女神達の奇妙な冒険   作:戒 昇

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第46話 スーパーチャージャーその④

 

男がそう言い終わるのと同時に、彼の背後から新たな男が出てきた。

 

 

「呆気ないものだな、もう終わるとは・・」

 

「油断は禁物だぞ、座井部は右に回れ」

 

 

もう一人の男「座井部 強」は言われた通り、仗世也の右側に回り込む

 

 

「さて「空条仗世也」よ・・・ここで始末するが一つだけ答えてもらうことがある」

 

 

仗世也は怪訝な表情で男を見る。

 

 

「お前が持っているはずの・・・鏃だけの「弓と矢」はどこにある・・・?」

 

「・・・!!」

 

その質問を聞いた時、誰が見ても動揺をしている表情をしてしまう仗世也・・・それを見て確信を得られた顔をする男

 

「やはり知っていたな・・・何処にあるか・・・言え!!」

 

男の蹴りが脇腹を強く捉える、喉が圧迫される感覚に陥り思わず咳き込んでしまう。

 

「がはっ!・・・ごほ、ごほ・・・」

 

 

さらに男は仗世也の髪を掴むと操舵室の方に投げ飛ばした、飛ばされた先は操舵室の扉の横にある壁だった為背中を強打する。

 

「いいか、このまま言わなかったら・・・お前の家族を皆殺しにするぞ、いや家族だけじゃない・・お前に関わった全ての人間を殺してやるぞ」

 

「な、何だと・・・・」

 

「それが嫌ならさっさと鏃の在り処を言うことだな・・・」

 

家族や関係のない人達の命を盾にするやり方に怒りを覚えるが、この状況から脱出しなければ皆が危険に晒される。仗世也は思考を静かにそして素早く張り巡らせる・・・

 

「・・・ふ、ふふ・・・」

 

静かな笑い声が仗世也の口から出る、それを聞いた男は疑問符を浮かべた。

 

「何が可笑しい?」

 

「いや・・・いい考えが浮かんだよ・・・お前達を倒す算段がな・・・」

 

「何・・・・?」

 

仗世也が顔をあげ、二人の男を睨みつける。

 

「お前達が何者かは知らんが必ず倒す、そしてその後ろにいる者も含めてだ!」

 

「オイオイ・・・・何を言っている・・・追い詰められておかしくなったのか?」

 

男は周りを見渡す、だが誰も近づいてくる気配や何かが起きることも無かった・・・・・

 

「この状況で誰かが助けに来ると思っているのか?!」

 

その言葉を聞いた仗世也はやれやれと言った表情をした後、口を開く。

 

「「誰かに助けを求める」なんて一言も言った覚えはないんだか?・・・ヒントを出すなら「耳をすませ」だな」

 

「何を・・・!?」

 

「・・・最もヒントを出した所で遅すぎたな・・・」

 

二人の男の空が一瞬暗くなった為、見上げた所・・・・三m以上はある津波が船に向かって覆い被さろうとする寸前だったのだ。

回避することは勿論できず、船もろとも三人は海中へ投げ出されてしまった・・・・・

 

 

波が収まり、二人の人影が砂浜にいた。

 

「ごふ・・!ぐぐ・・・」

 

「はぁ・・・げほっ・・・・」

 

海水を飲んだか、息苦しそうになっているのは座井部と仗世也に尋問を行っていた「神場崎 渚」だった。

「神場崎」は苦悶の表情をしつつ、その眼には確かな憤りを感じていた。

 

(・・くそ・・・ここまで私を愚弄するとは・・・・)

「座井部!、すぐに島の北部で待機させていた「谷ヶ崎」と「川和」を呼べ・・・・ここら一帯を調べせるのだ・・」

 

「あ、ああ・・・・」

 

座井部はいつもは冷静な「神場崎」からは感じられない威圧感に萎縮し、言われた通りにする。

 

 

 

 

同時刻、島の南東海岸

 

船が停泊していた南海岸から数十メートル離れた所に位置するこの「南東海岸」は、岩肌がむき出しになっていて干潮時には潮溜りがいくつもでき、子供達の遊び場となっている。そんな場所に一人の男が海から上がってきた・・

 

「はぁ・・はぁ・・・何とか凌げたな・・・」

 

仗世也は荒い息を整えながら、砂浜まで来ていた。

 

(まずは奈美と承一を安全な所へ避難させないと・・・・その為には)

(船の確保が最優先だが・・・それがあるのは北の海岸のみ、何としてでも奴らより先に行かなくては・・・)

 

重い足取りで進もうとした時、前方からこちらに向かってくる二人の人影が見えた。その二人組は仗世也が視認できる位置まで来るとまじまじと見つめてきた。

 

「ふ~~ん・・・」

 

「・・・・」

 

一人は若い女性で何処かの学校の制服の様な物を着用しており、もう一人の男は黒のスーツを着用しているどこにでもいそうな感じだったが、両者からは殺気が放たれており只者とは言えなかった。

 

 

(く・・・ここに来て仲間がいるなんて・・・だが合流していないのなら、まだ勝機はある・・・!)

 

「この人が・・・ねぇ、神場ちゃんが探していた「空条仗世也」なんだね・・・?」

 

「そうだ、そして油断するなよ座井部と神場崎さんの二人から逃れた奴だからな」

 

「川和ちゃんは心配性だな~言われなくてもきちっと殺ればいいんでしょ?」

 

 

そう言い終わると女性の背後から「スタンド」を出し、こちらに接近してくる。

 

「私の「スタンド」で、心臓を直接凍らせればね!」

 

距離として三mほど来た所で、仗世也の「スタンド」が出現する。

 

「今更!もう私の射程内に入って・・・」

 

ふと、そこまで言った所で右足に違和感を覚え視線を落とすと・・・

 

「え!?あ、脚に砂がひっついて・・・!」

 

「・・・さっき色々話していた隙に俺が触れた砂を飛ばしておいたんだ・・・そして覚悟はできたな?」

 

「うっ!・・・・」

 

仗世也の「スタンド」・・「アウタースローン」が迫る。

 

 

「オラオラオラオラっ!!」

 

 

その刹那、ラッシュが放たれる・・・・・だが

 

「あぶないあぶない・・・」

 

「だから言っただろう・・・・油断するなと」

 

高速で放たれたラッシュは女性に一発も当たらかった、まるで拳から相手を避けるようにすり抜けてしまった。

 

「ばかな・・・何故?・・・」

 

「それが我が「アイズ・トゥ・トゥモロー」の能力だからさ・・」

 

そう答えたのは黒いスーツを着た男の方だった。

 

「対象の人物の三十秒後の未来を確定させる・・・この力で「谷ヶ崎飛鳥に対して三十秒後、いかなる物体も触れることはできない」という未来を確定させた訳だ」

 

 

未来を確定させる・・・そんなバカげた能力を目の前に何とか打開策を練ろうとする仗世也に男は静かに言った。

 

 

「悪いが・・・あんたに「次」はない・・・」

 

 

男の言葉の真意が分からない内に、仗世也の喉元に一筋の閃光が貫いた。

 

 

「がふっ!・・・・」

 

 

口から大量の血を吐き、地面に突っ伏せる・・・・

 

その一撃は致命傷となり、意識が薄らいでいくのがはっきりと分かった。

 

 

(はぁ・・・はぁ・・・)

 

 

走馬灯を見る。

 

21年前、四人の仲間達との約二か月余りの旅路・・・・

 

 

奈美と出会った日の出来事・・・・

 

 

彼女と結婚し、子供を授かった日の事・・・・

 

 

そして、今朝の家族との最後の会話・・・・・

 

 

全ての思い出が脳裏を過り、仗世也は・・・・

 

 

「奈美・・・承一・・・・」

 

 

愛する家族の名前を消えそうな声で呟き・・・・その生涯に幕を下ろした・・・・・

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