東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~ 作:キメラテックパチスロ屋
堕ちるぞ堕ちるぞ
獣が堕ちる
たぎるぞたぎるぞ
血がたぎる
by火神矢陽
「それにしてもそこの変態痴女と火神が一緒だとはな。どういう風の吹き回しだ?」
そう、一番疑問に思った点を問う。
この二人の共通点は楼夢が知る限り楼夢自身に敗北したことがあることぐらいしか知らない。
だが現に二人は今一緒にいる。
多分何かしらの理由があるのだろう、と楼夢は推測する。
「ああ、そのことか。別に大したことじゃねえぞ。ただドンパチ殺って和解しただけだ」
「あらあら、適当にはぐらかすなんて。流石私の
「何勝手に口走ってんだよこら」
「火神……お前、ロリコンだったのか」
「テメェも何変な解釈してんだよッ!ぶっ殺すぞテメェら!」
何か言っているが無視しよう。
今日の格言は「昨日の敵は今日のロリコン」に決定だな。
「なんだよそのふざけた言葉!?第一俺はロリコンじゃねぇッ!!」
「安心しろ火神。お前のその気持ちは俺がよく知ってるから」
ぶっちゃけ言うと楼夢もロリコンの類だ。
さらに詳しく言うと楼夢の半身である狂夢が、だ。
断じて楼夢自体はロリコンではない。
……いや、フリじゃねぇからな?
「……テメェら、ぶっ殺す」
その言葉を合図に、火神から膨大な殺気が溢れ出る。
やれやれと、どうやら弄りすぎたようだ。
後ろを振り返り、紫を娘たちと一緒に避難させる。
そしてその後刀の刀身の腹を撫でるように触れながら、囁く。
「響け『舞姫』」
それだけで刀は刀身の腹に七つの鈴を付けた姿へと変わる。
シャリン、シャリン。 そんな心地よい音を鳴らしながら、自然体のまま意識だけ構えた。
その刀を見た火神は口元を三日月のように歪め、目を紅く光らせる。
「ッハハハハ!!いきなり来たか!!サービス精神旺盛で助かるぜ楼夢ゥ!!」
ただそれだけ狂い笑うと、徐々に隣のルーミアの姿がぼやけ、闇に変わり始める。
そしてそれは濃さを増すと共に火神の右手に集まり始めた。
感じれるのは殺気と狂気。そんな重い重圧の中、火神は唱える。
「喰らい付け……『
その言葉と共に世界の色が一瞬闇に染まる。
それと同時に脳内に様々な恨みや呪いの言葉が次々と聞こえる。
まるで復讐の相手が見つかり、はしゃいでいるように。
火神の右手。そこに握られているのは一つのバールだった。
それは90°でL字形に曲がっており、全てが黒く染められていた。
唯一曲がり目である尖った所を除いて。そこも血が付着したような色をしていた。
「……おいおい、ずいぶんと物騒な武器だな」
「これが俺の妖魔刀だ。まっ、刀って言っていいのか分かんねぇけどな」
そう言うと、火神は自身の妖魔刀『憎蛭』を肩に担ぐ。
だが、楼夢は己の背中に冷や汗が流れるのを感じていた。
相手は事実上西洋最強の妖怪 、火神矢陽。
さらにその手にあるものは百歳未満でかつての楼夢を瀕死に陥れた大妖怪、ルーミアの魂で作られた妖魔刀。
正直言おう。これなんて鬼畜ゲーだ?
こんなもんほぼ確実に死にかけるじゃねぇか!?
マジふざけんな!!
と、心の中で野次を飛ばしてもなにも変わらないと悟り、諦めたような表情で刀を左手に構える。
ーーそこからの合図は一瞬だった。
睨み合っていた両者が突如その場から消え、数秒遅れて中央で鍔迫り合う。
ドゴォン!! と、それだけで大気が唸りを上げ、地面が歪む。
一瞬の硬直。だがそれを破ったのは火神だった。
硬直された武器を強引に楼夢ごと火神は壊れた橋の真下にたたき落とす。
その衝撃でできた巨大なクレーターの中に火神は降り、戦闘を再開した。
まず、楼夢は自分の周りに億を超える小さな桜の花弁のような弾幕を展開する。
一方火神も自分の後ろにパッと見て百個程の魔法陣を同時に展開する。
二人はその後、接近し互いに武器を振るう。
様子見と言わんばかりに楼夢は舞姫を上から下、右から左に十字に切り裂く。
だが縦の斬撃を火神は憎蛭を横にすることで防ぎ、横の斬撃を文字通り上に跳ね上げた。
その際に楼夢の体制が一瞬崩れる。
その隙を火神は見逃さない。
すぐさま崩れた体に憎蛭を横になぎ払う。
だが楼夢もその隙の対処法を考えていないわけではなかった。
舞姫を縦に立てることでなぎ払いを防ごうとする。
だがそれだけではもちろん楼夢のひ弱な腕力では防ぐことができない。
なので衝撃を受けた瞬間に体を横に回転させることで威力を受け流し、それを利用してカウンターの回転斬りを繰り出す。
音速にも等しい速度の斬撃を、火神は体を反らすことで回避する。
だが速度特化の楼夢にそれは悪い選択だった。
すぐに追い討ちをかけるように詰め寄り、不安定な体制の火神に足払いをかけ、地面に転ばせる。
それを勝機と見て、楼夢は瞬時に後ろの弾幕に指示を出した。
億の弾幕の内の数千個が火神を球状に覆い、その後同時に襲いかかった。
これだけの弾幕を全方位に放てば、少しはダメージになるだろうと、楼夢は計算する。
(よし、まずは初撃を……)
だが、やはり現実はそこまで優しくなかった。
そこまでで、楼夢の思考は途切れる。
なぜなら
「ハァアッ!!」
弾幕が、次々と火神の体に当たる度に消滅したからだ。
ものの数秒で、弾幕の炸裂音が止み鳴る。
楼夢は自分の計算に弾幕の威力を入れるのを忘れていた。
楼夢が扱う桜型の弾幕は数が多く威力も凄まじいのだが、
実際は一発分の威力は通常の小型弾幕の半分ほどしかないのだ。
つまり、この弾幕は相手の防御力が高ければ意味がないのだ。
もっとも、その事実に気がついたのは放った弾幕が完全に消滅してからだった。
なぜなら、いくら威力が低いといえども弾幕は弾幕。
防御力に特化した上級妖怪程の装甲を持っていないと、火神のように防ぐことなどできないのだ。
ではなぜ火神に当たった弾幕は防御力だけで消滅したのか。
だが楼夢がその答えに行き着くことはなかった。
「オラァアッ!!」
体制を立て直した火神は再び憎蛭を風ごと楼夢に叩きつける。
その度に楼夢は複数の斬撃を一度の攻撃に対して放つが、それだけでは終わらなかった。
火神の打撃を相殺した後、楼夢は距離を取るために後ろに飛び下がろうとする。
その直後、前から引っ張られるように腕を引き寄せられ、大きく体制を崩す。
見れば楼夢の舞姫の刃先は憎蛭のバール本来の役割としての釘を抜くためにある金属の隙間に挟まっていた。
火神は憎蛭を手放し、バランスを崩した楼夢に向かって語りかけるように言う。
「初撃だ。死ぬなよ」
その一言と共に火神は右拳を楼夢の腹部に、釘を打ち付けるように放った。
「が……あァ……ッ!!」
直後、楼夢の体は橋の下に流れていた川の水の流れを突き切りながら、数十メートル先まで吹っ飛び、川にあった巨大な岩に背中からクレーターを作ることでようやく止まる。
ゴギンッ、と言う音が楼夢の体から鳴る。
どうやら先程の一撃で肋骨を数本、内蔵をいくつか潰されたようだ。
自分の相変わらずの紙装甲に呆れながら回復術をかける。
一瞬では回復しないがないよりはマシだ。
そして吹っ飛んだ際に火神の憎蛭から抜けた舞姫を杖代わりにして立ち上がると、自身に強化魔法『ハイテンション』をかける。
そしてその後、弾丸のように火神のいる場所に突っ込んだ。
火神は楼夢が先程よりも速くなっていることに気づくと、憎蛭を自分の前で回転させるように振り回す。
直後、数十という一瞬では数え切れない程の斬撃が憎蛭に刺さった。
危なかった。
これが火神の内心の言葉だった。
正直言うと火神は楼夢の斬撃を捉え切れていない。
強化魔法で強化される前の楼夢の斬撃ならハッキリとは見えないがなんとか全ての斬撃を目で感じることができた。
だが今は違う。
秒速で五、六発の斬撃に対して、火神が目で感じることができるのは二発か三発までだった。
それでも楼夢の攻撃に反応できたのは本能というより他ないだろう。
内心愚痴を漏らし、火神は刀が憎蛭に当たった瞬間に斬撃を弾く。
だがそれも既に対処済みだった。
刀を持っていた楼夢の左手は後ろに弾かれる。
だが、それを囮にして火神の懐に潜り込む。
そして余った右拳に力を込める。
「お返しだ!『空拳』!!」
超圧縮された風の拳を先程の火神のように腹部に放つ。
だが火神の体が一瞬震えるが、逆に言えばそれだけだった。
火神の体は先程弾幕を放った時のように急に防御力が増す。
その結果楼夢の拳は火神に人間で言うとプラスチックのバットで腹を叩かれた程度の傷しか残さなかった。
そのこともあり火神は口をニヤリとさせるが、その表情はすぐに焦りに変わる。
楼夢の攻撃はこれで終わりではなかった。
拳を放った後、その手を開き、再び火神の腹に押し付ける。
そしてその手の平の中には青白い光が集まっていた。
そのまま楼夢は小さく囁く。
「『
瞬間、火神の体を青白い巨大な閃光が包んだ。
その閃光は地面から煙を巻き上げ、そのまままっすぐ上斜めに進み、いくつもの夜の雲を消し去りながら貫いた。
だがもちろんこれで終わるなど、楼夢は微塵を考えていない。
すぐに後ろに距離を取り、辺りを警戒する。
すると、
「ケホッ……油断したな。おかげでこんなに貰っちまったよ」
煙が晴れて、まだまだ戦える様子の火神が現れる。
だが流石に無傷といかず、その体からはプスプスとところどころ焼けていた。
「ちっ、腹に直接当てても駄目なのかよ」
「せっかくだからネタバレしてやんよ。俺の防御力が瞬間的に増幅するのを」
「それはお前が攻撃を受ける時に纏うオーラのようなものと関係が?」
そう、楼夢は先程拳を放った時に火神が黄色いオーラのようなものを体に纏っているのを確認していた。
恐らくは『ハイテンション』のように身体能力を増幅させる技なのだろう。
「ちっ、もうバレたか。流石だな。俺が纏っているのは『気』っていう力だ。こいつは霊力みてェに全ての生物にあるんだが、それを体内で練り合わせて体に纏わせることで身体能力を強化できるんだ。こんな風にな」
そう火神が喋った直後、黄色いオーラーー『気』ーーは一瞬彼の体を包む。
そしてその後楼夢に向かいその手の中の憎蛭で殴りつけた。
(……速いッ)
思わず楼夢はそう心の中で呟く。
そして火神の攻撃を紙一重で避けると、カウンターの斬撃を放つ。
だがその一撃は火神にカッターナイフで切られた程度の傷しか負わせていなかった。
「無駄だ!気のことがバレないように戦っていたさっきと違って、今の俺は常時気を全開に纏わせている。一撃の威力が低いお前じゃ、小さい傷しかつけられねェ!!」
叫びながら、憎蛭を真上から楼夢に叩きつける。
楼夢はすぐさま横っ跳びをして回避するが、叩きつけられた地面から地割れが奔っていた。
その威力に身震いしながら、どう対処するのか考える。
一応切り札の一つを使えば解決するのだが、今それを切らせていいのか一、二秒程迷う。
だが次々と来る猛攻に徐々に追い詰められ、楼夢は決心する。
「オラァ!!」
「ちぃ……『スーパーハイテンション』!!」
火神のバールの一撃が楼夢の脳天に迫る。
その瞬間、楼夢の体は眩しい桃色の光に包まれ、それが消え去る頃にはバールは空を切っていた。
火神はすぐさま視野を広げ、警戒する。
そして右から迫る刃を、咄嗟に防いだ。
「縛道の四『這縄』」
だが今度は左から光でできた縄が火神の腕に絡まる。
そして思いっきり縄をしたに引っ張られ、火神の腕はマリオネットのように強制的に下に下がる。
そこで見えたのは刃。
だが一つとは言っていない。
数十の刃が、鞭のように乱れて火神の体を次々と切り裂いた。
「がァ……ッ」
赤い血が辺りに飛び散る。
そのことを気にしないで、火神は後ろに飛び退き、叫ぶ。
「はっ!やっと対等になったな!それじゃあこっから先は容赦しねェ!!全力でぶっ潰してやる」
その言葉が切れると同時に、後ろで展開されていた魔法陣が稼働し始めた。
「全力ねえ……望むところだ。思えば俺の体こんなバッキバキにした時から、テメェはぶった斬りコース決定なんだよ!!」
その言葉を原動力に、楼夢は膨大な霊力を放つ。
すると億の桜型弾幕がそれぞれ集まりだし、刀、槍、短剣等々……古今東西全ての武器を作り始めた。
「ちょうどいい。俺の憎蛭の能力はルーミアの『闇を操る程度の能力』だ。そしてそれに俺の技術を合わせると……こんなこともできる」
火神は憎蛭を杖のように地面に叩きつける。
すると数百の魔法陣から黒いワイヤーが飛び出した。
「こっから先は力と術、そして知恵の勝負だ。追いつけねェなら立ち去りな!!」
その言葉を合図に、数百のワイヤーの雨が、楼夢に降り注いだ。
Next phantasm……。
~~今日の狂夢『様』~~
「期末テスト終わりました!皆さん大変お待たせして申し訳ございません。作者です」
「最近やっぱり出番がない狂夢だ」
「思ったんだけど期末テスト終わってから一週間も投稿遅れたのはなんでだ?」
「そっ、それは……あれですよホラ最近一話一話の文字数が平均で三千から五千になってるじゃないですか。それで時間を使ってしまって……」
「はいダウト!お前期末テスト終わってからずっとベッドで寝ころんでたじゃねえか!?どこの口が時間ねえと言いやがる!!」
「うっ、それは…その……」
「なんだ?」
「ゲームと他のサイトの小説にハマっていました☆許してヒヤシンス☆」
「そのネタもう二度目だよ!!死ねこのクソ野郎!!」
「HA☆NA☆SE☆……ァァァァアアッ!!!」
ピチューん