東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~   作:キメラテックパチスロ屋

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『じゃあな』とは言うが

『さようなら』とは言わない


by白咲楼夢


竹取物語 『完』 そして童話の裏話 上

 

 

「……なぁにこれ?」

 

楼夢は目覚めた後、そこらをキョロキョロしながらそう呟く。

その言葉にこの状況を良くする効果はないが、そう呟かずにはいられなかった。

 

辺りの地面に散らばっているのは戦闘で破壊された木々や恐らく月の兵のだと思われる腕や足、そして頭部や腹部だった。

そして目を凝らせばまだ燃え尽きていない竹が他の竹や木々に引火し、竹林の破壊活動を行う。

あ、これ竹林全焼ルート確定だな。

 

楼夢はそんなことを思うと“注連縄結界“を解除する。その後何者かが楼夢の元へ近付いた。

 

「もう終わったのかよ。結局血髪一人だけで十分じゃねえか」

 

「報酬貰えんだからいいだろ。というかなんで今更『血髪』なんだ?」

 

「……まずは自分の面確認しやがれ。そうすりゃ分かる」

 

言われたとおりに楼夢は自分の体を確認する。

まず怪我のほうから。と言っても無傷だったので必要なかった。

 

だが問題は格好だった。楼夢お気に入りの巫女服は赤黒い血で染まっており、いかにも『私は殺人をしました』と言う雰囲気を醸し出している。

 

巫女服だけではない。手や足なども血がベッチョリと付いておりどうして今まで気付かなかったのか不思議な程だった。

一言言うと、アイツどんだけ殺してんだよ。後片付けくらい自分でしやがれ。

 

最後に、楼夢は巫女袖から手鏡を取り出し、それを覗く。

 

そこには顔面血だらけで髪の色が変わる程の血を浴びた自分の姿があった。

さらに髪の毛をよく見ると一本一本が『バチンッ』という音を立てながら針のようにトゲトゲに逆立っていた。

 

 

「うっ、嘘だろォォォォォォッ!?」

 

「やっと理解したか?理解したならさっさと身なりを整えやがれ」

 

楼夢は言われるまでもなくドライヤーとタオルを巫女袖から引っ張り出しており自分の髪型を整えている。

狂夢、お前は後でぶち殺す。楼夢はそう誓いを立てた。

 

『はいはーい。呼ばれて出てきてジャンジャカジャン!!何かお困りのようだね』(キリッ)

 

「呼んでねーし、出て欲しくもないわ!?」

 

『まあまあそう言うなって。そんなことより自分の髪がどうなってるのか知りたいだろ?』

 

「そう、それだ!どうなってやがる!?俺の自慢のサラサラ髪がどうしたらこんなトゲトゲに逆立つんだよ!?」

 

『…恐らく“帯電状態(スパーキング)“のせいだろうな。俺も戦闘中気付かなかったけどよく考えたら体全体に電気を発生させて髪の毛が逆立たない訳が無い。まあ静電気で髪の毛が逆立ったとでも覚えときゃいい』

 

「チクショォォォォォォォッ!!!」

 

楼夢は髪を元に戻そうと努力するが結局整ったのは髪の質と体の清潔だった。

だが髪だけには血が既に付着しており、この後風呂に入らなければ落ちそうにない。

だが風呂に入ってしまうと輝夜や永琳を待たせてしまう。

結局楼夢は髪を洗う事を諦め、輝夜たちのいる方向へ歩いて行った。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

しばらく歩くと、輝夜たちがいる場所に辿り着く。近くに美夜たちもいることから、彼女たちを守ってくれてたのだろう。

楼夢は美夜たちに心の中で感謝しながら輝夜たちに声をかけた。

 

「おーい、輝夜。無事だったか?」

 

「貴方たちのお陰でなんとかね。それよりも貴方…自分の姿を確認したら?」

 

「残念ながらこいつは風呂に入らないと落とせないようなのでね。こっちを優先したってわけだ」

 

輝夜が若干引いてるが気にしない。

楼夢はヘラヘラ笑うと後ろに顔を向けた。

 

「…楼夢」

 

そこにはいつも綺麗な月の頭脳こと永琳がいた。

彼女の声はしおれており楼夢を心配していたのが伺える。

そんな永琳を楼夢は謝罪しながら見つめる。

 

「私があの日からどれだけ心配したか分かってるのかしら?」

 

「はいはい。山より高く海より深く理解しています」

 

「…ならいいわ」

 

永琳が呟いた後、しばらくの沈黙が訪れる。そしてその沈黙を永琳が突如破った。

 

「…楼夢!!」

 

永琳はそう叫ぶと楼夢の元へ駆け寄る。楼夢は次に起こることを予想し永琳を受け止める体制を取る。そしてそのまま永琳は楼夢の胸に飛びーー。

 

 

 

「喰らいなさいッ!!」

 

「ほぐふぁッ!?」

 

ーーつかずに楼夢の顔面に綺麗な右ストレートを叩き込んだ。

『ゴキンッ』という鈍い音と共に楼夢は木原君に殴られた一方通行並に一回転をしながら吹き飛ばされる。

 

「何すんだこの野郎!?」

 

「これで少しは反省しなさい」

 

「ぷぷぷっ、血髪ダッセぇ」

 

「楼夢かっこ悪ーい」

 

「うっせェッ!!誰が感動の再開シーンで右ストレートぶち込んでくると予測できんだよ!?てめえら師弟揃っていつからそんなバイオレンスになったんだ!?(あっ、永琳は元からか…)」

 

火神と輝夜からの酷い罵声を受けながら楼夢はそう反論する。だが二人は勿論と言うように無視をした。

この反応を見た楼夢は諦め、地面から立ち上がる。

 

「そう言えば姫サンよ。まだ報酬を貰ってないんだが?」

 

「それを言うと思ったわよ。安心しなさい。すぐに渡すわ」

 

火神は輝夜から後払いの報酬を貰う。あれさえあればしばらく贅沢ができるな。

楼夢はそう思考すると報酬の半分を貰うことを心に決めた。

そして永琳が突如話しかけてきた。

 

「大丈夫かしら楼夢?月の兵との戦いで受けた傷を見てあげるわ」

 

「それだったら俺の右頬の怪我を見て欲しいよ」

 

「それ以上余計なことを言うと口を縫い合わすわよ」

 

「はいはい。すいませんでしたっと」

 

二人はそんな冗談を交わす。美夜たちは既に寝ており、心地よい寝息が聞こえる。

 

「そう言えばお前らはこの後どうするんだ?」

 

「そうね…都を離れてどこか安心して暮らせる居場所を探すわ。つまり、貴方とはこれでお別れね」

 

「まっ、永遠の別れってわけじゃないし、その内また会えるさ」

 

「ふふっ、そうね」

 

二人は同時に微笑み、今だ話している輝夜と火神を呼ぶ。

火神は金が手に入ったせいなのかいつもより気が緩んでいた。

だがたまにはそんな日もいいだろう。

 

楼夢はそう思うと“妖狐状態“になり十一本の尻尾で自分の娘たちを優しく持ち上げた。

 

「じゃあ、そろそろ行くわね」

 

「安心して暮らせる居場所が見つかったら必ず来なさいよ。その時は最大限のおもてなしをしてあげる」

 

「ああ、サンキューな」

 

永琳と輝夜は各自の別れの言葉を楼夢に伝えた後、楼夢たちとは反対方向に背を向け歩き出す。

それを見た楼夢も輝夜たちとは反対方向に歩く。

 

 

ーーこうして、楼夢たちの奇想天外な『竹取物語』は幕を閉じた。

 

 

いつまた会えるか分からない。それは何十年、何百年、何千年経とうが変わらない。だがそれはいつかまた必ず会えると言うこと。

 

だから今は前を向いて歩く。それが一番良いと知っているから。

 

 

 

ーー今の時刻は丑三つ時。今日も白い巫女は歩く…

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「んで、なんで俺まで後始末しなきゃなんねェんだ?」

 

「つべこべ言ってないで手伝え。元はと言えばてめぇの炎のせいで竹林だけでなく近くの森まで火事になってんだぞ」

 

輝夜たちが旅立った後、二人は月の兵たちとの戦いで火事になった竹林の後始末をしていた。

炎は竹林から広がり近くの森まで燃え移っていく。

このままでは大騒ぎになること間違いないだろう。

それを防ぐ為楼夢たちは活動していた。

 

「喰らえ!!“水風船型手榴弾(みずふうせんがたしゅりゅうだん)“!!」

 

楼夢はそう言うと巫女袖から大量の水風船を取り出しそれを引火した木々に投げつける。

 

木々にぶつかった風船は割れ、中から普通よりも高密度の水が溢れる。その威力は分かりやすく例えるとバケツ一杯の中に入った水を辺りにぶつけるのと同じくらいだ。

 

当然一個では消火できないがそれが何十と降り注ぐことによって炎は次々と消火される。

 

「さーて、これで最後だな。さあ帰って寝るぞ。俺は明日からこの金の使い道を考えることに忙しいんだ」

 

「そうだな…ん?なんだあの光は?どこかで火事でも起きてんのか?」

 

楼夢は緋色の望遠鏡(スカーレット・テレスコープ)を使い、視界をズームさせる。どうやら楼夢の予想通り誰かの屋敷で火事が起こってるようだった。

 

「俺の予想通りだ。行くぞ」

 

「はぁ~しょうがねーな」

 

二人はそう言うと空を飛び屋敷へと向かった。

風がいつもより荒々しいのを楼夢は感じ取る。

 

 

 

ーーこれは、『竹取物語』では語られなかった一人の少女の復讐の物語である。

 

 

 

 

Next phantasm……。






~~今日の狂夢『様』~~


「どーも、皆さん。これから中間テストの勉強期間なのでしばらく小説を投稿できません。作者です」

「作者の学校の英語の宿題で好きな人物の紹介とその人の絵を書く時、作者が書いた木原君が超下手で吹き出した。狂夢だ」


「もうテストやだァァァァァァッ!!!」

「うるせえな。順位低くても別にいいだろうが」

「きょっ、狂夢さん……」

「まっ、俺はノー勉で中高全ての定期テストの順位は全部一位だったがな」(笑)

「……殺す」

「ほう…やってみな」

「お助けください(byパラガス)」

「だが断る。“イレイザーキャノン“!!」


デデーン♪

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