東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~   作:日差丸

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明かりを消すなよ

消せば自ずと奈落の底へ


by火神矢陽


再来の悪魔~Dáinsleif and Stormbringer~

ここは守矢神社の裏にある湖『諏訪湖』。そこには一人の妖怪がそれを眺めていた。

 

「……なんのようだ神奈子?」

 

「ありゃりゃ、こっそり覗こうかと思っていたけどやっぱりバレちゃうか」

 

「狐の五感なめんなよ」

 

そう言うと妖怪ーー白咲楼夢は視線を神奈子から再び湖へと変える。

 

「なにをしてるんだい?」

 

「見りゃ分かるだろ。釣りだ」

 

「いやそんな大きい釣竿見たことないよ」

 

驚きながら、珍しい物を見るような目で神奈子は楼夢の釣竿を覗く。

神奈子が見たこともないのも無理もない。大きさは二メートル程あり、完璧に楼夢の身長を超えている。

釣竿は鉄や強化プラスチックなどで作られており、魚にはとても壊せそうにない。

さらに竿の部分からは強化された糸がいくつも吊り下げられており、その先には釣り針がギラりと光っていた。

 

これは現代でサメなどの大物を釣るように作られた物だ。

どうやら最近では喉に引っかかった釣り針に電流を流し込み、体内を直接麻痺させる物も作られたようだ。

 

流石は現代。楼夢のいた時代では物理学は既に終焉を迎えようとしていた。

それは学者たちが物理学の謎を全て解き明かしてしまったからだ。

 

楼夢の友人、蓮子はそんな時代のエリート大学で天才と呼ばれていた。もし時代が少し前だったら歴史にその名を刻んでいたかもしれない。

 

だが本人の性格もあってか、褒められるとすぐに調子にのりどうでもいいうんちく話を語り始める。

そのことでよくメリーに『うんちく蓮子』とか呼ばれていたな……

 

 

おっと話が脱線したな。つまり一行で言うとこの釣竿はすごいのだ。以上。

 

 

楼夢は数人で持つのが普通の約八十キロの釣竿を片手で持ち上げ、湖の中にポチャンと糸を垂らす。

 

魚がかかったら釣り上げる。そんな短調なことをしていると、神奈子が突然

 

「私にも釣竿を貸してくれないか?」

 

と訪ねてきた。楼夢の思考回路が少し止まるが、すぐに結果を導き出す。

 

「ほらよ」

 

そんな軽い言葉と共に、約五十キロの釣竿がポイッ と可愛い効果音を出しながら放り投げられる。

 

普通なら投げられた五十キロの釣竿など受け止めようとしたら、一瞬で潰れ最悪死に至る。

 

だがそこは神様なのかそれを楽々とキャッチすると、楼夢と同じように釣り糸を垂らす。

 

 

そんなこんなで、軽く一時間の時が流れる。結果として楼夢は二十三匹。神奈子は十八匹釣った。

 

悔しそうにしている神奈子の顔に、楼夢は今まで浮かんでいた疑問の言葉を口にした。

 

「お前……俺を恨んでんじゃなかったのか?」

 

それは早奈の事に対しての言葉だった。だが神奈子はそんなことどうでもいいと言うような顔をし、楼夢にその視線を向ける。

 

「いいや、ちっとも恨んでなんかないさ」

 

まるで、その言葉に嘘偽りはないと言うように、神奈子はニカッと微笑む。

 

その清々しい程に純粋な表情に楼夢は少し驚く。

だが、すぐに平静を装うと、分からないという表情で神奈子を見つめた。

 

「……理解できねえな」

 

「できなくていいさ。早奈も一人の人間だ。鳥の雛が成長し巣から飛び立つように、いずれは親離れするもんさ。幸い、早苗には妹がいたから今もこうして東風谷一族の血は途絶えてないしね」

 

「だが…俺は……」

 

「はい、ドーン♪」

 

楼夢の言葉を遮り、そんな気の抜けた声が聞こえた。と思った次の瞬間、楼夢は急に謎の浮遊感に襲われる。

 

眼下に広がっているのは湖の水面。上を見上げれば神奈子がサッカーボールを蹴り飛ばした後のようなモーションをしながらニヤニヤと微笑む。

 

これだけで楼夢は自分の身に何が起きているのかを察する。そして、一言

 

「おっ、覚えてやがれこのクソ野郎ォオオオオッ!!」

 

そんな言葉を最後に、最古の妖狐ーー白咲楼夢は湖の中に頭からダイブした。

 

ドッポォォオオオン!! という派手な音と共に水柱が一つ上がる。そしてしばらくすると水面からブクブクと何かが水しぶきを上げて這い上がった。

 

「なにしやがんだテメェッ!!」

 

そこから現れたのは自慢の髪と服を水浸しにされた楼夢だった。

その顔はもちろん怒りの形相である。

だがそんなもん知らんと言った風に神奈子は楼夢を嘲笑しながら見つめる。そして

 

「どうだ。少しは気が楽になったか?」

 

気づかうように、神奈子は尋ねる。その一言で楼夢の頭は水をかけられたように冷える。

そして疑問を浮かべながら神奈子を見つめた。

 

「人生なんてそんなもんさ。何があるのかは誰にも分からない。だけどもし自分が人の生を背負ったのなら、その分生きなきゃいけないんじゃない?少なくとも私はそう思う」

 

そう言葉で楼夢はようやく気づく。自分が本当に成すべきことを。

 

もしこのまま暗い表情を浮かべていたなら、早奈は決して浮かばれないだろう。なら早奈の分まで残りの人生を楽しみ、精一杯生きるべきだ。

 

それを理解した時、楼夢は口元を緩める。そして神奈子に謝罪した。

 

「…色々迷惑をかけたみたいだな」

 

「なに、気にするな」

 

そして辺りの雰囲気が明るくなる。こうしてこの件に関しての話は平和に終わ……

 

 

「そうか。ならさっきの礼にテメェの頭を湖にしずめてやろう」

 

 

……らなかった。

 

「なっ、ちょっと待って!?そこは平穏に終わるのが普通だろ!」

 

「大丈夫だ。湖に落とした後頭から凍らせて愉快なオブジェに変えてやるから」

 

ポキポキと、楼夢は指を鳴らす。その表情は天使のように優しい笑みを浮かべていたが、目は笑っていなかった。

 

(まっ、まずい!?このままじゃ本当に愉快で素敵なオブジェに変えられてしまう。…いや、諦めたらそこで試合終了だ私。……そうだ、楼夢が一瞬隙を作るような言葉か何かを……)

 

そこまで思考して神奈子は気づく。もう既に手遅れだということを。

 

(あっ、終わったなこれ)

 

思考放棄し、それでも最後の抵抗と一言

 

 

「親方、空から女の子がァアアアアアア!?」

 

その日、諏訪湖の中心に大きな氷の氷像ができあがったという。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

諏訪国から離れた地、そこでは五人の妖怪が夜の道を歩いていた。

 

その内四人は言わずもがな、白咲楼夢とその娘の美夜、清音、舞花である。

 

もう一人の方は金色の美しい髪に紫の中華風ドレスを来ており、その胸元は隠しきれないとばかりに膨らんでいた。おかげで辺りに妖艶な雰囲気を匂わせていた。

 

「……そろそろ近くの村に着くな。……んで、大丈夫か紫?」

 

「ハァ…ハァ…ええ、大丈夫よ……やっぱりスキマなしの長時間歩行は疲れるわ…」

 

「少しは動けよ。ていうかまだ二時間ぐらいしか歩いてないぞ」

 

少女ーー八雲紫は疲れた声でそれを聞き入れる。

彼女がなぜここにいるかと言うと、時を少しさかのぼる。

 

 

諏訪国から出た後、楼夢は再び旅に出ていた。

目的はかつて自分を破った強敵ーー鬼城剛との再戦である。と同時に紫の理想郷作りを手伝うためでもあった。

 

楼夢は裏で今まで関わった知り合いに協力を頼み込んでいた。しかしやはり積極的に協力する者は今だいない。

一番良い前列は輝夜である。彼女もこの話にはかなり興味があったようだし、何かあったら力を貸してくれるとも言っていた。

 

とまあそんな感じで旅をしていると、ある日突然目の前の空間が歪んだのだ。

 

もちろん出てきたのは紫本人である。彼女の話によると、一応は理想郷を作る土地を手に入れたようである。さらにそこにはもう人間と妖怪が共に住む村があるそうだ。正直言って楼夢より進展し過ぎである。

 

その報告のため、彼女はここに訪れたようだ。後しばらくはゆっくりできるそうなので、楼夢の旅に同行を願い、今に至る。

 

彼女に最初娘たちを紹介した時は顔を真っ赤にして必死に誰と●●●したのか聞いてきたな。

そんな美少女の可愛いシーンを見れたので、楼夢は少し嬉しかったりする。

 

とそんな無駄なことを考えていると、いつの間にか村が見えてきた。

緋色の望遠鏡(スカーレット・テレスコープ)』で視力を望遠鏡並にして見たところ、村の入口には門番が立っていた。どうやらまだ村の門はしまっていないらしい。

 

楼夢はチャンスとばかりに早歩きで門へと向かう────

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

白咲楼夢は現在、とある村で宿を取り食堂で夜食を食べていた。

 

村と言ってもここは小規模な所じゃない。普通より少し大きいくらいの武器屋はあったし、このように宿もある。

どうやらここは村というよりも町と言った方が正しいかもしれない。

見れば自分らと同じような旅人が何人も食堂に集い酒や飯で賑わっていた。

 

基本的に旅人とは大柄な奴が多く実力もまあまあはある。といっても楼夢と比べれば0,1%にも満たないが。

 

とりあえずこの御時世で旅人が多少戦えるのは常識である。ラノベだったら冒険者が平民より弱い筈がないという程度の常識である。

 

そんな彼らは楽しそうに雑談する。ほとんどが正直言ってどうでもええことだったが、一つ気になる話があった。

 

楼夢はすぐ近くで食べ物と格闘中の娘たちと上品に食べる紫を尻目に、聴覚を集中させる。

 

話の内容は以下の通りだった。

 

 

「ふははは、見たかお前ら!!俺がいれば妖狼の群れなど無意味だ!!」

 

「流石ッス兄貴!!兄貴さえいれば無敵ッスね」

 

「ふん、もっと骨がある奴はいないのか!?」

 

「そう言えばこの近くの巨大な橋で聞けば最近恐ろしく強い賊が出るみたいですよ。実際ここの食堂にもその被害者がいるようですし」

 

「ほほう、いい情報だ!早速後で行くか」

 

「気をつけてくださいね。どうやらソイツは倒した相手の武器を奪うみたいですから」

 

「ふふふ、この名刀『村正』があれば平気だ!すぐに終わらせてやるぜ」

 

 

とこんな感じでだった。ちなみに彼の無駄に装飾が施されている名刀『村正』を調べたところ、ただの鉄刀であることが分かった。

ただの刀も立派な名前を付ければ見栄えが良くなるものである。哀れ、本物の名刀『村正』。

 

 

そんなこんなで娘たちと紫を連れて食堂を抜け、噂の橋へと行く準備をする。

 

目標はもちろん近くの橋に居座る刀狩りの賊である。

本当にどこぞの弁慶だよそりゃ。

 

と内心楼夢は話題の人物につっこむ。

今回の目的は村の人々のためなどという涙を流しそうな綺麗な理由などではない。

むしろ本当に俺と同じ赤の他人でそんなことする奴を見れば今頃無謀と腹を抱えて笑っていただろう。

 

目的はその弁慶もどきが集めた武器である。どうやら被害は三ヶ月前に百件を超えたみたいだ。

つまりその弁慶もどきは珍しい武器を持っている可能性が高いのである。

 

なぜ武器を集めるのかというと、それは娘たちの武器を探すためだ。

現在、娘たちは武器を何一つ装備していない。自分で作ってやるのも手だがどうせなら品質が高いのをプレゼントしたいのだ。

そのためには俺が加工する本体(ベース)となる品質の高い武器が必要なのだ。

 

 

とそんな娘に誕生日プレゼントをあげる時の父親のような感じで楼夢は思考する。

とりあえず今の目的は弁慶もどきを三秒で倒して武器を略奪することだ。

 

……あれ、これじゃあどっちが弁慶か分かんねえぞ。

 

そんな疑問が楼夢の頭をよぎった。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

真夜中の月。その光に照らされて、ある場所の橋は輝いていた。

 

浮かぶ影は六つ。白咲楼夢とその娘たちと八雲紫。後は、橋の手すりの部分に腰かけて水面の月を眺める謎の男だった。

 

服装はフード付きの黒いジャケット、だが首から上は影がかかっていて見えなかった。

男は腰かけてある手すりから立ち上がる。その足音だけが橋に響く。

 

橋は木製であった。だが小さいというわけでも脆いというわけでもない。

むしろ少し大きく、頑丈で何よりも月明かりに照らされて美しかった。

 

男はしばらく楼夢を見て、一言

 

「おおっ、楼夢じゃねえか!?こんなところで会うたあ奇遇だな」

 

「……..はっ?ってお前──火神か?」

 

男の言葉に楼夢は動揺する。同時に男の顔が月影に照らされた。

 

灰のように燃え尽きた色をした白髪。それは以前よりもボサボサになっていた。さしずめドラ●エ5のレックスヘアーである。しかし以前と異なり髪には二つの黒いラインのような髪が白色の頭に線を引いていた。

 

真紅に燃える瞳は彼の気質を表しており一度燃えれば尽きることはない。そう言っているようだった。

 

男──火神矢陽は驚き半分、興味半分といった様子で楼夢に話しかける。

近くを見渡しても彼の旅に同行していった少女──藤原妹紅はいない。

 

そのことに疑問を持ちながら楼夢はすぐさま問う。

 

「見たところ妹紅はいないようだがどうしたんだ?」

 

「ああ、アイツだったら修行を終えて独り立ちさせたぞ。今頃気ままに一人旅でもしてんじゃねえのか?」

 

そんな適当な返答に楼夢は頷く。確か妹紅は炎の妖術が得意だったはずだ。

もし今ここにいる炎のスペシャリストに免許皆伝がもらえたのならば、今頃彼女は大妖怪と同等の力を持っているのだろう。

 

妹紅への不安が取り除かれたところで、楼夢は本来の目的を思い出す。

 

「一応聞くが、お前が最近の武器狩りの犯人か?」

 

「聞くまでもねえだろ。ったく、少しでも強え奴と戦えると思ったら、とんだ拍子抜けだぜ」

 

「ちなみにあそこに転がっている素敵なオブジェも?」

 

そう言うと、楼夢は橋の端っこに転がっている男達の死体を指さす。どうやら血が乾いていないのを見るとついさっき殺られたようだ。

 

「ああ、このパンの切れ端みてえになっちまったやつか?ムカついたから綺麗にスライスしてやったぜ。収穫は名刀『村正』とかいう手入れが全くされてねえ外見だけのオンボロ刀ぐらいだがな」

 

思い出した。こいつらよく見たら村の食堂で食ってた野郎じゃねえか。この様子だと試合開始三秒で死んだようだ。哀れ、名刀『村正』(偽物)とその持ち主。

 

「それにしてもスライスというよりこれはミンチされてんな。どうやったら刀でミンチにできんだ?」

 

「そうだな、こんな感じ…かねッ!!」

 

適当な雑談をしていると、火神は答えに合わせて上に跳躍し、そのまま突っ込んできた。

ズダンッ!!という音と共に、見れば火神は両手に2本の刀を所有していた。

 

魂を吸う者(ソウルイーター)『ストームブリンガー』、悪魔殺し(デーモンスレイヤー)『ダーウィンスレイブ』発動」

 

闇夜にそんな声が混じる。見れば空中で火神の右刀からは緑、ではなく炎のように赤い光が溢れ出ていた。

 

そして左刀からは黒々しい闇が刀を包む。それは氷のように冷たく、見る者全てを凍てつかせる。

 

そしてその二つの技はどれも楼夢が知っているものだった。

 

楼夢は刀を引き抜き、火神の二刀流の連撃を受け流す。

 

右、左、右、左、そんな二刀流の連撃が、不規則なリズムで繰り出される。

 

速く、重い斬撃。だがそれも楼夢の前では無意味。

 

刀と刀のインパクトの瞬間、楼夢は手首を軽く捻ることで全ての攻撃が受け流す。

 

ゴンッ、キィンッ!! と。そんな音が何十回も響く。

 

火神はこのままでは埒が明かないとばかりに二つの刀に妖力をさらに込め、同時に上から下へ振り下ろす。

 

地面が衝撃波だけで切り裂かれた。だがその一撃を待っていたかのように刀に霊力を込める。

そしてそのまま青白い刃で振り下ろされた一撃を武器ごと弾き返した。

 

パリィィンッ!! という音と共に赤と黒の刃はダイヤモンドダストのように破壊され、キラキラと宙を舞う。

 

武器を破壊され、火神は一瞬完全に無防備になる。だがその一瞬でさえも楼夢にとっては長く感じられた。

 

楼夢は刀の柄をギュッと握る。すると刀に纏っていた霊力が炎が燃え上がるかのように巨大化した。そしてそれは一つの刃を作り出す。

そしてその勢いのまま刀を縦に振りおろした。

 

「霊刃『森羅万象斬』」

 

雷光一戦。その言葉を表すかのように放たれた青白い刃は火神を、橋を、水面の月ごと。真っ二つに切り裂いた。

 

 

ズガァアアンッ!! 切り裂かれた橋は刃が通り過ぎた数秒のタイムラグの後、空間がズレたかのように綺麗に分かれ、直後衝撃波が辺りを襲った。

 

そんな中でも、楼夢はかろうじて残った橋の残骸の上で刃が通った中心点を見つめていた。

 

 

「……『ダークサイドローブ』」

 

瞬間、凄まじい風と共に黒い羽衣を纏った火神が橋の中心に現れる。

その体には傷一つ負っていなかった。その衝撃の事実に橋を離れていた紫は驚愕する。

 

だがそれを理解していたのか、楼夢は冷静に状況を判断し火神に話しかける。()()()()()()()()()()()()()

 

「……ダーウィンスレイブにダークサイドローブまで来たか。こりゃ本物だな」

 

「……なんのことだ?」

 

「とぼけなくてもいいぜ。久しぶりだな、()()()()!」

 

 

「あら、覚えていてくれたのかしら?」

 

夜の空にそんな声が混じる。同時に火神を覆っている闇が集まりだし一つの人の形を作り出した。

 

白い服の上に黒のドレス。髪は金色でそれをロングにして後ろに流している。

瞳の色は真紅。だが覗けば深淵と呼ぶにふさわしい闇が広がっていた。

 

彼女の名はルーミア。人を喰らうただの怪物(バケモノ)だ。

 

「……やっぱりか。めんどくさいやつらが来たもんだぜ」

 

そう言い楼夢は刀を構える。その切っ先はルーミアの心臓に向けられていた。

 

「……だけどどんな野郎が来ても関係ねえ。全力でぶっ潰すのみだ」

 

 

 

 

 

Next phantasm……。

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