Fate/kaliya 正義の味方と桜の味方【完結】   作:faker00

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エタッたと思いましたか? 正直自分でも危ないと思った時もありました(小声)


第21話 未遠川血戦 中編

「皆の者、取り敢えず今夜は休戦といこう。異論のある者は居らんな?」

 

「ああ。まずはあれをどうにかしなければ」

 

「賛成です。征服王。ここは皆の力を合わせるべき時だ」

 

 

「戦いに関係ねえ奴が無差別に殺されていくのを放っておくのは気乗りしねえ。その話、俺も乗ったぜ」

 

 未遠川に集結した英霊が共闘条約を締結する。その様子を、輪に入ることは出来ない雁夜とアイリスフィール、そしてウェイバーは息を呑んで見守っていた。

 

 現場へと辿り着いた雁夜とアーチャーが見たのは、未遠川全域を覆うように充満する障気、そして肥大化したかつてキャスターだった何か。

 あまりの異常事態を察知したセイバー、ランサー、ライダーも時を同じくして駆け付け、ここに英霊四人による仮初の共闘が実現したのである。

 

「で、まず当面の問題だが……余は神牛があるから良いとして、お前さん達はどうやってあれに近づく?」

 

 その中心にいるライダーが当たり前の疑問を呈する。このメンバーの中で空を飛べるのは自分だけ。他の三人はどうやって川の中心に位置するあの化け物に近づくのかと。

 

 

 

「侮るなよ、征服王」

 

 その問いにまずはセイバーが自信げに一歩踏み出す。

 

「この身は湖の乙女の加護を得ている。水の上を駆けることなど造作もないことだ」

 

 アーサー王伝説に欠かせぬ存在、湖の乙女ヴィヴィアン。彼女とアーサー王の接点として真っ先に挙げられるのはやはり、音に聞こえた伝説の名剣。星が鍛えた神造兵器、聖剣エクスカリバーを手渡したところだろう。

 だがその際に彼女が得たのは剣だけではない。

 言うなれば水そのものからの寵愛。セイバーにとって水と親愛なる友である。

 

 

 

「オレはセイバーほど大層なもんじゃねえが、少しばかり覚えがあってな。ま、不自由なく動くくらいなら問題ねえよ」

 

 ランサーもセイバーと同様水など障害にならぬと嘯く。

 彼を支えるは古代ケルトのルーンの秘術。魔槍ゲイボルグを用いた槍術による武勇伝がその伝説の大半を占めるクー・フーリンであるがその実ルーン魔術においてもその才は一流と呼んで差し支えないものなのだ──場合によっては、この聖杯戦争にもキャスターのクラスを以って参戦出来るほどに。 

 そんな彼からすれば水だろうがその程度で歩みを止めるような失態などありえない。

 

 

 

「ほう、流石だなお主達。さて……」

 

 そんな二人の答えにライダーは満足そうに頷き、視線をその隣へと移す。ランサーとセイバーもそれに倣う。

 だが三人ともその表情から思っていることが一致しているのは目に見えていた。

 

 どうせこいつなら何かしら手段を持っているのだろう。

 

 ここまでこの聖杯戦争を通じて常に一歩先手を取ってきたアーチャーのサーヴァント。心配せずともこの男ならどうにかするだろう、と。

 だがそんな期待に似た感情は、表情一つ変えずに淡々と紡がれた彼の一言で一気に瓦解することになる。

 

 

 

「残念ながらないな。私にそんな英雄じみたとんでもスキルなどありはしない」

 

「おー、上等上等……は?」

 

「まことですか……?」

 

「これはちと予想外ではあるのう……」

 

 三者の反応にアーチャーが少しだけ不機嫌そうに眉を顰めたのに気付く者はいない。

 

「本来人が水の上を歩く手段を当たり前のように持っている方がおかしな話だと思うがね」

 

「まあそりゃそうだけどよ」

 

「何というか少しだけ意外だったというか……いえ、別にいけないとか言っているわけではないですよ!」

 

 本当にそういうわけではない。ただなんというか、肩透かしを喰らったような感じになっただけだ。

 このセイバーの思いが現状を表すに最も適した表現であることはマスターも含めて疑いようもない。

 

「まあ良いわ。とするとアーチャーよ、お主はこの闘いどうするつもりだ?」

 

「私のクラスはアーチャーだぞ? 別に水の上を走れなかろうとやりようは幾らでも──」

 

 このままでは埒が明かないと踏んだのかライダーが核心を突く。

 少しだけ憮然としたようにアーチャーがその問いに答えようとした時、彼等英雄の時代ではまず聞くことなどなかったであろう轟音が空から響き、その言葉を遮った。

 

「──!! なんだありゃあ」

 

「飛行機……? しかし私が日本に来るときに乗ってきたものに比べると随分と形が」

 

「おお、ありゃB2に似とるな」

 

「なんでお前がそんなもん知ってるんだ!? やばい、もう自衛隊がこの事態に気付いてる!」

 

 まるで空気そのものが割れているかのような爆音に皆が耳を塞ぎ空を見る。

 その正体についてこの場で覚えがあるものなどほぼいなかったのだが、唯一俗世に身を置いてきた雁夜はいち早く事の重大さを理解することができた。

 

 自衛隊の参戦、それは隠匿されなければならないこの聖杯戦争が昼の世界に漏れ出すという魔術師なら即卒倒しかねない緊急事態。

 

「自衛隊!? なんだか知らねえがこの煩えのはどうにかなんねえのか!!」

 

「えーっと、簡単に言うとこの国の軍隊だ! 魔術師とか関係ない普通の人間のな!」

 

「軍隊!? まじかよ! オレ等の時代とは比べ物になんねえな。いやはや、今の戦いは空を舞台にするのか。感慨深いねえ……うお! すっげえ!」

 

「ミサイル撃っちまった……こりゃもう引き返しようがないな」

 

 軍隊と言う言葉にどこか心を惹かれるところがあったのか、今までさも鬱陶しいと訴えていたランサーの眼が少年のように輝いた。

 そしてその期待に応えるかのように2機から射出された計4発のミサイルがかつてキャスターだった怪物へ向かっていく。

 

 空を切り裂く対空ミサイルの威力は破格の一言に尽きる。単純に物理的な火力で考えれば、サーヴァントの宝具のそれにも決して引けはとらない──だが、それでも結果に期待する者など誰もいなかった。

 

 

「神秘は神秘でしか打ち崩せない。まあキャスターも堕ちるとこまで墜ちて神秘なんざ吹けば飛ぶ程度しか残っちゃいねえが。それでもただの物理じゃ流石に無理だ」

 

 呑み込まれたミサイルの末路を見てランサーがポツリと呟く。それは人類の英知が神秘に叩き落とされる音。

 その言葉を合図にするかのように英雄達は歩を川へと進める。

 

「さて、余達も行くとしようか」

 

「そうですね。あの者達の意気は立派ですが……この場においてなんの足しにもなりはしない」

 

「ま、運が良ければ逃げられるかもな。あの速度だけはオレらも凌ぐかもしれねえし」

 

 ここは我々の領分、今や幻と化したモノ達が世界を闊歩していた頃の戦い。そう告げるかのように。 

 

「「「いくぞ!!」」」

 

 ライダーは雷を伴い空へ、セイバーとランサー己の技を持って水へ。一夜限りの英雄達の共演が始まる。

 

 

 

 

 

「で、どうすんだアーチャー。完全に乗り遅れたわけだけど」

 

「──」

 

 隣で沈黙するアーチャーに雁夜はどうするのかと声を掛ける。

 本格的に戦いが始まってから二分と経たないうちにその激しさは泥仕合と呼ぶに相応しい物になっていた。

 英霊三人が集結する。その破壊力は軍隊にも匹敵しかねない。

 目の前で行われているのは紛れも無い戦争なのだ。そんな中に本来飛び込んでいけるだけの力量を持ったアーチャーは1人思案顔のまま。

 

「私の本来の戦い方に徹するのも悪くないが……あれを相手にするには些か火力が足りな過ぎるかもしれんな。見たまえ、セイバーとランサーがあれだけ潰しているにも関わらず手が全く緩まない。再生か、それとも増殖か。どちらか知らんが面倒だ。やるだけ魔力の無駄遣い、という結果にもならないとも限らない」

 

 水面を駆けるセイバー、ランサーは小さな竜巻のようなものだ。雁夜はそんな風に思った。

 近づくものは問答無用で呑み込まれ塵と化していく。その切れ味は衰えしらず。

 けれど、致命傷を与えるには至らない。それどころかダメージがあるのかさえも。

 

「じゃあこのまま見てるつもりか?」

 

「そのようなつもりはないさ。だが少し、な」

 

 アーチャーは無表情で戦況を見つめ続ける──そして、ふとなんの前触れもなく上を見た。

 

「ふむ……やはり現状"あれ"を使うのが一番効率が良いかもしれんな」

 

「あれ?」

 

 釣られるように雁夜も視線を上にあげる。

 視界に映るのは紫に霞がかった空と分厚い雲だけだ。その他に見えるものといえば──

 

「おい、ちょっと待てよアーチャー。まさかお前……」

 

「水の上がダメなら空を駆ける。実に合理的ではないかね?」

 

 

 

 

─────

 

 

「霊体化しているうちに撃墜されかかったのは流石に想定外だったが……まあ良しとしよう」

 

 あと一瞬遅れていたら全て振り出し、それどころか大ダメージを受けていた可能性もあった。

 霊体化することで空を飛び、機体の上で実体化する。アーチャーの取った行動は非常にシンプルなものだった。

 F-15の機動性はサーヴァントであるアーチャーを小回りが効かないということを勘定に入れてもなお凌いで余りある。それに加えてアーチャーが参戦する事で機体に乗る異世界に巻き込まれたパイロットの生存可能性も大幅に跳ね上がる。

 バカなように見えて非常に効率的に実を拾える可能性のある行動。実行に移す直前に鍵となる機体自体が落とされかかったのは冷静沈着なアーチャーを持ってして少し肝を冷やしたが、結果として成功したのだから贅沢は言うまい。

 

 常人なら身体が引きちぎれても可笑しくない風圧を受けながらアーチャーは平然と体制を建て直すと一つ呼吸をつく。 

 

「パイロット。聞こえているな? 君の思っている通りあれも、そして私も、正真正銘の化け物だ。仮に自衛隊が総力を結集したところでどうにかなる相手ではない。理を外れた存在なのだ」

 

「理だって?」

 

「ああ、今からそれを証明する。ミサイルの弾数は幾つだ?」

 

「さっき2発撃ち込んだから残り6発」

 

「それだけあれば上等だ。いいか、今すぐもう2発打ち込め。反撃の迎撃は私が行うから心配するな」

 

「……」

 

 迷うように沈黙するパイロットにアーチャーは顔を顰める。

 確かにミサイルというのは、軍人にとってある種の切り札のようなものだ。それが一度無力化された以上無駄撃ちを嫌がるのはまあ分からないでもない。だがそれでも今は必要、そして猶予はそう長くないのだ。

 

「仕方ないか……おい」

 

「分かった。やるぞ」

 

 あまり良い手段ではないが致し方あるまい。

 アーチャーが脅迫に近い対応を取ろうと決めたその瞬間、意を決したようにパイロットが頷いた。

 

「あとは任せたまえ」

 

 アーチャーの呟きをかきけすような爆音とともに2発のミサイルが両翼から放たれる。

 その結果は……予想通り。

 

「おい! やっぱりじゃねえか!」

 

 圧倒的な熱量に反応した怪物の反撃を長年の訓練で身につけた上下動で必死に躱しながら──その大半はアーチャーが撃ち落とし斬り落としているのだが──仰木が悪態をつく。

 言葉通り迎撃の殆どを引き受けている事には感謝するが、そもそもこんな事になっているのはこいつの言葉を信じたせいなのだ。文句か感謝かと言われれば、選ぶのは前者だ。

 

「ああ、そうなるだろうな」

 

 だというのに紅き弓兵の態度は僅かたりとも変化がない。

 何一つ変わらず淡々と悪魔を切り裂いていく。

 

「――ッはあ!!」

 

「ではもう一度だ。次は違った結果になる」

 

「……野郎っ! こうなりゃやけだこんちくしょう!!」

 

 三度轟く爆音。

 

 旅は道連れ世は情け、何て諺がある。この場面にその言葉が相応しいのか、答えは否だろう。

 だが正しいかどうかは問題ではない。

 こういう場面に必要なのは勢い。そう、不合理をも呑み込み納得させうる勢いなのだ。

 

 トリガーを引くと同時に身体にかかる後ろへ吹き飛ばされるような感覚。何か吹っ切れたような感覚とともに仰木は再び機首を上へ向けて上昇。敵の攻撃の方向を一元化し、対応を簡単にするのにはこれがベスト。

 

「うぇっ!?」

 

 垂直に上昇する機体に反比例するように高速で下へ落ちていく風景。その中で仰木の目は捉える筈のないものを捉えた。

 まるでスカイダイビングをするかのようなリラックスした体制。紅い男が遠ざかっていく。

 その姿を仰木は唖然と見送るしか出来なかった。

 

 

 

 

 

「神秘に対抗できるものは神秘のみ。人間の言う威力とは定義そのものが異なる」

 

 落下しながら独り言ち、アーチャーは弓をつがえる。

 

「この程度の接触ではとても本来意味などないが……これだけ"墜ちて"いれば充分だろう――いけ!」

 

 続けざまに放たれた2本の矢。

 有り得ない加速で空気の壁を突き抜けると瞬く間にミサイルの推進部へと吸い込まれていく。

 

「アイアス」

 

 人間の作る精密機械とはどこまでもピーキーだ。

 アーチャーは数瞬先の未来を見越して花弁を一枚のみ具現化する。

 多くの人命を背負うジェット飛行機ですらその百分の一にも満たない鳥一羽で墜ちることもある。

 なら更に精密なミサイルならどうだ? 迎える結末は当然の結果。

 

「――!! なるほど、確かにとんでもない火力だ」

 

 滝のように飛び散る醜液に顔を歪めながらアーチャーは感心した。

 微弱であろうとも神秘をまとえば近代兵器もその領域に片足くらい突っ込むことができる。

 そしてそれが通用する相手ならば、その威力は最善を発揮する。

 

 地獄の釜と見間違う爆炎の渦が視界を覆い、その向こうで怪物の触手が今までにない絶叫を上げながら一気に数本霧散していく。

 その光景を確認してからアーチャーは実体化を解き仰木の後を追い舞い上がった。

 

 

 

 

 

「んな……」

 

 眼下に広がる映画の世界に仰木は絶句した。

 紅い男の突然の自殺劇もそうだがなによりも「今まで全く通用していなかった」攻撃が突然に本来の威力を発揮したのはどういうことなのか。

 

「たしかあいつ」

 

 今しがたの光景を反芻する。今までと先程で違った点があるとすればそれは……

 

「気づいたか、そうだ。あのミサイルに私の矢が触れた、違いはただそれだけだ」

 

「のわあぁぁ!!」

 

 この機体からブラックボックスが取り出されるとき、その中身を聞いた人物は間違いなくこのタイミングで墜落したものと判断するだろう。

 すっとんきょうな声をあげる仰木。

 

 そんな驚きをよそに紅い男はため息をつく。

 

「詳しい説明は省こう。残念ながら時間切れだ。これ以上時間をかければやつが野次馬を文字通り喰らいはじめる」

 

「なん……だと……?」

  

 促され仰木は下をみやる。冬木大橋付近はこの季節、この時間は車通りこそあるものの、ほとんど人気はない。

 だと言うのにこの騒ぎに乗じてか橋の上は元より近くの道路一体を人並みとカメラかなにかの光が覆っている。

 その景色と紅い男の言葉。

 仰木は先程とは全く違う類で背筋が寒くなるのを感じた。

 

 今まで自分が対峙していたあの常軌を逸した脅威。あんなものが一般人を襲い始めたら……

 

「早く止めないと!!」

 

「わかっている。だが私や彼等とてあの化け物を仕留めるのは容易ではない。だからこそ君に協力を要請した」

 

「ああ! だから……!」

 

「勘違いするな」

 

 今この場で闘えるのは自分達だけ。そう自分を奮い立たせ前を見据えた仰木、しかしその決意に冷や水を叩きつけるかのように冷徹な声が上から降ってくる。

 

「なに?」

 

「何のためにいま実例を見せたと思っている。君達の戦力ではあれに太刀打ちできん。私が協力しろと言ったのはそういう話ではない。例え直接あれを足止めすることが出来ずとも、犠牲を減らすことは出来る。君にしてもらいたいのはそういう話だ」

 

「どういうことだ……」

 

 紅い男は端からそのつもりだったのだろう。

 冷静にこれから仰木がやるべきことを告げた。それは事実上の戦力外通告であり、それでいて自衛隊の本懐を遂げるもの。

 葛藤こそあれど、仰木がそれを断れる理由などなかった。

 

「分かった……それが正解なんだろう?」

 

「協力感謝する」

 

 

 

ーーーーー

 

【こちら冬木TVです! この光景は現実なのでしょうか!? 冬木大橋に出現したこの怪獣はCGでも合成でもありません!!】

 

「んー?」

 

 同時刻間桐邸、桜はぼんやりとテレビを眺めていた。

 特撮なのか現実なのか良く分からない光景に町もネットも大騒ぎなのだが、そんなことはこの少女には関係ない。

 自分の敵ではないおじさんの作った美味しい食事を黙々と食べるのみ。

 

【先程から自衛隊機が応戦していますが状況は一向に変化ありません! さらに時おり見える光は遠距離兵器か何かの爆発なのでしょうか!?】

 

 アナウンサーが興奮ぎみに叫ぶ。

 その向こうに見えるのはこの世のものではない異形。

 

「へんなのー。あんなところにいたら皆死んじゃうのに」

 

 桜はぽつりと事実を呟く。

 あんなものの近くにいたら直ぐに死んでしまうのに、なんでみんなあんなところで騒いでいるのだろう。

 

「うーん……わかんないや」

 

 だがそんなことは別にどうでも良い。

 興味を失った桜はまだ中身の半分ほど残る皿へと意識を戻す。

 そこからはニュースの音声など町中で流れるBGMだ。特に内容は分からない。そんなものなのだ。

 人間は常に音にまみれている。その中で気を引くものなどほんの一握り。

 特に桜のような少女ならそれはひとしおである。そんな彼女の興味をひくような音があるとすればそれは……

 

【早く消えたまえ。ここにいればそう遠くないうちに全員死ぬことになる】

 

「おじちゃん!?」

 

 敵ではない存在、ひいては庇護者の声くらいだろう。

 

 今までの無関心はどこへやら、トテトテと足音をたてテレビへ近づく桜。その中にはたしかに、彼女が知る紅いおじさんがいた。

 

【え!? 今貴方戦闘機から飛び降りて……え!? 貴方一体!?】

 

【通りすがりの正義の味方だ。だが残念ながら光の巨人ほど迅速な対処は出来んのでね。君たちがここにいてはとてもではないが守りきれん】

 

【は!? 一体何を言って!】

 

 困惑するアナウンサーからマイクを奪い取り淡々と事実をのべるアーチャーに世間が騒然とする。

 収録番組ならまず間違いなくお蔵入りの酷い映像だ。だがこれは現在進行形の現実。前代未聞の放送事故はまだまだ続く。

 

 

【その人の言っていることは本当です! 皆さんはやくここから避難を!!】

 

 テレビ越しにも轟く爆音、機械的に拡大された声。アクロバティックに、より人の興味を引くように。低空で飛ぶ戦闘機から声が響く。

 アーチャーは言ってしまえばただの不審者だ。その言葉がどこまで響くかは分からない。

 けれども、国民最後の砦である自衛隊員の言葉ならどうだ?

 野次馬に動揺が広がる。これは本当にやばいのではないか? 自分達はとんでもない事態に首を突っ込んでいるのではないか?

 不安が伝染する。その姿を見てアーチャーは暗い笑みを溢し、最後の一押しを行う。

 

【トレース、オン】

 

 それから数分後、あれだけいた野次馬は蜘蛛の子を散らすように完全に姿を消し去っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お待たせしてもうしわけない。

いやー……社会人大変ですね。こんなに時間とれないとは……幸いなことに一応この作品の結末は考えてあるのでいよいよ物語終盤そこに突き進んでいければと

お時間頂くかもしれませんが。今後ともよろしくお願いします。

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