東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~   作:キメラテックパチスロ屋

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悪魔の囁きが今日も木霊する

金よ…金よと……

本当はそれに意味などないのに……


by火神矢陽


賞金稼ぎと悪魔の笑い

楼夢side

 

 

「お父さーん!起きてもう朝だよ!」

 

「…ふぁぁあ、何言ってやがる美夜。今はまだ十時だ。昼にもなってないのに起きる意味なんてあるのか?」

 

「なっ、なんか言い返せない……。確かに今日は暇だし…ね。私も二度寝しちゃおう」

 

美夜はそう言うと他の娘達と共に俺の布団に潜り込んだ。美夜も言葉が喋れるようになったが人型にはまだなれないので今も狐の姿のまま布団に潜り込んでいる。おかげで中が凄いモフモフしてるので、またすぐ眠れそうだ。

俺はまたすぐに意識を手放そうとする。だがーー。

 

「楼夢―!いい仕事が入ったぜ!」

 

暴風のように現れた少年ーー火神矢陽の声によって、俺の眠気は吹っ飛んだ。

 

「五月蝿いわボケェェェッ!!!今寝てんだよ!!」

 

「そんなことより依頼が来た」

 

「依頼?お前にとっちゃ何時ものことなんじゃねえか?」

 

「違ぇよ。()()()()()()()()()()()()()

 

「はぁ?」

 

火神の発言に、俺は意味が分からないといった表情をする。俺に依頼?誰だこんなしがない商人に依頼を出す奴は?

 

俺にそんな考えが頭をよぎる。だが火神の発した一言で俺は全てを納得した。

 

「ちなみに依頼主は?」

 

「依頼主の名は竹取翁(たけとりのおきな)と書かれている。確かかぐや姫の爺さんだったっけ」

 

「…俺が呼ばれた理由が分かった気がする」

 

…畜生。輝夜の爺さんってことは輝夜からの依頼かよ。嫌な予感がプンプンするんだが……。

 

「おら、荷物纏めてさっさと行くぞ。金が逃げちまうかもしれねえしな」

 

「嗚呼、現実は非常なり……」

 

「ちなみに私は行かないから。頑張ってね、お父さん」

 

俺は急に重くなった身体を引きずりながら輝夜の屋敷に向かった。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「ーーーー今日はよく来てくださいました。本日はどうかこの爺の願いをお聞きください」

 

「火神ならともかく、何故ただの商人である俺に依頼なんざするんだ?」

 

「どうでもいいそんなことは。俺は依頼がどうあれ大金が貰えりゃいいんだよ」

 

「良くねーよ。こっちは本当は今日一日中寝る予定だったんだぞ。もしこれでつまんない依頼だったら骨折り損だぜ」

 

「はいはい。そんなことよりジジイ!さっさと依頼の内容を言いやがれ!」

 

火神はさっきからだんまりしている爺さんに、殺気を込めた瞳で睨む。その殺気には尋常じゃない程の狂気も含まれており、ただの人間には睨まれただけでも毒だろう。そんな凄まじい重圧に爺さんは襲われていた。身体中から吹き出すように汗を流しているのを見れば、爺さんが立つのもやっとなのは明白だった。

 

「おい 、火神さっさとその気持ち悪い殺気を抑えやがれ」

 

「まるで俺が気色悪りぃと言ってるみてえだな」

 

「そう言ったつもりなんだが」

 

ブチンッ「…てめぇ後で覚えてやがれ……!!」

 

火神はそう言いながら爺さんへの殺気を抑える。だが代わりに俺に殺気が向いてるのは勘違いなのだろう。

 

「さてと。依頼の内容を教えてもらおうか」

 

「は…はい!く…詳しい内容は姫様にお聞きくだされ……!」

 

そう言い爺さんはスタコラサッサと逃げ出す。どうやら相当火神に参っているようだ。それもその筈先程まで危うく重圧で窒息死になりそうだったのだ。

生憎と自分を殺しかけた奴と一緒にいられる程爺さんは強くない。

よって今の爺さんの行いは正当防衛になるのだろう。

 

とまあそんなどうでもいいことを考えている内に目的地に着いたようだ。

現在俺は輝夜の部屋に普通に入るかドアごとぶっ壊して入るか迷っている。

 

「よし、ぶっ壊して入るーーーー」

 

 

 

ドッゴォオオオオオオン!!!

 

 

 

 

「ふっ、これで邪魔な障害物は消え去った」

 

「「いやお前が消え去れや!!」」

 

「なんなの!?せっかく俺がドアをぶち抜いてやろうと思ったのに……畜生!!」

 

「いやいやなんで私の部屋のドアがぶち壊れること前提なの!?どう考えてもおかしいでしょッ!!」

 

「「それが運命だからだ!!」」

 

「どんな運命よ!!」

 

とまあ部屋の中から飛び出てきた輝夜がキレっキレのツッコミを入れてきた。

ちなみにドアは火神の素晴らしいライダーキックによって跡形もなく消し飛んでいる。哀れ、ドアよ。

 

「無視してないであのドアをなんとかしなさいよ!!」

 

「とは言っても欠片があれば一瞬なんだが火神のせいで見事に塵と化してるもんな」

 

「それだったら適当にそこらの木を切って新しいのを作っちまえば?」

 

「うーん。そこらへんの木と言ってもそこらにあるのは竹だけだぞ……。まあ俺の能力なら大差ないか」

 

俺はそう言いながら『巫女袖』から綺麗な竹をいくつか取り出す。そしてそれを能力でドアの形に仕立てた。

 

「相変わらず便利だなその袖」

 

「なんで袖から竹が出て来るのよ!!説明しなさい!!」

 

「そんなことより、俺達をここに呼んだ理由を聞かせろ。もしこれでつまんねえことだったらはっ倒すぞ」

 

俺が輝夜にそう問うと、輝夜は急に真剣な顔になる。その雰囲気からして面倒くさいことに変わりはないのだろう。

 

「…いいわ。全て話してあげる。私は『蓬莱の薬』ーー永琳が作った不老不死の薬を飲んだ月の都の大罪人なの。今地上にいるのはその時月の都から追放されたからよ」

 

「不老不死かよ。本当に永琳はなんでも作れんな。ちなみになんで不老不死になっちゃ駄目なんだ?」

 

「蓬莱の薬を飲んだ者は身体に穢れが生まれるからよ。それを嫌った月の都の人間が私を追放して今に至るわ」

 

「成程…ね」

 

「でも次の十五夜の満月に月の迎えが来るわ。それを聞いたお爺様が貴方達を呼んだわけ。これで分かった?」

 

輝夜の話を聞き、俺は依頼の内容を理解する。つまり爺さんの依頼は俺達に輝夜の護衛をしろという事だ。だがその前に俺は輝夜に一つ聞いておかなければならない。

 

「輝夜。お前はこの地上に残りたいか?」

 

「残りたいに決まってるわよ!どうせ月に帰っても実験のモルモットにされるだけよ!それならこの綺麗な地上に残りたい!!」

 

俺はそこまで聞いて満足する。そして輝夜に返答を返した。

 

「お前の気持ちは分かった。だから今回は手伝ってやる」

 

「あ…ありがとう、楼夢!!」

 

輝夜は瞳を輝かせながら嬉しそうに礼を言う。

だがその雰囲気をぶち壊しながら火神は話しかけた。

 

「おい。何時まで俺を除け物にしてんだ?」

 

火神は少し苛立ちながら輝夜に問う。

 

「…言っとくけど地上の陰陽師なんて役に立たないわ。大人しく帰ることをおすすめするわ」

 

「……あぁん?」

 

輝夜の言葉に火神はさらにヒートアップする。俺はすぐに注連縄結界を輝夜の部屋に貼る。次の瞬間火神からは膨大な量の妖力が溢れ出た。幸いにも注連縄結界のおかげで妖力は外へ漏れなかったが、輝夜はその出鱈目な妖力の重圧で滝のように汗を流す。

 

「この俺を急に呼び出しておいてその態度はなんだ?そしてあまつさえそのまま帰れと?巫山戯んのも大概にしろよ?」

 

「…ぐっ……ッ!?」

 

輝夜が苦しんでいるのを見ると火神は悪魔のような笑みを浮かべる。そして狂った瞳を輝夜に向け話す。

 

「本音を言うとな。俺はてめぇが月のモルモットにされようがどうでもいいんだよ。だがお前らは俺に依頼を出した。だから来てやったんだよ。だが現状はどうだ?金を貰うどころか戦力外扱い。ここまで俺をコケにしといてただで済むとは思うなよ」

 

火神はそう言うと掌にメラミ程の中くらいの炎の玉を作り出す。俺は能力の関係で火神の掌の火球の正体を理解する。

あれは超圧縮された炎だ。大きさはメラミと同じだがその威力はこの屋敷を竹林ごと焼き尽くす程凄まじい。

 

「さて…この屋敷を消されたくなければ俺に依頼を出しな。ちなみに報酬金額はこっちが決めさせてもらうぜ」

 

「なっ、そんなのただのボッタクリじゃない!!」

 

「嫌ならいいんだぜ。その代わり屋敷は消えるけどな」

 

「……っ」

 

輝夜はしばらく歯軋りをした後、俺に助けを乞う目線を向ける。しかしそれを見透かした火神が追加で話をする。

 

「ちなみに楼夢に助けを求めたらお前は月に帰ることが確定するぞ」

 

「…どういう意味よ?」

 

「俺と楼夢が殺し合った場合、勝敗はどうあれコイツは次の十五夜までには完治しない程の重傷を負うだろうからな」

 

輝夜は信じられないといった表情で楼夢を見つめる。だが彼の表情はその通りだと言ってるようだった。

 

馬鹿な。楼夢は仮にも昔の月の都を救ったことがある。しかもあれから八億の時が経っているのだ。恐らく以前の数十倍強くなっている筈だ。その楼夢と互角に戦える火神と言う男。彼は一体何者なのだろう。

 

輝夜の頭にそんな考えが浮かぶが、すぐさま彼女はそれを脳の片隅に追いやった。そして納得出来ないと言った表情で火神に話す。

 

「…分かったわ。報酬金額は貴方が決めなさい。それでいいでしょ」

 

「理解が早くて助かる。それじゃーー」

 

そして火神は求める報酬金を輝夜に告げる。

それは陰陽師の仕事にしては破格の金額だった。恐らく大妖怪を退治してもその金額には届かないだろう。

幸いなのは輝夜が大金持ちだったと言うことだろう。だがその大金持ちにとってもそれは痛い出費だった。

 

「…なっ、なんて金額よ……」

 

「嫌だったらいいんだぜ。元はと言えばお前が吹っ掛けて来た喧嘩なんだ。敗者は黙って勝者の言う事を聞きやがれ」

 

「……仕方…無いわね……」

 

輝夜が手を叩くと、使用人が現れる。そそして前払いの料金を火神に渡す。すると火神はその三日月のような口で大笑いをした。

 

「アッハハハハハ!!!サンキュー、かぐや姫。そしてーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

ーーまたのご利用をお待ちしてるぜ

 

 

 

辺りは悪魔の笑い声に包まれた……

 

 

 

 

 

 

Next phantasm……

 

 

 




~~今日の狂夢『様』~~


「投稿遅れてすみません!!!夏休みの宿題が多すぎて小説を書く余裕が無かったんです!!よってこれからの更新ペースを週一に戻させてもらいます!作者です」

「夏休みもいよいよ終わりが近い!!狂夢だ」


「そう言えば作者は自由研究で何をやったんだ?」

「私は自由研究で夏に見れる星座をまとめました」

「へぇー、よく都会で見れたな」

「都会で見れるわけないじゃないですか」

「…なんか…すまん……」

「いいですよ…気にしないでください……」

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