東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~   作:キメラテックパチスロ屋

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沸き上がる焦熱の炎

開きし裏の世界

天より参る罪人よ

今こそ汝の罪を裁こう


by白咲狂夢


再会と狂いし白巫女

楼夢side

 

輝夜からの依頼を受注してから一週間の時が流れた。

 

今宵は十五夜。空に浮かぶ月がまるで俺を見下しているようにも見える。

 

現在、俺は輝夜の屋敷にいた。周りには帝が送った約千人の兵がいるが大した戦力にはならないだろう。俺は心の中で兵達に戦力外通知をした後、隣で欠伸をする火神を見た。

 

「ふぁぁあ、眠ィ……。まだ月の犬共は来ねえのかよ」

 

「残念ながらまだだな。しかし、それより皮肉だな……。何時もは好きな月が今夜だけは不気味に見える」

 

「けっ、月の小物のオーラにビビってんじゃねえよ。それでもてめぇは伝説の大妖怪か」

 

「生憎とビビってるわけじゃないんでね。いくらありが集まろうとも全員踏みつぶせばいいだけの話だ」

 

「その通りだな。それにしてもあの姫様も随分と同族に対して鬼畜だね。俺らに殺人の許可をしてくれてんだから」

 

そう、輝夜があの時出してくれたのは『月の兵の殺人を許可する』というものだった。

これは正直言うと殺人鬼に殺人許可証を与えたようなものだ。特に火神なんかは月の兵が全滅するまで刃を収めないであろう。かと言って俺も月の兵を殺さないわけではない。

 

こう見えて俺は部外者や敵の命が何億消えたところで関係ないと思っている。故に敵を殺してもさほど罪悪感を感じないのだ。流石に火神みたいに殺し過ぎる事はないが。

 

『おい楼夢、ちょっといいか?』

 

『…なんだ狂夢か。それでなんのようだ?』

 

『これは頼みなんだが……月人との戦闘の時俺に身体を渡してくれないか?最近ストレス発散が出来てなくて頭がモヤモヤするんだ』

 

『それはいいがお前が他の奴等に見られないか心配だな。どうせお前のことだし月人を虐殺したりするから、俺のイメージダウンにならねえか心配だぜ』

 

『よく分かってんじゃねえか。雑魚を殺してもさほど楽しくねえが『地面に顔を擦り付けながら土下座したら許してやる』って言って泣き叫びながら土下座してる奴を殺すのはまあまあ楽しいからな』

 

『ふっ、相変わらずいい趣味してるな』

 

『そいつは褒め言葉として貰っておくぜ。じゃあ時間になったら俺と交代しろよ』

 

そう言って狂夢は俺との会話を切る。これは取り敢えず月人達にドンマイとしか言いようがない。姫様を連れて帰るという猿でも出来る簡単なお仕事の最中に化け物が混じるなんて誰が考えられる。

 

「楼夢、そろそろ来るわよ……」

 

「分かってるって……来たな…」

 

 

 

 

ーー突如、俺の言葉と共に満月から光り輝く()()が向かって来た。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「来たぞォォォォ!!!撃てェェェェェェェェッ!!!!!」

 

兵達の指揮官と思える男が凄まじい雄叫びを上げた後、兵達は一斉に空に浮かぶ()()に矢を放った。

 

だがそれは全て何もなかったかのように弾かれた。そして謎の物体は徐々に屋敷に近付いてくる。

 

俺は緋色の望遠鏡(スカーレット・テレスコープ)を使い、視界をズームさせる。

見えたのは鉄で作られた丸い円盤。そう、あれはまさにーー。

 

『「ゆっ、UFOッ!!?」』

 

俺と狂夢は驚きのあまり声をハモらせた。だが驚いていた瞬間、UFOはハエのように群がる兵士達に太いレーザーを放ち、薙ぎ払った。

 

「「「うわァァァァァァッ!!!」」」

 

兵士達はその一撃で四分の一が吹き飛んだ。これ絶対に殺る方は楽しいだろ。

 

やがてそのUFOの中から百を超える兵士が光に包まれながら降りてきた。全員ご丁寧に戦闘服とヘルメットを着用しており、いかにも軍という雰囲気をかもし出していた。

 

「そこまでだ、貴様らッ!!」

 

帝の兵達が月の都の兵達を取り囲む。取り敢えず俺は帝の兵達に心の中で手を合わせた。

 

月の兵達はその手に持った銃ーーレーザーガンを帝の兵達に向けた。

 

「はっ、何だその刃のない槍は?そんなもの私の槍で……」

 

 

パシュンッ

 

 

そんな気の抜けた音が辺りに響く。っと同時に先程喋っていた男の声が消えた。否、命と共に途絶えた。

 

撃たれた帝の兵はパタンッと前のめりに崩れ落ちる。その体は腹に大きな風穴が空いており、中から赤い血がドクドクと流れ出る。その音と共に他の兵達は今起きた事を理解した。

 

「全兵に直ちに告ぐ。我々の視界にいる穢し者達を浄化せよ」

 

「「「はっ!!」」」

 

月の兵の司令官とその部下の声が冷たく辺りに木霊する。次の瞬間、帝の兵達は声を揃えて叫ぶ。

 

「「「うっ……うわァァァァァァァッ!!!!!」」」

 

 

「逃げろォォォォォッ!!!」

 

「嫌だァァァァッ!!!」

 

月の兵達は一斉に帝の兵達にレーザーを放つ。その威力は絶大で次々と帝の兵は血しぶきを上げながら死んでいった。

 

「だっ、誰か助け……ッ!!!」

 

 

グチャッ

 

 

ーーその光景はまさに地獄絵図と呼ぶに相応しかった。

 

数十分も経てば辺りを埋め尽くした断末魔は消え去り、冷たい風と月の兵だけが残った。

 

月の兵達はこの屋敷に侵入し、俺や輝夜のいる庭の中で輝夜の前で止まった。

 

俺は油断した月の兵を殺すため、透明化の妖術を使って姿を消す。そして空に浮かぶUFOを見た。

 

そして空から更に一人の女性が降りてくる。赤と青の特徴的な服を着た銀髪の美しい女性。そう、彼女こそが俺の友人でもあり、月の頭脳と呼ばれる月人ーー八意永琳だった。

 

 

永琳はどうやら俺の姿を見えておらず、そのまま目の前の輝夜に話しかけた。

 

「……お久しぶりです、姫様」

 

「……久しぶりね、永琳」

 

二人の間に静かな沈黙が訪れる。そして再び永琳は口を開いた。

 

「さあ、月の都に帰りましょう。じゃないと貴方が穢れてしまうわ」

 

「嫌よ。私はこの地上に残るわ。なぜなら私はこの地上が好きだもの」

 

「姫様…そうですか……」

 

永琳は残念そうな顔をすると、手に持っていた弓を輝夜に向けて引き絞る。そしてーーーー

 

 

 

 

 

ーーーー放たれた矢は、月の兵の指揮官の首を貫いた。

 

 

「が…は……ッ!!」

 

「八意様、何故ですか!?」

 

「何故って?それは私が輝夜の従者だからよ」

 

そう言って永琳は次々と兵を殺していく。だがUFOにいる分も考えると月の兵達は二百はいるだろう。そしてそれら全てを倒すことはいくら永琳でも無理があった。

 

「!?……くぅっ」

 

突如永琳の足にレーザーが直撃する。永琳はその足を無理やり引きずって敵を倒すが、やがてその足にも限界が訪れた。

 

「…ハアッ…ハアッ……」

 

「どうやらこれ以上はもう動けないようですね。大人しくお縄についてください」

 

「…断るわ」

 

「…そうですか、残念です」

 

兵士はそう呟くと手に持つレーザーガンの引き金を引く。永琳はこの後の自分の運命を悟り、目を閉じた。

 

「(思えば、こうやって自分の最後を感じるのは二度目ね)」

 

永琳はふとそんなことを考える。初めて自分の終わりを感じたのは約八億年前、そこのとある森の中のこと。

 

今でも鮮明に思い出せる。あの青年の顔は。

桃色の髪を持ち、当時都市一の美女と呼ばれていた私よりも美しく、それでいて身内には優しかった妖怪。

私は彼に様々な借りがある。だが今も私は彼に一つも返せていない。

 

万を超える妖怪が都市を襲った時も、彼は同族を殺してでも最前線に立ち、私と輝夜を月に逃がした。

 

だが私はその後核爆弾が落とされる事を知っていながらそれを止める事が出来なかった。

結果、都市があった場所は塵一つ残らない場所に変わり、彼は死んだ。

 

その後もそうだ。都市の連中は妖怪が都市を救ったなど信じなかった。そしてそれをなかった事にした。いや、それだけではない。彼を万の妖怪を呼び寄せた元凶と決めつけ、月の都の大罪人に仕立てたのだ。それも悪い意味で教科書に載るほど。

 

その時も私は都の上の者達を止める事が出来なかった。

結果、命懸けで戦った心優しき妖怪は、都市を襲った大罪人に堕とされた。

 

本当に私は何をしているのだろうか。普段は天才と煽てられている癖に、借りの一つさえ返せない。

 

何が天才だ。何が都市一の美女だ。肝心な事が出来なければただの愚者ではないか。

 

 

永琳はそう心の中で呟く。そして迫り来る閃光を、その瞳を閉じたまま待ち構えた。

 

「(ありがとう輝夜。貴方との思い出は楽しかったわ。そしてーーーー)」

 

 

 

 

ーーーーさようなら、楼夢……

 

 

 

そして、そのまま無慈悲な閃光が永琳を貫ぬーー。

 

 

 

 

 

ーーかなかった。永琳は何時まで経っても来ない衝撃を不思議に思い目を開ける。そこにはーー。

 

 

 

 

 

 

「呼んだか?永琳」

 

 

桃色の髪をした青年が永琳を呼んでいた。

 

 

「ぐがァァァァァァァッ!!!」

 

永琳を呼ぶ声が響いたその後、後ろから先程永琳を殺そうとした兵士が断末魔を上げていた。見ればその兵士は両腕を綺麗に切り落とされており、最早戦う事は出来そうにない。

 

「なっ、何者だ貴様!?」

 

「『何者だ』だと……いいぜ、答えてやるよ」

 

 

 

ーー俺は『白咲楼夢』だ。

 

 

楼夢はそう言うと妖力を全力で開放する。刹那、楼夢の妖力が暴風破となり、辺りを砕き、雲を吹き飛ばし、山々を揺らした。

 

「輝夜、永琳を連れてさっさと俺の視界から消えるまで行け。この竹林にいる内は……巻き込んで殺さねえ自信は無えぞ!!!」

 

「楼夢、お願い待って!!」

 

「行くわよ永琳!!」

 

輝夜は永琳を引っ張りながらこの場を離れる。その二人を兵士達は追おうとするが、俺は一つ術を唱える。

 

「『注連縄結界』」

 

楼夢はそう呟くと永琳達を覆わないようにしながら竹林全体を結界で覆う。そしてさらにーー。

 

「仕上げだ火神!!」

 

「OK、任せろ!!

 

 

炎鳥牢『火鳥籠(ひとりかご)』!!」

 

 

楼夢の結界を火神の炎が包む。これで外からは中の様子を出来なくなった。

そして炎を放った事で結界の中の竹が引火し、辺りは灼熱地獄と化す。

 

「きっ、貴様!!何をし……ッ!?」

 

「……ったく落ち着けよ。らしくねえぜェ」

 

兵士達はすぐさま楼夢に視線を向けるが、そこに楼夢はいなかった。否、そこには白い巫女服に白い髪を持った、楼夢と酷似している妖怪がいた。妖怪はその赤いルビーのような瞳を光らせ、狂ったかのように叫んだ。

 

「アヒャハハハハハハッ!!!!!最高だぜ、この灼熱地獄(ステージ)はよォォォッ!!!アハハハハハッ!!!火神ィィ!!!演出ご苦労ォ!!!」

 

「ふっ、巫山戯るな貴様!!撃てェェェッ!!!」

 

兵士達はその声と共に一斉にレーザーを放つ。それは狂夢に向かい直撃する。が、狂夢の身体には傷どころか巫女服すらこわれなかった。

 

「おいおい、何だ何だよ何ですかァァァァッ!!??この温い攻撃はよォォォォォッ!!!」

 

狂夢はそう叫ぶと近くにいた兵の一人の頭を掴み、ヘルメットを壊した後その頭を360°回転させ、玩具のように首から上を引きちぎった。

 

「けっ、脆いねェ…まあ、その方がいたぶり甲斐があるってもんだッ!!!」

 

狂夢はそう言うと引きちぎった頭を掌で握り潰し、それをわざと他の兵士達に見せた。その光景を見た者は瞬時に身体が凍り付いたかのように動けなくなる。

 

 

「さあ、始めようぜ。生と死が入り混じる狂気の宴をッ!!!」

 

 

 

人は血塗られし白い巫女をこう呼ぶ。『破壊神』と……

 

 

 

Next phantasm……。






~~今日の狂夢『様』~~


「どーも。次回は多分俺視点で始まるぜ。遂に来た俺の時代!狂夢だ」

「二日後に全校生徒の前で作文を発表するのにまだ何も暗記していない。作者です」


「今回は楼夢さんと狂夢さんが共闘したらどうなるか、の話です」

「OK。まず諏訪大戦の時に俺と楼夢が共闘したように書かれていたが実際はちょっと違うんだよな」

「では諏訪大戦の時狂夢さんは何をしていたんですか?」

「まず俺と楼夢が同じなのは周知の事だよな。だけど霊力や妖力などは量も質も楼夢とまったく同じという事じゃないんだ。全体的なスキルポイントを例にすると楼夢の全ての力を10と例える。そして俺は12と例える。俺は楼夢より数値が多いので楼夢の全ての技を使えるが、楼夢は俺より数値が低いため俺の技を全て使えるわけじゃない。だがそこで俺が諏訪大戦の時のように楼夢に協力すると、俺が協力してる間だけだが俺の技が一時的に使えるようになるんだ。ちなみに良く勘違いされると思うけど、いくら技が使えるようになったと言っても霊力や妖力などは上昇しないから強力な技を何時もより二倍多く放てるって事じゃねえぞ。そういう意味ではこれが楼夢の本当の実力かもしれないが」

「ちなみに霊力や妖力が上昇しない理由は?」

「俺が霊力などを楼夢に渡してないからだ。俺達が共闘するという事は俺達が融合するという意味でもある。つまり俺は楼夢と共闘し事はなかったと言うことだな」

「ちなみに融合した場合はどうなるんだ?」

「間違いなくこの小説最強のキャラになる。まっ、今のところは楼夢と融合しようとしても出来ないし、何より出来たとしても絶対に使いたくない」


「という事で今回はここまで。ちなみにもう一つ質問ですが技名を出すとき『森羅万象斬』と書くか“森羅万象斬“と書く方のどっちが好みですか?返事は感想で書いてください。よろしくお願いします。では次回もーーーー」


「「キュルッと見に来てね/来いよ!!」」

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