違うんです……スカイリムが、スカイリムが悪いんです。
あんなに、あんなにも面白いから……。
私もまた、modに踊らされただけの犠牲者の1人にすぎないのだよ……。
大学入学で忙しくなりつつ本編開始!
静寂がその場を包んでいた。
「あ……、あの……。ええと……その……」
男が目線をそらしながらおずおずと話しかける。しかし、何かを言い始める前に少女は動き出した。
少女に話を聞いてる余裕などなかった。ここまで一切気が付かなかったことが彼女を余計に焦らせたのだ。
とっさに棍棒に飛びつこうとしてあたりを見回し、自分が棍棒の位置から離れていること、そしてその棍棒が入り口近くに置かれ営ることに気づいた。
緊張の糸が解けていたとはいえ、あまりにも迂闊であった。
抵抗する手段がない。ーーそう思った瞬間、少女の脳裏にあの日の光景がよみがえった。
ーー鎧を鳴らし近づいてくる騎士たち、突然髪を掴まれ広場へ引き摺られていく。村人たちの前で服を裂かれ露わになった肌と、そこにうかぶ不死の証『ダークリング』。騎士たちが声高に少女が不死であることを叫ぶ中、彼女に向けられる村人たちからの恐怖、嫌悪の視線。逃げ出した自分を追う者たちの姿。そして送られた地獄。
ーー嫌だ嫌だ嫌だ嫌だいやだいやだいやだイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ。ーーーーあの地獄には戻りたくない。
足が震えだす。全身に寒気が走り、少女は後ずさる
「嫌……やめて……来ないで……」
足がもつれ、転倒した。水に足を取られながら少女は必死に『ソレ』から逃げ続ける。少女の目に映るのは過去の村の光景であった。不死狩りの騎士たちが近づいてくる。少女に向かって手を伸ばし、その体を掴む。そして…………。
「君……大丈夫かい?」
その声で我に返ると、目の前にいるのは不死狩りの騎士ではなく、若い騎士風の青年であった。少女の肩を掴み、騎士は語りかけていた。
「驚かせたのはすまない、まさか……その、女性が水浴びをしていたとは思わなかったんだ」
少女は恐る恐るあたりを見回す。自分のいる場所があの村はなくロードランの地であると確認すると、ほぅとため息をついた。
「ごめんなさい、少し動転してしまって」
そういうと、少女は身体を起こして立ち上がった。おそらく相当に錯乱していたはずである。それを見られたのが、少女には少し恥ずかしかった。
「珍しいね、ここの人達はみんなあまり関わりを持とうとしないし」
もっとも、出会ったのは心折れた戦士と胡散臭い聖職者のみであるが。
「すまない、私はここに来たばかりなんだ。迷惑だったかな?」
「ううん、そんなことはないよ。私もここに来たばかりだし」
そういうと、騎士は少し安堵したように笑った。
「それはよかった。私はアストラのオスカー、不死の使命のためここに来た騎士だ。もっとも、まだ未熟者だがね。君は……」
「私は…………………」
少女が返答に困っていると、騎士ーーオスカーが助け船を出した。
「いや、すまない。答えられないのならいいんだ。こんな場所だ、そういうこともあるのだろう」
何かを誤解されているのかもしれないが、返答に困っていた少女には都合がよかった。
「そうしてもらえると助かるかな。ところで不死の使命と言っていたけれど……」
不死の使命、もし使命のこと、あるいはそれに関連することを知っているのなら少女としては是非聞き出したかった。
幸いなことに、オスカーは躊躇いなくそのことを話してくれた。
「ああ、不死の使命。我が家に伝わる重要な者だ」
オスカーが少女に語った使命は、不死院の騎士と同じものであった。おそらく、幾つかの家が同じ使命を持っているのだろう。
「そう、あなたもなんだ」
「『あなたも』?もしかして君も……」
少女はオスカーに、不死院での出来事とあの騎士の顛末を語った。
きっと、騎士であるオスカーには、不死院で死んだ彼の気持ちがよくわかるのだろう。そうして全てを聞き終わったあと、彼は痛ましげな表情を浮かべていた。
「自分のなすべき使命、それを見ず知らずの者に託さなければならないこと、騎士としてさぞ無念だったろう。だが、その使命を継いでくれたこと、同じアストラの騎士として礼を言いたい。君の話を聞く限り、その者はきっと私の国の高名な騎士であったろう」
「そんなこと……私はただ……」
「嗚呼、同じ使命であるのなら同胞の友人だ、出来れば力を貸したいが……。この地は時の流れが淀んでいるからか、再び巡り会えるとは限らない」
「時の流れ……?」
少女がその事を理解できないのを察し、騎士はその事を説明した。
「そう、最初の火が消えかけている所為か、この地は時の流れが淀み、様々な時代の様々な者が巡り会えるのだ。しかし、そのせいで出会いたいと思ったものにも上手く出会えない。君にはこれを渡しておこう」
そう言って騎士が渡したのは、白いろう石であった。
「これは何?ろう石のようだけれど……まさかこれで字を書いて伝えろと?」
「その通りさ、これはただのろう石では無いんだ。これで名を書けばそれが時代を巡り、他の者の前に現れる。その者が触れれば書いた者が霊体となって現れ、助け合うことが出来るのだ」
「つまり、これを使えば互いに助け合えると?」
「そうさ、私のサインを見れば遠慮なく召喚するといい。同胞の恩人だ、喜んで力になろう」
こんな荒れ果てた地で善意で力を貸してくれる者、あるいは下心を持った者であるかもしれない。しかし、本当に好意からだとすれば、これほどうれしいものもないだろう。
「いいの?あなたも決して楽じゃないんでしょ?」
「いいや、私には一族に伝わる剣と盾があるさ。それに君のような少女を捨て置くことはできない。本当であれば共に戦いたいのだが…………」
「ううん、これだけでも十分よ、ありがとう」
「いや、礼などはいいさ。ああそうだ、君は一人で旅をしなければならないのだった。ならこれも教えておこう、きっと役にたつはずだ」
そう言って、オスカーは出口の方向、篝火の方を指差した。
「我々不死は篝火を通すことで、ソウルから様々な力を得られるんだ。腕の力を上げ、岩のような大剣を振り回したり、理力を上げ、神話に伝わるような魔術を操ったりもできる。無論そのような力となると、莫大なソウルが必要となるだろう。だが、ここには異形の怪物や、強大なソウルを持つものが沢山いるだろう。それらと戦って打ち倒すには相応の力が必要だ」
その言葉に少女は、不死院で出会ったデーモンと、心折れた騎士から聞いたこの先の脅威を思い出す。あれだけ苦労して倒した化け物がまだまだいるのだろう。そのことを考えるとぞっとするが、オスカーのいうことが真実であればその問題も解決するだろう。
「本当に、私でも操れる力なの?」
そう言って少女は己の身体を眺める。見つめるのは、閉じ込められるまで握ったことのあるものも農具が精々の腕である。
だが、不安そうに見る少女に、オスカーは首を縦に振った。
「もちろんだ、ただし必要なソウルも相応なものになるだろうが」
それならば、と少女は安心した。不死院のデーモンを倒した時のソウルはまだある、これから足りなくなっても、亡者から奪っていけがばいいだろう。
「教えてくれてありがとう、私もあなたと一緒に旅がしたかったな」
この少しの間で、少女はオスカーに対し心を許していた。長い間苛烈な責め苦をうけ、ここに来てからも安心ができなかったからというのもあった。こんな風に気を楽にして話せることが少女にはうれしかったのである。そしてなによりこの若い騎士は、どことなくあの不死院の騎士を連想させたのである。
少女は篝火によって得られる力について考えているとふと、己の身体と、入り口に置いてあるものに気づいた。オスカーもその視線に気づくとことを理解し、少し顔を赤らめて目線をそらした。
「その……すまない……、居合わせた私がいうのも何なのだが、ええと……服を、着てはもらえないだろうか。いや……ほんとにすまない……」
そう、少女は体を洗っていて、その途中に彼が居合わせたのである。ならばどうなるかは明白だろう。
しなやかな曲線をえがく腰と柔らかな丸みを帯びた尻、ほっそりとした手足、決して豊満ではないものの、それなりの膨らみをもった胸…………そのすべてが涼しい外気のもとに晒されていた。まあ、ようは隠すもののない全裸であったわけである。が
無論少女にそういう趣味があるわけでも、目の前の彼が婦女子の衣類を強引に剥ぐ鬼畜外道だったわけでもない。ただ、間が悪かっただけである。
そして何度も言うが少女にそういう趣味はない、当然のことだが羞恥心がわく。だが、趣味はなくとも長年の生活で悲鳴を上げたり蹲らない程度には少女も慣れていた。無論慣れているからと言って恥ずかしいものは恥ずかしいのだが。
さらにもう一つ、こんな格好で長々と話をしていたことも追い打ちをかけ、少女は入り口に置いていたものをつかむとその場から逃げ出してしまった。
篝火の前で、先ほどやらかした失敗についてしばらくもだえ苦しんだ後、少女は不死街へ向かうための準備を進めていた。
不死院から使い続けてきた棍棒、そしてボロボロに錆びついた盾、それが少女の持つ武器であった。弓は少女には使い方がわからず、直剣の柄は論外であった。
腰に下げているのはエスト瓶と、ここに来てから手に入れた投げナイフである。幸いなことに少女は村にいたころに似たような遊びをしていたことがあった。無論人に向かって投げたことはないが、そこは慣れるしかないだろう。
ソウルを使い、筋力と持久力を高める。決して多くのソウルを使ったわけではなく、デーモンなどがでれば気休め程度にしかならないが、それでも少女には少しでも多くの力が必要であった。
そして着ているものであるが、一応防具と呼べそうな品は見つかった。ただしそれは動かなくなった亡者からはぎ取ったものであり、その質も最低のものであった。胸部の金属部分は残っていたものの、それ以外の布部分はほとんど無くなっており、腹部と二の腕は完全に露出していた。下に至っては腰巻だけという有様である。もっともそんなぼろぼろの品でも、裸よりかはましであろうが……。
「あいかわらず酷い格好だよね、こんな装備で戦おうなんてホント正気じゃないな……」
己の格好を見下ろして少女はそうつぶやいた、きっと本職の戦士が見ればさらにぼろくそに貶すだろう酷さだ。
「村にいたころはずっと農作業をして、結婚したらその人と一緒に家庭を作って暮らす。そんな一生だと思っていたのに」
あれからどれほどの年月が経ったのだろう。数年か数十年か、あるいは数百年か、ここにはそれを知る術さえもない。自身の体も当てにならない、ただの人間であれば問題はなかった。だが彼女は呪われた不死である、常人と同じように老いるのか、あるいは老いすらもないのかわからない。しかし……。
「不死の使命、それを果たせば何かが変わるのかな」
それはあまりにも儚い希望であった。しかしほかにあてなど何もない、呪われ人のこの身ではこの地から出ることすらもできないのだから。
少女は決意すると、残りの持ち物を袋に詰めて立ち上がった。めざすは目覚ましの鐘のうちのひとつ、城下不死教区のもの。小さな期待を持ち、その一歩を踏み出した。
いやもう本当びっくりしました。評価バーに色が付いているんですよそれも赤!
高評価を下さった方々、毎回感想を書いてくださる皆さん、本当にありがとうございます。この感動を胸に抱き、失踪しないよう今後とも更新を頑張っていきます。
そして、今回1ヶ月も空いて申し訳ありません。スカイリムやりまくってたのもそうなのですが、展開に手間取ってたり、大学入学に伴う準備で忙しかったんです。暫くの間このような状態が続きますが、隙を見て執筆していくつもりです。
今回も長ったらしい解説回でしたがすみません、戦闘は次回に持ち越しです。1ヶ月かかってこれだよチクセウ……。
どことは言いませんが気合を入れて書いたので、満足していただけたら幸いです。
次回、「突入、城下不死街!」語彙力のゴミさに絶望しつつデュエルスタンバイ!