それではどうぞ
東京都千代田区 とある住宅街 AM8:00
「ふわぁぁ~~」
大きなあくびをついて家から出た少年は自分が通う学校へ向かった、眠気と戦いながら・・・その家の表札には「出水」と書かれていた。
家を出て横断歩道を渡り、コンビニ近くのバス停留所へ到着する。しばらくスマホのニュースを見ているとバスがやってきた
「・・・ここにしようかな」
後ろから左二番目の席に座り、目的地まで揺られる・・・寝ないようにしなきゃな
「まもなく、多町二丁目に到着します」
「ふがっ・・!」
(あぶな・・完全に寝る直前だった)
慌てて停車ボタンを押してそこで降りる、ここから歩いて数分の所にある学校・・・僕が通う「私立群堂ヶ岡中学校」がある。
校門をくぐると色とりどりの花達が出迎えてくれる・・まぁ花の名前は全く知らないからたが綺麗だなと思うぐらいしかならないけどね。
全校生徒千人を超え都内屈指の進学校・・・というのは一昔前までの話、今では新しくできた進学校達に抜かされ続け今はただの私立学校に成り下がってしまった。でもこれくらいがちょうど良いと思うのは僕だけじゃないはず・・授業だってそんなに難しいことはやらず最低限の知識を教えてくれる、部活も殺伐とした雰囲気ではなく和気藹々としている。
つまり何事も「普通」なのが一番・・・それにこしたことはない、僕自身がそうだった様に「普通」の学校生活、「普通」の友達、「普通」の日常・・・でもそれはつい数ヶ月前の事だった、僕は「普通」じゃない「力」を手にしてしまったから・・
そんな事を考えながら自分の教室に向かう、教室に着くとほとんどのクラスメイトがすでにいてその中に親友の姿のあった
「よぉ!!遅かったな、ヒデ!」
「いつも通りだよ・・マサ」
茶髪のツンツンした髪型で朝からテンションが高いこいつは「神崎正樹」である、彼とは小学校からの付き合いで僕自身が心から信頼できる友なのだ。
「それよりさ!見た?今週号の「アイドルデイズ」を!」
「いや、見てないけど・・」
「アイドルデイズ」とはその名の通り日本各地のプロ~アマチュアのアイドル達をピックアップして様々な魅力を紹介する雑誌なのだ。
マサは大の「アイドル」ファンなので毎週この雑誌を買ってきては僕にアイドルの良さを熱弁してくるけど・・・とにかく長いのでほとんど流してしまっているけどな
「何だよ~~見てないのかよ!今週はあの「μ’s」なんだから!!」
しまった・・・よりにもよって一番大好きなユニットに当たってしまうとは・・今週の土日は強制ライブ鑑賞会だな
「し・か・も、なんと俺の大好きなコーナーである「ピックアップメンバー」が推しメンである「星空凛」ちゃんなのだ!!!」
何・・・だと・・・、まさかそこまで被るとは・・鑑賞会の後は推しメンのことについて語りだすから、おそらく完徹になりそうだな・・はぁ。
そう思っていると予鈴が鳴り、担任の先生が入ってきてホームルームが始まる。
私立群堂ヶ岡中学校 屋上 PM12:10
長かった四限の授業が終わり、今はマサとほか二人を交えて昼食をとっている。因みにほか二人とはマサのアイドル友達らしい・・・
三人の会話は全く着いて行けず、適当に相槌をうっているとマサが何か思い出したみたいに話を振ってきた
「そう言えばさ、また出たんだってな「アレ」が」
「「アレ」って何だよ」
「知らない?夜な夜な神出鬼没に現れては悪いことをしている奴らをフルボッコにする奴のことだよ」
「へ、へぇ~~、そ、そんな人がいるのか・・・」
「何か声が震えているけど・・?」
「気のせいだよ~~ハハ・・」
それって思いっきり僕の事じゃん・・そんなに噂になっているとは
「でもカッコいいよな~、ああいう男になりたいぜ!」
「・・・・・」
もしその人が僕だと知ったらマサはどんな反応をするのだろう・・今まで言わなかったことへの「失望」かそれとも素直に喜んでくれるだろうか・・・
心まで読むことはあの「力」にもできない・・だから打ち明けることが怖い・・今まで通りではいられなくなったら僕は立ち直ることはできない・・もう「あの時」の様な思いはしたくはない!
僕自身は「ヒーロー」になれているのか・・分からない、けど誰にも褒められなくてもそれでもいい・・誰かの「ヒーロー」であればそれで・・・
僕の名前は「出水 英雄」・・・「ヒーロー」じゃないけど「英雄」の名前を持っている中学三年生、僕のこれまでの「日常」はこの日を境に「非日常」へ変わる・・・
~~~~~~~********~~~~~~~~
同時刻 とある喫茶店
一人の男性がブラックコーヒーを飲みながら腕時計に目をやる
(・・・五分も過ぎている・・)
そう思っていると店の扉が開かれる。そこにいたのは若い女性の姿だった。
「いらっしゃいませ、一名様ですか?」
「待ち合わせですが・・あ!そこにいたのね」
そう言うと駆け足で男性が待つ席へ行く。
「遅いぞ、何をやっていた?」
「ゴメン、大学の講習が中々終わなくて・・」
そうは言ったものの女性からは全く悪びれる様子はなかった、そこへボーイが注文を取りに来た
「え~~と、スパゲッティグラタンにチョコレートケーキ!飲み物はアイスコーヒーで!!」
「畏まりました」
そう言ってボーイは厨房へ下がる
「そんなに頼むと太るぞ」
「講習を受けるとお腹が減るんです~!」
「そういうみきちゃんこそサンドイッチだけじゃ足りないでしょ!」
「こんな所でその呼び名はやめろ」
「え~~かわいいのに・・・」
そう言うと男は無言で女性を睨みつける
「ちぇ~~分かりましたよ、三枝三機哉先輩て呼べばいいんですよね」
「普通に三枝先輩でいいだろ・・お前の極端な性格は変わらないな」
「いや~~それほどでも」
「褒めてない!」
そんな問答をしていると料理が運ばれてきて、女性の目の前に熱々のグラタン皿が置かれる。しかし女性はそれに目をくれず三枝にこう切り出す
「ところで、頼みたいことって何ですか?」
「お前が持つ「スタンド能力」でこの写真の女から「弓と矢」のことを聞きだして欲しい」
そう言って二枚の写真を女性に渡す。
「この子が「スタンド」を持っている可能性は?」
「不明だ、しかし持っていたとしても大したことはないだろう」
「ふ~~ん、報酬はいくらになるの?」
それを聞いた三枝は懐から分厚い茶封筒を差し出す。
「百万が入っている、だがこれは前払いだ。成功すればこの倍を渡そう」
「・・・・・嘘は言ってないよね」
「俺が嘘をついたことでもあると思ってるのか?」
女性は無言で封筒を受け取り鞄の中にしまう
「じゃあ早速行ってくるよ!早めにやっておいた方がいいでしょ」
「頼んだよ、この料理達の代金は払ってあげるから」
そう言って女性は席をたつ、手にした写真には「弓と矢」そしてもう一枚にはオレンジ色の髪でサイドポニーテールの髪型をした少女が写っていた
グラタン皿には何も残っていなかった・・・
いかがだったでしょうか?部活が殺伐としているとかの表現は作者の空想みたいなものですので本当にそうなのかは分かりません、だからあまり気にしなくて大丈夫ですよ
感想・ご意見お待ちしています