不死姫の物語   作:炎海

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どうもおはこんばんにちは炎海です。

最近うちの友人が、歩行中に車と正面衝突して、運転手だけが怪我をするという事態が起こりました。あいつはターミネーターか何かの親類だと思われます。そもそも大雨で家の前の道路だけが流されていくような事態が起こるあたりネタの星に生まれているんでしょうね。

それはそうと緊張の第2話、ノミのような心臓で怯えつつ本編開始!



第2話

「あぐ……、うう……。ここ……は?」

 

 気がつくと、少女は篝火の近くに仰向けに倒れていた。

 全ては夢だった?そんな考えが浮かんだがしかし、扉の方へ目を向けて、今までのことが現実であったと認識した。

 

ーー扉の向こうには、あの巨大なデーモンがいたのだ。

 

「ひっ……!!」

 

 思わず息を呑み身をすくめるが、しかし、デーモンがこちらに近づく様子も気付く様子もない。

 おそるおそる扉に近づいて中を覗き込む、やはりデーモンが自分を気にする様子はない。中に入った者のみを攻撃するのだろうか?少女はそう思いつつ部屋の中を観察し始めた。

 何かの壺や三階に相当するだろう部分にあるベランダ、それらを確認しながら少女は、部屋の横側に開いている通路に注目した。

 それは、先ほど少女が、逃げ込もうとして失敗した場所であった。

 

「あそこに何か、脱出の糸口になるものがあるかも」

 

 少女は振り返り、後ろの光景を眺める。崩落した廊下、崩れた階段、鍵のかかった通路。どれも、先に進めそうもないものばかりであった。

 このままここにいても仕方がない。そう少女は決意すると、その通路まで辿り着く方法を考え始めた。

 

「そのまま走ってもあれにすり潰される、隙を見て一気に距離を詰めれば……」

 

 少女はそう考えると、突破する事を決意した。どの道他にどうしようもないのだ、デーモンが反対を向く瞬間を見計らい、扉の中へ飛び込む。

 

「…………っ‼︎」

 

 通路の入り口に向けて全力で走る。が、その進行は直ぐに阻まれることとなった。

 

「………がふっ‼︎」

 

 上からデーモンがのしかかってきたのだ。おそらくは背中に生えている羽で飛んだのだろう。押し潰されて即死まではしなかったが、衝撃は凄まじく、通路の反対側へ吹き飛ばされてしまった。

 

(あの巨体で飛ぶなんて、そんなの反則じゃない‼︎)

 

 相手は異形の人外だ、何をしてきてもおかしくなどない。少女はそう考えると、体勢を立て直すためデーモンから距離をとる。だが、それは通路から更に離れることでもあった。

 

(……身体中が痛い、全身の傷もそうだけど、内臓や骨にも異常があるかも)

 

 それだけの激痛、普通の娘なら痛みでうずくまっても仕方ないそれ。そんな中で少女が動けるのは、たゆまぬ拷問の成果だろう。心の中で懐かしい拷問官の顔を思い出し、次に会った時は感謝の表れとして生きたまま皮を剥いでやる事を誓うと、再び通路に向かって走り出す。次に一撃でも貰えば、今度こそ動けなくなるだろう。

 

(タイミングは一度、逃せば死ぬ‼︎)

 

 死に続ければ亡者になってしまう。少女は不死院の廊下にいた者たちを思い出しかぶりを振る、あんなのはごめんでる。タイミングを伺いながら、デーモンに近づいていく。

 

(ここ、だあ……っ‼︎)

 

 デーモンが大槌を振り被る瞬間、横に跳んでそれを避ける。そのまま床を転がらず起き上がると、通路めがけて駆け抜け、入り口の中へ飛び込んだ。すると、1人でに落とし戸が閉じた。

 

「はぁ、はぁ、はぁっ、やった?」

 

 ほっと息をついた瞬間、響いた轟音に少女は肩をすくめた

 

「ひっ……‼︎な、なに……っ?」

 

 見上げると、先ほどのデーモンが落としどころの向こうで咆哮を上げ、暴れ狂っていた。

 

「このままいたらまずい……よね?確実に」

 

 少女は立ち上がると、通路の奥に向かって駆け出した。

 

 

 

 

 

 通路の奥には篝火と、一段下がった場所には雨漏りのせいか水が溜まっていた。

 水面を覗き込むと自分の姿が映るが、そのあまりの酷さに少女は顔を少し顰めた。全身が干からびて死人か老婆のような姿となっている、それはまだいい。心は年頃の娘である少女には少しショックだが、今はそれよりも酷いものがあった。体の半分以上がズタボロになっていたのである。おそらく先ほどの衝撃で吹き飛ばされたせいだろう。片腕の関節があらぬ方向に曲がり、全身の傷からはどこにそんな水分があるのかというほど血が溢れ続け、身体中を紅く染め上げていた。

 

「酷いなこれは、やっぱり無理があったかな?」

 

 せっかく乗り越えたのにこのざまだ、傷の深さから内臓や骨もやられているだろう、このままの傷では死ぬのもそう遠くはない。

 もし死んだら次は上手くやろう、正気であればの話だが。そう心に決めると少女は、そこの篝火に火をつけ、その前にうずくまった。どうせ死ぬのならこの温もりに包まれて……。そんな考えのことであったが、思わぬことが起こった。

 篝火にあたると、傷が治りはじめたのである。驚いて身体中を見回すが、干からびている以外に異常は見当たらない。

 

「そうか、これが篝火の力……。」

 

 もう何度としれない不思議な現象に見舞われた彼女は、しかしそういうものかと受け入れていた。

 

(篝火は居場所を失った不死の帰る場所、そういうこともあるのかな?)

 

 理屈はわからないが考えても仕方がない、そう考えると少女は篝火の置かれている通路から更に奥へ続く通路へ入っていった。そして……。

 

「さ〜あ、今度はどんな摩訶不思議……ごふっ!」

 

 頭に矢が生えた。否、頭に矢が突き刺さったのだ。とっさに通路の横の空き牢に逃げ込み、外の様子を伺う。

 

(通路の奥に人影……、あれは亡者か)

 

 亡者の中には生前の技や芸を使う者もいる。そんな話を思い出しつつ頭の矢を抜き手当をする。

 

「危うく死ぬところだったわよもう。さてどうするか……」

 

 普通は頭に矢を受ければ死ぬのだが。

 

 少女は手当をしながらその亡者を倒す方法を考えていると、足元に棍棒と木の板で出来た盾が落ちているのを見つけた。

 

「これなら矢を受けながらあいつを倒せるかな?)

 

 盾も棍棒も粗末なものであったが、直剣の柄などという戦う気あるのかすらわからないものよりかはマシだろう。そう考えると、二つの武器を拾い通路に出た。

 亡者の放つ矢は、お世辞にも良いものとは言えない。だが、それでも木の盾が予想以上に粗末すぎるせいか、何本かの矢は貫通し腕に突き刺さった。

 

「……痛っ! でもこれなら」

 

 問題はない、そう少女は判断すると、一気に走り距離を詰める。しかし亡者は少女がたどり着く前に横に開いた通路へ逃げ込んでしまった。そして現れたのは……。

 

「……っ!?」

 

 とっさに身を引くと、目の前を剣が振り抜けた。横の通路から現れたのは、剣を持った亡者だった。

 

「この……っ⁉︎ 邪魔よ!」

 

 棍棒を振るって亡者の頭を打ち据える。受け流されることも考えたが、亡者はそのまま頭を砕かれて地面に倒れ、そのまま動かなくなった。

 通路に入ると矢が飛んできた。おそらくは先ほどの亡者のものだろう。盾で受けつつそのまま距離を詰めると、今度こそ棍棒を叩き込み仕留める。そのまま棍棒を構え警戒するが、先ほどで最後だったのか、他の敵が出てくる気配はなかった。

 おそるおそる通路を出ると、そこは先ほどの中庭の二階であった。

 

「まさか……、全部無駄骨だった?」

 

 結局成果は棍棒と板切れ同然の盾のみ。亡者の持っていた武器も、使い方など教わったこともない弓と、棍棒の方がマシとも言える錆びた剣くらいである。

 一応上の階へ続く階段もある。そう心を慰めつつ三回の階段を上ろうとして……、上から転がってきた鉄球にはね飛ばされた。

 

「がふっ……‼︎うっ……ゲホッ!くそっ、何よこれ」

 

 はね飛ばされた衝撃で、肺の中の空気が全て吐き出されたが、直ぐに体勢を立て直して立ち上がる。襲いかかってきた剣を持った亡者、おそらくは鉄球を転がした張本人だろうに恨みを込めて棍棒をぶち込むと、後ろの壁が空いていることに気づいた。おそらく、先の鉄球で壊れたのだろう。

 ロクな収穫もなかったことから少女は少しその中を調べてみることにした。だが、その手はすぐに止まった。

 

 目の前に、先ほど死体を投げ入れた騎士がうずくまっていたのである。

 

 




次回、不死院の騎士。

サブタイトル話数だけじゃ地味かなぁ。

ふぁたごと艦これのイベントの被りで執筆がなかなか進まない件。
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