時は遡ること10分前
講堂内、観客席
「フフフ…今日も変わらず綺麗だなぁ~」
ボサボサの長髪に皺が目立つ服を着ていて、小言を呟く男の名は「神楽坂 信行」と言い、近くの大学に通う大学生で重度のドルオタでもある。
「μ’s」は結成してから間もない頃から知り、ファンクラブなるものまで作るほど彼女達に入れ込んでいた、だが異常とまで言えるほど執着してしまい「ストーカー」となってしまった。
「こんなにも美しい彼女達を…もうすぐ僕の物にするんだ…くくっ」
彼が座っている影が形を変え、黒いマントを頭から被り骸骨の頭をした「像」が現れる…これが彼のスタンド「メイビス・シャドウ」である。
それは薄暗い講堂内を進み、舞台裏に入っていく。
ーー手荒な事はするけど彼女達なら大丈夫だよね…だって「女神」様なんだもんね…
フフ…僕の部屋の準備も整っているし、彼女達をここから連れていく算段もバッチリだ…後は実行するだけさ。
ここの構造は前もって調べ尽くしてあるから、もうすぐで着く…さぁもう少しだよ僕だけの「女神」になるのは…
恍惚の表情になる男の視線の先には、光り輝くステージで踊る九人の姿があった……
~~~~~*****~~~~
時は戻り、現在
講堂内、舞台裏
「まさか、俺以外の「スタンド」に出くわすとはな」
突如現れた「スタンド」は、承一を見据えながら一歩ずつ近づいてくる。
そして、マントの中に手をやり鉄パイプを取り出す。
承一は己のスタンド「アウタースローン」を発現させ、何かをされる前に先制攻撃をすべく右パンチを放つ。
するとその「スタンド」は足元の影に吸い込まれるように消えていき、それを避けた。
「何…!」
(消えた…だと…?!)
周りを見渡すが、完全に消えていており姿は確認は出来なかった。
その時、背後からの気配を察知し横へと避けると、先程までいた場所に鉄パイプが通っていった。
「く…オラァ!」
「アウタースローン」がパンチを放つが紙一重の所で避けられてしまい、姿も消える。
すると、予備のパイプ椅子の一部が崩れ、そこから承一に目がけて飛び一脚が左脚に当たる。
痛みをこらえながら、距離を一旦置く。
「…ッ、少し痛むが…骨まではいってなさそうだな」
「スタンド」が数m前に現れると、傍に落ちていた鉄パイプを拾い、その影に手を伸ばして掴むと、ベリッ!と音をたて引っ張りながら剥がすと、黒い鉄パイプみたいな物が出来上がった。
(…なるほど、影を操る能力か…)
手にした二本の鉄パイプを構えると、こちらに向けて投げてきた。
承一は素早くスタンドを出し、能力を使う。
「「アウタースローン」!、俺の右腕にパイプ椅子を!!」
「アウタースローン」のスタンド能力、一つの物質に別の物質を集める。
それによって右腕にパイプ椅子が何脚か集まり、それを盾にしながら敵に向かって突進する。
二本の鉄パイプは弾き飛ばされていき、床に落下する。
能力を解き、集まったパイプ椅子を蹴って飛び上がり一気に距離を縮める。
「オラオラオラ!!!!」
能力を使われる前に、ラッシュを放つがマントの一部を掠めた程度で直撃はしなかった。
影に潜られると、こちらからの攻撃はできないが向こうも攻撃は不可能だと分かった。
ーーそれならば、奴が姿を見せたと同時に攻撃すれば
そう考えてた時、自分の影が揺らめくように見えた瞬間…
突然、鈍い音と共に後方に飛ばされた。
何が起こったか一瞬分からなかったが、よく見ると俺がいた場所から奴が鉄パイプを持って姿を現していた。
ーーくっ…影ならどこでも姿を現せることができるのか、流石に骨が何本か折れたみたいだな。
どうする…姿を現せないと攻撃はできない、現れる場所はランダム…今のダメージがまだ残っているから避け続けることも無理か…現れるタイミング?、現れる瞬間…そうか、まだ…手はある。
「「アウタースローン」!!、俺の両腕にパイプ椅子を!!」
持てるだけのパイプ椅子を持ち、自分の周りにばら撒いた。
そして承一はその場で片膝をついた姿勢になり、タイミングを待つ。
そして…
微かな音が後方から聞こえてきた…同時に体を素早く振り向き、スタンドも出す。
「オラッッ!!!」
鈍い音と共に、奴がよろめく。
「やはりな…現れるタイミングが掴めないのなら、出る瞬間音が鳴るようにすればいい。幸い影の合間を縫って出ることはできないらしな」
すると奴は後ろへ振り向き影の中に入って行く。
「逃げる気か…そうはさせない「アウタースローン」!」
~~~~~*****~~~~~
講堂内、4時53分
「ぐッ…あ!」
腹に鈍痛が走る…いつまでも騒ぎが起こらないから不審に思っていると、突然やってきた。
ーーくそ…予定外だ、まさか僕の行動を予測していたのか…?そんな訳がない…だが現実はこんなザマだ…畜生、チクショウ…!どいつもこいつも邪魔ばかりしやがって…!
まぁいいさ…また機会はある。今は逃げなければ。
よろめきながらも立ち上り、出口に向かって歩いていく。
重い扉を開け、外に出る…まだ明るい空色が憎たらしく思い、学院外へ出ようとする。
「待ちな!お前が本体だな…」
その声に驚きつつ、振り返ると一人の男子生徒がこちらを睨みながら立っていた。
「何の事だい?本体って?」
「とぼけても無駄だぜ」
すると彼の背後からロボットのような「像」が浮かび、その手に持っているのを見せてきた。
「そ、それは…!」
「お前さんの、スタンドが羽織っていたマントの切れ端さ。腹に一撃入れた時一緒にくすねておいたんだ。
逃げた時、スタンドにこの切れ端を集めるよう能力を使い、ここまで追い続けた訳だよ」
乾いた笑いが口から漏れる…まさか自分と同じ様な能力者がいるとはな、しかし同時に怒りも湧いてくる。
「…年下ごときに追い詰められる何てな、思いもよらなかったよ」
「認めるのだな、なら俺はあんたを倒さなきゃならない」
ーーいちいち鼻につく奴だ…僕の邪魔をした上にまるで警察みたいな事を言いやがって…
「…黙れよ」
「…?何だって?」
「黙れって言ってんだろッッ!!」
男の口から吐き出す様に出た言葉は、苛立ちが限界突破したかの如く、講堂にも聞こえるのではないかと思うぐらいだった。
「年下のクセにしてッ!僕の邪魔をするんじゃないッ!!!
彼女は…いや彼女達は僕にとっては救いの女神なんだッ!ちっぽけな僕を救ってくれた!…だから他の連中になんか渡さない!ずっと僕の傍に居ればいいんだ…
そうさ…僕の物なんだ…ははハハハ、あははハハハハハハ!!!」
狂った様に笑い続ける男に、承一はタメ息を付き近寄る。
「全く…やれやれだぜ」
「だから、邪魔を…するなァァッ!!」
絶叫と共に突進してくる、相手に「アウタースローン」の拳が飛んでくる。
「げ…あッ!」
「救いの女神が何だか知らないが、お前はやってはダメな事をした…」
承一の脳裏に辛い思いをしながらも自分に話してくれた穂乃果達の顔が浮かび上がる。
「…てめーのエゴで他人を不安にさせた事だ!」
「だったら何だ!!誰も僕を裁ける者なんていないんだよ!!」
「裁く…だと、裁くのは…俺のスタンドだァッ!」
「アウタースローン」の拳が、敵の腹を捉える…苦悶の表情を浮かべるが、次の拳が顔面を捉える…それが何度も何度も何度も…続く。
「オオオッ!オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ、オラァッ!!!!」
「あぶっ!びえばはぁぁッ!!」
絶え間ないラッシュを貰い、数メートル先まで飛ばされ気絶する。
承一は男を見て、終わった事を確認する。
「承君~~」
犯人を倒し、木にもたれかかっている所にライブを終えたばかりの穂乃果達がやってくる。
「大丈夫?!」
「ああ、大丈ぶ…痛ッ!」
腹のあたりに激痛を覚え、座ってしまう。
それを見かねたのか一人のメンバーが話しかけてくる。
「全く、とりあえずうちの所に来て診てもらいなさいよ」
「え…?うちの所て?」
「言ってなかったけど、真姫ちゃんの実家は病院なんだよ。承君」
「そ、そうなの…?」
後から聞いた話だと、西木野さんは総合病院の院長の娘らしくいわゆるお嬢様なんだとか…痛みが一瞬忘れるほど衝撃的だった。
こうして「μ’s」を悩ませていた「ストーカー事件」は無事に解決した。
因みに犯人はどうなったかと言うと、家を家宅捜査した所これまでのストーカーの記録を残していた為それが決定的な証拠となり刑事訴訟され近い内に裁判にかけられる予定だ。
まぁ、何はともあれみんな無事だったしそれで良かったよ。
いかがだったでしょうか?スタンド戦は初めて書いたのでおかしな所があれば、指摘してくれれば幸いです。
次回からまた新しいスタンドが出ますので楽しみにしてください!
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