もし結城リトのラッキースケベが限界突破していたら 【完結】   作:HAJI

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第十一話 「合致」

 

 

(ふう……やっぱりこの時間は落ち着くな……)

 

 

しみじみと平穏を噛みしめながらそんなサラリーマンのような感慨を抱く。時刻は午前九時を回った頃。自分はリビングにある自分の席に座りながらお茶を飲み、本を読んでいるところ。朝食はもう済ませ、今は美柑が洗い物をしている。本当ならいつもはここまでゆっくりはできないのだが今日は土曜で休日。最近ではこの時間帯が自分にとっての憩いの時間となりつつある。恐らくはもう後一時間も持たない儚いものだと分かってはいるのだがそれは割愛。

 

 

(とりあえずはヤミもこっちの生活に慣れてきたのかな……?)

 

 

本を読みながらも横目で少し離れたところで自分同様、読書をしている金色の闇を盗み見る。自分の護衛になってから一週間以上が経ったが今のところ問題なく地球の生活に馴染んでいるように見える。特に美柑とは仲良くしているようだ。それは喜ばしいのだがもう少し自分にも優しくしてくれないだろうか。とらぶるがあるせいか、護衛対象というよりは監視対象として見られているような節がある。

 

 

(監視か……ま、確かにそうかもしれないけどなんか悲しくなってくるな……)

 

 

心の中で涙を流しながらも仕方ないのだとあきらめるしかない。ララによってほぼ毎日とらぶるを消費しているとはいえ四回目に関しては起こる時と起きない時がある。起きなかった場合は学校で起こしてしまう可能性が最も高い。仕事柄かそれともえっちぃことが嫌いだからか、ヤミはそれを変身能力で対処してくれる。それでもどうにもならない時には必然的にヤミをとらぶるに巻き込んでしまうのがお約束になりつつある(もちろん制裁も)そのせいで学校では自分は転校生であるヤミを誑かしていると噂され、何故か校長からは同族認定され散々な目にあっているのだが。

 

そんなこんなでこうしてお互い静かに読書している時間が一番平穏。ヤミも元々読書が好きだったらしく学校の図書館から本を借りて暇を見つけて読んでいる。それに触発されたわけではないが基本無口であるヤミとずっとにらめっこするよりはマシだろうということと部屋に閉じこもっていては美柑に心配をかけるという利害が一致した結果がこの光景だった。

 

 

「…………何ですか結城リト。さっきからずっとこちらを見ているようですが?」

「っ!? い、いや……ほら、何の本を読んでるのかなって思って!」

 

 

こっちの心が読まれたのか、流石は宇宙一の殺し屋、こっちが盗み見していることはバレバレだったらしい。慌てながらもとっさにそう切り返すも

 

 

「……『人体の急所について』です。気になるならお貸ししましょうか?」

「え、遠慮しとく……」

 

 

さも当然のように物騒な本を勧めてくるヤミに顔を引きつかせるしかない。そんな本を朝から家のリビングで読まないでほしい。そもそもそんな本が学校の図書館にあったのか気になるが聞く勇気はない。それともあれだろうか、今度とらぶるしたら急所を狙うという宣言だろうか。

 

 

「そういう貴方は何を読んでいるんですか?」

「オレ? えーっと『宇宙の動物図鑑』だったかな? ナナから借りたやつなんだけど中々ゆっくり読む機会がなかったからさ」

「プリンセスナナは確か……動物と話せる能力を持っていましたか」

「ああ。オレも動物好きだから気をきかせて貸してくれたんだ」

「なるほど……他人が苦手だから動物に逃げているのかと思いましたが違っていたようですね。まあ、私も人のことは言えませんが」

「…………」

 

 

ピンポイントでこちらの急所を貫いてくるヤミに返す言葉がない。しかもさらっと自虐も混ざっている。もしかしたらあの本は他人の心の急所を抉る方法が書かれているのかもしれない。

 

 

「しかし私には姉妹がいないので分かりませんが、プリンセスナナとプリンセスモモは双子なのに全く似ていませんね」

「確かに……まあ、似ていないのはララも含めてだけどな。ただモモに関しては……うん、また夜にやってきそうで怖いな……」

 

 

お茶を飲みながら心からの本音を口にする。あの三姉妹は容姿はともかく性格が全く違う。特にナナとモモは真逆と言ってもいい。同時によみがえるのは一週間前の悪夢。またあの時のようにこっちにもやってくるのではないかと戦々恐々としていたのだが今のところは音沙汰なし。どうやらいらぬ心配だったらしい。だが

 

 

「……? 何を言っているんですが? プリンセスモモなら昨夜も来ていましたよ」

「…………え?」

 

 

ページをめくり本を読みながら何でもないことのようにヤミは爆弾発言を投下する。思わず頭がショートして固まってしまう。いったい何を言っている理解できるまでどれだけの時間がかかったか。

 

 

「モ、モモがこっちに来てたのか……!? なんで……オレ、全然気づかなかったぞ!?」

「貴方は寝ていましたから。恐らく一週間前と同じく貴方のとらぶるが狙いでしょう。夜這いと言った方が正しいかもしれませんが……びっちですね」

「そ、そうか……でもどうしてオレの部屋に入ってこなかったんだ?」

「私が追い払いましたから。業務外とはいえ一応護衛にあたりますし……ただ聞き入れてはもらえなかったので実力行使でお帰りいただいていますが」

「いただいているってことは……何回も来てるのか……?」

「およそ二日に一回ですね。最近はなりふり構わなくなってきたのか植物を使役してきていますが対応できる程度のレベルです。その分の手当てはデビルーク王に請求しているので気にしないでください」

「…………ありがとうございます」

 

 

ただ感謝の言葉しか出てこない。知らない間に自分の貞操が危機に陥っていた事実に戦慄するしかない。まさか殺し屋でも賞金稼ぎでもなく婚約者候補の妹から護衛してもらうことになるなんてどうなっているのか。できればずっと知らないでいたかった事実だった。そんな中

 

 

「おはよーみんな! 遊びに来たよ!」

 

 

こちらの憂鬱な気分を吹き飛ばして余りあるプリンセスが姿を現す。モモとはまた違う意味で自分にとっては頭を悩ます存在なのだが同時に感謝するべき存在でもあるのが困りものだった。

 

 

「おはようララ、今日も元気そうだな」

「もちろん! ヤミちゃんもおはよう! 今日も読書? ほんとに本が好きなんだねー」

「おはようございますプリンセス。今日はいつもより遅かったんですね」

「うん、ナナとモモがまた喧嘩しちゃって、その仲裁をしてたら遅くなっちゃった」

「そうか……なあララ、ナナとモモって最近どんな様子だ?」

「最近? ナナは機嫌が良さそうだけど、モモはなんだかイライラしてるかな? いつもはそんな娘じゃないんだけど、理由を聞いても教えてくれないし、力になってあげたいんだけどなー」

 

 

うーん、と悩んでいるララの姿に姉としての優しさを垣間見るも原因が自分にあるとはとても言えない。きっと力になってあげることもできないだろう。というかララが知ったらどうなるのか想像できない。間違いなく悪化するのは目に見えているのだが。ある意味一番事情を知っているはずのヤミは完全に読書モード。

 

 

「それはまた今度するとして……ねえリト、今日は外に遊びに行こうよ! 今日は学校休みなんでしょ?」

「遊びにか……行ってもいいんだけど、今日は雨だしな」

「雨だとダメなの?」

「とらぶるしたときの被害が洒落にならないからな。服もぐちゃぐちゃになっちゃうし、雨の日は基本的に外出しないことにしてるんだよ」

「そっかー、今度いつでも晴れにできる発明品つくってこようかなー」

 

 

外に遊び行く気満々だったのか意気消沈しながら窓の外の土砂降りの雨を見つめているララに申し訳なく思うもこればっかりは仕方ない。できれば発明品に関しても勘弁してほしい。きっと碌でもないことになるのは間違いないのだから。

 

 

「うん、じゃあ今日は家の中で遊ぶことにするね! ちょっと待っててねリト、今準備するから」

 

 

気分を切り替えどうやらララは家で遊ぶことに決めたらしい。まあそれなら付き合っても問題ない。読みかけの本をテーブルに置きながら改めてララに目を向けると同時に吹き出してしまう。なぜなら

 

 

「お、おまっ!? なんで服を脱ぎだしてるんだよ!?」

 

 

目の前でララが服を脱ぎだしているのだから。もう既に上半身は裸、今まさにスカートを脱がんとしている半裸状態。初めて出会った時を彷彿とさせる痴女っぷり。

 

 

「え? だってこれからとらぶるしないといけなんだから脱いでるだけだよ?」

「とらぶるするのになんで脱ぐ必要があるんだよ!?」

「だってとらぶるすると最近リト服を脱がしてくるんだもん。なら最初から脱いでた方が手間がかからないかなって」

「ど、どういう理屈だよ……頼むから服は着てくれ……オレが悪かったから……」

「? 別にリトは悪くないんだけど、リトは服を着てる方がいいんだね、分かった!」

 

 

呆れと申し訳なさから顔を両手で覆いながら服を着てくれるように懇願する。ララの羞恥心のなさもだがそれ以上に自分のとらぶるの酷さに呆れ果てるしかない。明らかにララに会ったばかりのころに比べてえっちぃ度が増している。服の上からだったのが今は服を脱がせたうえでのとらぶるになりつつある。最近はララもとらぶるに慣れてきたのか、それとも自分の手つきのせいか。とらぶるの際に変な声をあげるようになってきている。まるで何も知らない女の子を好き勝手しているような(ある意味その通りなのだが)罪悪感に苛まれるももはやどうしようもない。

 

 

「あ、そうだ! たまにはヤミちゃんもしてみる? その方がリトもやりやすいかも」

「いえ、私のことはお気になさらずに。お楽しみください、プリンセス……」

 

 

この状況をどうにかできる唯一の可能性がある金色の闇は完全に観戦モード。えっちぃことが嫌いなはずのヤミなら止めてもおかしくない状況なのだがどうやらララとのとらぶるに関しては不可侵領域らしい。

 

 

(ヤミの奴どうしてララとのとらぶるは止めに来ないんだ……? モモのことは邪魔してるのに……あ、もしかして……!?)

 

 

以前から不思議で仕方なかったことにようやく気付く。そうモモという比較対象ができたことで。それは

 

 

(オレとララが婚約者候補だからか……! だからヤミはララだけは特別扱いしてるのか!)

 

 

自分とララが婚約者候補だから。ヤミがどこか古い貞操観を持っているのはもはや疑いようがない。ヤミからすれば候補とはいえ自分とララは婚約者。いわば夫と妻のようなもの。思うところがないわけではないだろうがそのせいもあってえっちぃことも見逃されているのだろう。対してモモはそうではない。あろうことか婚約者の妹でもある。だからこそヤミにとってモモはびっちであり自分のとらぶるに巻き込まないようにしているのだろう。だがそれはいいことばかりではない。なぜなら

 

 

(これってもしかして……オレとララが嘘の婚約者候補だってヤミにバレたらまずいんじゃ……)

 

 

一気に血の気が引いてくる。もし嘘だとばれたらどうなるのか。今までの拳の制裁どころではない。刃であの本の通り急所を貫かれてしまうかもしれない。精神的にではなく物理的に。

 

だが今更ララとのとらぶるをやめることはできない。ララの厚意を無下にすることになるのに加え、逃げても無駄だと悟ったからこそ。デビルークの女性は逃げる男性を追いかける習性があるらしい。まだ追いかけられたことがないのはナナだけ。どうかナナだけは健やかにあのまま育ってほしい。

 

 

「よーし! じゃあ行くよリト!」

「お、おう……こ、来い……!!」

 

 

嬉しそうに手を振りながら合図を送ってくるララを前にして、できるだけの虚勢を張りながらこちらも構える。だが知らず体は震え、へっぴり腰になっている。一番の目標は唇へのキスをしないこと。次に胸に吸い付かないこと。服を脱がさないこと……はもはやあきらめる。

 

 

「何やってるのあの二人?」

「いつものことです」

 

 

洗い物を終えこちらにやってきた美柑とヤミがそんなやり取りをしているのを耳にしながらもいざ、と気合を入れたのも束の間

 

 

「あ! そうだ、すっかり忘れてた! わたし新しい発明品作ってきてたんだった!」

 

 

ようやく思い出したとばかりにララはごめんねとばかりにごそごそと何かを探し始める。

 

 

「そ、そうならそうと早く言えよ! 危うく今日の分消費するところだっただろ!?」

「つい癖で忘れてたの……えーっと確かこのあたりに……あった!」

 

 

まるで四次元ポケットのような謎の袋をいじりながらようやくララはその手に光線銃のようなどこか物騒なものを持っている。明らかに嫌な予感しかしない発明品。以前のノーすりっぷくんは成功品だったがそれ以上に失敗作が多いことを既に自分は身をもって体感していた。

 

 

「なんだそれ……? いったいどんな効果が」

「じゃあいくよリト、えい!」

「ちょっと待―――!?」

 

 

こちらの質問も何のその。ララは何のためらいもなくその光線銃を自分に向かって放ってくる。瞬間、自分の体は光に包まれる。痛みはないがまるで身体に電流が流れるような感覚。だが何も起こらない。いったい何が変わったのか。だがようやく気付く。目の前の二人、ヤミと美柑が驚いたような表情を自分を見ていることに。いや、正確には自分の胸元を見ていることに。

 

 

「な、なんじゃこりゃ―――!?」

 

 

そこには本来の自分にはない二つの大きな塊がある。明らかに普通よりは大きいであろう二つの果実。それだけではない。代わりに股間にあるべきはずのものが消失している。身体の肉付きも明らかに変わっている。ようするに

 

 

「うん、成功! ちゃんと女の子になってるよリト! この発明品名前は何がいいかな? 男女チェンジくん?」

「そ、そんなことどうでもいいだろ!? な、なんでオレが女になることがとらぶる対策になるんだよ!?」

「え? だってリト女の子にとらぶるのが恥ずかしいんでしょ? ならリトも女の子になれば恥ずかしくなくなるんじゃないかと思って」

「そんなわけないだろ!? むしろ余計に恥ずかしくなるわ!」

 

 

そんな意味不明なララの理論にめまいを起こしそうになる。いったい何がどうなったらそんな結論に至るのか。何も根本的な解決にもなっていない。どころか状況が悪化しかねない。

 

 

「そーなの? ならわたしが男の子になればいいのかな?」

「なんでそうなる!? いいから早く元に戻してくれ!」

「あ、ごめんリト。これ、一度使ったらしばらく元に戻れないの。でも半日もしたら元に戻るから心配しないでいいよ」

「半日!? 半日もこのままなのか……?」

 

 

明かされる驚愕の事実に言葉も出ない。このまま半日も過ごさなくてはいけないのか。同時に戦慄が走る。もしこのままであれば起こるであろう、諸々の問題。

 

 

「…………」

 

 

恐る恐るシャツの首元をから自らの胸元をのぞき込む。そこには自分の体なのに自分の体にはない二つの膨らみがある。変な汗とともに唾を飲み込んでいると

 

 

「えっちぃですね……自分の体に欲情しているのですか」

「っ!? ち、違うって……オレはただ自分の体がどうなったのか気になっただけで……」

「? リト、おっぱいが見たかったの? わたしの見せてあげようか?」

「いや、いい……もう見慣れてるし……」

「何気に失礼なこと言ってるって自覚ある、リト?」

 

 

呆れ気味の美柑の突込みに返事をする元気も残っていない。この調子ではとても下に関しては耐えられそうにない。こうなったら半日トイレだけは我慢しなくては。そんなことを決意していると

 

 

「よし、じゃあ続きだね! 行くよリト!」

「は? い、いやちょっと待てなんでそうなる!? ここはいったん中止して――――」

「激しくなるなら部屋でしてよ? わたしの教育に悪いから」

 

 

何がよしなのか。そしてどこか軽蔑のまなざしを向けてくる妹に文句の一つも言いたいところだがそんな暇はない。そのままララと一緒に女同士(体だけ)でのとらぶるを発生させてしまうはずだったのだが

 

 

「…………え? な、何だ……? 何も起きない?」

 

 

何も起きない。転ぶことも、体を触ってしまうこともない。確かに溜まっているはずなのにとらぶるが起こらない。あり得ない事態だった。

 

 

「? どうしたの、リト? 調子が悪いの?」

「そ、そうじゃない! とらぶるが起きないんだ! まさか……女の体になったからか? それとも発明品の副作用か……?」

「そうなの? でもこの発明品でそんな副作用は起きないと思うんだけど……」

 

 

理解できない事態にあたふたするも答えは出ない。ララも首をかしげるだけ。

 

 

「ま、いっか! とらぶるは起きなくなったし、これから女の子になればいいんじゃない、リト?」

「そんなわけにはいかないだろ……まあ、とらぶるが起こらないのは助かるけど……」

 

 

何とも言えない気分になってしまう。とらぶるが起こらなくなって本当なら小躍りしたいほど嬉しいはずなのに全然嬉しくないなんて。棚から牡丹餅だったのに、よく見たらそれが腐っていたみたいな状況。

 

 

「でも、うーん……」

「どうした、何かあったのか?」

 

 

だがララは何が違和感があるのか、悩むようにそわそわしている。もしかして何か原因に心当たりがあるのか。そんな期待はしかし

 

 

「うん……やっぱりリトにとらぶるされないと落ち着かないなって。ねえリト、とらぶるじゃなくていいから触ってくれない?」

 

 

どこか欲求不満げに自らの胸をもみながらさも当然とばかりにララはそんな理解できないことを口にし始めてしまう。

 

 

「な、なんでそんなことしないといけないんだよ!? それじゃとらぶるがなくなった意味がないだろ!? 自分で触ってればいいじゃないか!」

「えー、でも自分で触るのとリトに触ってもらうのは全然違うんだけどなー……ヤミちゃんもそう思うでしょ?」

「……ノーコメントで」

「ララさん、とらぶる中毒になっちゃってるみたいだね」

 

 

まるで自分が薬物だと言わんばかりの扱いに途方に暮れるしかない。もちろん責任は自分あるのだがもう少しどうにかならないのだろうか。そんな中、

 

 

「あ! 見て見てリト! 天気になってきたよ!」

 

 

外の天気が晴れてきたのに気付いたのかララは子供のようにはしゃいでいる。しかし自分と美柑は驚きで目を丸くするしかない。

 

 

「うそ……? 今日って一日雨って予報じゃなかった……?」

「そうだったと思うけど……このあたりだけ晴れてるのか?」

 

 

確か今日は一日中大雨の予報だったはず。だが先ほどまでの雨が嘘のように天気は晴天。虹までかかっている。まるでララの願いがかなったかのような行楽日和。

 

 

「これなら大丈夫でしょリト? とらぶるも起きないし、遊びに行こうよ!」

「ま、まあ……それはいいけど、ヤミと美柑はどうする?」

「わたしは家の掃除をする予定だったからいいよ。代わりに夕食の食材だけ買ってきてくれる? カレーだから」

「……私は付いていきます、護衛ですから。プリンセスがいる以上あまり必要ないかもしれませんが……」

「そんなことないよ。じゃあ行こう二人とも!」

 

 

早く早くとばかりに自分とヤミの手を引っ張りながらララは走り出す。とらぶるはなぜか収まっているがその代わりに女の体という別の問題を抱えながらとらぶるな休日が幕をあげたのだった――――

 

 

 


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