もし結城リトのラッキースケベが限界突破していたら 【完結】   作:HAJI

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第三十八話 「進化」

高校一年の二学期。ララが転入してくることからそれが騒がしくなることは覚悟していた……はずだったのだが。

 

 

「久しぶり、リトお兄ちゃん、ヤミお姉ちゃん♪」

 

 

目の前の状況は完全に想定外。見慣れていない制服姿ではあるが、その赤毛を忘れるわけがない。突然の登場にフリーズし、一限目の授業が終わるまでただそわそわしながら待ち続けるしかない。そしてようやく休み時間。

 

 

「メ、メア……お前、どうしてこんなところに?」

「どうしてって、遊びに来たに決まってるでしょ? ヤミお姉ちゃんだって言ってたじゃない、遊びに来てもいいって」

「確かに言いましたが……それがどうして学校に来ることになるんですか?」

 

 

まるで悪戯が成功した子供のように舌を出しながらメアは上機嫌。対して自分とヤミは困惑の表情を隠し切れない。とりあえず、他人に聞かれるのは色々問題があるので教室の隅っこに移動。転入生二人が揃っていることからクラスの視線を感じるが甘んじて受けるしかない。

 

 

「あは、あたしもお姉ちゃんと同じように『地球人ごっこ』してみようと思ったの♪」

「……意外ですね。そんなにすぐ考えが変わるとは思いませんでしたが」

「もちろん、あたしたちが兵器だってのは変わらないよ? でも……うん、ヤミお姉ちゃんが言ってることも素敵だなって感じちゃったから」

 

 

嘘はないのだろう。どこか目を輝かせ、うっとりとした表情でメアは自らの目的を明かしてくる。『地球人ごっこ』というのは確か、初めて地球であったときにヤミに言っていた言葉だったはず。直接は見ていないが、二回目の喧嘩の時にメアの心情が変わるような何かがあったのだろう。だからといって学校にやってくるのはどうかと思うが。

 

 

「それにちゃんとマスターには許可をもらったから大丈夫だよ」

 

 

付け足すようにメアは続けてくる。言われてようやく思い出す。メアの主人であり、もう一人の変身兵器であるネメシス。だがその姿が見当たらない。こんなネメシスからすれば楽しいイベントを見逃すなんて。そんなことを考えていると

 

 

「あ、そういえばネメちゃんは一緒じゃないの? メアちゃんといつも一緒にいるんでしょ?」

 

 

自分が尋ねるよりも早く、ララが楽し気にメアに話しかけていく。ネメちゃん、なんて呼び方をするのはきっとララだけだろう。それはともかく確かネメシスは変身融合でメアを宿主にしているらしいので、もしかしたらそこに隠れているのだろうか。

 

 

「……マスターは今はいないよ。ちょっと調べものに出かけてるから。そのうち帰ってくると思う」

「そうなんだー、残念。約束したお茶会しようと思ったのに……じゃあメアちゃんだけでも仲直りのお茶会しない?」

「……いい。あたしが喧嘩したのはヤミお姉ちゃんだし、マスターがそうしろって言うんなら従うけど」

「分かった! じゃあネメちゃんが帰ってきてからだね!」

 

 

楽しみだねーとはしゃいでいるララ。だが自分はとてもそんな風にはなれない。

 

 

(あの態度……メア、やっぱりまだデビルークのこと敵だと思ってるのか?)

 

 

それはメアの態度。ララが話しかけた途端、どこか冷たい瞳と口調になってしまった。変身兵器にとってデビルークは倒すべき敵だという認識はまだ変わっていないのかもしれない。ララを無視していないだけ以前よりはマシなのかもしれないが。それを知ってか知らずか、ララはいつも通り天真爛漫さを振りまいている。心配しているのは自分だけ。

 

 

「じゃ、じゃあメアは……本当に遊びに来ただけなのか?」

「そうだよ? 心配しなくても、もうリトお兄ちゃんを攫ったりしないから」

 

 

クスクス笑いながら告げるメアに苦笑いするしかない。どうやらもう自分を狙う気はメアにはないらしい。あくまで今のところは、だが。いろいろ気になることはあるがそこだけ確認できて安心したと思ったのは束の間

 

 

「でも、リトお兄ちゃんに会いたくて来たっていうのもあるかな。どうしてもあの一週間が忘れられなくて♪」

 

 

メアはどこか小悪魔のような笑みを見せながらこちらににじり寄ってくる。その容姿と合わせて妖艶さを醸し出している。そのままではとらぶるの範囲に入られてしまうので思わず後ずさるも逃げ場はない。同時に思い出すのは一か月前のこと。

 

 

「なっ……いきなり何の話をしてるんだ!?」

「何って、とらぶるの話に決まってるでしょ? あれから体が疼いて仕方がなくて、自分でシてみたんだけどやっぱりリトお兄ちゃんにシてもらうのとは全然違うから」

「やっぱりメアちゃんもそう思う? 自分で触るのとリトに触ってもらうのとじゃ全然違うもんね。ヤミちゃんもそう思うでしょ?」

「……ノーコメントで」

 

 

自分のとらぶるのことを赤裸々に話し始める女の子達に申し訳なさと羞恥から反論することもできない。というか何で男の自分が恥ずかしがっているのか。そもそも何故目の前の三人は恥ずかしがらないのか。メアとララはまだ分かるが、ヤミも涼しい顔をしている。えっちぃことが嫌いだったヤミですらその有様。もしかしたら自分のせいでヤミの基準もおかしくなってきているのかもしれない。

 

 

「だからリトお兄ちゃん、あたしにはとらぶる遠慮しなくていいからね? 今も溜まってるんでしょ? それとも四回目待ち?」

「残念ですが五回目待ち、ですね。貴方たちが去った直後からさらに回数が限界突破したようなので」

「じゃあ最高で五回になったの!? 流石リトお兄ちゃん……素敵♪」

「お、お前らな……」

 

 

あんまりな扱いに呆れながらも、その会話の内容がマズすぎる。事情を分かっている自分たちはいいが、誰かに聞かれたら誤解されて当然の発言のオンパレード。悲しいことにえっちぃことには変わりはないのだが。だが

 

 

「あ、貴方たち、学校でなんて話してるの!? は、ハレンチだわ!」

 

 

そんな自分の心境を代弁するかのように甲高い声が後ろから響き渡る。そこには椅子から立ち上がり、顔を真っ赤にしながらこちらを指さしている古手川の姿。どうやら盗み聞きしていたらしい。風紀委員としてはどうなのかと思うが、反論もできない。ある意味古手川は自分にとって天敵ともいえる存在なのだから。

 

 

「……誰?」

 

 

だがそんな古手川を見ながらもメアは全く動じない。というか全く興味がないかのように頭の上には?マークが浮かんでいる。メアにとって自分たち以外のクラスメイトは最初から視界に入っていなかったらしい。

 

 

「ク、クラスメイトの古手川よ! それよりもさっきから何の話をしてるの!? ここは学校なのに、そんなハレンチな話ばかりして……風紀委員として見過ごせないわ!」

「こ、古手川……す、少し落ち着けって……みんなこっち見てるだろ?」

「っ!? ご、ごほん! とにかく、転入生だからって許されるものじゃないわ。それにそんなにくっついて、ハレンチよ!」

「メア、お前いつの間に!? 早く離れろって!」

 

 

どこかヒステリックに叫んでいる古手川に気を取られている間にメアが自分の腕にしがみついている。幸いにもとらぶるは起こらなかったようだが油断はできない。何とか引き離そうとするもやはりメアも宇宙人。身体能力ではとても敵わない。どうしたものか途方に暮れていると

 

 

「……ねえヤミお姉ちゃん、ハレンチって何?」

 

 

まるで内緒話をするようにひそひそとメアは姉であるヤミに質問する。どうやら古手川がよく口にするハレンチという言葉の意味が分からないらしい。確かにそんなに使う言葉でもない。ある意味古風な古手川らしい表現なのだろう。そんな妹の質問に

 

 

「えっちぃの最上級です」

 

 

まるで英単語を教えるようにヤミは告げる。どうやらヤミにとってハレンチという言葉はえっちぃよりも上の言葉らしい。

 

 

「そっか、リトお兄ちゃんみたいな人のことなんだね。流石リトお兄ちゃん……ハレンチ♪」

「素敵の代わりに使うな!? どうみてもお前が言われてるだろ!?」

 

 

新たな口癖を思いついたとばかりに自分をハレンチ呼ばわりしてくるメア。やはりこの娘はララやヤミとは違う意味でまずい。えっちぃことが自然なことだと思っている分、どこか無邪気で悪意がない。時折見せるドSさはきっとマスター譲りなのだろう。

 

 

「なんでみんなえっちぃことを恥ずかしがるのかな? それって普通のことでしょ? それとも、えーっと……ハレンチ先輩はえっちぃことはしないの?」

「ハ、ハレンチ先輩!? わたしは古手川よ! それにエッチなことがその、悪いんじゃなくて……人前でするのがいけないって言ってるだけです!」

「メア、ここは地球です。それに言ったでしょう、遊びに来るのはいいがえっちぃのは見過ごせないと」

「むー……お姉ちゃんのいじわる」

 

 

ヤミの言葉に渋々納得したのか、頬を膨らませながらメアはようやく自分の腕を解放してくれる。そこだけ見れば微笑ましい姉妹なのだが巻き込まれるこっちとしてはたまったものではない。とらぶる的な意味ではこっちが巻き込んでいるので口には出せないのが辛いところ。

 

 

「そういえば……なんで黒咲さんは結城君とヤミさんのことをお兄ちゃん、お姉ちゃんって呼んでるの? まさか本当に兄妹なの……?」

「ち、違うって! それはその、メアが勝手に言ってるだけで」

「あ、ひどいリトお兄ちゃん! 血は繋がってなくてもあたしとお兄ちゃんは兄妹なんだから!」

「そ、そう……いろいろ事情があるのね……」

 

 

触れてはいけない家庭の事情があると勘違いしたのか、古手川はどこか神妙な表情でこちらを見つめてくる。その純粋さを前にして心が痛い。もしかしたらベクトルは違うだけで、古手川はララと同じぐらい純粋なのかもしれない。

 

 

「そう、兄妹でも血が繋がってないからえっちぃことしても問題ないんだから♪」

「なんでそこを強調する必要がある!?」

「ち、血が繋がってないって……それって、あの義理の兄妹ってこと……? あのドラマとかでよく見る……」

「大丈夫ですか、古手川? あまりメアの言うことを真に受けない方がいいですよ。この星の一般常識とはかけ離れているところが多いですから」

「え……? そ、それって黒咲さんも宇宙人ってこと? 宇宙人がどうしてこんなに簡単に学校に転入してこれるのよ!? しかも同じクラスに二人同時にって、どう考えてもおかしいでしょ!?」

 

 

(なんだろう……オレ、今なら古手川と仲直りできるような気がする……)

 

 

あまりにも非常識な出来事の連続に古手川は頭を抱えながら混乱中。だがそんな光景にどこか郷愁すら感じる。ララが家出で家に来てから遥か彼方になくしてしまった自分の常識。それをまだ古手川は持っているのだと。悲しいことにその非常識さはこれからなのだと教えたいところだが今はまだ無理だろう。そんな中

 

 

「おやおや、何やら騒がしいと思えばこのクラスでしたか」

 

 

騒ぎを聞きつけたのか、教師が教室に入ってくる。このままではマズいと焦ったの束の間。思わず体が固まってしまう。なぜなら、違う意味でマズい人物がやってきてしまったのだから。

 

 

「あ、校長先生おはようございます! 今日からよろしくお願いします!」

「ほうほう、しっかり挨拶ができるとは流石ですねララちゃん。ヤミちゃんも一緒でしたか。今日から二学期、よろしくお願いしますぞ」

「…………ヨロシクオネガイシマス」

 

 

元気一杯のララとは対照的に、ヤミはどこか乾いた表情を見せながらカタコトで形式上の挨拶をしている。もはや言葉にするまでもない。一学期にあれだけお仕置きされたにも関わらず懲りていないらしい。そんな校長を警戒してか、古手川も厳しい表情をしている。生徒に警戒される校長なんてこの人ぐらいだろう。

 

 

「おや、君は確か昨日の……」

「黒咲芽亜です。今日からよろしくお願いします♪」

 

 

そんな校長を知っているのかいないのか。ララに負けず劣らずの笑みを見せながらメアは校長に挨拶している。だが問題はそこではない。

 

 

「き、昨日って……まさか昨日転校してくることが決まったんですか!?」

「いやーワシも驚きましたぞ。まさかヤミちゃんに妹さんがおられるとは……しかも同じクラスにしてほしいと頼まれましてな。色々問題はありましたが、可愛いから良しとしましたぞ!」

「すごーい! やっぱり校長先生って偉いんだね!」

 

 

無邪気に感心しているララはともかく、こちらとしては呆れるしかない。まさか前日に転校することが決まったなんて。可愛ければ全て良し。逆に清々しさすらある。色々言いたいことはあるが自分も同じ方法でララを転入させてもらったので何も言えない。

 

 

「いやーそれにしても……」

 

 

顎に手を当てながら校長はそのサングラスの奥からメアをじろじろと見つめている。まるで舐め回しているかのような気持ち悪さ。

 

 

「むむむ……やはりヤミちゃんの妹だけあって凄まじい美少女力、しかもララちゃんやヤミちゃんにはない『野生』とでもいうべき魅力……ワシの中のナニカがふつふつと盛り上がってきますぞー!」

「ヤセイ?」

 

 

きょとんとしているメアとは対照的に、校長はまるで体から何かが溢れだしそうなのを耐えるように震えている。一か月ぶりに見る校長の変態性。だがここは教室の中。いくら何でもここでえっちぃことはするはずがないだろうというはかない望みは

 

 

「め、メメ、メアちゅあ――ん! お姉ちゃんと一緒に、ワシとくんずほぐれつの学園ライフを満喫しましょ――う!!」

 

 

無残にも砕け散る。そのまま校長は間髪入れずにメアに向かって突撃していく。自分のとらぶるもかくやという勢い。しかしその姿にいつかの記憶が蘇ってしまう。一か月前、メアの言葉を真に受けて校長をトレースし、襲い掛かった記憶。本物には遠く及ばないが、それがこんなにも変態にみえるとは。激しい自己嫌悪に陥りながらもメアを助けなければと思うよりも早く

 

 

「ひょ?」

 

 

校長はまるで人形が止まったように、完全に動きを止めてしまった。

 

 

「そのえっちぃさは嫌いじゃないけど……あたしとえっちぃことしたいなら、お兄ちゃんのとらぶるぐらいの力はないとね♪」

 

 

得意げにメアは自分の前で固まってしまっている校長をからかっている。その赤いおさげが校長の首筋と同化している。精神支配。精神侵入の応用で他人の身体をジャックするメアの能力。それによって今、校長は文字通りメアの操り人形になってしまっていた。自業自得なので全く同情できない。

 

 

「でも、ちょっと校長先生の頭の中は興味があるかも♪」

 

 

そんな校長に興味が湧いたのか、メアはそのまま目を閉じながら動きを止めてしまう。きっと精神侵入で校長の心の中に入って行ってしまったんだろう。だがその感覚を知っている自分としては複雑。疚しいことはなくても、やはり他人に心を覗かれるのは恥ずかしい。だが

 

 

「…………え?」

 

 

それはメアの声だった。だが明らかに様子がおかしい。精神侵入は相手の心を支配できる状態。メアは絶対的に優位にいるはず。なのにメアは目を見開き、口をパクパクさせている。顔は真っ赤に染まり体は震えている。あり得ない、今まで見たことのない表情。

 

 

「…………ケ、ケダモノ」

 

 

絞り出すようにメアはそんな言葉を口にしている。そこにはもはや自分が知っているメアはない。その姿にいつかのナナが重なる。あのメアがこんなになるなんて、いったい校長の頭の中はどうなっているのか。

 

 

「ムヒョ――! 素晴らしい、感じますぞ! 今、ワシがメアちゃんと『繋がっている』のを!」

「ひっ!?」

 

 

瞬間、校長がはじけ飛ぶように動き出す。未だに精神支配は解除されていないにもかかわらず。それすらも突破してしまう校長の変態。自分の能力が破られてしまったことか、それとも校長自身に恐怖したのか、メアは怯えるような声を出すことしかできていない。

 

 

「さあ、心だけでなく、体もワシと一つになりましょう――――!!」

「っ!? メ、メア、危な――――っ!?」

 

 

あまりに予想外の事態にヤミもララも動けていない。動けるのは自分だけ。だがこのままメアに飛びついても助けることはできない。どうにか校長から離れたこっちまで引き寄せられれば。そう考えた瞬間、とらぶるが発動する。だがそれはいつもとは違っていた。

 

 

「え?」

 

 

何故なら自分ではなく、メアが足を滑らせて転んでしまっていたから。しかもそのまま引き寄せられるようにこっちに向かってくる。この光景をいつか見たことがある。

 

 

(これって、もしかしていつかのザスティンさんの時と同じ……!?)

 

 

忘れるはずのないセカンドキスの記憶。その時と同じように、自分では相手が転んでしまうという状況。

 

 

(こ、このままじゃみんなの前でメアをとらぶるに巻き込んじまう!? そ、それだけは――――)

 

 

だがそれでは意味がない。校長から助けられてもとらぶるしてしまえばメアはえっちぃ姿をクラスメイトに晒すことになる。それだけはできない。メアは気にしないかもしれないがそれだけは。一瞬、いつか古手川を泣かせてしまった悪夢の光景を思い出しながらも必死に抗おうとするもそのままとらぶるしてしまう。

 

しかしいつまで経ってもあの慣れ親しんだ感触がない。おっぱいも、秘所も、肌にキスする感触も。あるのは自らの股間が何故かスース―することだけ。恐る恐る目を開けたそこには

 

 

「…………へ?」

 

 

股間、自分自身が露わになっている状況があった。自分のズボンとパンツをメアが掴んだまま下げてしまっている状態。初めてララととらぶるした状況、互いに相手の秘所を見つめるよう体勢。ただあの時と違うのは脱いでいるのが自分だけということ。

 

 

メアの痴態を衆目の晒したくない、というリトの強い意志がもたらしたとらぶるの力。逆ラッキースケベ。ただ問題があるとするならば、女の子に恥ずかしい思いはさせずに済んでも自分は逃れられない、ということ。

 

 

「――――素敵(ハレンチ)♪」

 

 

どこか恍惚とした表情を見せながらメアはそう呟く。自分を助けてくれたこととリトの秘所を目の当たりにした感想を合わせた言葉。

 

 

「ご、ごめんなさーい!」

 

 

果たして誰に謝っているのか。そのままリトは脱兎のごとく教室から走り去ってしまう。ララは慌ててその後を追い、ヤミは溜息を吐き、古手川は顔を真っ赤にしながらもどこか複雑そうな表情を見せている。誰も気にしていないがその隣では目標を見失い壁に突き刺さっている校長の姿。あまりにもめちゃくちゃな光景。

 

 

「――――あは、これから面白くなりそう♪」

 

 

それを見ながら、メアはこれから始まる楽しい地球人ごっこに胸を躍らせるのだった――――

 

 

 

ちなみに校長はそのあとこっぴどくヤミにお仕置きされるも、どこか恍惚とした表情を浮かべていたという。

 

 

 


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