟音と共に俺は意識を手放した。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

ペチャッ クチャッ........

 

 

そんな音が俺の耳に流れる。どうやら俺は何かに舐められているようだ。

 

しばらく俺は舐められ続けていた。

そう言えばどうして俺は気絶してるんだっけ?確か........そうだ、輝夜にかめはめ波撃たれて気絶したんだ。

 

あれ?という事は今俺を舐めているのは........?

 

 

俺がそこまで考えると、世界が眩しい光に包まれた。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「やっぱりお前達か。俺を舐めていたのは」

 

「キュー」

 

予想通り、俺を舐めていたのは娘達だった。どうやら気絶した俺を心配していたようだ。

その代わり顔がよだれだらけだが、気にしないでおこう。........気にしないでくれ。

 

どうやら俺は気絶した後輝夜の部屋で横になっていたようだ。あの後輝夜が運んでくれたのだろう。

 

「........やっと起きたのね」

 

「何が『やっと起きたのね』だ。その俺を気絶させた奴は誰だって話だ」

 

「生憎と私は過去は振り返らないのよ」

 

「お前後で覚えておけよ........」

 

俺らがそう話していると、何者かが玄関から入ってきたようだ。輝夜は気付いてないようだが、妖獣の聴覚を嘗めてもらっては困る。

音の様子から数は五人。なんか悪い予感がしてきた。

 

そしてまた何者かの足音がこの部屋に近付いて来た。どうやら今度は輝夜にも聞こえたようだ。

 

「あら、お爺様が来たようだわ。悪いけどそこらの物陰に隠れてくれないかしら」

 

俺は言われたとおり娘達と一緒に物陰に隠れ、輝夜達の話を聞いた。

 

「輝夜、大変じゃ!!どうやら先程の轟音を聞いた貴族様方が『輝夜の無事を確認出来るまで帰らない』と仰るのじゃ」

 

「なんですって!?........くっ、仕方ないわ。ここに招いて頂戴。そこで追い返すわ」

 

輝夜はそうじいさんに言い、俺が隠れている物陰に近寄る。

 

「........不味いわね。このままじゃあのジジイ達がこの部屋にやって来るわ。それまでに対策を考えないと........」

 

「対策、ねぇ........あるっちゃあるが........」

 

「言いなさい!今すぐ!ねえ!?」

 

「その前に一つ俺に言うことがあるんじゃないか?」

 

「........?」

 

「先程のかめはめ波についての謝罪は?」

 

「あっ........」

 

「ったく、一応俺は聖者みてえに何でも許せるわけじゃねえんだぞ」

 

「そっ、その........さっきは悪かったわね」

 

「分かればいい。さて、対策を教えるぞ」

 

俺は悪魔のような笑みを浮かべながら輝夜に対策を教えた。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「おおっ!!貴方がなよ竹のかぐや姫ですな!?」

 

「なっ、なんと美しい........」

 

ジジイ共はそれぞれ世辞の言葉を輝夜に言い、求婚を求めた。

ったく、あんなにペチャクチャ言われたら輝夜だっていい迷惑だろうに。ほらっ、今青筋が立ったぞ。どうやら相当イラ付いているようだ。

 

さて、ここで問題です。俺は今どこにいるでしょう?答えはーーーー

 

 

 

 

 

「ところでかぐや姫。貴方の膝に座っている獣は?」

 

「ああ、彼は私の友人ですわ」

 

ーーーー『妖狐状態』になって輝夜の膝の上に座っていました。俺がこんなところで娘達をなだめているのは理由がある。

どうやら不安だから出来るだけ近くにいてほしいらしい。ちなみに俺は望んで輝夜の膝の上にいるわけではない。彼女が無理矢理乗せたのだ。ご丁寧に俺が娘達をなだめられるように。

 

俺は先程からジジイ共が来たせいで今にも泣き出しそうな舞花を舐めてなだめる。この状態では手がないため娘達をなだめるとなると、舌で舐めるしか方法がなくなるのだ。

 

舞花は尻尾を振りながら落ち着きを取り戻した。

舞花は姉妹の中で最も怖がりなので、まだ俺や他の娘達が面倒を見てやらないといけない。

 

清音は基本的に明るく活発的なので、動き回れないこの状況に少し不満を持っているようだ。

 

美夜はそんな二人を一生懸命なだめているようだ。流石長女なのか、面倒見は姉妹の中で一番良い。

 

........おっと。つい話が脱線したな。見たところ輝夜は俺が話した事を実行するようだ。

 

「皆様のお気持ち、よく分かりました。ですが私は勇気と知恵ある者としか結婚しません。という事で貴方達にはそれぞれ一つの難題を出させてもらいます。もし私の求める品を持ってくることが出来ましたら、その者を勇気と知恵ある者と認め、ご結婚致しましょう」

 

そう、これが俺が出した案『五つの難題』だ。これなら『竹取物語』の物語通り輝夜は結婚することはないだろう。実に良い案を出した物だ。

 

「石作皇子。貴方には『仏の御石の鉢』を持ってきてもらいます。車持皇子には『蓬莱の玉の枝』を。右大臣阿倍御主人には『火鼠の皮衣』を。大納言大伴御行には『龍の頸の珠』を。中納言石上麻呂には『燕の子安貝』を。それぞれとても珍しい品ですが頑張ってください」

 

ジジイ共はそれを聞くとそれぞれの品を探すために帰っていった。出来れば二度と戻ってこないで欲しいものだ。

 

「さーて、輝夜。お疲れさん。じゃあ俺は帰るぜ」

 

「ああ、そうそう。貴方には『太陽のように輝く花の種』を持ってきてもらうわ。一応言っとくけどこれは強制よ。じゃなきゃ面白くないものね」

 

 

 

ーー........流石輝夜。どうやらただで帰してくれないようだ........。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「あーあ、また厄介な事になりそうだぜ」

 

俺は輝夜の屋敷を出た後、ぶつぶつと文句を言っていた。無理もない。危機を救ってやった恩人に難題をしかも強制で出されたんだ。

 

その時、俺は輝夜の屋敷を覗いている者がいるのに気付いた。サラッとした黒い髪。あれはまさか........。

 

「やっぱりお前か、妹紅」

 

「うわっ!!........っと、なんだ楼夢か。脅かすなよ」

 

「悪い。こんなところにお前がいたから、つい話しかけちまった。ところでなんでこんな所に?」

 

「........あの輝夜って奴とお父様の様子を見に来たんだ。楼夢は?」

 

「ああ、俺はちょっと用事があってな........。後店の方もしばらく開けれなくなった」

 

「まさか、楼夢も輝夜に求婚に!?」

 

「落ち着けって。俺も難題は出されたが求婚する気なんて欠片もねえぞ。つーか俺は強制的に出されただけだ」

 

「そうか........良かった。んじゃ店が開いたらまた来るね。無事に帰って来いよ!」

 

「ああ!じゃあまた今度な!」

 

俺はそう言うと、自分の家へ向かった。明日からは『太陽の花の種』を探す旅に出発だ。

 

 

 

 

Next phantasm........




~~今日の狂夢『様』~~

「旅行からやっと帰って来ました!作者です」

「旅行中コーラを飲みまくる情けない作者を観察していた狂夢だ」


「やっと今回五つの難題出ましたね」

「正確には六つの難題だけどな。まあ次の話はみんな大好き戦闘回だ」

「まあ誰と戦うかは皆さん予想が付いてると思いますけど」

「という事で今回は終了だ。コメント、お気に入り登録などもよろしく!コラボなども大歓迎だ!まあこの馬鹿主が書くと低クオリティになると思うが」

「それじゃあ皆さん、次回もーーーー」


「「キュルッと見に来てね/来いよ!!」」

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